魔法少女リリカルなのは 集う英雄達    作:京勇樹

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展開が遅くってすいません


地下と上空の戦闘 その2

はやてが出撃して、隊長陣が後退戦闘を繰り広げていた時

 

地下では、フォワード陣とギンガ・マックス達が遭遇したガジェット・ドールの混成部隊と交戦していた

 

「はぁ! ぜぁ!」

 

エリオがストラーダを振り回し、ガジェットやドールを切り捨てては

 

「フリード!」

 

「キュクルー!」

 

キャロの指示に従い、フリードが火炎弾を発射して、ドールを焼き尽くし

 

「はあぁぁ!」

 

ティアナが気合いと共に、魔力弾を放ってドールを撃ち抜き

 

「冥夜!」

 

「任せろ!」

 

武と冥夜は、阿吽の呼吸で次々と蹴散らし

 

「楓ちゃん!」

 

「うむ!」

 

明日菜は破魔の剣で数機纏めて切り捨て、楓は持ち前の機動で攪乱しながらクナイを突き刺して撃破していった

 

「スバル、合わせられる!?」

 

「合わせる!」

 

「援護は任せな!」

 

ギンガが問い掛けるとスバルは意気込み、マックスは二人を援護するためにデバイスを構えた

 

〈行けますか?〉

 

〈問題ありません〉

 

そして、ブリッツキャリバーとマッハキャリバーが声を掛け合ったタイミングで、通路の先からガジェットⅢ型が転がって現れた

 

「トライ・シールド!」

 

ギンガはガジェットが放ったレーザーを、左手を掲げて三角形の楯を展開して防ぎ、右手を振りかぶった

 

すると、ガジェットⅢ型はアームを伸ばしてくるが、ギンガはそのまま右拳を叩き込んだ

 

ギンガの拳とガジェットⅢ型のアームが拮抗していると、ギンガの上をスバルが飛び越えてガジェットⅢ型の懐に入り込もうとした

 

だが、それを止めようとガジェットⅢ型の両側からドールが現れて、銃口を向けた

 

だが

 

「させるかよ!」

 

それをマックスが見逃すわけがなく、自身のショットガン型デバイスのシュトルムを向けて

 

〈スラッグショット!〉

 

威力と貫通性の高い魔力弾を連射して、撃破した

 

その間にスバルは、ガジェットに肉薄して左拳を叩き込むと

 

「ディバイーン……」

 

ガジェットⅢ型の内部で、魔力を溜めて

 

「バスター!!」

 

ゼロ距離砲撃を行った

 

その結果、ガジェットⅢ型は機能を停止した

 

その後、敵を殲滅させたフォワード陣はレリック反応のあった奥へと向かった

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

そこは、広い空間だった

 

高さは軽く数メートルは有り、百人近くが入れそうだった

 

フォワード陣は散開して、レリックケースを探していた

 

「えっと……あ!」

 

その中で、キャロが先に目的の物を見つけた

 

「ありましたー!」

 

キャロが嬉しそうに声を上げて報告すると、全員がキャロに視線を向けた

 

その時だった

 

「ん? なんだ?」

 

武の耳に、何かを叩くような音が聞こえた

 

そのタイミングで、武の前にウィンドウが開いた

 

「敵性魔力反応接近? ……っ!」

 

ウィンドウの文字を見ると、武は視線を左右に向けて見つけた

 

空中に、僅かながら空間が歪曲している場所があった

 

「冥夜! 2時の方向、60度だ!」

 

武の指示を聞いて、冥夜は言われた方向に視線を向けた

 

そのタイミングを見計らって

 

「十字砲火!」

 

武と冥夜は同時に、突撃砲による砲撃を敢行した

 

だが、ソレは二人の砲撃を紙一重で避けると、四発の魔力弾を形成してキャロに放った

 

キャロは咄嗟のことに、反応が遅れて直撃をくらった

 

「きゃあぁ!」

 

「キャロ!?」

 

エリオは一瞬驚くが、先ほどの敵が倒れたキャロに近づこうとしているのに気づいて

 

「ぜああぁぁ!」

 

気合いと共に切りかかり、なんとか阻止した

 

だが、着地した直後に肩口から出血した

 

どうやら、敵の攻撃が当たっていたようだ

 

「エリオくん!」

 

「っ!」

 

エリオの負傷に気づいたキャロが近づこうとしたが、それをエリオは無言で制した

 

すると、全員の前に以前にホテルの地下駐車場で冬也が戦った、あの人型の召喚獣が現れた

 

その時、武の前に再びウィンドウが開いた

 

「交戦データ有り? 隊長が?」

 

武は確認すると、視線を人型召喚獣のガリューに向けた

 

その時、全員の背後に一人の少女

 

ルーテシアが現れて、落ちていたレリックケースを拾い上げた

 

「あっ!」

 

それに気づいたキャロが、ルーテシアからレリックケースを取り返そうとしたが

 

「……邪魔」

 

ルーテシアは短く呟くと、キャロに向けて魔力弾を放った

 

「くっ……きゃあぁ!」

 

キャロは咄嗟に防御魔法を発動したが、ルーテシアの魔力弾の威力が高く防ぎきれなかった

 

「キャロ!? うわぁぁ!」

 

エリオは吹き飛ばされてきたキャロと一緒に、近くの柱に叩きつけられた

 

「エリオくん、キャロちゃん!」

 

「大丈夫でござるか!」

 

明日菜と楓は、叩きつけられた二人にすぐさま駆け寄り、声を掛けた

 

武と冥夜がガリューを押さえていると、スバルが慌てた様子で

 

「こらー! そこの子! それは危ない物なんだよ! 触っちゃダメ! こっちに渡して!」

 

とルーテシアに言うが、ルーテシアは一瞥するだけで歩きだそうとしたが、歩みは直ぐに止まった

 

すると、ルーテシアの背後の空間が揺らめいて

 

「手荒なことして、ゴメンね? でもそれ、本当に危ない物なんだ」

 

隠蔽魔法のオプティック・ハイドで姿を隠していたティアナが、ダガーモードにしたクロスミラージュの魔力刃をルーテシアの首筋に当てていた

 

その状況にルーテシアが悩んでいると

 

(ルールー!)

 

自身の知り合いの声が、頭に響いてきた

 

念話である

 

(アギト……)

 

(おし! 無事みたいだな。いいか、アタシが合図したら、目を閉じろよ?)

 

(うん、わかった……)

 

アギトからの提案に、ルーテシアは従った

 

(いいか? 1、2の3!)

 

アギトがカウントした直後、ルーテシアは目を閉じた

 

その時、武の前に三度ウィンドウが開いた

 

「魔力値が上昇? これは!?」

 

武が驚いた瞬間

 

「スターレンゲ・ホイル!」

 

どこからともなく、声と共に一発の魔法が全員の中心に放たれた

 

魔法は地面に当たると同時に、強力な閃光と音響を放出した

 

全員がそれに固まっていると、ガリューが一瞬にしてティアナに肉薄して蹴り飛ばした

 

「きゃああぁぁ!」

 

蹴り飛ばされたティアナは、すぐに上半身を起こした

 

すると、ガリューは肩と手甲で防御の構えを取った

 

だが、ティアナは僅かに狙いをズラし

 

「っ!」

 

一発の魔力弾を撃った

 

だが、それにガリューは機敏に反応して主であるルーテシアを守った

 

すると、ルーテシアの前に役30センチ程の人間

 

リインと同じユニゾンデバイスの赤毛の存在が現れた

 

「ったく……アタシ達に黙って行くからだぞ。ガリューもルールーも」

 

現れたユニゾンデバイスは、ルーテシアに対して諭すような口調で話しかけた

 

「アギト……」

 

ルーテシアはそのユニゾンデバイス、アギトの名を呼んだ

 

「おう」

 

アギトは頷くと、手を腰に当てて胸を張り

 

「まあ、このアタシが来たからにはもう大丈夫だ! この烈火の剣製アギト様に、掛かってこいやぁ!」

 

アギトは威勢良く、フォワード陣に声を張り上げた

 

少し時は戻り、場所は変わって海上上空

 

『ロングアーチ1。シャリオから、八神部隊長へ』

 

「はいな」

 

ロングアーチの通信責任者であるシャーリーからの通信に、はやては元気よく返事をした

 

『ファイティングサポートシステム、準備完了です! シュベルトクロイツとのシンクロ率誤差、調整完了!』

 

「うん、了解や。ごめんな……精密コントロールとか長距離サイティングは、リインが一緒やないと、どうも苦手で……」

 

はやては広範囲型の魔導師ゆえか、精密コントロールが苦手だった

 

出来ることは出来るが、どうしてもおおざっぱになってしまう

 

その証拠に、以前に第八臨海空港で火災が起きた時には、はやてが放った氷結魔法が味方の魔導師にまで影響していた

 

しかし、今回は近くに市街地があるために精密性が要求される

 

リインが居ない時に、はやてが万全に魔法をコントロールするために開発されたのが、ファイティングサポートシステムである

 

『その辺は、こっちに任せてください! 茶々丸ちゃんや千雨ちゃんのおかげで更に精密性が上がってますから!』

 

シャーリーの言葉を聞いて、はやては微笑みながら頷き

 

「ほんまに、感謝やな……さて」

 

はやては意気込むと、夜天の書を開きシュベルトクロイツを掲げた

 

「来よ、白銀の風、天よりそそぐ矢羽となれ!」

 

はやてが呪文を唱えると、掲げていたシュベルトクロイツの前にベルカ式の魔法陣が展開されてその周囲に、五つの魔力溜まりが出来上がった

 

『スターズ1、ライトニング1、5、アサルト1、2。安全圏まで退避完了!』

 

「おっしゃ! 第一波、行くよ!」

 

シャーリーからの報告を聞いて、はやては気合いを入れた

 

「フレース……ベルグ!」

 

はやてが魔法名を唱えると、五つの魔力溜まりから次々と魔法が発射された

 

そして、はやてが発射した魔法は少しずつガジェット・ドール混成部隊へと迫る

 

場所は変わって、機動六課ロングアーチ

 

「フレースベルグ、第一波。第一グループに接近中……着弾まで後十秒……五、四、三、二、一……着弾……消滅。続いて第二、第三グループに着弾!」

 

「波形パターンを確認……幻術との識別を始めます」

 

「実機のデータとの比較を始める」

 

シャーリーの報告に続けて、茶々丸と千雨がそう言いながら高速でキーボードをタイピングしだした

 

こうして、事件は加速していく


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