「はーい、いらっしゃい!」
「いらっしゃーい!」
「いらっしゃいですぅ!」
到着したアインハルト達を、はやて、リィン、アギトの三人は朗らかに出迎えた。机を挟んで、対面にアインハルト達は座り
「しかし、予想より早く完成しましたね」
「まあ、DSAAに出るんやろ? 少しでも慣れた方がええと思ったからなのと、久しぶりに古代ベルカ式のデバイスを組んだから、楽しくなってなあ。ついつい」
チンクの問い掛けに、はやては朗らかに笑いながら答えた。すると、リィンとアギトが
「楽しかったですぅ」
「だな」
とはやての言葉に、同意した。よほど楽しかったらしい。
「それで、出来たのがこの中や」
はやてはそう言って、ひとつの箱をアインハルトに手渡した。
「あ、開けても?」
「ええよ」
初めて本格的なデバイスを持つからか、アインハルトは緊張しながら箱をゆっくりと開けた。そして箱の中にあった、いや、居たのは、一匹の猫だった。
…………猫?
そんな言葉が、はやて達の脳内に聞こえた。
「ええぇ!? なんだ、今の!? 皆の心の声!?」
「も、もしかしてダメでしたか?」
アギトは驚き、リィンは不安そうにアインハルトに問い掛けた。すると、チンクが
「ああ、いえ。動物型とは思っていなかったので」
と少し慌てた様子で、はやて達に答えた。それを聞いて、はやてが
「その見た目にしたんわな、覇王のことを調べたからなんよ? 覇王の居たシュトゥラには、大型の猫科の動物。雪豹が居ったんやろ?」
とアインハルトに問い掛けた。
「はい……確かに、シュトゥラには多数の雪豹が居ました……鍛えて使役すれば、優秀な兵士にもなりました」
と答えていると、中で寝ていた猫型デバイスが目覚めて、伸びをしてからアインハルトを見た。箱の重心が変わったことでアインハルトも気付き、視線が会うと
「にゃあ」
と可愛く鳴いた。
「まだその子には、名前が無いから。アインハルトが決めてあげてな」
「あ、はい」
「それじゃあ、庭に行って展開ですぅ!」
「そこから、微調整するぞ!」
リィンとアギトの言葉に促されて、アインハルトはリィン達の先導で庭に向かった。そんな中、ギンガがはやてに
「そういえば、当麻さんはどうしたんですか? 今日は、お店はお休みですよね?」
とはやてに問い掛けた。するとはやては、ニッコリと笑みを浮かべて
「当麻君なら、今はミウラ達にお菓子の差し入れをしに行ってるんやないかなぁ?」
と告げた。
その頃、八神家から少し離れたある公園の一角にて
「ふっ! しっ!」
黒を基調としたジャージを着た人物が、一人で軽く走りながらシャドーをしていた。そこに
「おーい、ジーク! 差し入れ持ってきたぞー!」
と当麻が、バスケットを掲げながらその人物に声を掛けた。その直後
「ほんま!? って、あわわわわ!?」
ジークと呼ばれた人物は、派手に転んだ。
それを見た当麻は、深々とため息を吐いて
「やれやれ……本当に、ジークがDSAAの優勝者なのか、疑問に思えてきた……」
と言いながら、ジークに歩み寄った。そうして、ようやく起き上がったジークに
「ほれ、顔を洗ってこい」
と頭に、タオルを置いた。
「はーい」
タオルを受け取ったジークは、近くの手洗い場たる水道の方に駆けていった。
ジークリンデ・エレミア
流派 エレミアクランツ
最高成績 DSAA都市本戦優勝
前回、試合会場に現れず、不戦敗
そしてアインハルトは、新しいデバイス。アスティオンことティオをはやてから貰ったのだった。