魔法少女リリカルなのは 集う英雄達    作:京勇樹

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決戦 邂逅

「マズイ……皆とはぐれた……しかも……」

 

スバルは冷や汗を流しながら、目の前に佇む敵を見た

目の前に居るのは、筋骨隆々の長い黒髪の男

鋼だった

はっきり言って、格闘の腕は鋼の方が遥かに上だ

はっきり言って、勝ち目はほぼ0だ

だが、諦めてたまるか

そう意気込み、構えた

その時

 

《スバル、聞こえる? スバル!》

 

とティアナから念話がきた

 

《ティア! 無事!?》

 

《なんとかね……ただ、状況は最悪……廃ビルに居るんだけど、相手は戦闘機人が三人……しかも、結界で廃ビルに閉じ込められたわ》

 

スバルが問い掛けると、ティアナが報告してきた

どうやら、ティアナもかなりピンチらしい

 

《そっちもかぁ……私も、目の前に鋼が居る》

 

《そっちも最悪ね……けど、切り抜けるわよ》

 

《うん!》

 

スバルはティアナとの念話を終わらせると、拳を強く握り締めた

場所は変わり、少し離れた廃都市区画ではキャロとエリオの二人がルーテシアと交戦状態に入っていた

 

「ルーちゃん!」

 

「ルーテシア! こんなことはもう辞めて!」

 

二人が必死に語りかけるが、ルーテシアは無視

魔力弾を撃ってきた

それを、キャロはビットを使って防いだ

すると今度は、エリオが肩のスラスターを使って高く跳び

 

「せあっ!」

 

気合い一閃

上空から襲いかかってきたガリューの一撃を、ストラーダを振って弾いた

 

「ガリューっ!」

 

「…………」

 

エリオはガリューの名前を呼ぶが、ガリューは静かに構えた

それを見て、エリオは近くのビルの屋上に着地すると同時に構えた

再び場所は変わり、市街地

そこでは、武と冥夜の二人が大量のガジェットとドールを相手に激戦を繰り広げていた

武は右手に長刀を持ち、左手に複合突撃砲

冥夜も同じように武装を持って戦っていた

 

「武!」

 

「任せるっ!」

 

二人の会話は非常に短く、他の人が聞いても要領を得ないだろう

しかし、共に戦場を駆けてきた二人には充分だった

この世界だけでなく、本の世界でも二人は背中を預けあって戦っていた

言うなれば、阿吽の呼吸

武が冥夜の背後のドールを蜂の巣にしたら、今度は冥夜が武の上に居たガジェットを切り捨てた

互いの死角を知り尽くしているからこその、無言の連携

それを駆使して、二人はたった二人でガジェットとドール群を圧倒していた

そして二人でガジェットⅢ型を撃破した時、それまで怒涛のように押し寄せてきていたガジェットとドールの波が止まった

気付けば、周囲にも機影は残っていない

それを不思議に思っていると、少し離れた場所

十字路の中心に影が広がり、まるで水中から上がってくるように影が現れた

 

「影か……」

 

「武……」

 

恐らくだが、影が影を使った 転移魔法(ゲート)で残っていたガジェット・ドール群を別の場所に飛ばしたのだろう

そして、二人を倒すために姿を現した

といった所だろう

言うまでもなく、影は強敵だ

幾ら二人の連携が高いとは言え、勝てる見込みはかなり低い

だが、諦めない

 

死力を尽くして任務に当たれ

生有る限り最善を尽くせ

決して犬死にするな

 

二人の世界で所属していた隊の隊訓である

生きる為に最善を尽くし、もし倒れる時は後の仲間の為に手掛かりを残す

 

「冥夜、背中は任せるぞ」

 

「ああ、任せろ。武……」

 

短い会話を合図に、二人は影目掛けて突撃した

三度場所は変わり、ゆりかご付近の空域

そこでは、激戦が繰り広げられていた

ゆりかごから次々と出撃してくるガジェットとドールの大軍を相手に管理局精鋭と名高き空戦魔導師隊が次々と撃破していた

しかし、中にはガジェットかドールの攻撃を受けて落ちていく魔導師も居た

だが、彼らは諦めていなかった

何故ならば、その戦力の中に管理局でも最高峰と呼ばれるなのは達の姿が有ったからだ

位置を特定したガジェットとドールの出撃孔を、なのはやヴィータが自慢の魔法で破壊

更に、纏まっている大軍ははやてが広域空間魔法で空間を抉るように消し飛ばす

しかも、はやては空戦魔導師隊に指事も出していた

これは、ラダビノット中将の指事だった

今現在、スカリエッティ達を熟知しているのは他ならぬ六課だ

現場指揮をはやてに任せ、ラダビノット中将は他の管理世界の管理局員を随時呼び寄せては、部隊を臨時編制し出撃させていた

それが甲を奏し、一部では押し返してすらいる

そこから士気が向上し、徐々に空戦隊に合流してきている

 

「皆、気張ってや! ゆりかごに突入するルートを見付けるまでの辛抱や!」

 

「はっ!」

 

「必ずや、見つけてみせます!」

 

はやての鼓舞に、空戦魔導師達は気合いを入れて返答した

その時、はやては背筋に悪寒が走ったのを感じた

そんなはやては、直感に従ってある方向を見た

その先に居たのは、反射と呼ばれる女性だった

反射はゆっくりと、はやてに近づいてきた

それに気付いたのか、二人の空戦魔導師がはやての前に陣取り

 

「八神二佐、下がってください!」

 

「こいつは、ここで!」

 

とはやてが制止する間もなく、反射に攻撃した

二人が発射した魔力弾が反射に当たった途端、魔力弾は正に反射して二人に直撃

二人は墜落していった

それを見て、はやては歯噛みしてから

 

「当麻君、出番や!」

 

と当麻の名前を呼んだ

その直後、反射の背後に当麻が現れて

 

「っらあ!」

 

と右手を叩き込んだ

その一撃は反射されずに、反射の腹部にめり込んだ

その一撃を受けて、反射は体勢を大きく崩して落下した

だが、反射は直ぐに体勢を立て直すと当麻の前で止まった

すると当麻は、反射を睨んで

 

「お前の相手は、俺だ!」

 

と啖呵を切った

こうして、戦闘は激化していく


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