魔法少女リリカルなのは 集う英雄達    作:京勇樹

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VS戦闘機人戦

「状況は最悪一歩手前……ってところかしらね」

 

《ですが、勝てます》

 

と言ったのは、ティアナとその相棒のクロスミラージュである

ティアナが居るのは、廃棄都市区画のあるビルの中だ

当初はそのビルから出ようとしたが、そのビル全体を覆う結界によって叶わなかった

しかも内部には戦闘機人が三名居た

相手の呼称から、ノーヴェ、ウェンディ、ディードと判明している

その三名の連携技量は高かったが、ティアナは善戦

しかし、一瞬の油断を突かれて足を負傷した

だが、勝つための道筋がティアナには見えていた

足の怪我から、チャンスは一度

しかも、タイミングは非常にシビアだ

だが、何故かティアナには出来るという思いがあった

それは恐らく、なのはとの特訓

更に、冬也が教えた魔法

その双方があるからだろう

 

「……さて、往くわよ。クロスミラージュ」

 

《了解》

 

深呼吸した後にティアナは立ち上がりながらそう言って、クロスミラージュも返答した

そしてある通路に出ると、三名が挟むような布陣で現れた

 

「ようやく見つけたぞ、幻術使い!」

 

「アタシ達の勝ちは確定的っすよ!」

 

赤い髪の二人

ノーヴェとウェンディはそう言い、長い茶髪に光剣二刀流の使い手

ディードは無言で構えた

その布陣は、少し前にティアナが足を負傷する理由になった布陣だった

確かに、その布陣は完璧とも言える

しかし、ほんの僅かな隙があった

それは、戦ったティアナだから分かった隙だった

その時だった

ビルを覆っていた魔力障壁

それが、消えたのである

 

「なっ!?」

 

「まさか、オットーが!?」

 

ノーヴェとウェンディは驚愕の声を上げ、ディードは目を見開いた

実はほぼ同時刻に、シャマルとザフィーラの二人がある廃ビルの屋上で地上に出ている戦闘機人の戦況把握と支援をしていたオットーが捕縛されていたのだ

そのオットーが捕まったことにより、ティアナが居たビルを覆っていた魔力障壁が消えたのだ

それにより、ノーヴェ、ウェンディ、ディードの三人は酷く動揺したのだ

その隙を突こうか、ともティアナは思ったが、三人は直ぐに

 

「こいつをぶっ飛ばして、オットーを助ける!」

 

「そうっすね!」

 

「つっ!」

 

とティアナに視線を戻した

それを見たティアナは

 

(当初の予定通りにやるしかないわね)

 

と思考を戻した

そして、そのタイミングを待った

それに併せて、緊張感が高まっていく

その時が来たのは、少しした時だった

合図になったのは、崩れ落ちた瓦礫だった

それが落ちて音を立てた瞬間、三人が動いた

その直後

 

「今!」

 

とティアナが、待機状態にしていた魔力弾を二発発射した

一発は、前方から迫るノーヴェの進行上の床に直撃し、穴を空けた

もう一発は、ウェンディが持っていた複合武装

ライディング・ボード

それの銃口に直撃

発射しようとしていた為に、貯まっていたエネルギーと相まって爆発

ウェンディはその勢いで壁にぶつかり、意識を喪失

ディードはそれに構わず、突撃してきた

そこにティアナは、右手のクロスミラージュを大出力モードに移行させて至近距離でディードに砲撃

ディードはその威力で意識を失ったのか、両手の光剣が手から離れて地面に落ち、床に倒れた

 

「ウェンディ! ディード!」

 

まさか倒されると思っていなかったノーヴェは、二人の名前を呼んだ

しかし、二人はピクリとも動かない

それにノーヴェが歯噛みしていると、ティアナが

 

「投降しなさい。もう、勝負は付いたわ」

 

と勧告した

するとノーヴェは

 

「今さら投降出来るか! それに、あたしらは兵器だ! 兵器が人間社会で生きられるわけねーだろ!」

 

と叫んだ

この時二人は気付いていなかったが、ディードの腕が動いていた

ディードは近くにあった光剣まで、少しずつ腕を動かしていた

そしてティアナは、その言葉を言ったノーヴェに反論しようとした

その時、ディードが光剣を掴み、一気に立ち上がってティアナ目掛けて振りかぶった

ティアナも気付いたが、防御が間に合わないと直感した

その時だった

 

「姉ちゃん! 頭下げぇや!」

 

と少年の声が聞こえた

それを聞いたティアナは、反射的に従い頭を下げた

 

「疾空黒狼牙!」

 

その直後、ティアナの頭上を越えて黒い影が走った

その影がディードに直撃し、ディードは倒れた

その光景が予想外だったのか、ノーヴェは固まっていた

それを見ていたティアナは、魔力刃を伸ばした

伸ばした魔力刃はノーヴェの顎を掠めるように当たり、ノーヴェは膝を突いた

その直後に、ティアナは穴を飛び越えた

そして、ノーヴェの首もとに戻した魔力刃を突き付けて

 

「例え兵器として産まれたって、人として生きていけるわよ……」

 

と言った

この時ティアナの脳内には、スバルとギンガが思い出されていた

それを聞いたノーヴェは、投降した

念のために両手を拘束し、ティアナはさっき声が聞こえた方向を見た

その先から現れたのは、一人の少年だった

その少年の見た目年齢は、大体ネギと同じ位だろう

だがその少年は学生服を着ていて、頭には犬耳が生えていた

しかもよく見れば、犬の尻尾もあった

 

「先程は、協力感謝します。貴方は?」

 

とティアナが問い掛けると、少年は尻尾を揺らしながら

 

「俺か? 俺は犬上小太郎や」

 

と名乗った

 


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