魔法少女リリカルなのは 集う英雄達    作:京勇樹

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少し短いですが、投稿


音対雷

「くっ!?」

 

「攻撃が見えないというのは、厄介でござるな!?」

 

音の攻撃を回避した古は渋面を浮かべ、楓はそう言いながらビルの壁を蹴った

音の攻撃は基本、シングルアクションで発動する

しかも、目に見えないために大きく回避行動を取るしかなかった

そして攻撃だけでなく、防御も見えない

だから、何処に隙があるか分からなかった

実際、古や楓。刹那も攻めあぐねていた

どうも小さな音すら自身の力にしているらしく、楓達の地面を踏み込んだ音や衣擦れの音すら使っていた

如何に戦闘力の高い古達とはいえ、そのような相手は初めてだった

その時だった

 

「まったく……何を手こずっているんだい?」

 

と声が聞こえた

その直後、真上から巨大な石柱が落ちてきた

それに気付いた音は、バックステップで回避した

 

「この石柱って……」

 

「冥府の石柱!?」

 

その石柱を見た明日菜とネギは、空を見上げた

そこに見えたのは、白髪に制服を着た少年だった

 

「フェイト!」

 

その少年の名前は、フェイト・アーウェルンクス

かつては敵だった少年である

少年とは言ったが、その正体は人ではない

創造主

始まりの魔法使いと呼ばれていた魔法使いによって、造り出された使徒だった

今は同じ目的のために行動している、同志である

そんなフェイトは、冷ややかに

 

「まったく……ネギは何をしているんだい?」

 

と言いながら、更に黒い剣を大量に作り出して音に対して発動した

音はそれを防いだり回避したりしていた

 

「相手が音なら、音より早く動けばいい」

 

フェイトの指摘に、ネギは即座に動いた

 

「両腕解放、千の雷。装填、掌握!」

 

それは、ネギの切り札

雷天双荘だった

相手は音

つまり、音の速度は越えられない

だが、雷天双荘は光の速度

音速は、光速には敵わない

雷天双荘を発動したネギは、一瞬にして音の背後に回り込んだ

そして、脇腹に肘打ちを叩き込んだ

その一撃は、音と交戦を開始して初めての直撃だった

その一撃を受けて、音は大きく弾き飛ばされた

しかし音は、飛ばされながらも技の発動態勢に入っていた

大きく息を吸い込み、そして口を開けた

その直後、それは放たれた

それは、不可視の攻撃

だがその威力は、凶悪だった

音からネギに向かい、破壊の音波が向かう

それに触れた物は、全て塵に帰る

ネギは一瞬回避しようとしたが、背後には古達が居た

相手の音波攻撃の範囲が分かりづらく、ネギは回避出来るかもしれないが、古達は回避出来るか分からない

そうやって僅かに迷っていた時、突如砂が舞った

それは、フェイトの魔法だった

フェイトは地のアーウェルンクスと呼ばれていて、地属性を得意としている

それにより、砂や石に関する魔法を使う

その砂により、音波攻撃の軌道と範囲が見えた

その直後、ネギの前に明日菜が踏み込み

 

「無極耐・太極斬!」

 

とその技を発動した

見た目は、大剣を乱雑に振っているだけに見える

だがその斬撃により、明日菜の魔法無力化能力を集中展開させているのだ

そして明日菜のその技により、音波攻撃は掻き消された

その瞬間を突いて、音は離脱しようとしていた

だが、砂によりほんの僅かだが、ネギを見失っていた

その直後

 

「桜花崩拳!」

 

ネギの全力魔法拳撃が、音に放たれた

その一撃は完全に不意打ちであり、音の防御は間に合わなかった

ネギの拳撃は直撃し、音は路面に叩叩き付けられた

その威力は凄まじく、ネギと音を中心に半径4m程のクレーターが出来た

音は魔力を腹部に集中させて、その拳撃に耐えていた

しかしネギは

 

「あああぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

と雄叫びを上げながら、更に魔力を流し込んだ

その数秒後、爆発が起きた

 

「ネギぃ!」

 

と明日菜が心配そうに、ネギの名前を呼んだ

それから少しして、爆煙の中からネギが姿を見せた

 

「ネギ……」

 

それを見て、明日菜は安心したらしく胸を撫で下ろした

 


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