魔法少女リリカルなのは 集う英雄達    作:京勇樹

18 / 220
久しぶりの更新です

仕事が忙しくって、書く暇が無いんです

ですが、最後まで書き続けます!


進展

場所 機動六課訓練スペース

 

「おら、行くぞ! デリャァァァァァ!」

 

ヴィータは雄叫びを上げながら、グラーフ・アイゼンをスバルに向けて大きく振るった

 

「マッハキャリバー!」

 

<プロテクション!>

 

スバルが右手を突き出しながら相棒の名前を言うと、障壁が展開された

 

その障壁にグラーフ・アイゼンが当たり、激しく火花を散らした

 

しかも、威力も凄まじいらしく、防いでるにも関わらず、少しずつ後ろに後退している

 

「デリャアァァァァァ!」

 

ヴィータはその体格からは想像を超える力で、スバルを吹き飛ばした

 

「うわぁぁぁ! ガフッ!」

 

スバルは吹き飛ばされた勢いで、数メートル後退して木にぶつかった

 

「ふむ………」

 

それをヴィータは少し観察してから、スバルの方に歩きだした

 

「うぅ……痛たたた……」

 

スバルは背中をぶつけた為に、うずくまっている

 

「……なるほど。バリアの強度自体はそんなに悪くねえな」

 

「……あ、ありがとうございます!」

 

痛みを堪えながら、スバルはヴィータに近づいた

 

ただでさえ、ヴィータのほうが小柄なのに、スバルはローラースケートを履いてるので、尚更身長差が激しい

 

ただし、それを本人の前で言うと命の保障は出来ないので、あしからず

 

「私やお前のポジション……フロントアタッカーはな、敵陣に単身で切り込んだり、最前線で防衛ラインを守ったりが主な仕事なんだ。防御スキルと生存能力が高いほど、攻撃時間を長くとれるし、サポート陣にも頼らねぇで済むって……これはなのはに教わったな」

 

「はい! ヴィータ副隊長」

 

「受け止めるバリア系、弾いて反らすシールド系、身にまとって自分を守るフィールド系、この三種を使いこなしつつ、ポンポンふっとばされねぇように、下半身のふんばりと、マッハキャリバーの使いこなしを身につけろ」

 

「頑張ります!」

 

<学習します>

 

スバルとマッハキャリバーの返事を聞くとヴィータは、アイゼンを突きつけて

 

「防御ごと潰す打撃は、あたしの専門分野だからな……グラーフアイゼンにぶっ叩かれたくなかったら、しっかり守れよ?」

 

「はい!」

 

ヴィータの言葉に、スバルはやる気に満ちた笑顔で返答した

 

第3者sideEND

 

フェイトside

 

「エリオとキャロはスバルやヴィータみたいに頑丈じゃないから、反応と回避がまず最重要。例えば……こうやって……こんなふうに」

 

私はエリオとキャロの前で、スフィアから発射された弾速の遅い魔力弾をステップで避けた

 

「まずは動き回って狙わせない。攻撃が当たる位置に……長居しない……ね?」

 

次に私はマラソンくらいの速度で走りながら、スフィアの魔力弾を避けた

 

「「はい!」」

 

私は二人が返事したのを確認すると、次に移った

 

「これを低速で確実に出来るように出来たら……スピードを上げていく」

 

私が動く速度を上げると、スフィアも攻撃速度と弾速を上げてきた

 

そして私は、あえて止まった

 

すると、周囲のスフィアから一斉に魔力弾が発射され

 

私がさっきまで立っていた場所で、爆発が起きた

 

「「ああ!?」」

 

ふふ

 

二人は私に直撃したと思ったのかな?

 

「……こんな感じでね?」

 

私が二人の背後から声を掛けると、二人は驚いた表情で私を見てから私がさっきまで立っていた場所を見て

 

「す…すごっ」

 

さっき立ってた場所から、ここまでどうやって移動したのか分かり易いように、跡を残しておいた

 

「今のもゆっくりやれば、誰でも出来るような基礎アクションを早回しにしているだけなんだよ」

 

「「は、はい!」」

 

「スピードが上がれば上がるほど、勘やセンスに頼って動くのは危ないの……ガードウィングのエリオは、どの位置からでも攻撃やサポートをできるように。フルバックのキャロは、すばやく動いて仲間の支援をしてあげられるように。確実で、有効な回避アクションの基礎……しっかり覚えていこう」

 

「「は、はい!」」

 

うん、いい返事だね

 

私が満足していると

 

「あの……フェイトさん」

 

ん? エリオから質問は珍しいね

 

「どうしたの?」

 

「冬也さんや武さん達の動きは……どうなんですか?」

 

そう言ってるエリオの視線の先では、冬也さん対武くんと冥夜ちゃんという構図で模擬戦を行ってる

 

武くんと冥夜ちゃんは複雑な三次元機動で常に死角を取ろうとしてる動き

 

それに対して、冬也さんは踊るように動いている

 

「冬也さんの動きは経験に裏打ちされてる動きだね。武くんは直感もあるけど、常に死角を取ろうとしてる。冥夜ちゃんの動きはそれの我流昇華だね」

 

三人は激しい動きをしながら、模擬戦を行っている

 

だけど、私には冬也さんしか見えていなかった

 

なぜか、冬也さんの背中からは

 

悲しい雰囲気があった

 

それが強く深く、心を打つ

 

「フェイトさん?」

 

「ああ、ごめんね。つまり、冬也さんたちは経験に裏打ちされた動きなの。でも、エリオやキャロはまだ経験が浅いから、今は基本が重要なんだ。わかったかな?」

 

「「はい!」」

 

うん、元気だね

 

フェイトsideEND

 

第三者side

 

「はぁー……当麻さんは格闘技が上手いですね」

 

と感嘆した声を出したのは、茶々丸と格闘技の組み手をしているネギである

 

視線の先では、当麻が古菲に格闘技を教えてもらっている

 

「いやまぁ、今まで右手一本で戦ったり、学園都市の不良たちを相手に喧嘩してたからな」

 

当麻はそう言いながら、体を動かしている

 

「いや、実際に動きがいいアルね。飲み込みも早いアル」

 

古菲は感心したように頷いている

 

「あんがとよ。しかし、悪いな。教えてもらって」

 

「いやいや、あんな真剣に頼まれたら、断れないアルよ」

 

初出動の後、当麻はこのままじゃマズイと思い、翌日の朝連の前に古菲に『格闘技を教えてくれ!』

 

と頼んだのだ

 

その時の当麻の必死さに、古菲は感心して教えることにしたのだ

 

「そういえば、当麻殿は学園都市の学生と言ってたでござるな」

 

「そうだけど」

 

「それがどうして、大戦に?」

 

楓に聞かれると、当麻は頬を掻いて

 

「まあ、はやてにも言ったんだが……やりたかったからなんだ」

 

「当麻さんが」

 

「やりたかったから?」

 

当麻の言葉に、ネギ達は首を傾げた

 

「おう。俺はな、俺の手の届く範囲で、誰かが不幸になるのをほっとけないんだ」

 

当麻はそう言いながら、拳を握り、空を見上げた

 

ネギ達はその当麻の表情を見て、息を呑んだ

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

場所は変わり、そこには色とりどりの魔力弾が動き回っていた

 

「うん、いいよティアナ。その調子!」

 

「はい!」

 

そこでは、ティアナをなのはが指導していた

 

ティアナの周囲で飛んでいる魔力弾は、色事に特性が違っており、それに対して瞬時に対処する訓練である

 

「ティアナみたいな精密射撃型は、いちいち避けたり受けたりしてたんじゃ、仕事ができないからね」

 

そう言ってなのはは、2色の魔法弾を飛ばす用意をした

 

「!? バレット! レフトV、ライトRF!」

 

<警告!>

 

後方から魔力弾が接近していて、クロスミラージュが警告を出した

 

「!?」

 

ティアナはそれを横に転がり、回避した

 

「ほら、そうやって動いちゃうと後が続かない!」

 

なのはは注意しながら、2発の魔力弾を発射した

 

<バレット、VアンドRF!>

 

ティアナが立ち上がると同時に、魔力弾の準備が完了した

 

ティアナは瞬時に銃口を向けて、魔力弾を発射した

 

「そう、それ! 足を止めて視野を広く…… 射撃型の真髄は?」

 

「あらゆる相手に、正確な弾丸をセレクトして、命中させる……判断速度と命中精度!」

 

なのはの問いかけに、ティアナは的確に答えた

 

「チームの中央に立って、誰より早く中長距離を制する。それが私やティアナのポジション、センターガードだよ」

 

「はい!」

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

しばらくして

 

「はーい! 午前の訓練、終了ー!」

 

笛の音と共に、なのはの声が訓練場に響き渡った

 

「「「「ハア………ハア………ハア」」」」

 

フォワード陣は肩で大きく息をしながら、座り込んでいる

 

「個人スキルの練習だけど、ちょっとキツいでしょ?」

 

「ちょっとと……言うか……」

 

「……その……かなり……」

 

新人達は返事も疎らに、息を整えるので精一杯だった

 

「フェイト隊長は忙しいから、そうしょっちゅう付き合えないけど、私は当分お前らに付き合ってやるからな」

 

「あ、ありがとうございます」

 

ヴィータ副隊長の言葉に、スバルは苦笑いをした

 

訓練を思い出したらしい

 

「ライトニングの二人は特になんだけど、スターズの二人もまだまだ身体が成長している最中なんだから、くれぐれも無茶はしないように」

 

「「「「はい」」」」

 

「武くんや冥夜ちゃんは自分で出来るよね?」

 

「「はい!」」

 

フェイトの言葉に、全員が頷くと

 

「じゃ、お昼にしよっか」

 

「「「「「はい」」」」」

 

お昼ということになった

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

場所は変わって、隊舎前

 

「あ、皆おつかれさんや」

 

「「「「「はい!」」」」」

 

シャワーを浴びるため寮に向かっていると、どこかに出かけようとしてるはやてとリインと出会った

 

「はやてとリインは外回り?」

 

「はいです。ヴィータちゃん」

 

「うん、ちょうナガジマ三佐と話してくるよ」

 

そう言うと、はやては顔をスバルに向けて

 

「スバル、お父さんやお姉ちゃんに、なにか言うことあるか?」

 

と聞くと

 

「いえ、大丈夫です」

 

スバルは手を振って遠慮した

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

場所は変わって六課の食堂

 

とある一角のテーブルには、山と盛られたパスタとサラダがあった

 

最初はそれに驚いていた武達だったが、流石に慣れた

 

そんなメンバーは全員、さきほどはやてが言っていたスバルの父親の話で盛り上がっていた

 

「なるほど、スバルさんのお父さんと、お姉さんも、陸士部隊の方なんですね」

 

「うん、八神部隊長も一時期、父さんの部隊で研修してたんだって」

 

「へぇ」

 

エリオの質問に、スバルは食べながら喋っている

 

「スバル、食いながら喋んな。ああ! 飛んでるから!」

 

隣に座っていた武が、ナプキンでスバルの口元を拭いている

 

「すいません、武さん。昔から何度も言ったんですが……」

 

そんな武に、ティアナは申し訳無さそうに頭を下げた

 

「いや、大丈夫。慣れてるから」

 

「しかし……うちの部隊って関係者つながりが多いわね。確か隊長達も幼なじみ同士だったわよね」

 

武が手を振って答えると、ティアナがそんなことを言い出した

 

「あ、そうなんだ。まぁ、あの仲良しぶりを見てもわかるわね」

 

ティアナの言葉に、明日奈は納得していた

 

「確か……管理外世界の97番でしたっけ?」

 

「そうそう」

 

「地球を番号で聞くってのも、なんか複雑だな……」

 

「そうだな……」

 

エリオが言った97番というのは、管理局における地球の管理外番号である

 

それを聞いた武と冥夜は少し複雑そうな表情だった

 

「97番って、うちの父さんのご先祖様が住んでいた世界なんだって」

 

「え!? スバルさんって、地球生まれじゃなかったんですか!?」

 

スバルの言葉を聞いたネギは、本気で驚いていた

 

「うん、そうだよ? っていうか、どうしてそう思ったの?」

 

「いや、名前の響きとか、完全に日本のものだぜ? そりゃ、勘違いもするさ」

 

スバルの疑問に、当麻が手を振りながら答えた

 

「そういえば、なのはさん達とも似てますね。名前の響き」

 

「そっちの世界には、私も父さんも行ったことないし、良く分かんないんだけどね……あれ?エリオはどこ出身だっけ?」

 

「あ、僕は本局育ちなんで……」

 

「「あっ……」」

 

エリオの言葉に、ティアナとたまたま同席していたシャーリーが息を呑んだ

 

が、スバルはそれに気付いていない

 

「本局? ……住宅エリアってこと?」

 

「本局の特別保護施設育ちなんです。8歳までそこにいました……」

 

そこでようやく、スバルは気付いたようで、表情を曇らせた

 

《バカ》

 

《ご、ゴメン……》

 

ティアナが睨みながら念話で怒ると、スバルは素直に謝った

 

「あ、あの……気にしないでください。優しくしてもらってましたし、全然普通に幸せに暮らしていましたから……」

 

「そういえば、フェイトさんは、その頃からエリオの保護責任者だったんだっけ?」

 

「はい、物心を付いた頃から色々お世話になっていて、魔法も僕が勉強を始めてから、時々教えてもらってて、本当にいつも優しくしてくれて……僕は、今もフェイトさんに育っててもらってるって思ってます……フェイトさん、子供の頃、家庭の事で……ちょっとだけ寂しい思いをした事があるって……だから、寂しい子供や、悲しい子供の事、ほっとけないんだそうです……自分も、優しくしてくれる暖かい手に救ってもらったからって……」

 

エリオは喋るにつれて、表情が暗くなっていった

 

その時、エリオの頭と肩に手が置かれた

 

「当麻さん、武さん………」

 

当麻が頭に、武が肩に手を置いていた

 

「エリオ。お前がどこ生まれだろうが、どこ育ちだろうが、俺達には関係ねー」

 

「そうだぜ。ここに居るのは、俺達の仲間の《エリオ・モンディアル》って少年だ。」

 

武の言葉に当麻が被せるように言って、そこで二人は目を合わせて

 

「「俺達全員にとっては、それ以上でも以下でもない」」

 

と同時に言った

 

それを聞いたエリオは、驚いて固まった

 

すると

 

「そうだよ、エリオくん」

 

気付けば、ネギが近くに来ていた

 

「ネギくん……」

 

ネギとエリオ、キャロの三人は同年代ということで、仲良くなっている

 

「それを言うなら、僕の居た村は壊滅したし、僕はもう、人間を辞めてる」

 

「か、壊滅?」

 

「ネギ……」

 

エリオはネギの言葉に驚き、明日菜は悲しそうな眼で見ていた

 

「だけどね、明日菜さん達はそんな僕を受け入れてくれて、優しくしてくれた」

 

ネギはそう言いながら、目を細めた

 

「だから僕は、僕であろうと決めたんだ」

 

「ネギくんがネギくんであるために………」

 

エリオの言葉にネギは頷くと

 

「だからさ、エリオくんも遠慮せずに、笑おうよ」

 

そう言ってネギは、エリオに手を差し伸べた

 

気付くと、エリオを新人達が微笑みながら見ていた

 

それを見たエリオは

 

「はい!」

 

と、満面の笑みで返事をした

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

場所は変わって、陸士108隊隊舎

 

「新部隊……なかなか調子いいみたいじゃねえか」

 

「そうですね……今の所は」

 

はやての前に座ってお茶を飲んでいるのは、白髪が目立つ男性だった

 

名前はゲンヤ・ナカジマ

 

ここ陸士108隊の隊長を勤めている男性で、スバルの父親である

 

「そんで、今日はどうした……古巣の様子を見にわざわざ来るほど、暇な身ってわけでもねえだろうに」

 

「えへへ……愛弟子から師匠への、ちょっとしたお願いです」

 

ゲンヤの問いかけにはやてが微笑んだ時だった

 

ブザーが鳴り、ゲンヤが許可をするとドアが開いて、現れたのは

 

「失礼します」

 

「ギンガ!」

 

「八神ニ佐! ……お久しぶりです」

 

腰まで伸ばしている青紫の髪が特徴の女性、ギンガ・ナカジマである

 

彼女は父親と同じ陸士108に所属しており、階級は陸曹である

 

ギンガはお茶をはやての前に置いてから、少し話しをして部屋からリインと一緒に出て行った

 

「お願いしたいんは……密輸物のルート捜査なんです」

 

「お前のところで扱っているロストロギアか?」

 

「それが通る可能性が高いルートがいくつかあるんです……詳しくはリインがデータを持ってきていますので、後でお渡ししますが……」

 

「まっ……うちの捜査部を使ってもらうのはかまわないし、密輸調査はうちの本業っちゃ本業だ。頼まれねぇことはないんだが……」

 

ゲンヤは少し怪訝そうにしながら、頭を掻いた

 

「お願いします」

 

「八神よ……他の機動部隊や本局捜査部でなくて、わざわざうちにくるのは、何か理由があるのか?」

 

「密輸ルートの捜査自体は、彼らにも依頼しているんですが……地上のことはやっぱり、地上部隊の方がよく知っていますから」

 

「まっ、筋は通っているな……いいだろう。引き受けた」

 

「ありがとうございます」

 

「捜査主任はカルタスで、ギンガはその副官だ……二人とも知った顔だし、ギンガならお前も使いやすいだろう」

 

「はい、六課の方はテスタロッサ・ハラオウン執務官が捜査主任になりますから、ギンガもやりやすいんじゃないかと……」

 

そのころ、ギンガはリインと自分の机で話していた

 

「そうですか、フェイトさんが……」

 

「そうです。六課の捜査主任ですから、一緒に捜査を当たってもらうこともあるかもですよ」

 

「これは、凄く頑張らないといけませんね」

 

とある理由からフェイトに憧れているギンガは、一緒に仕事できる事が嬉しいようで、笑顔だ

 

「はい!……あっ!そうだ、捜査協力に当たって、六課からギンガにデバイスを一機プレゼントするですよ」

 

「デバイスを?」

 

「スバル用に作ったのと同型機で、ちゃんとギンガ用に調整するですよ」

 

「それは……その……凄く嬉しいんですが……いいんでしょうか?」

 

申し訳なさそうにギンガが言う。

 

「大丈夫です! フェイトさんと一緒に走り回れるように、立派な機体にするですよ!」

 

「ありがとうございます! リイン曹長」

 

場所は戻って、陸士108部隊隊長室

 

はやてとゲンヤの二人の会話は、まだ続いていた

 

「スバルに続いて……ギンガまでお借りする形になってしもうて、ちょっと心苦しくあるんですが」

 

「なに、スバルは自分で選んだ事だし……ギンガも、ハラオウンのお嬢と一緒の仕事は嬉しいだろうよ」

 

ゲンヤはそこでお茶を一口含み

 

「しかしまあ、気が付けばお前も俺の上官なんだよな。魔導師キャリア組の出世は早えな」

 

「魔導師の階級なんて、ただの飾りですよ。中央や本局に行ったら、一般士官からも小娘扱いです」

「だろうな……おっと、すまんな。俺まで小娘扱いしてるな」

 

「ナカジマ三佐は、今も昔も尊敬する上官ですから」

 

「……そうかい」

 

はやては一時期、ゲンヤに師事して指揮などを習っていたのだ

 

その時、通信画面が開いた

 

『失礼します。ラット・カルタス二等陸尉です』

 

「おう、八神二佐から外部協力任務の依頼だ……ギンガ連れて会議室で、ちょいと打ち合わせをしてくれや」

 

『は!了解しました』

 

「……つうこった」

 

「はい、ありがとうございます」

 

はやてが笑顔で頷くと

 

「どうだい、これから飯でも」

 

「はい! 御相伴させてもらいます!」

 

ゲンヤの提案に、はやては満面の笑みを浮かべた

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

場所は変わって、時空管理局地上本部

 

「これって、ガジェットの残骸データ?」

 

「はい。とはいえ、今までとなんら変わらないですが」

 

そこのデータベースでは、フェイトとシャーリーが今まで撃破したガジェットの残骸データを調べていた

 

シャーリーがキーボードを操作すると、画面が変わり、いろいろなデータが画面に表示された

 

「あ、これは、ガジェットの内部機関?」

 

「はい」

 

画面には、撃破及び捕獲したガジェットの内部構造が映されていた

 

「これといって目だった物はありませんね」

 

そう言いながらシャーリーは、次々と新しい画像を表示させていった

 

すると、ある一枚の画像を見たフェイトの表情が変わった

 

「フェイトさん?」

 

「シャーリー、少し戻して。多分、回路関係」

 

「あ、はい」

 

フェイトの指示に従って、シャーリーは画像を戻していき

 

「えっと……回路関係って言うと……あ、ここらですかね」

 

「それ、止めて!」

 

フェイトの指示に従って、シャーリーは操作をやめた

 

画面には菱形の水色の物が映っていた

 

「なんですかね、これ? 宝石?」

 

シャーリーが画面を覗き込みながら呟くと

 

「ジュエルシード……」

 

フェイトが呆然とした様子で呟いた

 

「フェイトさん?」

 

「これは昔、ある理由で私となのはが取り合ったロストロギアだよ」

 

「へぇ~そうなんですか……って、どうしてそんなものがこれに!?」

 

シャーリーがフェイトの言葉に驚いている間に、フェイトはある物に気付いた

 

「シャーリー、ここ! ここを拡大して! なにか書いてある」

 

「あ、はい!」

 

フェイトが指差した場所をシャーリーは拡大した

 

「これは……名前ですかね? ジェイル……」

 

「ジェイル・スカリエッティ………」

 

フェイトは呟くと、手を伸ばしてキーボードを操作した

 

すると画面に一人の男が映った

 

髪は紫色で眼は黄色の白衣の男だった

 

「この男は?」

 

「私がある理由で、数年前から追いかけてる広域指名手配されている、次元犯罪者だよ」

 

そう言いながら画面を見ているフェイトの表情は、複雑だった

 

「シャーリー、データを纏めて! はやて達と話し合わなきゃ!」

 

「はい!」

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

「うん……うん、わかった。ほな、また後で!」

 

はやてはそう言うと、通信を切った

 

今現在、はやてはゲンヤ、ギンガの両名と一緒にクラナガンにある日本料理屋に来ていた

 

「部下からか?」

 

「はい、すいませんが、今日はこれで失礼します」

 

ゲンヤの言葉にはやてはそう言うと、伝票を取ろうとしたが

 

それはゲンヤが先に取り上げた

 

「そんな!?」

 

「仲間が待ってるんだろ? 早く行ってやんな」

 

「……ありがとうございます。あ、ギンガはスバルになにか伝言あるか?」

 

はやては嬉しそうに礼を陳べてから、ギンガに顔を向けた

 

「いえ、大丈夫です」

 

「そうか」

 

はやては頷くと、椅子にかけておいたコートを取って

 

「それでは失礼します」

 

と、敬礼してから去った

 

「おう」

 

「お気をつけて!」

 

 

 

こうして、事態は発展していく


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。