魔法少女リリカルなのは 集う英雄達    作:京勇樹

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邂逅 前編

「私は、時空管理局機動六課のフェイト・T・ハラオウン執務官です」

 

「同じく、高町なのは一等空尉です。」

 

戦っていた4人は、戦闘が終了したのを確認していた

 

「時空管理局? 聞いたこと無いな。ネギ君に、武くんに冥夜嬢はどうだ?」

 

冬也はフェイトが告げた組織の名前が聞いたこと無かったので、3人に問いかけた(少女達は、未だ気絶中。体が冷えていた当麻は武とネギの上着を掛けることで対処済み)

 

「僕は聞いたことないです。御二人はどうですか?」

 

ネギは首を振ると、武と冥夜に聞いた

 

「俺も聞いたこと無いな」

 

「私もだ」

 

武と冥夜も、そろって首を振った

 

「そうですか……それで、えっと……」

 

とフェイトは、冬也を見る

 

フェイトが見ていた理由に、冬也は気付くと

 

「俺の名前は、神代冬也だ。好きに呼んでくれて構わん」

 

「わかりました。では、冬也さんと。で、冬也さん。そんな大怪我してるんですから、戦闘なんてしないでください」

 

とフェイトは、注意する

 

忘れていたかもしれないが、冬也は傍目からすれば大怪我しているのだ

 

「なに。この程度の怪我ならば、慣れている」

 

冬也は、抑揚の欠けた声で告げた

 

「それでもです」

 

冬也はそれを聞くと、フェイトを見ながら

 

「なに。俺の命なんて、安い……っ!」

 

冬也はフェイトの後ろを見て、眼を見開く

 

「? あの、どうし」

 

ました? とフェイトが言おうとした、その時

 

「「フェイトさん(ちゃん)! 後ろ(です)!」」

 

とネギとなのはが、杖を構えながら叫んだ

 

「え?」

 

フェイトが後ろを向くと、1機の人型機が、青い光刃を振り上げていた

 

フェイトは、それを避けようとするが

 

(駄目! 間に合わない!)

 

と、直感でわかってしまった

 

ネギとなのはは、射撃魔法で攻撃しようとするが

 

(僕の位置からじゃ、冬也さんとフェイトさんに当たる!)

 

(抜き撃ちでも、間に合わない!)

 

と、直感でわかってしまう

 

が、反応したのが居た

 

「どけ!」

 

と冬也が、右手でフェイトを右に突き飛ばした

 

その瞬間

 

肉を切り裂く音が響き、血液が噴出した

 

「「冬也(神代)さん!」」

 

ネギとなのはの叫びが重なった

 

フェイトは体勢を立て直しながら見ると、右肩から左下腹部に掛けて切り裂かれている冬也の姿があった

 

「冬也さん!」

 

とフェイトは、駆け寄ろうとするが

 

「このっ!」

 

冬也は左手で持っていた刀で、人型機の胸部を突き刺して、蹴り飛ばした

 

人型機は壁にぶつかり、爆発した

 

そして冬也は、膝を突いて倒れた

 

「冬也さん!」

 

フェイトは倒れた冬也を、慌てて抱き起こす

 

冬也の呼吸は浅く、速かった

 

「こちらスターズ1! 緊急事態です! 対象区域にて、次元漂流者と思われる人たちを発見! されど、1名が重傷! 大至急ヘリの出動を要請します!」

 

なのはは、切羽詰った様子で通信をしている

 

「なんで、こんな無茶を!」

 

フェイトは涙ぐみながら、問いただした

 

「な……に……この…行動が……慣れている……だけでな…」

 

冬也は息も絶え絶えに、応える

 

「え? 慣れてる?」

 

フェイトは冬也の言葉に、眉をひそめた

 

「そ…うだ……」

 

冬也はそこで、眼を閉じた

 

「そんな!?」

 

「「「「冬也(神代)さん(殿)!」」」」

 

冬也が眼を閉じたことに、フェイト、ネギ、武、冥夜の4人は慌てるが

 

<大丈夫ですよ。気絶しただけです>

 

と、女性の声が聞こえた

 

フェイトは声のした方向、冬也の右手を見た

 

そこには、赤い宝石が着いてる黒い腕輪が装着されている

 

「インテリジェントデバイス? 名前は?」

 

<これは失礼しました。私の名前は、夜叉と言います。主、神代冬也の専用デバイスです>

 

「うぉ!? 腕輪が喋った!」

 

「茶々丸さん以上だ……」

 

武は腕輪が喋ったことに驚き、ネギは呆然としている

 

「夜叉だね。それで、気絶しただけっていうのは、本当なの?」

 

<はい、間違いありません。証拠にバイタルも安定してます>

 

とフェイトの前に、データが表示された画面が出現した

 

フェイトはそれを確認すると、安堵の息を吐いた

 

(そういえば。さっき、自分の命は安いって言ってた。どうして……)

 

フェイトは冬也の言っていた言葉が、気になっていた

 

「フェイトちゃん。ヘリ、5,6分で来るって」

 

「わかった」

 

なのはは、フェイトが頷くのを確認すると、振り返って

 

「えっと。君達も、同行をお願いしていいかな? 色々と、お話を聞きたいから」

 

と、聞いた

 

「俺はいいぜ」

 

「私もだ」

 

武と冥夜は了承する。が

 

「えっと、僕もいいですけど。彼女達の保護もお願いしていいですか?」

 

と気絶している、少女達を心配そうに見つめた

 

「うん、いいよ。元々そのつもりだったし。ただ、人数が多いから、狭くなっちゃうけど。いい?」

 

「はい、大丈夫です。それに、僕も飛べますので」

 

とネギは、背中に背負っていた杖を見せた

 

「ありがとう。それと、あの大型の機械は後で別に回収しとくけど、いいかな?」

 

と、なのはが見たのは、大破状態の武御雷だった

 

「はい。お願いします」

 

冥夜は、深々と頭を下げた

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

翌日

 

場所 機動六課隊舎  部隊長執務室

 

はやてが座っている机の上に、画面が出ていて、肩まで伸ばした金髪が特徴の優しそうな女性が映っていた

 

名前は八神シャマルと言い、名前で分かると思うが、はやての家族である

 

しかし、その正体は人間ではなく、はやてが持つ魔導書

 

<夜天の書>の守護騎士プログラムの一人なのである

 

「で、保護した人たちの様子はどうや? シャマル」

 

シャマルはここ、機動六課の医療官を勤めている

 

『えっと、武くんと冥夜ちゃん。それと、ネギくんは至って健康よ。それに、気絶してた子達も意識を取り戻して、元気よ。それと、体を冷やしてた少年もネギくんと、手伝ってくれた娘《こ》のおかげで治ったわ。ただ……』

 

シャマルの表情が、困惑した表情になった

 

「どうしたん?」

 

シャマルがそんな表情になるのが珍しいからか、はやても問いかけた

 

『えっと、驚かないで聞いてね? まず、この子』

 

と、新しい画面が映って、髪が緑色の表情が乏しい少女が映った

 

「この子がどないしたん?」

 

『えっとね、この子。絡操茶々丸《からくりちゃちゃまる》ちゃんね………ロボットなのよ』

 

「…………は?」

 

はやては思わず、眼が点状態になった

 

「いやいやいや、そんなアホな。ロボットって、もっとこう……ゴッツいものやろ? しかも、完全に人間サイズやで?」

 

はやてはどうやら、混乱の極みに達しているようである

『そうなんだけど、開発者の子。あ、その子の名前は葉加瀬聡美《はかせさとみ》ちゃんが証言してくれたの。間違いなくロボットですって』

 

シャマルも戸惑いながら、報告している

 

「………ホンマなんやなー。居るもんやな、天才って……」

 

はやては少し遠くを見ながら、呟いた

 

そして、視線を画面に戻して

 

「それで、もう1つあるんやろ?」

 

と、シャマルを見た

 

『ええ。この人なんだけど………』

 

と新しい画面が出て、映っていたのは冬也だった

 

「ああ。この人が、フェイトちゃんの命の恩人さんやね。この人がどうしたん?」

 

はやてはフェイトから報告を受けていたのか、軽い表情で見ている

 

『えっとね、この人。神代冬也さん、なんだけど……』

 

シャマルは手元の資料を見つめて、暗い表情になった

 

「シャマル?」

 

『この人の体中から、大量の薬物反応と葉加瀬ちゃん曰く、ナノマシンが検出されたの。しかも、人には有り得ない遺伝子まで』

 

それを聞いたはやては、眼を見開いた

 

「薬物反応にありえない遺伝子やて!? それに、ナノマシンって。あの極小の機械のことか」

 

『はい……最初、なんなのか全然わからなかったけど、葉加瀬ちゃんのおかげでわかったの』

 

それを聞いたはやては、顎に手を当ててしばらく考えると

 

「で薬物のほうは、どうや?」

 

『今は、検査結果待ちだけど。絶対ロクなものじゃないわね』

 

「わかった。検査結果が出たら、報告してな?」

 

『はーい♪』

 

シャマルが返事をすると、画面が消えた

 

それと同時に、空気が抜ける音がして、ドアが開いた

 

「高町なのは一等空尉、入ります」

 

「同じく、フェイト・T・ハラオウン執務官入ります」

 

入ってきたのは、なのはとフェイトだった

 

「ああ。なのはちゃん、フェイトちゃん。ごめんなー、疲れてるのに報告書書いてもろうて」

 

親しい間柄なのだろう。砕けた口調で話している

 

「にゃはは♪ これが仕事だもん!」

 

「そうだよ、はやて」

 

2人も同じように砕けた様子で喋りながら、近づいた

 

「それで、大声出してたけど。なにかあったの、はやて?」

 

ドアを越えて聞こえたのだろう。フェイトは、はやてが大声を出した理由を聞いた

 

「それがな……冬也さん、なんやけど……」

 

「冬也さんに、なにかあったの!?」

 

はやてが口ごもりながら冬也の名前を出したので、フェイトは詰め寄るように問いただした

 

「落ち着いて、フェイトちゃん。フェイトちゃんが思ってるようなことやないから」

 

「そう、よかった……」

 

フェイトが安堵の息を吐くと、はやてが真剣な表情をする

 

「冬也さんからな……薬物反応が出たんや」

 

「薬物……反応?」

 

「そ、それって……」

 

フェイトとなのはは眼を見開いて、はやてを見つめる

 

「彼は、人体実験の被験者っつうことや。しかも、ナノマシンまで検出されとる」

 

はやては両手を机の上で組んで、呟いた

 

「ナノマシンって、要するに小さい機械ってことだよね?」

 

「せや。保護した女の子が教えてくれたみたいや。しかも、人にはありえない遺伝子まで確認したそうや」

 

はやての言葉を聞いたなのはとフェイトは、口を引き結んだ

 

室内をしばらく、沈黙が覆った

 

すると、はやてが1回手を叩いて

 

「まぁ、暗い話はここまでにしよか」

 

と、朗らかに告げた

 

「そう、だね」

 

「うん。あ、これ、昨日の報告書だよ」

 

なのはとフェイトも賛同すると、報告書をはやてに提出した

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

数時間後、シャマルからの通信で冬也と当麻が目覚めたことを告げられたはやては、全員を隊長室に呼んだ

 

「来てもらって申し訳ありません。私の名前は、八神はやてと言います」

 

とはやては、頭を下げた

 

はやての座っている机の右側に、フェイトとなのは

 

そして、左側にポニーテールにしているピンク色の髪の女性、シグナムと赤い髪を三つ網にした女の子ヴィータが居た

 

「いえ、保護してもらったのはこちらですし」

 

「逆にお礼を言いたいくらいだ」

 

ネギが告げると、当麻も続いた

 

「ふむ。八神はやて、だったか?」

 

「なんでしょうか?」

 

「喋りづらいならば、慣れてるほうで構わんが?」

 

冬也が言うと、はやては驚いた表情をした

 

が、すぐに表情を崩して微笑んだ

 

「そうか? それじゃあ、お言葉に甘えさせてもらうわ」

 

と、1回咳払いをすると

 

「それじゃあ、改めまして。私の名前は八神はやてや。ここ、時空管理局古代遺失物管理部機動六課の部隊長を勤めさせてもらってます。よろしくな」

 

と関西弁で告げた

 

「時空管理局? 聞いたことねーな」

 

と、当麻は首をかしげた

 

すると、ネギと一緒に来た少女達も口々に

 

「私も聴いたことないわね」

 

「ウチもないなー、せっちゃんはどうや?」

 

「私もありません」

 

と言い出す

 

因みに、冬也、当麻、冥夜の3人は陸士を表す茶色い制服を着ている

 

理由は、冬也は着ていた服が血まみれだったから

 

当麻は、制服がボロボロだったため

 

冥夜は、最初着ていた強化装備では動きにくいと判断されたためだ(強化装備は、シャーリーが預かっている)

 

「ふむ、皆さんはどうやら、次元漂流者みたいやな。確認の為に名前と出身世界と出身国。それと、所属を言ってもらえるかな?」

 

と、はやてが言うと

 

「ふむ。では、俺からでいいかな?」

 

と冬也は、ネギたちに聞いた

 

ネギたちはうなずいた

 

「では、俺の名は神代冬也《かみしろとうや》だ。歳は20で、出身世界とは地球でいいのかな? 出身国は日本帝国」

 

「地球やて!?」

 

「でも……日本帝国って……」

 

「違うよね……」

 

冬也の出身世界と出身国と聞いた3人は、三者三様の反応を示しており、ネギたちも驚いている

 

「ん? あんたも日本帝国なのか?」

 

冬也の出身国を聞いた武が、問いかけた

 

「む? ということは、君達もか?」

 

「ああ、そうだ。だけど、魔法なんて知らない」

 

「ああ。戦術機ならば知ってるか」

 

「どういうことや……」

 

武たちの言葉を聞いたはやては、悩み始めた

 

「ふむ、パラレルワールドだな」

 

「そうか! 並行世界や!」

 

冬也の言葉を聞いたはやてが、手を叩いて納得した

 

「あのー。どういうことですか?」

 

「つまりは、IFの世界さ。武たちの言う戦術機が普及していたら、や。俺の場合は、デバイスが普及していたらといったようにな」

 

「あー。確か、世界は無数の選択肢で無限に別れてる。だったか?」

 

ネギは意味がわからなかったので、手を挙げて質問し、それに冬也が答え、武が理論を言った

 

「せや、まぁその話は置いといて。続きをお願いするわ」

 

「そうだったな。一応、以前は陰陽寮・焔に所属していた」

 

「陰陽寮・焔? それって、陰陽師のこと? あの、悪霊退散! とかの?」

 

「うむ。その通りだ」

 

すると、なのはと冬也の会話を聞いていたフェイトの顔が青ざめた

 

「悪霊……」

 

と呟くと、震えだした

 

「む? 彼女はどうした?」

 

「え? ああ、大丈夫や。フェイトちゃんは、幽霊とかが苦手なんよ」

 

「そうだったか。すまない」

 

「いえ…大丈夫……です」

 

すると

 

「えっと、それじゃあ。私は駄目でしょうか?」

 

と、白髪の少女が問いかけてきた

 

「へ? どういうことや?」

 

「それはですね……あ、名乗るのが遅れてしまいましたね。私の名前は、相坂さよ、と言います」

 

「ほいほい、さよちゃんやね。で、さっきの言葉はどういうことや?」

 

「はい。実は、私………幽霊なんです!」

 

さよがそう言った直後、部屋は静寂につつまれた

 

「「「「「は?」」」」」




はい、次話です!!

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