魔法少女リリカルなのは 集う英雄達    作:京勇樹

78 / 220
短いです
ごめんなさい


悲しき再会

数分後、なのはは広い空間に出た

その最奥には、巨大なイスに座る一人の少女が居た

俯いてはいるが、なのはが間違える訳がない

 

「ヴィヴィオ!!」

 

なのはが叫ぶように呼ぶと、ヴィヴィオは顔を上げた

その顔はまるで、何かを堪えてるようだった

なのはが一歩前に出た時、そのヴィヴィオの座るイスの横に人影が現れた

眼鏡を掛けた戦闘機人

クアットロだ

それを見た瞬間、なのはは誘導弾を発射した

だがなのはが撃った誘導弾は、全てクアットロをすり抜けた

 

(ディエチちゃんが言ってた、御得意の幻影か……)

 

だがそれは、なのはには予想出来ていたことだった

それは、ディエチから聞いていたクアットロの性格だった

クアットロの性格は、要約すれば人でなしだと

それも、安全な場所から人が苦しむ様を見て喜ぶ類いの人でなしだと

そして、今の時点で安全な場所はどこか

それは、突入してるのが二人しか居ないゆりかごに他なない

そして何より、今の幻影

ディエチからの話では、幻影を出すのには制限が有るという

その制限が、クアットロを中心にした半径500m以内だと

500mとなるとかなり広く、ゆりかごの外にも出る

しかし、クアットロの性格を考えるとゆりかごの中に居るとしか思えなかった

だからなのはは確信した

クアットロは、ゆりかご内部に居ると

すると、クアットロが

 

「あらあらぁ。いきなり攻撃だなんて、随分と野蛮ですねぇ」

 

と人を小馬鹿にしたように笑いながら言った

それに対して、なのはは

 

「自分だけ安全な場所に隠れて、高見の見物してる人に言われたくないかな」

 

と、返した

するとクアットロは、酷薄な笑みを浮かべて

 

「どうせ人なんて、雨後の筍みたいに増えるんだから、どうなったって、私の知ったことではないわねぇ」

 

と言った

それを聞いて、なのはは改めて確信した

 

(この女だけは、今この時に捕まえないといけない)

 

そして

 

(でなければ、何を仕出かすか分からない!)

 

と思った

するとクアットロは、ヴィヴィオの耳元に口を寄せて

 

「さあ、陛下……貴女のお母さんを奪った敵が来ましたわよ」

 

と言った

その直後

 

「うあぁぁぁぁぁぁ!?」

 

とヴィヴィオが叫んだ

それは、痛みから来る絶叫だった

 

「ヴィヴィオ!?」

 

「助けて! 助けて、ママぁぁぁぁぁ!!」

 

なのはの呼び掛けに、ヴィヴィオが泣きながらそう言った

その直後、光の柱が立ち上った

それは、覚醒されたヴィヴィオの魔力柱だった

その魔力柱は数秒後に消えたが、そこには姿が変わったヴィヴィオが居た

その見た目は、スバルやティアナと同い年位だろうか

長い金色の髪はサイドポニーテールにされ、その身には黒を基調色にしたバリアジャケットを纏っていた

その姿はまるで、嘗て絵で見た聖王

オリヴィエ・ゼーゲブレヒトによく似ていた

 

「ヴィヴィオ……」

 

「返して……」

 

なのはが呼び掛けると、ヴィヴィオは涙を浮かべてそう呟いた

そして

 

「ヴィヴィオのママを、返してよぉぉぉ!?」

 

と叫ぶと、なのはに突撃してきた

そして、悲しき親子の戦いが始まった


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。