魔法少女リリカルなのは 集う英雄達    作:京勇樹

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ようやく、ここまで来た……
遅くなってすいません
仕事が忙しいんです


機動六課の休日 その1

なのはが自身の教導の意味を教えてから、数日後

 

機動六課訓練スペース

 

「はーい。午前の訓練終了!」

 

なのはの宣言が聞こえて、フォワード陣と当麻はなのは達の前に集まった

 

「実はね、今日の訓練が第二段階への判断日だったんだけど……」

 

となのはが言うと、フォワード陣と当麻は驚いていた

 

しかし、なのははそんな全員の反応をスルーして背後に居たフェイトとヴィータに振り向いて

 

「どうだったかな、二人とも?」

 

と問い掛けた

 

すると、フェイトが笑みを浮かべて

 

「合格」

 

と告げた

 

「「「早っ!?」」」

 

まさかの即決に、スバル、武、当麻の三人は驚いた

 

すると、ヴィータが前に歩み出て

 

「まあ、こんだけ訓練してんのに不合格になるほうが、問題だってこった」

 

と苦言を呈すると、なんとも微妙な表情を浮かべた

 

その直後、なのはが一歩前に出て

 

「それじゃあ、皆は後でシャーリーにデバイスを渡して、リミッターを解除してもらってね。それじゃあ、今日の訓練はここまで! 訓練再開は明日からとします!」

 

なのはの言葉を聞いて、フォワード陣と当麻は首を傾げながら

 

「明日から?」

 

「ってことは……」

 

と互いの顔を見合わせた

 

そのフォワード陣達の言葉を聞いて、なのはは頷くと

 

「今日の午後は半休とします!」

 

と告げた

 

それを聞いたフォワード陣は、満面の笑みを浮かべると

 

「「「「やったー!!」」」」

 

と喜んだ

 

こうして、機動六課設立以来、初めての休暇日は始まった

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

ある一室では

 

「お金は大丈夫? 足りないなら、お小遣いあげようか?」

 

フェイトが甲斐甲斐しく、エリオの世話を焼いていた

 

なお、エリオ本人はフェイトの言葉を聞いて

 

「いえ、大丈夫です。それに、フェイトさん。僕もお給料を貰ってますから」

 

と言いながら、手を振った

 

「え? ああ……そうだったね……」

 

エリオのその言葉を聞いて、フェイトは少し寂しい気持ちになりながらも成長を嬉しく思った

 

すると、そのタイミングでドアが開き

 

「すいません! 遅くなりました!」

 

私服に着替えたキャロが、慌てた様子で入ってきた

 

「ああ、その服を着てくれたんだ。かわいいよ、キャロ」

 

「ありがとうございます。フェイトさん」

 

フェイトがキャロの服を誉めると、キャロは嬉しそうに頭を下げた

 

そしてエリオはと言うと、私服姿のキャロを見てボーッとしていた

 

しかし、キャロと視線が合うと恥ずかしそうに頬を赤く染めた

 

場所は変わり、駐車場

 

そこでは、ヴァイスが一台の赤いバイクを整備していた

 

「あんまし、吹かし過ぎるなよ? プロテクターは?」

 

とヴァイスが言うと、そのバイクを借りる予定のティアナは

 

「自前のオートプロテクターがあります」

 

と答えた

 

整備が終わったのか、ヴァイスはポケットの中からキーを取り出してボタンを押した

 

すると、バイクのエンジンが掛かった

 

エンジンが掛かったのを確認すると、ヴァイスはハンドルを軽く捻った

 

すると、バイクのメーターが一気に上がった

 

「よし、いい調子だ……ほらよ」

 

バイクの調子を確認すると、ヴァイスはキーをティアナに投げ渡した

 

「ありがとうございます」

 

ティアナはキーを受け取ると、ヘルメットを被ってバイクに跨がった

 

すると、ヴァイスが

 

「しっかし……最近、お前は動きが良くなってきたよな」

 

と声を掛けた

 

「え?」

 

予想外の言葉にティアナは驚くが、ヴァイスは構わず

 

「前までのお前さんは、なんつーか……全部を自分一人でやろうとしてた。だけど、最近のお前さんは仲間に指示を出しながら、自分も最善を尽くしてる」

 

ヴァイスの話を聞いて、ティアナは苦笑いを浮かべて

 

「なのはさんと武から、喝を入れられましたから……」

 

「そうかい」

 

ティアナの話を聞いて、ヴァイスは満足そうに頷いた

 

「あの……間違ってたら、すいません……ヴァイス陸曹」

 

「あん?」

 

まさか問い掛けられるとは思ってなかったのか、ヴァイスは首を傾げた

 

「ヴァイス陸曹って、魔導士経験ありますよね?」

 

ティアナがそう問い掛けると、ヴァイスは頷き

 

「俺は武装隊の出だからな。ド新人に説教できるくらいにはな。まあ、ヘリ好きが高じて今はヘリパイロットだ」

 

と語った

 

それを聞いたティアナが俯いていると、ヴァイスがティアナの肩を軽く叩いて

 

「ほれ、相方と武達が待ってるんだろ? 早く行ってやんな」

 

「はい!」

 

ヴァイスが促すと、ティアナはバイクを玄関に向かわせた

 

再び場所は変わり、玄関

 

そこには、一台の車が止まっていた

 

「すいません、八神部隊長。車を貸していただいて」

 

と武が、はやてに対して頭を下げていた

 

「ええよ。たまには使わんと、車もガタついてまうわ」

 

武の言葉にはやては、手を振りながら返答した

 

なお、武の服はグリフィスから借りており、水色のワイシャツに青いベスト。紺色のジーパンを履いている

 

近くには冥夜も居て、冥夜の服はシグナムに借りた

 

黒のスカートに白いワイシャツ、紺色のベストを着ている

 

するとそこに、軽快な音と共にティアナが運転するバイクが到着した

 

「八神部隊長、お疲れ様です!」

 

ティアナはバイクを止めると、降りながらヘルメットを脱いで敬礼した

 

「ん、お疲れ様や」

 

挨拶されたはやては、片手を上げて挨拶した

 

すると、ドアが開き中からリインとスバルが現れて

 

「はやてちゃーん! お待たせです!」

 

「ごめーん! ティア、武、冥夜。お待たせ!」

 

それぞれの待ち人に謝っていた

 

「かまへんよー」

 

「遅いわよ、スバル! あんたが最後!」

 

はやてはリインからデータチップを受け取り、ティアナはスバルを注意していた

 

はやてはデータチップを確認すると、四人を手招きして

 

「ほい、これが皆の分の外出許可証や。デバイス出し」

 

はやての催促に従い、四人はデバイスを出した

 

 

するとはやては、データチップをデバイスに挿入した

 

するとウィンドウが開き、簡易版の外出許可証が表示された

 

「これで、四人の外出は許可されたわけや。ほんなら、楽しんできいや」

 

「「「「ありがとうございます!」」」」

 

はやての言葉を聞いた四人はそれぞれ頭を下げながら、感謝を述べると車やバイクに乗って

 

「それでは、行ってきます!」

 

「八神部隊長もよい休日を!」

 

と口々に言いながら、街に向かった

 

武達が出発した直後、フェイトと共にエリオとキャロが現れた

 

「八神部隊長!」

 

「お疲れ様です!」

 

エリオとキャロの二人が敬礼しながら挨拶すると、はやては頷きながら

 

「お疲れさんや。ほい……エリオとキャロの分の外出許可証や。デバイス出しい」

 

エリオとキャロははやての言葉に従い、デバイスを出した

 

するとはやては、コードで携帯端末と繋いでから、データチップを挿入した

 

数秒後、二人の前にウィンドウが開いて、外出許可証という文が表示された

 

「ほい……これで、二人も外出してええで。楽しんできいや」

 

「はい!」

 

「行ってきます。八神部隊長、フェイトさん!」

 

「気をつけるんだよ!」

 

「楽しんできてくださいです!」

 

エリオとキャロの二人は、フェイト達の見送りの下、二人で手を繋ぎながら歩いていった

 

フェイト達は、二人の姿が見えなくなるまで、三者三様に見送った

 

そして、二人の姿が見えなくなると、フェイトは背伸びして

 

「さってと……私は仕事に戻ろうかな」

 

と言うと、はやてが肩を掴んで

 

「フッフッフ……そうは問屋が卸さへんで……」

 

はやてはなんとも悪い笑顔を浮かべて、二つのデータチップを掲げた

 

「は、はやて? それは、もしかして……」

 

フェイトが冷や汗を流しながら聞くと、はやては頷き

 

「せや。フェイトちゃんと冬也はんの許可証や!」

 

なぜか、ドヤ顔である

 

「はやて……職権乱用って言葉……知ってる?」

 

「あ、ちなみに、なのはちゃんのもあるで」

 

フェイトの苦言を無視して、はやては三つ目のデータチップを出した

 

そんなはやてを見て、フェイトは深々と溜め息を吐いた

 

すると、はやてはパチンと指を鳴らして

 

「そうそう、ユーノ君に連絡したら、即行で休暇を申請してたで」

 

というはやての言葉を聞いて、フェイトは内心で

 

(ユーノ……釣られてる……)

 

と溜め息を吐いた

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

「えぇー!? ユーノくんが来るの!?」

 

はやてから事の次第を聞いたなのはは、驚愕していた

 

「せやで。確か、十数分前やから……」

 

とはやてが言うと、なのはは腕時計を見て

 

「後、二十分! 着替えてくる!」

 

猛然と、自室へと駆け出した

 

それをはやては見送ると、そばに浮いているリインに

 

「リイン、このデータチップ渡してくれへんか?」

 

とデータチップを渡した

 

「はいです! なのはさーん! 待ってくださいです!」

 

データチップを持ったリインは、駆け出したなのはを追っていった

 

はやてはリインを見送ると、食堂に向かった

 

場所は変わり、食堂

 

そこでは、副隊長陣やネギ達が食事していた

 

冬也も最初は食堂で食べようとしていたが、フェイトが声を掛けて外出するために準備している

 

なお、ネギ達も外出許可証を発行するか聞かれたが、拒否していた

 

理由としては、今のところは困ってないかららしい

 

その時、はやてが入ってきて

 

「当麻くーん、注文やで~」

 

「ホイホイ……肉じゃが定食な。少し待ってろ」

 

というやり取りが聞こえて、数人が視線を向けるとはやてが当麻から食事を載せたプレートを受け取っていた

 

すると、はやてが近くに来た女性に声を掛けた

 

はやての言葉を聞いた女性は頷くと、当麻に声を掛けて、当麻は頷いてからエプロンを外して適当な食事を選んだ

 

そして、二人してテーブルに着いた

 

そのタイミングで

 

『続きまして、時空管理局地上本部中将のレジアス・ゲイズ中将の会見映像です』

 

というキャスターの声が聞こえて、はやて達の視線がニュース画面に向けられた

 

そのニュース画面には、恰幅がよくヒゲが特徴的な中年男性が映っていた

 

画面下部に名前が表示されており、レジアス・ゲイズと書かれている

 

すると、画面を見ていた当麻が

 

「なあ、はやて。このオッサンは?」

 

と、はやてに問い掛けた

 

「ああ、彼は時空管理局地上本部ツートップの一人のレジアス・ゲイズ中将や」

 

「ほー」

 

当麻が頷いていると、画面の中でレジアス・ゲイズはかなり過激な発言をしている

 

「かなり過激な人みたいだな」

 

「せやな。レジアス中将は昔から武闘派で有名やさかい」

 

当麻の言葉を聞いたはやてがそう言うと、なにかに気づいた当麻が

 

「なあ、あの三人は?」

 

と、画面を指差した

 

「ん? ああ、伝説の三提督やね。あのメガネを掛けた人が法務顧問相談役のレオーネ・フィルス相談役でアゴ髭が特徴のが、武装隊名誉隊長のラルゴ・キール元帥、で、唯一の女性が統幕議長のミゼット・クローベル提督や」

 

はやての説明を聞くと、当麻は感心したように頷き

 

「要するに、すごい人達なんだな」

 

と言うと、はやてはクスクスと笑い

 

「せやね。管理局の黎明期を支えた御方達やからな」

 

と答えた

 

こうして、待機組の時間は過ぎていく


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