魔法少女リリカルなのは 集う英雄達    作:京勇樹

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親子

「クアットロ、撃破」

 

なのははそう言うと、視線をヴィヴィオに向けた

そして、歩み寄ろうと一歩踏み出した

その時

 

「ダメ……来ないで!」

 

とヴィヴィオが叫び、拳が繰り出された

その一撃はユーノの障壁で防がれたが、二人は後ろに押された

そして、二人が視線を向けると

 

「ダメなの……止まらないの……」

 

とヴィヴィオは涙を流していた

すると、ユーノが

 

「ヴィヴィオに歪な魔力の流れがある。多分、ゆりかごの戦闘システムかも」

 

と言った

それを聞いて、なのはは

 

「ヴィヴィオ……一緒に帰ろう……三人で」

 

と優しく声を掛けた

するとヴィヴィオは

 

「ダメなの……全部、思い出したの……」

 

と涙を流しながら言った

 

「私は、作り物だった……遥か昔に死んだ人のクローンだった……私には、パパもママも居なかった……!」

 

そう言ったヴィヴィオの目には、絶望の光が浮かんでいた

すると、なのはが

 

「違うよ」

 

と言った

それを聞いて、ヴィヴィオが

 

「違わない」

 

と反論した

 

「違う」

 

「違わないよ!」

 

ユーノの言葉に被せ気味にそう言うと、ヴィヴィオは

 

「私は作り物で! ユーノさんとなのはさんの子供じゃない! この時代の人間じゃない!」

 

と泣き叫んだ

すると、ユーノが

 

「確かにそうかもしれない……けど、僕達が知ってるのは君だ、ヴィヴィオ……」

 

と言った

それを聞いて言葉を失っていると、なのはが

 

「ねえ、ヴィヴィオ……ヴィヴィオは、どうしたいの?」

 

と問い掛けた

するとヴィヴィオは、泣きながら

 

「……居たい」

 

と呟いた

そして

 

「なのはママとユーノパパと一緒に居たいよ!」

 

と懇願するように叫んだ

すると、二人は頷き

 

「分かったよ」

 

「ちょっと痛いけど、我慢してね」

 

と言った

その言葉にヴィヴィオが頷くと、ヴィヴィオの体を翡翠色のバインドが拘束した

それを見たなのはは、ある魔法の準備を始めた

それは、なのはの切り札

なのはの不屈の気持ちから生まれた、最高の砲撃

 

「魔力ダメージを与えて、レリックを砕く……出来るよね、レイジングハート?」

 

《出来ます!》

 

使い手からの問い掛けに、愛機は自信満々に答えて残りのカートリッジを一気に全リロード

 

「スターライトー……」

 

集う魔力が、まるで星々の光が集まるようだから名付けられた名前

 

「ブレイカーァァァァァァ!!」

 

放たれた極光は、ヴィヴィオを包み込んだ

 

「アアアァァァァァァ!!」

 

ヴィヴィオは痛みに叫びながらも、逃げなかった

その時、ヴィヴィオの体の中から深紅の結晶

レリックが出てきて、スターライトブレイカーを浴びて砕け散った

その直後、爆発が起きてヴィヴィオの姿は見えなくなった

 

「なのは、大丈夫かい?」

 

「う、うん……なんとか」

 

ユーノにそう言うが、なのはは立つのも辛そうだった

ブラスターシステムの反動に、戦闘のダメージ

そこに更に、反動(リコイル)の強い収束砲の発射

はっきり言って、これ以上の戦闘は厳しいだろう

そんななのはを支えて、ユーノはヴィヴィオの方に向かった

スターライトブレイカーにより、ヴィヴィオが居た場所を中心に半径3m近いクレーターが出来ていた

その淵に行き、中心を見下ろした

その時

 

「来ないで……」

 

と幼い女の子

ヴィヴィオの声が聞こえた

煙が晴れると、ヴィヴィオが一生懸命立ち上がろうとしていた

 

「自分で、歩いて行けるから……大丈夫だから……」

 

ヴィヴィオはそう言いながら立つと、ゆっくりとなのは達の方に歩き出した

それを見て、ユーノとなのはは堪えられなくなったように二人で飛んだ

そして、二人でヴィヴィオを抱き締めた

 

「おかえり、ヴィヴィオ……」

 

「パパ……ママ……」

 

二人に抱き締められて、ヴィヴィオは嬉しそうに涙を流したのだった


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