魔法少女リリカルなのは 集う英雄達    作:京勇樹

59 / 220
強い決意

解放(エーミツタム)! 魔法の射手(サギタ・マギカ)! 光の千一矢(セリエス・ルーキス)!」

 

ネギが放った夥しい数の矢は、まるで絨毯爆撃の如き威力を発揮して、ガジェットやドールを次々と吹き飛ばした

 

「いい加減に、品切れになれってんだ!」

 

「ボヤくな、武! 我々が抜かれたら、被害が大きくなるぞ!」

 

武は愚痴りながら、一体のドールを蜂の巣にして、冥夜は諫めながら、長刀でガジェットを切り裂いた

 

その横では、明日菜が大剣を振り回して、数体纏めて斬り捨てた

 

だがそれでもなお、膨大な数のドールやガジェットが殺到してくる

 

戦術機部隊も陣形を組んで砲撃しているが、数の差が激しく、徐々に後退を余儀なくされていた

 

長くは保たない

 

ネギ達はそう予測しながらも、少しでも長く時間を稼ごうと奮戦していた

 

だが突如として、ガジェットやドールが動きを変えた

 

今まで破竹の勢いで侵攻してきたというのに、ガジェットやドール達が侵攻を停止

 

反転し、空高くへと舞い上がっていった

 

「なんだ……?」

 

「攻撃を止めた……?」

 

「どうして……?」

 

ネギ達が困惑していると、空に大きなスクリーンが表示された

 

そこに映っているのは、紫髪の男だった

 

「あいつは、確か……」

 

「ジェイル・スカリエッティ……!」

 

そう。その紫髪の男こそが、機動六課が追っているスカリエッティだった

 

『やあ、時空管理局の諸君! 今回の祭はどうだったかね? 今回のは、今まで淘汰された科学者達の恨みの一撃だと思ってくれたまえ』

 

スカリエッティはどこか愉悦が混じった表情でそう言うと、両手を広げて

 

『もし、今回私が動かした力が欲しいという方々が居るのなら、格安でお譲りしよう!』

 

と言うと、狂ったように笑い出した

 

それを聞いて、ネギ達は察した

 

スカリエッティは、目的を達したのだと

 

なおその放送は、地上本部でも聞こえていた

 

ほとんどの高官達が呆然とするなか、レジアスは目を見開き、ラダビノットは矢継ぎ早に指示を出していた

 

だが、はやては悔しそうに拳で机を叩いて

 

「まだや……まだ、終わってへん……!」

 

と画面の向こうで高笑いしているスカリエッティを睨んだ

 

「まだ、六課は終わってへんよ……!」

 

それは、強い決意が籠もった言葉だった

 

フェイトやキャロからの報告で、六課隊舎は壊滅し、残っていた者達もほとんど重傷だと聞いた

 

遊撃していたヴィータとリインも、接敵し交戦したゼストという男の攻撃で、アイゼンは破損し、リインは意識を失った

 

陸士108から出向してきたギンガとマックス、スバルの三人も重傷を負ったことは聞いた

 

だが、それがどうした?

 

隊舎が壊滅したのならば、代わりを見つければいい

 

隊員達も生きてるなら、治療すれば立ち上がれる

 

壊れたデバイスは、直せばいい

 

大事なのは、諦めずに立ち上がることだ

 

諦めたら、全てそこで終わる

 

だから、痛くとも、みっともなくとも、諦めずに立ち上がって、最後の最後まで戦おう

 

絶望しそうな事など、今まで何回もあった

 

諦めそうなことだって、何回もあった

 

だが、全員は諦めずに、絶望もしないで立ち上がってきた

 

守るために

 

己の維持(エゴ)を貫き通すために

 

何度も何度も立ち上がり、魔法を、刃を、拳を、血に塗れても振るい続けた

 

それがまた、一回増えるだけ

 

誰も諦めていない

 

誰も絶望していない

 

だから、また立ち上がれる

 

はやてはそう確信していた

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。