魔法少女リリカルなのは 集う英雄達    作:京勇樹

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本編じゃなくてすいません


ちびっこ冬也 2

はやての執務室から出たフェイトは、子供状態の冬也を抱えて、食堂に向かっていた

すると、前方の曲がり角

シャワールームの方から訓練上がりなのだろう

フォワード陣が現れた

そして、フェイトに気付いたらしく

 

「あ、フェイトさん」

 

とエリオが名前を呼んだ

エリオが名前を呼んだことにより、フォワード陣全員がフェイトに視線を向けた

そして、首を傾げた

 

「フェイトさん、その子供は……?」

 

「保護児童ですか?」

 

エリオと冥夜が問い掛け、ティアナは顎に手を添えて

 

(あの子供……なんか見覚えが……)

 

と思った

そして、フェイトが教えようとした

その時

 

《魔力波照合………冬也殿と判断します》

 

とクロスミラージュが告げた

それを聞いて、ティアナは右の拳で左掌を叩いて

 

「そう! 冬也さんよ! …………え?」

 

固まった

そして、数秒後

フォワード陣全員の叫び声が、隊舎に響き渡った

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

「ロストロギアで、子供まで時間が………」

 

「そうなんだ……一応、データだと二日位で元に戻るみたいだけどね」 

 

フォワード陣に説明し終えるとフェイトは、自身の横の席に座らせていた冬也の頭を撫でた

今、全員が居るのは食堂である

丁度よく昼飯を食べに行こうとしていたので、ついでに説明したのだ

なお、冬也の分はフェイトが買った

 

「それで、戻るまでの間はフェイトさんが面倒を見ると?」

 

「うん。そうなってるね」

 

スバルの問い掛けに答えた後、フェイトは隣の冬也が料理を見て固まっているのに気付いた

 

「どうしたの、冬也?」

 

フェイトが問い掛けると、冬也はフェイトを見上げて

 

「これ、食べていいの?」

 

と問い掛けた

その問い掛けに、フェイトは頷いてから

 

「食べていいんだよ」

 

と答えた

なお、冬也の前にあるのは、無難にカレーである

フェイトの言葉を聞いて、冬也は不器用ながらもスプーンを握って食べ始めた

それを見てか、スバルが

 

「フェイトさん……この頃の冬也さんって……」

 

「………兵器扱いされてた頃だよ……」

 

スバルの問い掛けに、フェイトは辛そうに答えた

するとスバルは、少し俯いて

 

(私も、少し違ったらこうだったのかな………)

 

と思った

彼女、スバル・ナカジマは戦闘機人だ

それは、スバルの姉のギンガも同じだ

スバルとギンガは母たるクイントが存命だった時、ある研究所にて見つけられたのだ

そして、見つけた二人を保護したのが母

クイント・ナカジマだった

母と言ったが、実の母ではない

スバルとギンガの二人は、クイントの遺伝子を使って作られた戦闘機人なのだ

それを知ったクイントは、二人をまるで実の娘のように育てたのだ

普通の人と同じように

だが、もし保護されなかったらどうなっていたのか

恐らく、この冬也と同じように兵器として扱われていただろう

下手したら、フェイトやなのは達と敵対していたかもしれない

そう想像するだけで、スバルの体が震えた

すると、ティアナがスバルの頭に手を置いて

 

「たられば考えてるんだろうけど、そんなこと考えても仕方ないわよ」

 

と言った

 

「ティア……」

 

「今、スバルはここに居る……人として……それでいいじゃない」

 

「……うん」

 

ティアナの言葉を聞いて、スバルは微笑みを浮かべた

その十数分後、食事は終わった

そして、午後の訓練を冬也が見学することになった

 

「あれ、フェイトちゃん? 冬也さん連れてきたんだ」

 

「うん。見てみたいって言ってたから」

 

なのはの問い掛けに、冬也の手を引いてたフェイトが答えた

その間に、フォワード陣は訓練場に入った

今回はどうやら、廃棄都市らしい

シチュエーションとしては、廃棄都市を侵攻してくるガジェットとドールを迎撃

撃破するというものだろう

フォワード陣の動きは初めの頃とは違い、有機的で見事な連携だった

そして、その訓練は五分程で終わった

なのはは一連の動きを見て、ヴィータと何か話し合っている

フェイトは満足そうに頷いていた

すると、フェイトの手を冬也が軽く引っ張った

 

「どうしたの?」

 

視線を合わせたフェイトが問い掛けると、冬也は訓練場を指差して

 

「……あれ、僕にも出きる?」

 

とフェイトに問い掛けた

それを聞いて、フェイトはなのはに視線を向けて

 

「なのは、冬也さんも出きる?」

 

と問い掛けた

すると、なのはは

 

「うん、出きるよ。ただ、素手じゃなくて、この中からデバイスを選んでね」

 

と、予備らしいデバイスを納めた棚を出した

なお、冬也のデバイスたる夜叉は現在フルメンテナンス中だ

夜叉は独自の機能が多数あるので、フルメンテナンスに時間が掛かるのだ

 

「冬也。これの中からデバイスを選んでだって」

 

フェイトがそう説明すると、冬也は棚の中のデバイスを見てから

 

「じゃあ……これ」

 

と剣型のデバイスを選んだ

長さ的には普通の片手剣サイズだが、今の冬也には長く、背負っても剣先が地面に擦るだろう

それを見て、なのはが

 

「貸して、長さを調整するから」

 

と言って、冬也から剣を預かった

そして、丁度いい長さにすると冬也に渡した

冬也は少し振るうと、訓練場に入った

 

「難易度は、どうする?」

 

『いいよ……そっちの好きで』

 

冬也の言葉を聞いて、なのはは少し考えて

 

「じゃあ、難易度B。総数は二十で」

 

と告げた

そして、訓練が始まった

始まると、冬也は一目散にガジェットとドール目掛けて駆け出した

ガジェットとドールは接近してきた冬也を狙い、機銃やレーザー、ミサイルを放った

ミサイルは疑似的に再現したものだが、機銃やレーザーは本物だ

当たれば怪我をする

本来の冬也だったら、最低限の回避行動を取る

かすり傷程度は無視するが

だが、今の子供冬也は回避行動を取ろうとしなかった

 

「ちょっ!?」

 

「まさか!?」

 

ヴィータとなのはが驚いた直後、冬也の全身に攻撃が直撃した

だが、冬也は止まらなかった

血に塗れながらも、ガジェット・ドール混成部隊に肉薄した

そして、剣を振るった

それで一機のガジェットが爆散するが、飛び散る破片も無視

それで傷つくが、冬也は気にした様子もない

そんな冬也目掛けて、ドールが光剣を振り下ろした

その光剣を、冬也は剣で防がずに素手で掴んだ

それにより、冬也の左手が焼かれていく

冬也はそれを気にせず、右手に持った剣で真っ二つに切り裂いた

被弾無視

その分、攻撃と速さに魔力を割り振ってるのだ

しかし、防御無視を補って余りある能力

《魔力がある限り、回復する》

それを使っての、ごり押し

 

「なのは、止めて!」

 

「つっ!」

 

フェイトの叫び声を聞いて、なのはは反射的に従った

それによりシミュレーションは終わり、ガジェットとドールは消えた

それを冬也が不思議そうにしていると、フェイトが飛んで近づき

 

「冬也……今の戦い方はなに?」

 

と冬也に問い掛けた

すると冬也は

 

「……戦い方は、教わらなかったから、戦場で我流」

 

と答えた

それを聞いて、フェイトは歯噛みした

冬也の周囲に居た大人達は、誰も止めなかった

兵器だから、化け物だからと

むしろ、それを押したのだろう

だから、冬也はその戦い方を変えなかった

変える必要が無かったからと

死なないからと

フェイトは拳を握り締めて

 

「いい、冬也? そういう戦い方はしちゃ駄目……相手の攻撃は避けるか防御してね?」

 

「どうして?」

 

「冬也が痛くないし、そんな戦い方をしたら、私達も悲しいから」

 

フェイトの言葉を聞いて、冬也はしばらく黙った

そして

 

「…………わかった」

 

と頷いた

それを見て、フェイトは冬也を抱き上げた

 


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