魔法少女リリカルなのは 集う英雄達    作:京勇樹

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遅くってすいません

冥夜と武の葛藤部分を書いてたら時間が掛かりました


捜査開始! そして、翠屋

地球 海鳴市郊外

 

コテージ

 

「さて……それじゃあ、改めて今回の任務を説明するよ」

 

「「「「「はい!」」」」」

 

なのはがモニターを表示しながら言うと、フォワード陣はうなずいた

 

「捜索域はここ。海鳴市の市全域……反応があったのは……こことここ。それと……ここ」

 

「移動してますね」

 

なのはが示した地点を見て、ティアナが呟いた

 

「そう。誰かが持って移動してるのか……独立して動いてるのかわからないけど」

 

ティアナの言葉に、フェイトが答えると、なのはが説明を再開した

 

「対象ロストロギアの危険性は、今の所確認されてない」

 

「仮にレリックだとしても……この世界には魔力保有者が滅多に居ないから、暴走の危険性はかなり低いね」

 

フェイトの説明をなのはが補足すると、フォワード陣は黙って聞いていた

 

「それじゃあ、副隊長達は後から合流してもらうとするから、先に」

 

と言った時、ドアが開いて

 

「すまんな。遅れた」

 

「ごめんなぁー」

 

シグナムを先頭に、はやて達が到着した

 

「あ、はやてちゃん。大丈夫だよ。今説明が………」

 

なのははそこまで言って、固まった

 

「当麻くんに、なにがあったの?」

 

全員の視線の先には、凄く疲れた様子の当麻が居た

 

「すみません、お願いします。なにも聞かないでください………」

 

「聞いてごめん。だから落ち着いて」

 

当麻の言葉と少し焼け焦げた服から、なのはは悟ったのか謝った

 

なお、当麻が着ている服ははやてが通販で買った物らしく、サイズはピッタリだった

 

当麻が、何時サイズを測ったのか聞いたら

 

「寝てる間に、チョチョイと!」

 

と、ドヤ顔で宣言していた

 

閑話休題

 

「それじゃあ、私と当麻くん。それとシャマルは設営しとるからなー」

 

はやてに見送られて、フォワード陣は出立した

 

なお、指示内容は以下の通りである

 

スターズ リインとなのは。ティアナとスバル及び古菲に別れて市内を捜索

 

ライトニング 市内各所にサーチャーを設置

 

アサルト ライトニングの手伝い。終了後はライトニングと共に市内の捜索へ

 

場所は変わって、市内

 

「リイン、久しぶりの海鳴市はどう?」

 

「う~ん、やっぱり懐かしいですぅ! ……なのはさんは?」

 

リインとなのはの二人は、懐かしの地元で話が盛り上がっていた

 

「私は懐かしいっていうより……あれ? 仕事中なのに戻ってきちゃった? ……みたいな感じかな?」

 

「あはは、なるほどですぅ」

 

そのまま二人は、楽しそうに会話を続けながら捜索を続けた

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

「つーか、ホントにミッドのちょっと田舎と、大差ないわね……街並みも人の服装も」

 

「う〜ん、私は好きだな〜こういう感じ」

 

ティアナとスバルの二人は、捜索をしながら市内の様子を見ていた

 

すると、一緒に来ていた古菲が

 

「私としては、むしろミッドが驚きネ」

 

と、古菲が呟いていると

 

「あ! ねえティア、あれってアイス屋さんかな?」

 

と、スバルが一角に車式のアイス屋を見つけた

 

「うん。そうかもね……って、任務中なんだから、買い食いはやめなさいよ! みっともない!」

 

「うぅ~、だってー」

 

と、スバルが未練タラタラに見ていたら

 

「はいはい、さっさと行くアルよー」

 

と、古菲がスバルの襟を掴んで引きずり始めた

 

「古菲、そのままお願い」

 

「了解アル」

 

「あー、アイスーー」

 

スバルの残念そうな声と、引きずる音が響いた

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

「本当に、平和な所なんですね……」

 

「本当だね……」

 

「まぁ、確かに日本は比較的平和ですね」

 

エリオ、キャロ、刹那の三人は兄妹という感じで歩きながらサーチャーを設置していた

 

「キュク~~」

 

「あ、フリード。カバンから出ちゃ駄目だよ」

 

カバンの蓋が少し浮いて、フリードが出たそうに鳴くが、キャロが注意すると

 

「キュクル~~」

 

と、残念そうに鳴いて引っ込んだ

 

「早く終わらせて、フリードを出してあげましょう」

 

「「はい!」」

 

刹那の言葉に二人が頷くと、設置を続けた

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

「本当に平和なのだな、この世界は………」

 

「だな。でも少しばかり、平和ボケしすぎな感じもしないでもないがな」

 

という冥夜と武の言葉に、明日菜は苦い顔をして

 

「そういえば、あんた達は兵士だったのよね」

 

と聞いた

 

「ああ、そうだよ」

 

「うむ。我らの世界では日本は最前線だったからな」

 

二人は複雑な感情が入り混じった表情をしながら、頷いた

 

「大変だったのね、あんた達も………」

 

明日菜は感慨深げに頷きながら、呟いた

 

三人は注意深く歩きながら、サーチャーを設置していった

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

「ふむ、久しぶりに来たが。少し変わったか?」

 

「そうですね。少しばかり、科学的な物が多いですね」

 

「あそこには、ドラム缶みたいなロボットがありますし」

 

「学園都市の科学技術とやらかな?」

 

アサルトとライトニングの隊長陣の四人は、ものめずらしそうに歩きながらサーチャーを設置していた

 

すると、なにかに気付いたのかシグナムが

 

「そういえば、別世界とはいえ神代とスプリングフィールドも地球出身だろ? どうだ?」

 

と、二人に問いかけてきた

 

「僕はイギリスのウェールズの隠れ村の出身ですが、麻帆良学園に雰囲気が似てるので、好きですね!」

 

と、ネギは嬉しそうに語るが冬也は

 

「俺は基本的に、最前線か後方の研究所にしか居なかったからな。こういう平和とは無縁だったよ」

 

と、無表情に語った

 

「なに?」

 

シグナムが肩眉を上げていぶかしむと、フェイトが慌てて

 

「あ、シグナム。冬也さんは本当に最前線しか知らないみたいなの……小さい時から」

 

と説明すると、シグナムは

 

「む、そうだったのか。すまない」

 

「いや、構わん」

 

と、話しながら設置を続けた

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

その頃、ロングアーチ

 

「サーチャー動作確認、順調よ」

 

「ん。これなら、夜までに結構進むな」

 

「はい」

 

シャマルとはやてが機材の確認を行っていた

 

すると、ドアが開いて

 

「おーい、はやて! これで大丈夫か?」

 

なにやら設置していたらしい当麻が、はやてに確認を仰いだ

 

「はいはい、ちょう待っててな~」

 

当麻に呼ばれたはやては、パタパタと小走りで外に向かった

 

それを見ていたシャマルは

 

「まるで、夫婦みたいなやり取りね」

 

と、微笑んでいた

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

「なのは達、相変わらず頑張ってるみたいね」

 

「うん。晩御飯とかは、私達で用意しておこう? せっかくコテージなんだし……バーベキューとかいいんじゃないかな?」

 

アリサが運転する車の中、アリサとすずかは笑顔で話していた

 

「いいわね! なのはの生徒さん達、たっくさん食べそうだし。たっぷり買出しいっとこうか!」

 

「うん! それにしても」

 

「ん? どうしたのよ」

 

すずかが首を傾げると、アリサが問いかけた

 

「家で預かってる御坂さんの知り合いが居るなんて、思わなかったな~」

 

「御坂って………ああ、元学園都市の女の子?」

 

「そう。そういえば、アリサちゃんも預かってたよね? 白髪の男の子と小さい女の子」

 

とすずかが問いかけると、アリサは少し唸って

 

「確かに預かってるけど……ったく、あいつは朝から何処をほっつき歩いてるんのよ!」

 

と、少し怒っていた

 

「また? まぁ、夜には帰ってるんでしょ?」

 

「そうだけど……預かってる身にもなれってのよ……」

 

と、アリサはブツブツと文句を言いながら運転を続けた

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

全員がサーチャーの設置が終わった頃

 

『ロングアーチからスターズとライトニング。それとアサルトへ』

 

はやてから通信が全員に入った

 

『さっき、教会本部から新情報が来てな。問題のロストロギアの所有者が判明したそうや。どうやら、運搬中に喪失。事件性は皆無やって』

 

『本体の性質も逃走のみで、攻撃性はないそうよ……ただし、大変高価なものなので、出来れば無傷で捕まえてほしいとのことよ』

 

はやての説明を、シャマルが補足した

 

最後にはやてが

 

『ってなわけで、気ぃ抜かずにしっかりやろ』

 

『『『『『了解!』』』』』

 

はやての言葉に全員の斉唱が響き、通信は終わった

 

すると、なのはは

 

「手ぶらで帰るのもなんかな~」

 

と、ポケットから携帯を取り出して

 

「あ、お母さん? なのはです」

 

どうやら、実家に電話を掛けたようである

 

「「え?」」

 

それを聞いたティアナとスバルは、驚いた様子でなのはを見ていた

 

「にゃはは……お仕事で近くまで来てて……そうなの……うん、ホントすぐ近く。でね、部隊の皆にうちのケーキ、差し入れでもっていってあげたいから——」

 

と、なのはが話していると

 

「なのはさんの……お母さん」

 

「それは……存在してて当たり前だけど……」

 

スバルとティアナが呆然としていた

 

「生きてるのは当たり前ネ」

 

何気に失礼なことを言っていた二人を古菲が突っ込んでいたら、電話が終わったのか、なのはが振り向いて

 

「ライトニングとアサルトにも連絡したし、ちょっと寄り道しようか?」

 

「はいですぅ~♪」

 

なのはの言葉に、リインは嬉しそうに頷いていた

 

すると、スバルが手を挙げて

 

「あの……今、お店って……」

 

と質問すると、なのはは笑顔で

 

「うん、私の家。喫茶店なんだ」

 

「喫茶翠屋! ここら辺じゃ人気の喫茶店なのですよ!」

 

「「え、ええー!?」」

 

なのはとリインの言葉に、スバルとティアナは驚いていた

 

ちなみに、古菲は

 

「ほう、喫茶店アルか」

 

と、頷いていた

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

一軒の喫茶店の前に、一台の車が止まった

 

「ここがそうなのか?」

 

車から降りながら、冬也がフェイトに問いかけた

 

「はい、なのはの実家が経営している喫茶翠屋です」

 

フェイトは車のドアを閉めると、喫茶店に入った(ネギ達は、シグナムが運転している車で来た)

 

「いらっしゃーい♪ フェイトちゃん、久しぶり~」

 

冬也達を出迎えてくれたのは、若い女性だった

 

「桃子さん。お久しぶりです」

 

フェイトは微笑みながら、挨拶した

 

すると、ネギが

 

「あの、フェイトさん。こちらの女性は?」

 

「ああ、ごめんね。こちらの方は、なのはのお母さんの……」

 

「高町桃子です、よろしくね♪」

 

フェイトに続くように、桃子が自己紹介すると、しばらく静まり

 

「「「「「お母さん!?」」」」」

 

ほぼ全員が驚いていた

 

すると、冬也が

 

「フェイトよ……」

 

顔をフェイトに向けた

 

「はい、どうしました?」

 

「この世界では、不老不死の研究でも成功していたのか?」

 

冷静に見えるだけで、冬也が一番混乱していた

 

「気持ちはわかりますが、落ち着いてください」

 

と、フェイトが落ち着かせていると

 

「お? フェイトちゃんか。久しぶりだね」

 

「久しぶり~」

 

スバルやティアナと話していた男性と眼鏡を掛けた女性が近づいてきた

 

「お久しぶりです。士郎さん。美由希さん。みんな。こちらは、なのはのお父さんとお姉さんの……」

 

「なのはの父で、高町士郎だ。よろしく」

 

「私が姉の高町美由希です。よろしくね」

 

「「「「「…………」」」」」

 

二人の自己紹介に全員、沈黙しかなかった

 

母親だけでなく、父親も姉も若かった

 

総じて、二十代にしか見えない

 

「フェイト……」

 

「気持ちはわかりますが、落ち着いてください」

 

冬也は再び、混乱の極みに達していた

 

「そういえば、お父さん。お兄ちゃんは?」

 

ふと思い出したのか、なのはが問いかけると

 

「恭ちゃんだったら、いったん二日前に帰ってきたけど、忍さんとまたロンドンに行ったよ」

 

と、美由希が返答した

 

「そっか、タイミング悪かったな~」

 

なのはが残念そうにしていると

 

「お兄さん……ですか?」

 

と、ネギが問いかけた

 

「そうだよ…っと、君は?」

 

「あ、失礼しました。僕は民間協力者のネギ・スプリングフィールドと申します」

 

士郎の問いかけに、ネギが挨拶しているとそれに続くように

 

「同じく、民間協力者の神代冬也」

 

「白銀武です」

 

「御剣冥夜です」

 

「神楽坂明日菜よ」

 

「古菲アルね」

 

「桜咲刹那です」

 

と自己紹介をした

 

「よろしくね。そうだ、コーヒーと紅茶でもどうかな?」

 

と、士郎が聞くと

 

「あ、すいません。それじゃあ、僕は紅茶でお願いします」

 

「む、俺はコーヒーを頼みます」

 

「俺もコーヒーで」

 

「私も」

 

と、ネギたちは頼んでいった

 

それをフェイトは微笑みながら見ていた

 

視線の先では、エリオとキャロがクッキーを食べている

 

すると、目の前にカップが出されて

 

「フェイトちゃんはコーヒーだよね?」

 

気付けば、士郎が居た

 

「あ、ありがとうございます」

 

フェイトは一瞬驚いたが、すぐに受け取り、口に含んだ

 

「おいしいです」

 

「それはよかった」

 

そう言いながら士郎は、柱に寄りかかった

 

しばらくの間、沈黙が続いて

 

「彼、何者だい?」

 

と、指差した先に居たのは冬也だった

 

「えっと、どういう意味ですか?」

 

フェイトは訳がわからず、首をかしげた

 

「さっき軽く握手してわかったが、そうとうの手練れだね。しかも、私と同じ、殺し合い経験者だね?」

 

士郎の鋭い指摘に、フェイトは一瞬驚くが

 

「はい。彼は八歳から最前線で戦ってきた人で、私達の中ではダントツの実戦経験保持者です。親は居なくて、自ら望んで戦場に立っていたらしいんです」

 

「八歳から……しかも、親無しか……」

 

フェイトの言葉に士郎は、しばらく黙ると

 

「危ういね」

 

と、呟いた

 

「危うい?」

 

フェイトが首を傾げると、士郎はうなずいて

 

「ああ。彼の眼にあったのは、深い悲しみと絶望だった」

 

「深い悲しみと絶望……」

 

士郎の言葉に、フェイトは視線を冬也に向けた

 

「あの歳であの眼が出来るんだ。彼、相当の地獄を歩いてきたんだろうね。故に、自分の身は省みない。違うかい?」

 

士郎の言葉は的を射ていた

 

冬也は大怪我をしながら、ネギたちを守り

 

怪我を押して、フェイトを身を挺して守った

 

フェイトが黙っているのを肯定と取ったのか、士郎は続けて

 

「彼を支える人物が居ないと、彼、死に急ぐよ?」

 

と語った


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