魔法少女リリカルなのは 集う英雄達    作:京勇樹

55 / 220
六課、陥落

なのは達が地上本部付近で戦っていた時、六課隊舎は所々で火災が起きていた

 

「ディエチ、どうなっている! こちらに敵戦力が来るとは聞いていないぞ!」

 

冬也が一体のドールを斬り捨ててから怒鳴るように問い掛けると、ディエチは火砲を放って数体纏めて吹き飛ばして

 

「ここを襲撃するなんて、私は知らなかった!」

 

と冬也の言葉に反論した

 

ディエチの言葉を聞いて、冬也は唇を噛むと

 

(ガジェットやドール程度ならば、大した手間ではない……だが、あいつらは厄介だ!)

 

と視線を上に向けた

 

そこに居たのは、鋼拳、反射、音と呼称することになった三人の姿があった

 

当初、フェイトが「名前呼びでもいいのでは?」と言ったが、冬也が「あいつらは既に死んでいる。それなのに、死んだ奴の名前で呼ぶのはあいつらへの侮辱になる」と言ったので、能力名を呼ぶことにした

 

そして、目の前の三人の他に、戦闘機人二人が居た

 

その二人を見て、ディエチが

 

「オットーにディード!? 目覚めたなんて……」

 

と驚いていた

 

「どういうことだ?」

 

冬也が問い掛けると、ディエチは少し驚いた様子で

 

「あの二人は、私が居た時はまだ、調整中で目覚めてなかった……」

 

と説明した

 

「能力は分かるか?」

 

冬也が問い掛けると、ディエチは首を振って

 

「ごめん……よく知らないんだ」

 

と答えた

 

すると、二人の背後から

 

「あの長髪の子は近接戦闘型、あの短髪の子は遠距離型みたいね」

 

「……私達で戦った所感だがな」

 

と声が聞こえた

 

「シャマル、ザフィーラ!」

 

「二人共、大丈夫!?」

 

冬也とディエチが問い掛けると、シャマルとザフィーラの二人は頷きながら

 

「なんとか……大丈夫よ……」

 

「うむ……」

 

と答えたが、二人は全身傷だらけだった

 

どうやら、戦闘機人二名と戦ったらしい

 

そのタイミングで、冬也の前に通信画面が開き

 

『冬也隊長、こちらグリフィス! 現在、防衛線を構築している戦術機部隊は、撃震が全滅、陽炎と吹雪が半壊、武御雷、不知火、海神が無事ですが、長くは保ちません!』

 

とグリフィスが報告してきた

 

グリフィスの報告を聞いて、冬也は舌打ちしてから

 

「向こうとはまだ繋がらないのか!?」

 

と怒鳴るように問い掛けた

 

すると、グリフィスは首を振って

 

『ダメです! 向こうでシステムがダウンしたのか、一切繋がりません!』

 

と報告した

 

グリフィスのその報告に、冬也が歯噛みしていると

 

「ディエチ……本当に裏切ったんだね」

 

「まさかとは思いましたが」

 

とオットーとディードが言うと、ディエチが

 

「今ならわかる! ドクターのしようとしてることは、間違ってる! こんなことしなくても、世界で生きていけるよ!」

 

と反論した

 

しかし、二人はディエチの言葉を無視して

 

「私達にとっては、信じられません」

 

「だから、僕達は世界を一回破壊する」

 

二人がそう言うと、ディエチはギリっと歯を鳴らして

 

「このっ……!」

 

と言うと、巨砲を腰だめに構えて

 

「よせ、ディエチ!」

 

「分からず屋ー!」

 

冬也が制止するが、極太の砲撃を放った

 

放たれた砲撃はオットーとディードの二人目掛けて疾走するが、砲撃と二人の間に人影が割って入った

 

割って入ったのは、茶髪の女だった

 

茶髪の女、反射はディエチの放った砲撃に対して、右手を一閃し、ディエチの砲撃に指先が触れた

 

その瞬間、ディエチの砲撃はまるで壁に当たったボールのように、ディエチへと迫った

 

「あっ……」

 

ディエチが自身の死を予想した直後、ディエチの前に冬也が踏み込むように現れた

 

冬也は野太刀形態にした夜叉を腰だめに構えて、左手の親指で鯉口を切ると、腕が霞むような速度で抜刀した

 

「忌剣、風切り!」

 

冬也の斬撃により、ディエチに迫っていた砲撃は真っ二つに斬れた

 

砲撃はそのまま、二人の後ろへと霧散しながら消えた

 

その直後、冬也の目前に大柄な男

 

鋼拳の姿があった

 

冬也は斬撃を放った直後の為に、回避が間に合わず、鋼拳の直撃を腹部に受けた

 

「ガアアアァァァッ!?」

 

その一撃で冬也は数メートル吹き飛び、六課隊舎の壁にめり込んだ

 

「ガフッ!? ……っ!」

 

強制的に息を吐き出されても、冬也はすぐに視線を前に向けた

 

だが、そんな冬也の顔を鋼拳の手のひらが壁へと押さえつけた

 

そして、冬也の限られた視界に見えたのは、右手をまるで弓を引き絞るように引いている鋼拳の姿だった

 

(この構えは、コイツの得意技にして必殺の!)

 

冬也がそう思った直後、鋼拳の拳がまるで、大砲のような音を伴って冬也の胸部に放たれた

 

鋼拳の必殺技

 

破城鎚

 

その一撃は、巨大な城を一撃で粉砕することが可能である

 

そんな一撃を胸部に受けて、冬也はボキボキという嫌な音が聞こえ、口からは鮮血が溢れた

 

それでも冬也は刀を振るおうとしたが、その前に鋼拳の追撃たる蹴りの一撃を頭に受けて、冬也の意識は闇に落ちた

 

この数分後、シャマル、ザフィーラ、ディエチの三人も倒れて、それと同時に地上本部に通信が繋がったのだ

 

そして更にこの数分後に、六課は完全に炎に包まれた

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。