コロナに感染し、倒れてました
「イクスが起きたって本当!?」
「イクス!」
小さいイクスヴェリアが現れた翌日、連絡を受けたヴィヴィオとスバルが聖王教会に来た。
そして、眠っているイクスヴェリアの上に居る小さいイクスヴェリアを見て固まった。
すると、セインが画面を開いて
「私達もさっき知ったんだけど、今のイクスって脳は覚醒状態なんだって……」
と説明を始めた。
以前の検査では分からなかったが、今のイクスの脳は殆ど健常者と同じ覚醒状態らしい。しかし、体は眠った状態。
恐らくだが、脳が何らかの魔法を発動し、魔力で体を形成し、それに意識を接続しているのではないか。ということらしい。
「つまり、この小さいイクスもイクス本人ってこと?」
「そういうこと。医師の話だと、近い内に目覚める可能性も高いって」
ヴィヴィオの問い掛けにセインが頷くと、小さいイクスヴェリアがフヨフヨとヴィヴィオとスバルに近付いて、着ていた服の裾を持ち上げて挨拶してきた。
「あはは、ご機嫌よう。イクス」
「久しぶり……って言っていいのかな、イクス」
ヴィヴィオとスバルがそう言うと、イクスヴェリアはコクコクと頷いた。どうやら、直接喋ることは出来ないようだ。
挨拶を終えるとイクスヴェリアは、ヴィヴィオとスバルの手に小さな手を乗せてコクコクと頷いた。するとヴィヴィオが、少し考えてから
「えっと、本当に久しぶりです。何時も来てくれて、ありがとう……かな?」
とイクスヴェリアの意図を察した。当たっている為にか、小さいイクスヴェリアはコクコクと頷いている。
すると、今度はセインやシャンテに近づいた。
「ん? アタシ達なら、任務だから気にしなくても……」
「えっと……何時も話し掛けてくれたりしてくれて、ありがとう……反応は出来ませんでしたが、とても嬉しかったです……だって」
ヴィヴィオの翻訳を聞いたセインとシャンテは、少し恥ずかしそうにしながら
「あ、あははは……変な事、話してなかったよね?」
「き、気にしなくてもいいよ……」
と呟いた。
その後、ヴィヴィオとスバルは一度帰宅して、後日改めて来る事にした。
何せ、スバルは連絡を受けて急いで半休で来た為に、特別救助隊隊舎に戻らないといけないのだ。
「それじゃあ、一度戻って近い内に有給休暇申請出してくるね!」
「はい! そうしたら、一緒にイクスを色々と案内しましょう!」
スバルの言葉を聞いたヴィヴィオは、そう提案した後スバルと別れた。そして後日、学院
「へー! あの眠ってた子、起きたんだ!」
「正確には、魔法で分身体を作って活動してる。ってところみたい」
「でも、起きて良かったね!」
ヴィヴィオの話を聞いて、リオとコロナの二人は嬉しそうに語っている。今居るのは中庭で、他にアインハルトとユミナ、剣士郎も居る。
「それで、ヴィヴィオさん。その方が、この後に来るのですか?」
「はい! もしかしたら、通う事になるかもしれないから、秘密裏にだそうですが」
少し前、学院に常駐しているシスターを介して、ヴィヴィオに話があったのだ。放課後、イクスヴェリアが秘密裏に学院に来るから、案内してほしい。ということだった。
ヴィヴィオはそれに一人ではなく、何時ものメンバーも同行するように頼んでいた。
「しかし、本当に良かったのかな?」
「何がですか?」
「修道騎士の人が居なくて、護衛的な意味は大丈夫なのかい?」
剣士郎の言葉に、ユミナが
「それは、ある意味大丈夫じゃないかな? DSAAでも活躍した皆なら、並大抵な相手は」
と一同を見た。
確かに、そういった心配は、大丈夫そうなメンバーである。そこに
「ごめんねー!」
「遅くなったあ!」
とセインとシャンテの二人が来た。しかし、イクスヴェリアの姿は無い。
「あれ? イクスは?」
「ふっふっふ……それだったら」
「じゃあーん! どうよ!」
ヴィヴィオが問い掛けると、セインとシャンテは自信満々といった様子でシャンテが持っていたバスケットの蓋を開けた。すると中に、イクスヴェリアが居た。
バスケットの中を見ると、人形用らしいベッドや机、椅子がある。
まるで、小さいドールハウスといった様相だ。
「わあ! 可愛い!」
「セイン、これは……」
「どうも、この小さいイクスの体力はあんまり無いみたいでね。移動とかは、この中に入れてあげて」
そのバスケットを見たヴィヴィオが問い掛けると、セインが軽く説明した。やはり寝たきりな為か体力は少ないらしい。それを補う為に、バスケットを作ったようだ。
「うん、分かった!」
ヴィヴィオがバスケットを受け取ると、それまでリオやコロナの話を聞いていたイクスヴェリアがバスケットの中に入った。それを確認したヴィヴィオは
「それじゃあ、行っくよー!」
と朗らかに、歩き出した。