魔法少女リリカルなのは 集う英雄達    作:京勇樹

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少し中途半端ですが、投稿


能力

ミッド各地でフォワード陣が接敵している頃、フェイトは聖王教会騎士団所属のシスター・シャッハと一緒にスカリエッティのアジトに乗り込んでいた

中に入ると、広大な廊下に出た

その廊下の両側には大量のポッドが設置されており、その中には様々な遺体が浮かんでいた

 

「これは……」

 

「スカリエッティの実験で犠牲になった人達です」

 

シャッハの言葉にフェイトがそう返した時、動きがあった

まず、天井の一部が崩落し、そこからガジェットⅢ型が出現

それに気付いた二人は散開しようとしたが、シャッハの足を床から生えた手が掴んだ

その直後、シャッハはヴィンデルシャフトを構えて

 

「はあっ!!」

 

と気合いと共に、床に一撃叩き込んだ

その一撃で床が崩れて、シャッハと相手たる戦闘機人

セインは一階下に落ち、その穴はガジェットで塞がれた

 

《シスターシャッハ! 無事ですか!?》

 

《大丈夫、軽傷です。目の前の戦闘機人を捕縛したら、すぐに向かいます》

 

フェイトが念話で呼び掛けると、シャッハはそう返した

崩落した瓦礫が頭に当たり、少し出血してる

だが、まだ戦えるようだ

そんなシャッハの前には、座り込んでいるセインの姿があった

どうやら、床を打ち抜くとは予想してなかったらしい

驚いた表情を浮かべている

 

《わかりました。御武運を》

 

フェイトはそう言うと、バルディッシュを構えた

フェイトの前には、あの時に相対した二人の戦闘機人

ドゥーエとセッテが居た

その二人は既に構えており、何時でも戦闘可能という状態だった

その時だった

コツコツという足音が響き、通路の奥から人影が現れた

白衣を着た長い紫色の髮が特徴の男

此度の事件の主犯の一人

ジェイル・スカリエッティだった

 

「スカリエッティ!」

 

「やあ、フェイト・テスタロッサ・ハラオウン執務官殿」

 

フェイトが怒りの籠った声で呼ぶと、スカリエッティは恭しく一礼した

もう一人の主犯

ロンドの姿は無い

今、外で冬也と交戦している筈である

このアジトに入る少し前に、冬也はある方向を見て

 

『俺は、あっちに向かう』

 

と言って、離脱した

その後のシャーリーからの報告で、冬也はオーバーS級複数と交戦を始めたと聞いた

推定では、一人はロンドだろうと

複数と交戦開始したと聞いて、フェイトは冬也が心配になった

だが、突入するに当たり意識を切り換えた

自分とて、敵地に入るのだ

他人の心配をして、失敗をする訳にはいかない。と

そして、因縁の相手たるスカリエッティと邂逅した

フェイトの母親

プレシア・テスタロッサに、人造魔導師計画

プロジェクト・FATEを教えた張本人と

 

「こうして会うのは、初めてかな? 私が、ジェイル・スカリエッティだ」

 

「時空管理局執務官、フェイト・T・ハラオウンだ。S級次元犯罪者、ジェイル・スカリエッティ……貴方を逮捕します」

 

スカリエッティが名乗ると、フェイトはそう告げてバルディッシュを突き付けた

しかし、スカリエッティは落ち着いた様子で

 

「フェイト・テスタロッサ……プレシア・テスタロッサの実子、アリシア・テスタロッサのクローン……プロジェクト・FATEの数少ない成功例……」

 

と語りだした

 

「しかも、まだ技術と理論が未熟だった10年前の成功例……しかし、プレシア・テスタロッサにとっては失敗だった……だからアリシアの名前ではなく、計画の名前……フェイトという名前を与えられた」

 

その内容を聞いて、フェイトは怒りがこみ上げてくるのを自覚した

それにより、バルディッシュを握る手に力が篭る

だがゆっくりと深呼吸して、何とか落ち着くように努めた

怒りで行動するのではなく、常に冷静に

そう意識して、目を開いた

その時、凄まじい轟音が響き渡ると同時に天井が崩落

条件反射で後退し構えたフェイトは、驚愕した

なぜならば、崩落してきた瓦礫の上に全身を真っ赤に染めた冬也が倒れていたからだ

 

「冬也さん!?」

 

フェイトが呼び掛けたタイミングで、天井の穴から新たに一人現れた

ロンドだった

 

「ああ、ロンドか……かなりやったようだね?」

 

「こちらより、自分のことを気にしたらどうだ? かなり入り込まれてるようだが?」

 

ロンドがそう言うと、スカリエッティは肩をすくめて

 

「確かに、予想より早くここまで入り込まれたね……だが、想定の範囲内さ」

 

と返答した

スカリエッティのその言葉に、ロンドはスカリエッティを睨んだ

そのタイミングで、冬也が一気に起き上がってロンドに刀を突き出した

だがその一撃を、ロンドは軽く回避

その直後、冬也の頭が弾けた

理由は、ロンドが片手で発動させた魔法だった

 

「冬也さん!!」

 

その光景に、フェイトは声を張り上げた

その瞬間、驚くべきことが起きた

弾け飛んだ冬也の頭が、あっという間に治ったのである

その光景を見て、フェイトは気付いた

冬也が出した六人のデータ

しかし、冬也のデータはなかった

だったら、冬也の能力はなんなのか

その光景から、フェイトは分かった

 

「高速再生……っ!」

 

それも、本来は即死級のダメージからも再生出来るほど

それが、傲慢という名前の由来だったのだ

 

「クハハハハ……相変わらずの回復力だな、傲慢」

 

「……」

 

ロンドが話し掛けたが、冬也は無言で刀を繰り出した

その時、フェイトは気付いた

冬也の目に、意思が感じられないのを

 

「それに、ゲシュペンストか……再生ごり押しの被弾無視攻撃……兵器なのを思い出したか!」

 

それを聞いて、フェイトは瞠目した

ゲシュペンスト

命を無視という意味のドイツ語

それは、冬也が兵器として運用されていた名残だった

 


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