魔法少女リリカルなのは 集う英雄達    作:京勇樹

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突入戦闘

「次!」

 

なのはそう言いながら、ゆりかごの中を飛んでいた

当麻が反射と戦っている時に、空戦魔導師部隊がゆりかごに入れる場所を発見

はやての指示でヴィータと一緒に突入した

しかし、戦略目標だったエンジンルーム

そして、ヴィヴィオが居ると予想された玉座の間

その位置が、まったくの真逆だったのだ

玉座の間がゆりかご上部に対して、エンジンルームがゆりかご下部

だからなのはとヴィータは、戦力分散という愚を犯して別行動を開始

勿論ゆりかご内部には、ガジェットとドールが大量に居た

しかし、今更その程度の敵に止まるなのはではなかった

なのはは道中に現れるガジェットとドールを、次々と撃破

躍進劇を続ける

勿論、すぐにヴィヴィオを奪還出来るとは思っていない

だからなのはは、入った時点と進みながらあることを行った

それが実るのが早いか遅いのかは、なのはには分からない

だが、早ければ早いほど良い

 

(お願い、早く見つけて)

 

なのははそう祈りながら、通路を進んでいた

その直後

 

「ブラスターシステム、起動!」

 

と叫んだ

それは、なのはの勘からだった

だが、そのなのはの勘は正解だった

なのはは曲がり角を曲がった直後だったが、長い通路の先

そこに、火砲を抱えたドールが一機居た

しかもその火砲は、既にエネルギーが臨界

何時でも発射出来る状態だった

予測される威力から、普通だったらいくらなのはとは言えども迎撃は不可能

だが、それを可能にするのがブラスターシステムだった

本来だったら、10秒は掛かるチャージを一瞬にして完了

抜き打ちで、砲撃を放った

その砲撃は、ドールの放った砲撃と空中で激突

一瞬の抵抗の後、なのはの砲撃がドールの砲撃を飲み込んだ

結果、なのはの砲撃はドールを撃破した

ドールを撃破したことを確認すると、なのはは移動を開始した

すると

 

《主、大丈夫ですか?》

 

とレイジングハートがなのはに問い掛けた

 

「大丈夫だよ、レイジングハート」

 

となのはは言うが、レイジングハートを持っているのとは逆の手からは出血していた

その原因が、使用したブラスターシステムだった

ブラスターシステム

その概要は簡単に言えば、加速装置だろう

魔力の流れる密度と早さを桁外れに上げるのだ

もちろん、副作用もある

体に掛かる負担が大きいのだ

今とて、たった一撃撃っただけで左手の血管が破裂

出血している

長時間使えばどうなるのかは、なのはにも分からない

 

「今は、玉座の間に向かう!」

 

なのははそう言うと、再び進み始めた

そこに居るだろう、娘

ヴィヴィオを助けるために

場所は変わり、ゆりかご下部

ヴィータは一人、道中のガジェットやドールを叩き潰していた

元々入った場所が、少し下寄りだったのでヴィータのほうがエンジンルーム間近まで来ていた

そしてヴィータは、一機のガジェットを破壊した所で足を止めた

そしてポケットの中から、予備のカートリッジを取り出した

その数を確認すると

 

「うし、まだまだあるな」

 

と頷いた

その直後、グラーフ・アイゼンを後ろに振るった

すると、何も無かった筈の場所で何かが砕けた

そして見えたのは、下半身と上半身に別れたドールだった

 

「残念だったな、その機能のことは冬也から聞いてたんだよ」

 

ヴィータはそう言うと、鉄球を幾つか精製

そして、叩き飛ばした

別に、狙った訳ではない

放たれた鉄球は、次々と床や壁に命中

破片を激しく飛ばした

これは、葉加瀬が言っていたことだが

 

『こういった光学迷彩は、多少のダメージで直ぐに効果を失います。ですから、何でも良いですからダメージを与えてください』

 

とのことだった

ヴィータはそれを実行したのだ

すると、破片が当たったからだろう

次々と、ガジェットやドールが姿を現した

だがヴィータは、その中からあるガジェットに嫌でも視線が集中した

それはまるで、カマキリを彷彿させる形状のガジェットだった

そのガジェットは過去に、なのはに重傷を負わせたのと瓜二つだった

 

「はは……」

 

それを見たヴィータは、気付けば短く笑っていた

次の瞬間、そのガジェットにヴィータは肉薄

振り下ろしたグラーフ・アイゼンで、叩き割った

潰したのではなく、割っていた

ヴィータの振るった速度が早かったが故に、そうなっていた

そしてヴィータは、また笑うと

 

「アタシの前に出てきてくれて、ありがとうよ……」

 

と言って、もう一機のガジェットにグラーフ・アイゼンを振るった

その一撃を受けたガジェットは、まるで砲弾のように吹き飛んで別のドールに直撃

そのドールや周囲に居たガジェットを巻き込んで、爆発した

そしてヴィータは、獰猛な笑みを浮かべ

 

「おかげでテメェらを……遠慮なくぶっ壊せるんだからなぁぁぁぁぁぁ!!」

 

と叫びながら、更にグラーフ・アイゼンを振るった

その時のガジェットは、ヴィータが破壊した

だがそれでも、沸き上がる怒りが抑えられなかった

だからヴィータは、その怒りを利用した

怒りに飲まれるな

感情を制御し、力に変えてこそ一流

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

その怒りをグラーフ・アイゼンに込めて、ガジェットやドールを破壊するのだった


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