魔法少女リリカルなのは 集う英雄達    作:京勇樹

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無限の欲望

冬也は回復力のごり押しで、ロンドに迫る

しかしロンドは、多彩な魔法で冬也を迎撃

それは、いたちごっこだった

だが、その時

 

「冬也さん! ダメぇ!」

 

とフェイトが叫んだ

すると、冬也の動きが変わった

ロンドの魔法を、刀で弾いたのだ

 

「なに?」

 

ロンドはそれに驚くが、更に別の魔法

火炎流を放った

その魔法は、冬也がまるで風車のように刀を回して防いだ

そして火炎流が途切れた直後、冬也の姿はフェイトの背後にあった

 

「冬也……さん?」

 

「やはり、フェイトか」

 

フェイトが声を掛けると、冬也から返事があった

どうやら、ゲシュペンストが解けたらしい

 

「どういうことか分からんが、フェイトの声が聞こえた……ゲシュペンストが発動している限り、相手を殲滅するまで止まらない筈なんだがな……」

 

「……愛、ですかね?」

 

冬也の言葉を聞いて、フェイトはそう言った

確かに、そうなのかもしれない

冬也がゲシュペンストに施していたのは、条件付けという一部の特殊な魔法に行うものだ

この場合、ゲシュペンストを発動した場合、デバイス側と本人が敵と判断した相手を殲滅するまで止まらない。という条件付けがされていたのだ

だが冬也は、フェイトの声を聞いて止まった

それは、フェイトの想い()が招いた結果かもしれない

するとスカリエッティが

 

「愛ね……君達みたいな、作り物がかね?」

 

と言った

そして続けて

 

「フェイト・テスタロッサ……君は、プロジェクトFATEで産み出された人造魔導師だ……その君が、二人の子供達を育てるのは、親の愛情をマトモに知らない子供達に愛情を教えるためかね? 君とて、マトモに愛情を知らないのではないのかね? そんな君が、愛か……ただの自己満足なのではないかね? 一人になるのが恐くて震えて。そうなりたくないから、あの子供達を手元に置いたのではないかね?」

 

と言った

その直後だった

 

『違う!!』

 

とエリオとキャロの声が聞こえた

気づけば、フェイトと冬也の近くに通信ウインドウが開いていた

そこには、二人の姿が見えた

その二人はどうやら、ルーテシアに勝ったらしい

ルーテシアを間に挟むようにして、フリードに乗っていた

 

『フェイトさんは、僕達に優しく接してくれた! 暖かい居場所をくれた!』

 

『フェイトさんが居たから、私達は今ここに居る! なのはさんや、ティアナさん、スバルさん、皆さんに出会えた!』

 

二人はガジェットに追われているのか、時おりレーザーや銃弾を避けていた

だがそれでも、通信ウインドウは閉じないでいた

 

『だから、フェイトさんの想いは本物です!』

 

『そうです、だから!』

 

二人はそう言うと、息を合わせて

 

『戦って!』

 

と言った

それを聞いて、フェイトは微笑んで

 

「ありがとうね、エリオ、キャロ。私は何回も迷ってきたから、また繰り返し悩むかもしれないし、立ち止まるかもしれない……けど、いいんだ!」

 

と言った

その直後、フェイトから魔力の柱が立ち上った

そして、バリアジャケットが変わっていく

羽織っていたコートが無くなり、更に長いスカートと袖も無くなった

そして両手首両足首には、羽が着いた

 

「真ソニックフォーム」

 

それこそが、フェイトの切り札

真ソニックフォームだった

装甲を限界まで削り、攻撃力と機動性に振ったのである

それは、冬也と全く同じコンセプトだった

そして、フェイトが普段使っているバルディッシュも二刀流形態に変わった

それを見て、スカリエッティの両隣に居た二人の戦闘機人

トーレとセッテが

 

「装甲が薄い!」

 

「当たれば、落ちる!」

 

と言って、動いた

確かに、もし攻撃が直撃すれば、フェイトは負けるだろう

だがそれは、当たればの話である

気付けばフェイトは、セッテの懐に肉薄していた

そして次の瞬間

 

「がはっ!?」

 

セッテは、フェイトの攻撃の直撃を受けて倒れた

そしてフェイトは、更に速さを上げた

すると、トーレが

 

「IS、ライドインパルス!!」

 

と自身の能力を発動し、フェイトとほぼ同速で動き始めた

二人が交差する度に、激しい衝撃波が周囲に撒き散らされる

その影響か、二人に傷が出来る

 

(速さは互角。ならば、身体能力で勝ってる私が有利!)

 

トーレはそう確信し、何度目かのターンをした

だがその時、目の前にはフェイトの姿があった

 

「なに!?」

 

驚いているトーレに、フェイトは容赦なくザンバーを繰り出した

トーレはその攻撃を、手首のインパルスブレードで防いだ

フェイトはその勢いを使い、上に向かった

トーレはバランスを立て直すと、上を見上げた

そこで見たのは、落ちてくる瓦礫を使って方向転換と加速してくるフェイトだった

 

「貴様!? 瓦礫や壁を利用して!?」

 

「はあぁぁぁ!!」

 

トーレはフェイトの一撃を防いだが、その瞬間にインパルスブレードが砕けて、フェイトの攻撃が直撃

トーレはそのまま、スカリエッティ近くの床に叩き付けられた

そしてフェイトは、スカリエッティに向かった

だがスカリエッティは慌てず、片手を上げた

そして指を動かすと、様々な方向から赤い紐がフェイトに向かう

それは、AMF効果を有した紐だった

フェイトはそれを、まるで踊るように機動しながらザンバーで切り捨てていく

そして間合いに入るとフェイトは、二刀をスカリエッティに振り下ろした

スカリエッティはそれを、両手で受け止めて

 

「ああ、やはり素晴らしい……この力、欲しかったなぁ! だがここで、その力を使ったからには君は、ゆりかごには向かえない! 私の悲願は止まらんよ!」

 

と言った

実はスカリエッティは、ディエチ以外の全戦闘機人達の子宮に、自身のクローンを入れていたのだ

そのクローンには、人造魔導師計画の技術を用いており、一ヶ月もすれば産まれ、更にはスカリエッティと同じ記憶と思考が約半年もすれば目覚めるようにされていたのだ

つまりは、誰も逃がしてはならないのだ

そして残る戦闘機人は、このアジトに居るウーノと、ゆりかごに居るクアットロだけ

だがウーノは、少し前にシャッハと一緒に来ていた監査官

ヴェロッサ・アコーズに捕縛されていた

つまり、後はクアットロのみ

そしてフェイトは、一度スカリエッティから距離を取るとザンバーを一度大剣形状にして

 

「はあぁぁぁぁぁ!!」

 

と雄叫びを上げながら、スカリエッティを横殴りにして壁に叩き付けた

そして、倒れたスカリエッティに近付くと

 

「ジェイル・スカリエッティ……貴方を、逮捕します」

 

と宣告した


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