魔法少女リリカルなのは 集う英雄達    作:京勇樹

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六課の休日 その2

機動六課の休日が始まり、ほとんどのメンバーはクラナガンに向かった

 

それは、この人物達も例外ではなかった

 

「ごめんね、ユーノ君。運転を任せて」

 

「大丈夫だよ。そういえば、なのはは免許を取ってないんだよね」

 

「う……仕事に熱中し過ぎた代償です……」

 

ユーノの言葉に、なのはは少し俯いた

 

因みに、ユーノは紺色のズボンに水色のワイシャツ、緑色のベストを着ている

 

なのはは水色のロングスカートに、白いワイシャツに薄桃色のサマーセーターを重ね着している

 

そして、二人が乗ってる車はユーノの車である

 

車としてはフェイトと同型のもので、色は青である

 

なお、なのはは軽く化粧がしてある

 

あの後、自室に戻ってから服を選び、超特急で化粧を終わらせたのだ

 

なお、その光景を見ていたリイン曰わく

 

『恋する乙女って、凄まじいですね』

 

とのこと

 

閑話休題

 

そして、二人の乗った車はクラナガンに入った

 

ユーノは見事な運転で、車を駐車した

 

「ユーノ君、運転上手だね」

 

「まあ、管理局員だからね。教官さんも厳しかったし」

 

なのはの言葉を聞いて、ユーノは苦笑いしながら返した

 

その頃、フェイトと冬也の二人は

 

「たまには、こういうのも悪くない」

 

「そうですね……」

 

自然公園でのんびりしていた

 

二人の近くには大きな噴水があり、水しぶきによって虹が出きている

 

冬也はその噴水を見ているが、フェイトは視界の端で冬也の顔を見ていた

 

それは、今から数日前のことだ

 

「冬也さんが……生態兵器?」

 

フェイトは夜叉から聞いた言葉が信じられなくて、呆然とした様子で呟いた

 

「はい……主……いえ、主達はある男によって産まれたばかりの時に世界中から誘拐されて、あらゆる手段をもってして、全身を改造されました」

 

人型の姿を取っている夜叉はそう言いながら、冬也を中心とした七人が映った映像に視線を向けた

 

「その男の目的は……全人類の殺戮」

 

夜叉の絞り出すようなその言葉を聞いて、フェイトは固まった

 

「まさか、冬也さん達は……」

 

フェイトの言葉はそれ以上続かなかったが、夜叉は頷いて

 

「主達は……人を殺すために、作り替えられたんです」

 

と言った

 

それを聞いたフェイトは、白くなるほどに拳を握りしめてから視線を夜叉に向けて

 

「その男の名前は?」

 

と問い掛けた

 

「その男の名前は……ロンドと言います」

 

夜叉は静かに、その名を告げた

 

時と場所は変わり、クラナガンのある一角

 

そこでは、武、冥夜、スバル、ティアナの四人が談笑していた

 

なお、四人の手にはそれぞれアイスがある

 

武と冥夜の二人は、スバルの持っているアイスを見て最初は驚いていた

 

なにせ、13個ほど積み重なっているからだ

 

まるで、アイスのタワーである

 

ティアナは慣れてるのか、至って普通だった

 

「いい街だな。ここは」

 

「そうだな。全員が笑顔だ」

 

そう言ったのは、武と冥夜である

 

二人は眩しそうにしながら、周囲を見回している

 

「そっか……武達がいた地球は、大変だったんだよね……」

 

というスバルの言葉に、武は頷いて

 

「ああ……俺たちのいた地球は、BETAによって滅亡しかけてたからな」

 

「アメリカなどの後方国では、こういった光景は普通だったかもしれんが、日本はどこも大変だった……」

 

武に続いて冥夜がそう言うと、スバルは一呼吸置いて

 

「そんな大変な世界で戦ってたから、武達はあんなに連携が凄いんだ」

 

と言った

 

「ああでもしないと、すぐに殺されるからな」

 

と武が言うと、冥夜が

 

「言っておくが、武は私達が所属していた部隊でも突出していたぞ」

 

と言った

 

「どういうことよ」

 

ティアナが問い掛けると、冥夜は

 

「私達が初めて経験した大規模作戦、その作戦で武はな、単機で陽動をやってのけた」

 

「単機で……?」

 

「陽動……?」

 

スバルとティアナが冥夜の言葉をオウム返しに言うと、冥夜は続けて

 

「因みに数だが、分かり易く言うと……ガジェットⅢ型が23、ガジェットⅠ型が48、ドールが四万近くで……その内、ガジェットⅢ型を20とⅠ型を30、ドールは半数近く撃破していたな」

 

と言った

 

それを聞いたスバルとティアナが呆然としていると、武は

 

「結局、最後は隊長に助けられたけどな」

 

と言った

 

しかし、スバルとティアナはそれを軽く聞き流して

 

「武って……」

 

「規格外なのね……」

 

と呟いた

 

場所は変わり、ある公園の一角

 

そこには、エリオとキャロの姿があった

 

そんな二人は、ある人物から提供された行動プランに従っていた

 

そしてエリオはキャロから、フリード以外に居るもう一体の龍のことを聞いた

 

名はボルテール

 

キャロと契約している龍で、キャロの故郷のアルザスを守る真龍である

 

エリオとしては会いたかったが、ボルテールはあまりにも巨大らしく簡単には呼べないという話だった

 

その話を聞いたエリオは、残念がりながらも納得した

 

真龍というのは、いわば神にも等しい存在である

 

その真龍を、簡単に呼ぶわけにはいかないのである

 

「だけど、本当にのんびりだね……」

 

「そうだね……」

 

二人はベンチに座ると、そう呟いてから途中で買った飲み物を飲んだ

 

そして一息つくと、二人は周囲を眺めて

 

「このまま、事件が起きなければいいんだけど……」

 

「そうだね……」

 

と呟いた

 

場所は変わり、とあるトンネル

 

「要請を受けて来ました。陸士108のギンガ・ナカジマです。状況は?」

 

陸士108に所属しているギンガは、事故という連絡を受けて隊舎から事故現場に来た

 

「おー! ギンガ、こっちだ!」

 

詳しい状況を聞こうと、現場に立っていた管理者に問い掛けたら、ギンガの知ってる声が聞こえた

 

「マックス! 来てたの!」

 

そこには、ギンガと同じ陸士108に所属している同期のマクシミリアン・G・マクダウェルこと、マックスが居た

 

「ああ、たまたま近くに居てな」

 

マックスはそう言いながら、ギンガに近づいた

 

「で、状況はどうなの?」

 

とギンガが問い掛けると、マックスは親指を横転しているトラックに向けて

 

「事故を起こしたのは、このトラックなんだがな……どうも、きな臭いんだよな」

 

と言った

 

「きな臭いって?」

 

「ああ……先に病院に搬送した運ちゃん曰わく、普通に運転してたら、いきなり荷台が爆発したらしいんだ」

 

ギンガから問い掛けられると、マックスは手元に持っている端末を見ながら言った

 

「爆発って……荷物は?」

 

「運んでたのは、飲料水のボトルや缶詰めばっかで、爆発を起こすのは無いんだがな……」

 

マックスはそこで言葉を区切ると、ギンガを手招いて

 

「こいつを見な」

 

と、道路に転がっている楕円形の機械の残骸を示した

 

ギンガはそれを見て、眉をひそめた

 

「これは……ガジェットⅠ型?」

 

それは、ギンガの妹のスバルが所属している機動六課が主に戦っているガジェットの残骸だった

 

「ああ……それと、お前ん家に因縁深いのが……それだ」

 

マックスが指差した物を見て、ギンガは目を見開いた

 

「これって……生体ポッド!?」

 

それは本来、存在してはいけないモノだった

 

そして、この時ギンガは気付いていなかったが生体ポッドから何かを引きずるような跡が蓋が壊れた排水溝に伸びていた

 

そして地下では、小さな女の子がボロボロの布を身に纏っていて、レリックケースを二つ縛った鎖を引きずっていた

 

すると、何かに躓いたのか女の子は転びレリックケースの一つが排水の中に落ちた

 

が、女の子は気にする様子もなく立ち上がり壁に手を突いて

 

「行かなきゃ……」

 

と言って、再び歩き出した

 

この女の子との出会いによって、機動六課が追ってる事件を巡る状況は加速する


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