魔法少女リリカルなのは 集う英雄達    作:京勇樹

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無限書庫へ

時空管理局本局、住宅区画。

ここは、時空管理局本局に勤める局員やその家族。それだけでなく、やむにやまれぬ事情で、引き取られた子供達等が住んでいる場所である。

 

「うぉー! 凄い広ぇー!!」

 

「ここだけで、完全に町になってますねえ……」

 

中を初めて見たのか、ハリー達が興奮している。すると、冬也が

 

「デバイスを出してくれ。今から、割り振られた部屋のデータを送る」

 

と自身のデバイスを掲げた。そして冬也が、各人に使い捨て式のキーコードデータを送っていた時

 

(という訳で、こっちはこんな関してなんやけど……そっちはどうや? ルー子?)

 

(はいはーい。こっちも順調ですよー♪)

 

場所は変わって、あるホテル

そこにはルーテシアが泊まっているのだが、はやてのある考えで、アインハルト達の話を聞いていたのと、監視を行っていたのだ。

 

「相変わらず、窃視と盗聴は続いてますねー。だけど、大分絞れましたよー」

 

(ごめんなぁ。ルー子も選手なのに、こんなこと頼んで)

 

「いえいえ、得意分野ですから、お任せー」

 

実ははやては、今回の話を誰かが窃視と盗聴をしてくるのではないか、と予想してルーテシアにその逆探知を頼んでいたのだ。

そしてどうやら、その考えは当たっていたらしい。

未だに特定は出来ていないが、何者かが話を盗み聞きしていたようだ。

 

「こっちの対応は、私にお任せですよー」

 

(ありがとうなぁ。今度、当麻君の特製ケーキをご馳走するからなぁ)

 

「期待してまーす!」

 

やはりルーテシアも年頃の少女なので、甘い物には目がない。そういう意味では、ケーキは特上のご褒美だった。

 

「さてさて……まだ続いてるけど……私の逆探知にも気付き始めてきたかな? けど、もう遅いんだよなぁ……さぁて、悪い子は誰かなぁ?」

 

そういうルーテシアの顔は、かなり楽しそうであった。

その盗み聞きしている相手。DSAA参加選手の中では、異彩を放つ選手。ミッドでもベルカでもない古代の魔法の使い手。ファビア・クロゼルグ。

年齢はヴィヴィオと同い年で、実はルーテシアの次の対戦相手でもあり、更にはルーテシアが注目している相手でもあった。

 

「……気付かれた?」

 

その時になって、ようやくファビアは自身の盗み聞きが逆探知されていることに気付いた。しかし、慌てる素振りは無く、立ち上がると周りに居る人形のような使い魔たるプチデビルズの頭を撫でて

 

「無限書庫……行く準備をしようか」

 

と言って、立ち上がった。

そして、翌日の朝。時空管理局本局の無限書庫前に、全員が集まっていた。全員が居るのを確認したヴィヴィオは、先導する形で無限書庫に入った。

入ると、中には様々な書籍が納められた本棚が見えた。

 

「おー……凄い本の数だなぁ……」

 

「ここは、一般解放区画です! 無限書庫で見つかった本の中から、此方に置いても大丈夫な本や重複してる本が置いてあります!」

 

ハリーが驚いていると、ヴィヴィオはそう説明しながら受付に近づいた。すると、座っていた局員も気付いたようで

 

「おはよう、ヴィヴィオ」

 

「一応司書長から聞いてるけど、一般の人達が入るって聞いてるよ」

 

と端末を操作しながら聞いてきた。

 

「えっと、一般というより……こちらのDSAAトップファイターの人達も居ます」

 

「わ、わあ……テレビで見たことある子達が居る!」

 

「サイン貰えるかな……」

 

いくら局員とはいえ、よほどのことがない限り、接点が得られない人物達を前にして、受付の局員達は驚いた。

 

「サインだそうだよ、ジーク」

 

「ウチですか!?」

 

突然話を振られて、驚くジークを端目に

 

「後……こちらのお二人も一緒です」

 

「お疲れ様や」

 

「お疲れ」

 

『お、お疲れ様です!!』

 

ヴィヴィオが視線を向けると、はやてと冬也が軽く挨拶したのだが、受付席に座っていた局員達は緊張した様子で立ち上がった。

まあ、いきなり時空管理局でも有名な二人がいきなり目の前に居るのだから、無理も無いだろう。

そしてヴィヴィオの手続きで、立ち入り制限区画に転移するための転移ゲートの前に立つと

 

「では、今から立ち入り制限区画に転移します」

 

「そして予定しているバランスは、未整理区画と言いまして、先行調査隊により罠等は解除されてる筈ですが、まだ危険なことには変わりません」

 

「それに聞いた話では、古代の魔法使いが放ったらしい危険生物やゴーレム……幽霊が出たこともあるとか」

 

「ウソん!?」

 

幽霊という言葉を聞いて、驚くジーク。そして、震えるエルスとミウラ。どうやら、エルスとミウラは幽霊がダメな様子。

そして一行はゲートを使って、立ち入り制限区画に入った。この立ち入り制限区画は、通常は司書資格を有する人物か局員でも上の階級の人員しか入れないが、今回はヴィヴィオが事前に申請していたので、一応一般人の立ち入りも許可された。

そしてその立ち入り制限区画は、無重力区画になっている。

 

「わ、わ、わ!?」

 

「大丈夫ですか、ミウラさん?」

 

「す、すいません、ヴィヴィオさん……」

 

早速バランスを崩し、あらぬ方向に飛びかけたミウラを、ヴィヴィオが助けた。

 

「わっはっは! どうした、抜剣娘! 体幹がなってないぞ!」

 

「い、いや……リーダーも割りとダメダメです……」

 

「掴まれ、ハリー」

 

ミウラを笑うハリーだが、そんなハリーはグルグルと回っている。そんなハリーをミカヤが捕まえて

 

「あれ、エルスさんは普通に行けるんですね?」

 

「飛行魔法は習得済みですので」

 

リオが視線を向けると、エルスは普通に飛んでいた。どうやら、飛行魔法は覚えていたらしい。

そうして、一行は目的の区画に向かう。

そこで、ある因縁に出会うとは知らずに。


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