魔法少女リリカルなのは 集う英雄達    作:京勇樹

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ルーフェン紀行 3

道場正門付近

 

「皆のことは、リオからよく聞いとるよ。リオの事を、よく鍛えてもらっとると」

 

レイ・タンドラの言葉に、ノーヴェ達が姿勢を正し

 

「いまだ未熟の身ではありますが……」

 

「少しだけ、お手伝いを」

 

ノーヴェとディードの言葉に、レイは頷き

 

「有り難い事じゃよ。ミッドには春光拳どころか、ルーフェン武術の道場も滅多にないからの~……基礎や技はここで教えられても、日々の鍛練まで独学という訳にもいかん。リオは良き仲間と良き師範を得られたようじゃと、思っておるよ」

 

それは、嘘偽りなきレイの気持ちであった。

高度にシステム化がなされ、それに伴って様々な現代文化が中心の首都たるミッドチルダ。しかしそれに伴い、ルーフェンもだが一部の独自文化に関する施設は中々無いのだ。

そうなれば、基礎を教えておいても徐々に歪みが出てしまい、下手すれば体を壊してしまう。

しかし、その面ではリオは、春光拳の師範代の資格を有するノーヴェと、流派は違うが同じ格闘技仲間のヴィヴィオ達が居た。

それにより、リオは歪みが出る事なく鍛練を続けられたのだ。

 

「で……ミカヤお嬢ちゃんは、春光拳の武術書や剣術書がご所望だったかの?」

 

ノーヴェ達が頷いたのを確認したレイは、そう言いながらミカヤを見た。

 

「はい……! そうなんです!」

 

ミカヤは天瞳流抜刀術の使い手であり、師範代の地位に就いている。しかし、未だに納得しておらず、その為に様々な剣術に関する書物を読んでいる。

ルーフェンに来たのも、春光拳の剣術に関する書物が読めるかもしれないからだ。

 

「入門書や教練書でよければ、書庫に山ほど積んであるゆえな。好きなだけ見ていったらええよ」

 

「ありがとうございます!」

 

最悪は読めないかも、と思っていただけに、レイの言葉にミカヤは嬉しそうに頭を下げた。するとレイは、継いでと言わんばかりに

 

「道場の方にも、出向いてみたらよかろうな。春光拳(ウチ)は他流派との練習試合もフツーにしとるでな」

 

「そ……それは、是非とも胸をお借りさせていただければと!」

 

と会話していると、足音が聞こえてきた。そして

 

「総師範。歓談中に失礼します」

 

と一人の小柄な少女が声を掛けてきた。

その服装から関係者で、雑用を請け負ってるのが分かる。

 

「えっと、ミカヤ・シェペルさんという方は……」

 

「あ、私です。どうしました?」

 

ミカヤが問い掛けると、少女は手元のメモ帳を見ながら

 

「ミカヤさん宛に、お荷物が届いています」

 

と伝え、それを聞いただけでミカヤは理由を察した。

 

「あ、私の刀ですね」

 

「ん? どういう事じゃ?」

 

ミカヤの言葉を聞いて、レイは首を傾げた。

するとミカヤが、説明した。

次元船では刀剣の持ち込みは制限されており、旅先に持っていきたいならば、先に配達するように頼むしかないのだ。

ミカヤの説明を聞いたレイは、察したように頷きながら

 

「大変じゃのぉ」

 

と呟いた。

 

「あの、お持ちしましょうか?」

 

「あ、いえ。取りに行きます。それに、緋村くんも居るようですし」

 

少女の問い掛けにミカヤは返答しながら、通路の方に視線を向けて、剣士郎を見た。

剣士郎もミカヤと同じく、刀を発送していたのだ。

すると、レイは

 

「ふむ……タオ、二人を案内してあげなさい」

 

と少女。

タオ・ライカクに指示した。

 

「ついでに、ミカヤ嬢ちゃんを剣術教室に案内しておやり」

 

「はい! 分かりました!」

 

レイの指示にタオは頷き、それを確認したレイはノーヴェを見て

 

「ノーヴェ師範たちは、子供らに合流してやると良いじゃろ」

 

「はいっ! じゃあ、ミカヤちゃん。荷物は部屋に運んどくな」

 

「うん、ありがとう」

 

ノーヴェは刀を取りに行くミカヤの代わりに、ミカヤの荷物を部屋に運ぶ為に、キャリーバッグの取っ手を掴み

 

「では、総師範。失礼します!」

 

「おー。怪我せんようにの」

 

ノーヴェ達を見送ったレイは、門下生達の様子を見に行こうとしたのか、歩こうとしたが

 

「……む、そういえば……注意を伝え忘れとったな……ま、ええか。あの嬢ちゃんもだが、坊主も大分強いしの」

 

と何やら思い出した様子だが、気楽な様子で再度歩き始めたのだった。

それから数十秒後、道場全体に一人の少女の悲鳴が響き渡った。


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