魔法少女リリカルなのは 集う英雄達    作:京勇樹

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推移

フェイトがスカリエッティ達と戦っていた頃、ゆりかご内の玉座の間ではなのはとヴィヴィオが戦っていた

とはいえ、それは戦いとは言えないだろう

なにせ、なのははヴィヴィオにマトモに攻撃をしていないのだから

そしてなのはは、ヴィヴィオの一撃で壁にめり込んでいた

 

(予想よりも、一撃が重い……内臓に、ダメージが……)

 

なのはは自身のダメージを確認すると、すぐにそこから離れた

その直後、ヴィヴィオの追撃の拳が叩き込まれた

その一撃で、数mにわたり壁が陥没した

すると、音声で

 

『あの有名なエース・オブ・エースさんが、たかが子供に手出し出来ないなんてねぇ……可笑しくって、笑えるわぁ』

 

と聞こえた

その声は、間違いなくクアットロだった

その声になのはは

 

「臆病風に吹かれて、隠れて見ることしか出来ない人には言われたくないかな」

 

と言った

その直後、ヴィヴィオの高速の拳が迫った

だがなのはは、その一撃を受け流すと投げ飛ばした

その一撃は、いわゆる合気道に近い技だった

その技は、刹那から教えられた技だった

投げられたヴィヴィオは、空中で体を捻って着地した

その瞬間、なのはが

 

「ブラスタービット!」

 

と小型のビットを、三基召喚

そのブラスタービットは、ヴィヴィオを取り囲んだ

それを見たなのはは

 

「クリスタルケイジ! ロック!」

 

と魔法を発動した

それは、まずヴィヴィオの全身を魔力紐で拘束

更にその周囲を、魔力壁で囲んだ

この魔法は、なのはが使える相手を拘束するという魔法の中では、最高の魔法だった

だがヴィヴィオは

 

「この魔法は……もう、覚えた!」

 

と言って、自身を縛っていた魔力紐を引きちぎり、魔力壁を叩きだした

なのはは魔力壁を壊されないために、更に魔力を込めた

だが、なのはの体はボロボロだった

ヴィヴィオとの戦いもだが、ブラスターシステムの運用によるダメージが大きかった

今も、本当は倒れてしまいたかった

だが、倒れるわけにはいかない

クアットロを逮捕するために

何よりも、愛しいヴィヴィオを助けるために

同時刻

場所は変わり、下層のエンジンルーム手前

その通路を、ヴィータは全身を血だらけにしながら歩いていた

ヴィータは、現れたガジェットとドールを全て破壊した

しかし、大量のガジェットとドールと戦ったために、全身に傷を負っていた

その傷の深さは、本来ならば撤退しなければいけないレベルだった

だがヴィータは、それでも止まらなかった

ヴィータは今にも膝を屈しそうな体に鞭を打ち、エンジンルームに入った

 

「こいつが……このゆりかごのエンジンか」

 

そう言ったヴィータの前に有ったのは、巨大な深紅の結晶体だった

その結晶体からは、凄まじい魔力が溢れていた

それを睨んだヴィータは、アイゼンを持ち直して

 

「やるぞ、アイゼン!」

 

と声をあげた

 

《了解!》

 

アイゼンもそれに応えて、カートリッジを三連ロード

アイゼンは、ギガントフォームとラケーテンフォームが合わさった最終フォーム

ツェアシュテールングスフォームを発動した

そしてヴィータは、アイゼンを振り上げると

 

「ぶち抜けぇぇぇ!」

 

と怒鳴りながら、アイゼンを振り下ろした

アイゼンの先端のドリルが回転し、結晶体から激しく火花が散った

数秒後、爆発が起きてヴィータは吹き飛ばされた

 

「ぐあ……ちい、硬ぇ……」

 

ヒビすら入ってない結晶体を見て、ヴィータはそう舌打ちした

その直後、エンジンルーム内にて甲高い警報音が鳴り響き

 

《警告します! エンジンルーム内にて、攻撃的魔力を検知! 侵入者に対して、迎撃を開始します!》

 

と警告がされた

その直後、凄まじい数のスフィアが出現

それら全てが、ヴィータに狙いを定めた

それを見て、ヴィータは獰猛な笑みを浮かべた

 

「上等だ……行くぜ、ガラクタ共がぁぁぁ!!」

 

ヴィータはそう声をあげながら、スフィアに突撃した

再び場面が変わり、ゆりかご周辺では

 

「気張りや! ガジェットとドールの動きが鈍った! 後少しや!」

 

とはやてが指揮を執っていた

 

「はっ!」

 

はやての激励を聞いて、空戦魔導師達は気合いで答えた

だがはやては、内心では焦っていた

AMFの影響か、中に突入したなのはとヴィータの二人と通信が繋がらなくなっていた

そして、はやては決心した

 

「今から、私も突入します! 誰か、指揮を執ってください!」

 

はやてがそう言うと、通信ウインドウが開いて

 

『わかった、行け!』

 

とラダビノットが言った

それを聞いて、はやてが行こうとした時

 

『八神隊長、待ってください!』

 

とアルトから通信が来た

 

『今そちらに、リイン補佐をお連れしてます!』

 

それを聞いて、はやては待つことにした

はやては広範囲魔法を得意としているが、精密照準が苦手だった

それを補佐するのが、リインなのだ

特に、ゆりかご内は下手な一撃が致命的ミスになりかねないから

 

「ちょい、待ちいな。シグナムは……」

 

『それだったら大丈夫です!』

 

『シグナムには、強力な融合器が付いたです!』

 

はやての問い掛けに、アルトとリインはそう答えた

この時、少し離れた市街地上空でシグナムが一人でガジェットの迎撃を行っていた

そのシグナムは、アギトとユニゾンしていた

アギトとシグナムの属性は、共に炎

更には、魔力資質も非常に似ていた

その結果、二人のユニゾン率はとてつもない数字になっていた

それはまるで、長い年月を共に戦ってきたかのように

その二人の魔法により、百を越えるガジェットとドールの部隊は一撃で全滅

そしてアギトは、今まで感じたことのない充足感から涙を流していた

その二人により、その防衛線は維持されていた

そして、ヘリから出てきたリインとユニゾンしようとした

その時、数機のガジェットとドールがはやてに接近

攻撃をしようとしていた

空戦魔導師や、当麻は他の敵に押さえられていた

はやては、せめてリインを守ろうとした

その時、そのガジェットがまるでトラックにぶつかったかのようにひしゃげた

何が起きたのか分からず、はやては固まった

そこに現れたのは、スーツを着た一人の男性だった

その男性は、両手をズボンのポケットに入れていた

その男性が現れてから十秒と経たずに、近くに居たガジェットが一気に減った

それを見たはやては、その男性に

 

「貴方は、一体……?」

 

と問い掛けた

すると、男性は

 

「僕の名前は、高畑・T・タカミチ。ネギ君の同僚だね」

 

と告げた


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