魔法少女リリカルなのは 集う英雄達    作:京勇樹

9 / 220
実力試験 その1

翌日

 

場所 機動六課訓練スペース

 

「皆、おはよう!」

 

「「「「おはようございます!」」」」

 

なのはの挨拶に、なのはの前に立っている4人は元気よく挨拶している

 

尚、そのうち2人はエリオとキャロである

 

「今日は訓練を始める前に、紹介したい人たちが居ます。では、冬也さんからお願いします」

 

「先日から民間協力者になった、神代冬也だ。よろしく頼む」

 

「同じく、民間協力者の白銀武だ」

 

「同じく、御剣冥夜だ」

 

「上条当麻だ」

 

「ネギ・スプリングフィールドです」

 

「神楽坂明日奈よ」

 

「桜咲刹那です」

 

「長瀬楓でござる」

 

「古菲アルね!」

 

冬也が挨拶すると、全員それに続いた

 

「「「「よろしくお願いします!」」」」

 

全員の自己紹介に、フォワード陣は敬礼しながら挨拶した

 

「それじゃあ、次は皆が自己紹介してね」

 

「はい! 私はティアナ・ランスター二等陸士であります!」

 

「あたしはスバル・ナカジマ二等陸士です!」

 

「僕はエリオ・モンディアル三等陸士です!」

 

「私はキャロ・ル・ルシエ三等陸士です。この子は飛龍のフリードリヒです」

 

「キュクル~♪」

 

なのはが言うと、フォワード陣は右から順に名前を告げた

 

「おお! 龍だ!」

 

「なんと…」

 

「ほお、本物は初めて見たな」

 

「図書館島の地下で見たのよりは随分小さいけど、ワイバーン種ですね」

 

「おーう、これが龍か。初めて見たぜ」

 

等々、冬也達はキャロのフリードを見て驚いている

 

「後、他にも民間協力者の人たちは居るけど、そっちは各自で挨拶してね」

 

「「「「はい!」」」」

 

「それじゃあ、まずは準備運動からはじめよっか!」

 

「「「「はい!」」」」

 

なのはが告げると、フォワード陣は元気に返事をした

 

こうして、訓練は始まった

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

そして、40分後

 

「「「「「ぜぇ……ぜぇ……ぜぇ」」」」」

 

そこには、フォワード陣プラス当麻がグダグダになっていた

 

「あ…あの…なんで、皆さんは……そんなに元気なんですか?」

 

比較的に体力に余裕があったのか、スバルが冬也達に問いかけた

 

「えっと、僕達は特殊な訓練を受けたので…」

 

「そうそう、着の身着のまま砂漠の中1週間サバイバルとか」

 

「ええ、南極での1週間サバイバルもありましたし」

 

「ジャングルでの1週間サバイバルもござったな」

 

「一番厳しかたのは、エヴァにゃんとの模擬戦だたアルね」

 

前3人のはどこかオカシイ

 

「俺は12年間最前線に立っていたからな、最適な体の動かし方はわかる」

 

冬也は経験故らしい

 

「俺達は軍人だったし、もっと厳しい練習をしたな。10キロのフル装備に30キロのリュックを背負って40キロのフルマラソンしたな」

 

「うむ、あれは厳しかった」

 

武と冥夜は、比べる基準がおかしい

 

「そ、そうですか……当麻さんは大丈夫ですか?」

 

「な、なんとか……」

 

スバルから声を掛けられた当麻は仰向けで、手をひらひらさせた

 

「それじゃあ、冬也さん以外は全員出てね? 今から実力を試したいから」

 

「高町一等空尉殿、ここでですか?」

 

「ふふっ、なのはさん、でいいよ。皆そう呼んでるし。それじゃあ、シャーリー!」

 

武の呼び方になのはは訂正を入れると、視線をシャーリーに向けた

 

「はーい♪ なのはさん監修機動六課特別空間シミュレーター、スイッチオン♪」

 

シャーリーは微笑みながら、空中投影式キーボードをタイピングした

 

すると、海上の開けたスペースに突如、廃都市が現れた

 

「うお!? なにもなかった所が、いきなり廃都市になった!?」

 

「す、凄い……」

 

「学園都市と同じくらいすげー」

 

等々ネギ達が驚いていると

 

「ほう……魔法と科学のハイブリットか」

 

「へぇ、分かるんですか?」

 

冬也の言葉に、シャーリーが視線を向けた

 

「ああ、俺の世界にも似た様な物が有ったからな。しかし、ここまでではなかったな」

 

と、冬也は感心しながら見ていた

 

そして、冬也以外が全員外に出ると

 

『冬也さん。聞こえますか?』

 

「ああ、聞こえる」

 

冬也は、廃都市を再現した中の中心に一人立っていた

 

『それでは、ガジェットの数はどうします?』

 

「任せる。好きにしてくれ」

 

と冬也は言うと、目を閉じた

 

場所は変わって、訓練スペースが一望できる高台

 

『任せる。好きにしてくれ』

 

冬也はそう言うと、目を閉じた

 

「だ、そうですけど。どうします?」

 

「うーん、それじゃあ。数は30。攻撃精度、回避精度をAで」

 

「はい」

 

「ちょっ!? 正気ですか!? あれを30って、しかも両方ともAは厳しいですよ!?」

 

なのはとシャーリーの言葉に、スバルが慌てて声を掛けるが

 

「大丈夫だと思うよ。彼、12年間最前線で戦い続けたらしいし」

 

「では、セット!」

 

「冬也さん。あなた達が今後戦うのは、これです」

 

なのはの言葉と同時に、冬也の周囲に大多数の楕円形の機械が出現した

 

「な!?」

 

「あの機械は!!」

 

「あの場所で出た機械じゃねーか!」

 

その機械は、ネギ達にとって見たのは2回目だった

 

「正式名称はガジェット・ドローンです。このガジェットが今後の私達の敵です」

 

それを聞いた冬也は、右手を肩の高さまで挙げると

 

『夜叉、セットアップ』

 

<承知、セットアップ!>

 

次の瞬間、左手の腕輪が光って、光が収まると冬也はバリアジャケットを纏っていた

 

「あのバリアジャケットは……」

 

「近接戦闘を重視してるみたいね」

 

「シグナム副隊長みたいに、片刃系の武装ですね」

 

すると、冬也の格好を見た刹那と冥夜の目元が細まった

 

「彼の格好は……」

 

「あれは、死装束ではないか……」

 

「死装束って、なんですか?」

 

二人の言葉を聞いたネギが、問い掛けた

 

「誰かが死んだ時に、その喪に服するために着る服です……」

 

「それを着るとは……誰かの形見なのか?」

 

「なるほど……」

 

と、3人が話していると

 

「それじゃあ、シミュレーション開始!」

 

と、なのはが告げた

 

すると、冬也を包囲していたガジェットは、開始の合図と同時に蒼い光弾を放った

 

冬也は目を細めるだけで、動かず

 

そして

 

冬也の居た場所が、爆炎に包まれた

 

「あぁ!?」

 

「直撃!?」

 

キャロとエリオの二人は、目を見開いて驚いている

 

「速いでござるな」

 

「ああ、我々の目でも影しか見えない」

 

しかし、ネギ達は冷静に見ていた

 

「え? それって、どういう意味ですか?」

 

「冬也さんは、とっくに避けてるよ」

 

ほら、あそこ。と言いながら、なのははある方向を指差した

 

『ふむ、完全に直っているな』

 

なのはの指差した先には、両手に刀を握った冬也が、無傷で立っていた

 

「えっ!? いつの間に!」

 

「早っ!」

 

ティアナ達が驚いてる視線の先で、冬也はゆっくりと、2本の刀を腰の鞘に納めた

 

その直後

 

数多のガジェットが、縦、横、斜めに切れて、爆発した

 

「い、いつの間に……」

 

「早過ぎて、見えませんでした……」

 

スバルとエリオが呟いていると

 

『ふっ!』

 

冬也は両腕を後ろに突き出した

 

すると、手首の辺りから細い物が飛び出した

 

「あれは……ワイヤーですね」

 

冬也の手首から伸びたワイヤーが、ガジェットの装甲に付くと

 

『ふっ!』

 

冬也はそれを、力づくで振り回した

 

それにより、数機巻き込まれて爆発した

 

「凄い……あんな方法で撃破するなんて……」

 

「想像つかないわね……」

 

すると、冬也は腰の2刀を抜いて剣先を下に向けるように交差させた

 

『忌剣……夜駆け!』

 

「忌剣!? まさか……」

 

「刹那さん? どうしたんですか?」

 

「彼は、草壁一族の生き残りなのかもしれません」

 

「草壁一族?」

 

「はい、陰陽師、安部清明の教えを守り、連綿と受け継いできた土御門一族、その分派。それが草壁一族なんです」

 

「なるほど……あれ? でも、生き残りって、どういう意味ですか?」

 

刹那の説明を聞いたネギは納得しかけるが、首をかしげた

 

「草壁一族は、当時、忌み嫌われてた魔法を取り込んで戦った一族でして、その魔法を使った剣技を作ったんです。それが、忌剣なんです。そして、妖刀を使うために、妖怪の血を取り入れたんです」

 

「妖怪の血を? でも、それって刹那さんと同じ半妖ってことですよね?」

 

「私のは鳥族《うぞく》の血なので、人に順応しました。しかし、草壁一族は鬼神の血を取り入れたんです。その結果……滅びました……」

 

「血に……飲まれたんですか?」

 

「はい……人から化け物に堕ちて、最後は同じ人に滅ぼされました」

 

刹那は辛そうに、俯いた

 

「うわっ! なにあれ!?」

 

スバルの驚いた声に、ネギたちは視線を戻した

 

すると、どうだろうか

 

冬也が、5人近くに増えていた

 

「幻術魔法!?」

 

「ううん、あれは純粋な高速移動だね」

 

「所謂、分身でござるな」

 

「ええ、あの様子だと、瞬動を体得してるようですね」

 

「瞬動って、なんだ?」

 

「地上での高速移動術です。達人クラスですと、必須の技術です」

 

当麻の疑問に、刹那が答えた

 

その瞬間

 

冬也の斬撃で、残っていたガジェットが全機爆発した

 

それを確認したなのはは、タイマーを止めた

 

「やっぱり強いね。2分半か」

 

「「「「2分半!?」」」」

 

なのはの告げた時間を聞いて、フォワード陣は全員驚いた

 

「あたし達は、半分の数で10分くらい掛かったのに………」

 

「強い……」

 

「うん、確かに強いね。それに、気付いた? 彼、近接戦闘のみしかやってないよ」

 

「「「「あ、そういえば」」」」

 

そう、冬也が使ったのは二本の刀とワイヤーのみ

 

しかも、魔法すら使っていない

 

「彼、相当強いね。実戦経験に裏打ちされてる」

 

なのはが感心していると

 

『終わりで、いいんだな?』

 

と、冬也が聞いてきた

 

「あ、はい。こちらに戻ってください」

 

『了解した』

 

冬也はなのはの指示に従い、バリアジャケットを解除してから、戻った

 

「それじゃあ、次はネギ君。お願いしていいかな?」

 

「あ、はい。大丈夫ですよ」

 

なのはの言葉に、ネギはうなずいた

 

そして、入れ替わるように、ネギが訓練場に入った

 

「え? ネギくんも戦えるの?」

 

「はい、ネギ先生は私達の中では最強クラスの戦闘力を有しています」

 

「勝てるのは、明日奈殿くらいではござらんか?」

 

等々、刹那たちが話していると

 

「え!? 先生!? あんな子供が!?」

 

スバルが驚愕の表情で振り返った

 

「そうアルよ。ネギ坊主は私達の先生アルよ」

 

「ネギ先生はイギリス語に日本語、英語、ラテン語を話せます」

 

「うわぁ……天才少年だ……」

 

と、スバルたちが話していると

 

「それじゃあ、設定はさっきと一緒で始めるよ?」

 

『はい、大丈夫です!』

 

すでに、ネギがスタンバイを終えていた

 

「それじゃあ、シミュレーションスタート!」

 

『両腕解放! 千の雷! 固定、掌握! 魔力充填! 術式兵装、雷天双壮!』

 

ネギが呪文を唱え終わると、姿が変わった

 

その姿は、あの空港跡地で戦っていた姿だった

 

「うわっ!? なにあれ!」

 

「ネギさんの体が発光してます!」

 

スバルとキャロは、ネギの姿が様変わりしたことに驚いている

 

「はい。あれが、ネギ先生の最強モードです」

 

刹那がそう告げた瞬間だった

 

画面から、ネギの姿が消えた

 

「え!? 消えた!?」

 

「ど、どこに!?」

 

ティアナとエリオは、ネギを探し始めた

 

「早いな。6機か」

 

冬也が呟いた瞬間

 

6機のガジェットが、爆発した

 

「え!?」

 

「み、見えない!」

 

「私でも、見えないね。フェイトちゃん以上かな」

 

なのはは冷静に言っているが、内心、驚いていた

 

(フェイトちゃん以上なんて、初めてだよ)

 

「お前達、どこを見ている。上だ」

 

と冬也は、上を指差した

 

その先には、見失っていたネギの姿があった

 

「い、いつの間に……」

 

「早過ぎる……」

 

スバル達が呆然としていると

 

『千躰雷囮結界《せんたいらいがけっかい》!』

 

ネギが文字通り、千体に増えた

 

「ええ!? 増えた!?」

 

「ど、どれが本物!?」

 

スバルたちは、どれが本物のネギか確認しようとするが

 

「無駄だ、俺ですらわからん。あれは全て、雷による実体のある分身だ」

 

冬也の冷静な一言で、探すのを止めた

 

すると

 

『千磐破雷《チハヤブルイカズチ》!!』

 

千体のネギが雷光を纏いながら、地表に突撃した

 

それにより、土煙が視界を覆いつくした

 

そして、数瞬後

 

衝撃波が、到達した

 

「うわっ!」

 

「わぷっ!」

 

スバルとティアナは、腕で目元を覆って耐えたが

 

「わわっ!」

 

「あぁ!」

 

エリオとキャロは、衝撃波で倒れそうになった

 

しかし、それを冬也が片手で支えた

 

「あ、ありがとうございます……」

 

「気にするな」

 

すると、訓練場の方の土煙が消えた

 

『えっと、終わったみたいなんですけど………』

 

「あ、うん。戻っていいよ」

 

ネギに返事しながら、なのははタイマーを見た

 

「早すぎる………約40秒だよ……」

 

「「「「40秒!?」」」」

 

スバルたちが驚いていると、ネギが戻ってきた

 

「え、えっと……どうでした?」

 

「十分すぎるよ……」

 

なのはが呆然としていると

 

「ネギくん」

 

「はい? なんですか、冬也さん?」

 

「さっきの魔法。なにを犠牲にして得た?」

 

冬也がそう言った瞬間

 

全員の動きが止まった

 

「なんのことでしょうか?」

 

「とぼけなくっていい。あれは本来、外に出して敵に害なす攻撃魔法を自分で取り込んで、その魔力と魔法の効果で身体能力を無理やり強化する魔法だろう?」

 

「…………」

 

「沈黙は肯定と取るぞ? 俺も過去に似たようなことをしたから、わかる。あれは、人間では不可能だ。俺も正直、死に掛けた」

 

「………」

 

「これは俺の推測だが………人間を辞めたな?」

 

「……ネギくん?」

 

冬也の言葉を聞いたなのはが、ネギに問いかけた

 

「………はぁ、正解です。凄いですね、冬也さんは」

 

「12年間最前線に居れば、嫌でもわかるさ」

 

冬也とネギが話していると、なのはがネギに近寄った

 

「ネギくん。どうして……そんな魔法を?」

 

「……力が必要だったんです。生徒の皆さんを……守るための力が……だから僕は、闇の魔法を習得したんです」

 

ネギは真剣な表情で、なのはに告げた

 

「まあ、後で明日奈さんたちに怒られちゃいましたけど」

 

「当たり前よ。何回心配したことか」

 

ネギの言葉に、明日奈はネギの頭に手を置きながら、憤然とした

 

「あはは……すいません……」

 

と、ネギが苦笑いしていると

 

「なのはちゃん、ごめんな~。待たせたわ」

 

と、関西弁が聞こえた

 

全員が見ると、はやてが来ていた

 

「あ、はやてちゃん」

 

「「「「八神部隊長!」」」」

 

はやてが居ることに気づいたなのはは、片手を挙げて、新人達は姿勢を正して敬礼した

 

「硬くならんでええよ。休め」

 

はやてはそう言いながら、なのはの近くに来た

 

「む、八神か」

 

「あれ、はやてさん?」

 

「はやて? なんでここに?」

 

冬也たちも気付いて、振り返った

 

「あ、それはね…」

 

「ええよ、なのはちゃん。自分で教えるから」

 

なのはが説明しようとしたら、はやてが遮った

 

そして、はやては当麻の前に立った

 

「当麻さん。あんさんの模擬戦の相手は……私や!」

 

「………ホワッツ!?」

 

 

 

どうやら、当麻の受難はここでも健在のようである


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。