魔法少女リリカルなのは 集う英雄達    作:京勇樹

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うん、こいつを忘れていたよ


新戦力と下着泥棒

ある日の早朝訓練が始まる前だった

 

「あ、そういえば……冬也さん。アレを皆に見せるんですよね?」

 

何かを思い出したらしく、なのはが視線を冬也に向けて問い掛けた

 

「ああ、そうだ。シャーリー」

 

冬也は頷くと、近くに居たシャーリーに声を掛けた

 

「はーい! それでは、システム、起動!」

 

シャーリーは頷くと、キーボードを叩いた

 

するとどこからか、空気を切り裂くような音が聞こえてきた

 

「何だろう、この音?」

 

その音を聞いて、新人達は首を傾げるが武と冥夜は顔を見合わせた

 

「この音は……」

 

跳躍(ジャンプ)ユニット?」

 

二人が不思議に思って、首を傾げた

 

その時

 

全員の上空を、20機近い人型機がフライパスしていった

 

それを見た新人達は、慌ててデバイスを構えて

 

「まさか、ドール!?」

 

「こんな所にまで!」

 

攻撃をしようとしたが、なのはが慌てて手を振って

 

「あー、待って待って! あれは違うの!」

 

新人達を止めた

 

止められた新人達が顔を見合わせていると、人型機がUターンしてゆっくりと降りてきた

 

その人型機群を見て、武と冥夜は目を見開いて驚いた

 

撃震(げきしん)瑞鶴(ずいかく)陽炎(かげろう)!?」

 

「それに不知火(しらぬい)吹雪(ふぶき)武御雷(たけみかずち)まで!」

 

それは、武達が元居た世界で普及していた陸戦ロボット兵器だった

 

「さて、お次は海の方向をごらんあれ」

 

新人達と武達が海の方向を見ると、海中から新たに4機現れた

 

「これは海神(わだつみ)!」

 

武達が驚いて見ていると、スバルとエリオが近づいて

 

「ねー、これはなんなの?」

 

「なんか、かっこいいです!」

 

と、二人に聞いた

 

二人はあっけに取られながらも

 

「これは、俺たちの元居た世界で普及していた戦術歩行戦闘機。通称、戦術機だ」

 

「本来は私達が乗るから、もっと大きく、大体18メートル程なんだが……」

 

武と冥夜はそう言うと、目の前の戦術機を見た

 

目の前の戦術機の大きさは大体、2メートル前後である

 

「隊長、これは……」

 

武が戦術機を指差しながら聞くと、冬也は頷き

 

「冥夜の乗っていた武御雷に残っていたデータを基に、葉加瀬の技術を中心に、俺の持っていた技術とミッドチルダの技術を混ぜて制作した」

 

「AIはデバイス用の簡易版を使ってるから、ある程度は自律行動が可能なんだよ」

 

冬也に続き、シャーリーがそう説明すると、スバルとエリオは感動した様子で戦術機を見つめていた

 

「今は起動したばっかりだから、まだ大した行動はできないけど、これから訓練すれば十分に戦力になるよ」

 

「と、いうわけで、これからも訓練を頑張ろう!」

 

「「「「「はい!」」」」」

 

なのはの言葉に、新人と武達は元気に返事した

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

時間は経ち、昼

 

なぜか、実働班は全員、ある会議室に集まっていた

 

そんな状況下で、女性陣全員が、どす黒いオーラを放っていた

 

もし、効果音を当てるとしたら

 

ドドドドド……といった所だろう

 

(なあ、これは一体……なにがあった?)

 

壁際に居た冬也は、近くに集まっていた男性陣に問いかけた

 

(さあ? なんか、数日前からはやての雰囲気がピリピリしてたが……)

 

(僕もわかりません。最近、フェイトさんやキャロが少し怒ってましたけど……)

 

(俺も知らないぜ……ただ、シグナムの姐さんが、人を斬り殺しそうな雰囲気で怖かったなぁ……)

 

(それは、管理局としてはどうなんでしょうか……ただ、明日菜さん達も怖かったですね)

 

(自分にもわかりません……ただ、シャーリーや管制メンバーも怒ってましたね……)

 

(俺も分かりません。冥夜は険しい顔をしてましたが……)

 

冬也の問いかけに、男性陣一同は小声で返すと、全員首を傾げて唸った

 

その時

 

会議室のドアが開き、はやてが入りディスプレイの前に立った

 

はやてはそこから周囲に立っている女性陣の顔を見ると、両手を机に突いて

 

「みんな! よく集まってくれた!」

 

真剣な表情をしながら、声を張り上げた

 

女性陣全員は無言で、はやてを見つめている

 

「今回集まってもらったんは、他でもない……下着泥棒や!!」

 

「「「「「はい!」」」」」

 

はやての言葉を聞いて、女性陣全員は真剣な様子で返答するが、男性陣は首を傾げて

 

「下着……」

 

「泥棒……?」

 

と、目を合わせた

 

はやての話を要約すると、こうだった

 

数日前から、機動六課の女性陣の下着が何者かによって盗まれている

 

犯人はセンサーに一切反応されずに、機動六課の施設に侵入して下着を奪っているらしい

 

その事にとうとう、はやての我慢も限界に達して、人海戦術をすることを決定したのだ

 

時間は経ち、夜

 

場所 風呂場脱衣場

 

そこには数人の訓練着と下着、更には替えの服などが置いてあり、奥の風呂場からはシャワーの音と話し声が聞こえる

 

少しすると、通風口から小さい影が地面に降りて着替えの置かれてる籠にゆっくりと近付いた

 

そして、その影が籠に入ろうとしたその時

 

「今です!」

 

そのかけ声とほぼ同時に、掃除用具入れの中から苦菲が

 

壁からは布が取られて、楓と刹那の二人が

 

更に、奥の風呂場からはバリアジャケットを纏ったスバルとティアナが現れた

 

「っ!?」

 

現れた苦菲達に気付いた犯人は慌てるように身を翻し、ドアに向けて駆け出した

 

すると、犯人が魔法を使ったのかドアが開いた

 

それを見た刹那は、ドアの外に向けて口を開いた

 

「そちらに行きました!」

 

そして、犯人が廊下に飛び出すと目の前には当麻、冬也、武の三人が居た

 

三人は銃口を向けると

 

「魔法の射手!」

 

「ニードル・バレット!」

 

「風牙!」

 

魔法の弾幕を形成した

 

三人から放たれた魔法は、雨霰と犯人に殺到するが、犯人は小さい身体を活かして、器用に避けて、向きを変えて、冬也達が居ない方向に逃げ出した

 

冬也はそれを見ると

 

「行ったぞ!」

 

と声を張り上げた

 

犯人が曲がり角を曲がると、そこには

 

「逃がさないわよ!」

 

「逃がしません!」

 

明日菜とネギが居た

 

明日菜は手にハリセンモードの破魔の剣を持っていて、ネギは杖を構えていた

 

「ええい!」

 

明日菜が気合いと共にハリセンを振り下ろすと、いい音が響き犯人は地面に叩き付けられた

 

その隙をネギが、見逃すはずがなく

 

「魔法の射手! 戒めの風矢!」

 

ネギの放った魔法が、犯人を捕縛した

 

「ギャアアア!」

 

犯人の悲鳴が響き渡り、明日菜とネギは犯人に近付いた

 

そして、犯人を見て、ネギは驚き、明日菜は呆れていた

 

「カモくん!?」

 

「やっぱり……」

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

「すいませんでした……」

 

機動六課女性陣の前で、ネギが土下座していた

 

その隣では、明日菜が紐に縛られたオコジョ

 

オコジョ妖精のカモを吊していた

 

「つまり……そのオコジョはネギ君の使い魔みたいなものなんか」

 

ネギの説明を聞いたはやてが聞くと、明日菜が頷き

 

「かなりエロい奴なのよ……ほらエロガモ! 挨拶しなさい!」

 

と、吊していたカモを怒鳴りつけた

 

「へ、へい! あっしの名前はアルベール・カモミールと申しやす!」

 

怒鳴られたカモは体を硬直させると、頭を下げた

 

「今回は本当にすいませんでした! 僕からもキツく叱っておきますので、許してあげてください!」

 

ネギは頭を床にこすりつけながら、懇願してきた

 

「エロガモ! あんたもよ!」

 

「す、すいませんでしたぁ!」

 

明日菜に叱られて、カモも必死な様子で頭を下げた

 

それを見たはやてはため息を吐いて

 

「まぁ、今回は大目にみよか……ただし、次は容赦せぇへんよ?」

 

と、カモに念押ししたのだった

 

「ありがとうございます!」

 

「すいませんでしたぁ!!」

 

この後、カモが奪った下着は全て返却された

 

こうして、下着泥棒騒ぎは解決したのだった

 

 

 

オマケ

 

「なあなあ、カモくんや」

 

部屋から去ろうとしたカモを、はやてが呼び止めた

 

「あ? なんだ、はやての嬢ちゃん」

 

呼び止められたカモは足を止めて、はやてを見上げた

 

「皆のサイズはどんなんやった?」

 

心無しか、はやての頭部にタヌキの耳が見えた

 

はやての問い掛けに、カモの目がキラーンと光った

 

「お!? なんだ、はやての嬢ちゃんもイケる口かい?」

 

「あったり前だのクラッカーや! おっぱいソムリエの名前は伊達やないで!」

 

カモからの問い掛けにはやては、意気揚々と答えた

 

すると、カモはどこからか、スクロールを取り出して

 

「ムフフフ……実はここに俺っちが調べたサイズが……」

 

と、スクロールを開こうとした

 

その時だった

 

「は~や~て~……」

 

「は~や~て~ちゃ~ん~……」

 

地を這うような声が聞こえ、一人と一匹はビシリと固まった

 

そして、まるで錆びたブリキ人形のように振り返ると

 

そこに居たのは、二人の修羅だった(バリアジャケット展開済み)

 

それを見た一人と一匹は、ダラダラと汗を流しながら

 

「なにかなぁ……二人とも」

 

「な、なんでい……お嬢さん方」

 

と、なのはとフェイトに問いかけた

 

すると二人は、デバイスを構えながら

 

「はやて……そういうことはやめてって、前にも言ったよね?」

 

「仏の顔も三度までって言うし……O☆HA☆NA☆SHI☆しようか」

 

そう言い放つと二人は目配せして、ある魔法の準備を始めた

 

「ちょっ!? それは十年前に二人が使ったあの!?」

 

「あからさまに室内で使う魔法じゃねぇ!?」

 

一人と一匹は慌てて逃げようとするが、そんな一人と一匹をバインドが拘束した

 

「ちょっ!?」

 

「お、お助け!?」

 

一人と一匹は近くに居た冬也に助けを求めたが

 

「すまん……巻き込まれたくないのでな……」

 

片手を挙げて、部屋から出ていった

 

「「そんなぁー!?」」

 

一人と一匹が絶望に涙を流していたら

 

「「N&F中距離殲滅コンビネーション! カラミティ・ブラスト!」」

 

二人から、逃げようのないほどに魔法の弾幕が発射された

 

「「ギャアアアァァァァ!!」」

 

会議室から、一人と一匹の盛大な悲鳴が機動六課の隊舎に響き渡った

 

なお、この後に一人と一匹は茶々丸によって医務室に放り込まれたそうな

 

 

 


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