合流したヴィヴィオ達は中庭に集まると、昼食を採り始めた。昼食のお弁当はリオの親族が作った物のようで、あまり見たこと無い料理が詰められている。
そこにはミカヤも居て、リオはある提案をミカヤにした。それは、リオの故郷に行く事だった。
リオの故郷にはリオが使う格闘技の流派、
ミカヤはそれに興味があり、参加する事にした。
そして昼食が終わり、解散しようとした時、ミウラの動きを見たユミナが
「待って、ミウラ選手」
とミウラを呼び止めた。
「は、はい。なんでしょうか?」
「もしかしてだけど……オーバーワーク気味で、少し体が痛いのかな?」
ユミナの指摘に、ミウラは驚きで固まった。
すると、ミカヤと一緒に来ていたノーヴェが
「ああ、確かにヴィータの姉御やザフィーラの旦那から言われてたな。適度に休めって」
とミウラを見た。どうやら、指導者のヴィータやザフィーラも気にしていたようだ。
「け、けど……ボクは、鍛練不足ですから……」
「焦る気持ちは分かるけど、焦りすぎも禁物だよ! 最悪、体を壊しちゃうからね!」
ミウラの言葉を遮る形で、ユミナがミウラのおでこを軽く突っついた。
「緋村くんの飛天御剣流もだけど、ミウラ選手の抜剣は体への負担がかなり大きいんだから、無理は厳禁!」
ユミナはそう言って、ミウラにベンチにうつ伏せになるように促した。それを確認したユミナは、その上に跨がり
「ちょっと今から、体を解すからね」
と言って、特技のマッサージ施術を開始した。
「わ……ふわわっ……!?」
普通のマッサージではなく、魔導マッサージは初めてなのか、ミウラは戸惑いの声を漏らしながら、体をビクビクと震わせた。
「そういえば、ユミナ先輩。魔導整体士の資格取ったって聞きましたけど……」
「大会中に、一級を取ったんだー♪」
コロナからの問い掛けに、ユミナは朗らかに答えた。勿論、ミウラへの施術はしながらになる。
ちなみに一級となると、専門店で働けるレベルである。
「これは私の持論なんだけどね……選手の体って、選手本人の努力とコーチ達の指導の結晶……一つの芸術作品だと思ってるの……そんな芸術作品に手を入れるんだから、生半可な技術で触る訳にはいかないって、頑張ってきたんだ……」
ユミナはそう言いながら、ミウラの体のダメージを癒していく。その動きは一切の淀みが無い為、一生懸命に努力してきた事が窺える。
「っと、終了だよ……はい、軽く動いてみて」
ミウラの背中から退くと、ユミナはミウラにそう言った。それを聞いたミウラは、周囲を軽く確認して
「は、はい……では」
と本当に軽くだが、蹴りを放った。すると、驚きの表情を浮かべて
「す、凄い! 体が軽いです!」
と声を上げた。
どうやら、効果覿面だったらしい。
「練習するのは良いけど、無理はしないように」
「は、はい! ありがとうございます!」
ユミナの言葉に、ミウラは頷いた。それを聞いたユミナは、次に剣士郎の方を見て
「はい、緋村くんもやるよ!」
と剣士郎の手を引いた。
「今か?」
「忘れないうちにね」
剣士郎の問い掛けに、ユミナは力強く告げた。
そしてユミナは、剣士郎に施術をしながら
(あれから結構経つのに、体にかなりのダメージがある……負担が大きすぎるんだ、あの奥義って……)
と思った。
その後も施術を続け、改めてリオの故郷に行く事を確認し、全員で文化祭に戻っていった。
そして文化祭は、無事に終わりを迎えたのだった。