魔法少女リリカルなのは 集う英雄達    作:京勇樹

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三日目

合宿の三日目は、のんびりと過ごすことになった。未開拓の星たるカルナージは、自然豊かな地域が広大に広がっている。

 

「……いい風だ……」

 

剣士郎は一人、ある丘の木の幹に背中を預けて座っていた。周囲は森が生い茂り、時々鳥の鳴き声が聞こえる。

そよそよと流れる風が、剣士郎の髪を撫でる。

 

「緋村先輩!」

 

「一緒に、お昼にしませんかー!?」

 

剣士郎が青空を見上げていると、剣士郎を呼ぶ元気な声が聞こえてきた。視線を向けると、ヴィヴィオ、リオ、コロナの三人が駆け寄ってきていた。

剣士郎は立ち上がると

 

「ああ、今行こう」

 

と返事をして、三人の方に歩み寄っていった。

 

「やっほ、緋村君。改めて、高町・S・なのはです。よろしくね」

 

「ユーノ・S・高町です。よろしく」

 

「緋村剣士郎です。お二人の名前は、予々から聞いてます」

 

なのはとユーノの二人が名乗ると、剣士郎はそう言って頭を下げた

 

「試合、映像で確認したけど、君、凄かったね。あれほどの剣術……中々見ないよ」

 

「確かに、あの裕也までが途中は押されてたしね」

 

なのはの言葉に、ユーノが納得した様子で頷いた。

 

「いえ、途中からは様子見で戦っていました……彼も、本気ではなかったことが伺えます」

 

受け取ったお茶を一口飲むと、剣士郎は一拍置いてからそう言って頭を振った。

 

「まあ、裕也君も凄腕の剣士だからね……もしかしたら、剣士郎君の腕を見たかったんじゃないかな?」

 

なのははそう言って、剣士郎にサンドイッチやおかずが乗ったお皿を差し出した。

 

「まあ、今はのんびりしましょう! こんなに、いい天気なんですから!」

 

「……そうしよう」

 

ヴィヴィオの言葉に、剣士郎は頷いてから食事に意識を向けた。

その頃、少し離れた河原にて

 

「冬也さん……水が、気持ちいいよ」

 

「ああ……ルーテシアは、よくもここまで開拓したものだ」

 

フェイトと冬也の二人が、のんびりと河原で過ごしていた。エリオ、キャロ、ルーテシアの三人は別の河原で釣りやら何やらするということで別行動の最中である。

 

「アリシアはメガーヌさんが面倒を見てくれてるし、久しぶりに二人でゆっくり出来るね……」

 

「ああ……最近は、俺も忙しかったからな……すまんな……」

 

「仕方ないよ。強襲制圧部隊は、今や次元世界全体で有名だからね……少し寂しいのは、事実だけど……」

 

フェイトが寂しそうに言うと、そんなフェイトの頭を冬也が撫でた。

 

「近いうちに、部隊が再編されて、新たな隊長格が決められる……そうすれば、少しは俺の手も空く筈だ……」

 

「無理はしないでね、冬也さん……アリシアだって、最近はパパの帰りを待ってることが増えたんだから」

 

「ああ、必ず帰るさ……今は、フェイトが居る場所が俺の帰る場所だからな……」

 

冬也はそう言うと、フェイトを両腕でゆっくりと抱き締めた。

そうして、三日目はゆっくりと過ごしていくが、お昼を少し過ぎた時

 

「えっと……これで、繋がったはず……っと……あーあー……聞こえますか?」

 

『おーう、聞こえてるぞ。ルールー! 久しぶりだな』

 

「やっほ、アギト」

 

ルーテシアが開いた通信画面の向こう側には、ルーテシアの親友の融合騎たるアギトの姿があった。

 

『マイスターに用だろ? 少し待ってな』

 

アギトはそう言うと、通信画面から姿を消した。

それを見たルーテシアは、背後に居たアインハルトに

 

「ちょっと待っててね、今から紹介する人なら、古式ベルカ式のデバイスも開発出来るからね」

 

と言った。

その直後、通信画面にタヌキのお面が映って、アインハルトは固まった。その瞬間、タヌキのお面を被っていた人物。はやては、後頭部を叩かれた。

 

『痛いわぁ、当麻君……なにすんの?』

 

『いきなりボケるからだろうがっ! 見ろ、あの子固まってるじゃねぇか! 早く外す!』

 

『もう、お笑いを分かってないんやから……』

 

当麻に怒られたはやては、ぶつぶつと文句を言いながらお面を外して

 

『やっは、ルールー。元気そうやね』

 

とルーテシアに挨拶した。

 

「お久しぶりです、八神司令。お子さんは、元気ですか?」

 

『元気やよー。今は……あー、寝てるなあ……起きてたら、見せてたんやけど』

 

ルーテシアが問い掛けると、はやては横を見てからそう言った。どうやら、子供は寝ているようだ。

 

「それは、また次回に」

 

(この方が、時空管理局海上警備隊隊長……八神はやて司令……)

 

アインハルトがはやてを見ていると、はやてが

 

『その子やね? 話は聞いてるよ。アインハルト・ストラトス……ちょっとヤンチャしてたけど、今は格闘技に一生懸命……そういう子なら、喜んで協力するよ』

 

と笑みを浮かべた。

 

『それで、何か要望はあるか?』

 

「それなんですが、この子のようなデバイスがいいです。純粋に、自分自身の格闘技で戦いたいので」

 

はやての問い掛けに、アインハルトはヴィヴィオから借りたクリスを掲げた。

 

『なるほど、補助型ですね』

 

『となると……スバルみたいなタイプはアカンってことやね』

 

『スバルさんの、めっちゃ重いからなぁ……』

 

何やら思い出したらしく、はやて、リイン、アギトの三人は遠い目をしている。

スバルのマッハキャリバーだが、見た目とは裏腹にかなりの重量を誇っており、スバルは軽々と振り回しているが、はやてが持とうとしたら、全然上がらなかったのだ。

 

『まあ、とりあえず……クリスの組み上げ時のデータをベースに、組み上げてみようか? 何か、デザインに希望は?』

 

「あ、お任せします」

 

素人が口出しすべきではないと思い、アインハルトははやて達に任せることにした。


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