魔法少女リリカルなのは 集う英雄達    作:京勇樹

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少女の決意

場所 六課ロングアーチ

 

「スターズF、4両目で合流! ライトニングF、10両目で戦闘中!」

 

「スターズ1、ライトニング1、5、アサルト1、2、制空権獲得!」

 

「ガジェットⅡ型、散開開始! 追撃サポートに入ります!」

 

「各デバイス、動作問題なし……イマジンも不具合は検出されません……」

 

「レーダーにも新たな反応は確認されない。問題はない」

 

上からシャーリー、ルキノ、アルト、茶々丸、千雨の順で報告がロングアーチに聞こえた

 

すると、ロングアーチのドアが開き

 

「ごめんな! おまたせ!」

 

聖王教会に向かっていたはやてが、戻ってきた

 

「八神部隊長!」

 

「おかえりなさい」

 

「ここまでは比較的順調です」

 

「うん」

 

はやてが椅子に座った時だった

 

警報音が鳴り響いた

 

「ライトニングF、8両目に突入! っ! エンカウント! 新型です!」

 

画面には、はやてがカリムから聞いたⅢ型が表示されていた

 

 

場所は変わって、リニアレール内

 

「デカっ!」

 

当麻はあまりの巨大さに、驚いていた

 

「新型みたいですね」

 

エリオはストラーダを油断なく構えながら、呟くと

 

「キャロ、当麻さん! 援護をお願いします!」

 

と、ストラーダの穂先をⅢ型に向けて突撃した

 

「うん!」

 

「援護つったって……」

 

キャロは頷くが、当麻は躊躇した

 

すると

 

<大丈夫ですよ。マスター当麻>

 

「イマジン?」

 

<右足を見てください>

 

当麻はイマジンに言われた通り、右足に視線を向けた

 

すると右太股の辺りの装甲が開いて、中にグリップが見えた

 

「これか!」

 

当麻は直感的にグリップを掴み、引っ張った

 

すると出てきたのは、一丁の銃だった(見た目は、ネギの使ってた魔法銃)

 

「こいつは……銃か?」

 

<はい。協力者ネギさんの知識提供を元に、マイスター達が作った魔法銃です>

 

「なるほど……」

 

と当麻が頷いていると

 

「当麻さん!」

 

キャロの切羽詰まった声が聞こえた

 

「と、そうだった!」

 

<細かい照準は任せてください>

 

「あいよ!」

 

当麻は銃口をガジェットⅢ型に向けると、引き金を引いた

 

<魔弾の射手! 光の12矢!>

 

すると、銃口から光の矢が12本発射されて、ガジェットⅢ型に向けて飛翔した

 

キャロもそれに合わせて

 

「フリード、ブラストレイ! ファイア!」

 

自分の飛竜であるフリードに命じて、火球を発射させた

 

エリオはそれに気づくと、一気に後退した

 

その直後、矢と火球が直撃したが

 

「無傷ッ!?」

 

キャロは、自分と当麻の攻撃でも無傷のガジェットを見て驚いた

 

「当麻さん!」

 

「ああ! イマジン!」

 

<了解、グラップモード!>

 

エリオはそれを見ると、当麻に声を掛けた

 

当麻は意図に気づき、イマジンに命じて銃を仕舞い、格闘戦モードに切り替えた

 

「はあ!」

 

「おら!」

 

エリオはストラーダで突きを

 

当麻は拳を振るうが

 

二人の攻撃は、ガジェットの装甲で止められた

 

「堅い!」

 

「堅ぇ!」

 

二人の攻撃では、ガジェットの装甲表面で火花を散らすことしか出来ない

 

「あ、あの!」

 

「大丈夫、任せて!」

 

「キャロはそこに居ろ!」

 

二人は、心配そうに声を掛けてきたキャロにそう返した

 

その時だった

 

フィーン!

 

独特な音が響き、ストラーダとイマジンの表面の魔力

 

更には、キャロの足元の魔法陣が消えた

 

「AMF!?」

 

「こんな遠くまで!?」

 

「マジかよ!」

 

三人が驚いた時だった

 

ガジェットの三眼部分が光った

 

「くっ!」

 

「にゃろ!」

 

それを見たエリオは上に、当麻は右に避けた

 

すると、ガジェットはエリオを優先したらしく、ガジェットから発射されたレーザーはエリオを追撃した

 

しかも、レーザーは列車の天井を焼き切った

 

それだけで、出力が高いのが分かった

 

エリオがガジェットの反対側に着地すると、ガジェットも向きをエリオに向けた

 

その瞬間にエリオは、横に転がるように回避を行った

 

すると、エリオが居た場所をレーザーが通過した

 

「この!」

 

当麻はガジェットの気を自分に向けるために、再び殴り掛かったが、ガジェットは一顧だにしなかった

 

「うわッ!?」

 

「エリオ!」

 

どうやら回避の隙を狙われたらしく、アームの一撃を喰らったエリオが壁に激突していた

 

しかもガジェットは、そのままアームでエリオを掴んで、焼き切った天井から外に出した

 

「あ!」

 

それにキャロが気づくが、ガジェットはそのままエリオを空中に投げた

 

「ああっ!」

 

「エリオ!!」

 

ガジェットを追って屋根に登ってきた当麻が手を伸ばすが、虚しくも届かなかった

 

すると、キャロが走りだし

 

「エリオくーん!」

 

エリオを追って、飛び降りた

 

「キャロ!?」

 

当麻はキャロの行動に驚いて、目を見開いていた

 

場所は変わって、六課ロングアーチ

 

「ライトニング4、飛び降り!?」

 

「ちょっ!? あの子達、あんな高高度からのリカバリーなんて!」

 

キャロの行動に、アルトとルキノの二人が驚いていた

 

 

「いや、あれでええ」

 

はやては冷静だった

 

「え? ……あ、そうか!」

 

はやての発言にシャーリーは一瞬戸惑うが、キャロの”本来の魔法”を思い出して、納得した

 

「発信源から離れれば、AMFの強度も弱まる。使えるで……キャロのフルパフォーマンスの魔法が!」

 

そう言っているはやての顔は、確信に満ちていた

 

第3者sideEND

 

キャロside

 

私は投げられたエリオくんを追って、リニアから飛び降りた

 

自分でもなんでこんな行動が出来たのか、わからない

 

でも、脳裏に冬也さんの言った言葉が響いた

 

『力は力。使う人の心次第で、善にも悪にもなれる』

 

『だからな、自信を持て、勇気を振り絞れ。そうすれば、力は答えてくれる』

 

『後悔しないためにも、力を使え。そして、仲間を、力なき人々を守る。それが俺達の仕事だ。それに、もし怖くなっても、無線で繋がっている、1人じゃない、皆が居る』

 

そして、六課に来てからまだ一ヶ月しか経ってないけど、これまでの記憶がフラッシュバックしてきた

 

皆さん、笑顔で接してくれた

 

優しくしてくれた

 

それに、エリオくんは………

 

優しく、手を差し伸べてくれた

 

だから、守りたい

 

優しくしてくれた人たちを

 

暖かい居場所を

 

自分の力で守りたい!

 

その時、私の手がエリオくんを掴んだ

 

<イグニッション!>

 

その瞬間に、ケリュケイオンに魔力を通して落下速度を止めた

 

すると、私の近くにフリードが飛んできた

 

「フリード……今まで不自由な思いをさせてごめん……私、ちゃんと制御するから! 行くよ! 竜魂召喚!」

 

私が詠唱すると、足元に魔方陣が広がった

 

「蒼穹を走る白き閃光、我が翼となり、天を駆けよ。来よ、我が竜、フリードリヒ! ………竜魂召喚!!」

 

キャロsideEND

 

第3者side

 

六課ロングアーチ

 

「召喚成功!」

 

「フリードの意識レベル、ブルー!」

 

アルトとルキノは嬉しそうに、報告した

 

「凄い、あれが………」

 

「せや、キャロの実力。その一端や」

 

リニアレール付近

 

「な、なんだ?」

 

ガジェットの攻撃を躱した当麻は、リニアの淵に寄って下を見た

 

「あれは……フリード? って、デケェーーー!?」

 

当麻が驚くのも無理は無い

 

フリードは普段、約40cmほどの大きさしかない

 

しかし、今の大きさは約10m近くの巨体なのだ

 

驚くな、というほうが無理なのだ

 

フリードはそのまま、リニアレールの上まで飛んだ

 

「って、背中に乗ってるのは……エリオとキャロか! よかった、無事だったか!」

 

当麻はフリードの背中にエリオとキャロが乗っているのが見えて、安堵した

 

すると

 

「当麻さん! 今から砲撃を行うので、離れてください!」

 

と、キャロの声

 

「おうよ!」

 

当麻はキャロの言葉通りに、ガジェットの攻撃を避けながらガジェットから離れた

 

すると

 

「フリード! ブラストレイ、ファイア!」

 

キャロが命じると、フリードの口に子竜形態とは比較にならない大きさの火球が形成されて、発射された

 

フリードが放った砲撃は見事、ガジェットに直撃したが、効果はなかった

 

「硬い……」

 

「あの形状には、砲撃は効きづらいよ。僕とストラーダでやる!」

 

「うん!」

 

キャロはエリオの言葉に笑顔で頷いた

 

すると、エリオはフリードからガジェット目掛けて飛んだ

 

それを見たキャロは呪文を紡ぎ始めた

 

「我が乞うは清銀の剣。若き槍騎士の刃に、祝福の光を」

 

<エンチャント・フィールドインベント>

 

「武きその身に、力与える祈りの光を!」

 

<ブーストアップ・ストライクパワー>

 

「ツインブースト! スラッシュアンドストライク!」

 

キャロが発動した強化魔法はストラーダに宿り、桃色の魔力刃を形成した

 

「一閃必中! でえりゃぁぁぁぁぁ!」

 

エリオはそれをガジェットに突き刺すと、肩で担ぐように振り上げた

 

その結果、ガジェットは真っ二つに切れ

 

爆発した

 

「エリオ、ナイス」

 

気付けば、エリオの隣に当麻が立っていた

 

「当麻さん!」

 

「キャロ! ナイスだったぜ!」

 

「はい!」

 

キャロはフリードを、止まったリニアレールの上に着地させた

 

「しっかし、フリードもデカくなったな~」

 

「こっちが本来の姿なんです」

 

「そうなのか」

 

当麻はフリードを撫でていた

 

場所は変わって、少し離れた空中

 

そこには、冬也、ネギ、フェイト、刹那、なのはの姿があった

 

「ほう、あれがフリードの本来の姿か」

 

「はい……よかった、ちゃんと制御できるようになったんだね」

 

冬也の言葉に、フェイトは嬉しそうに眼を細めた

 

「ワイバーン種ですか。図書館島の地下でも見ましたよね」

 

「ええ、あれは緊張したのを覚えてます」

 

ネギと刹那はなにかを思い出したのか、シミジミと頷いていた

 

「あ、レリックも回収したみたいだね」

 

なのはが見ている通信画面には、レリックケースを運んでいるスバルの姿が

 

「あれがレリックケースですか?」

 

「うん。そうだよ」

 

ネギの質問になのはが頷いた

 

「今回はこれで終わりかな?」

 

とフェイトが、バルディッシュを下げた

 

その時

 

「フェイト、動くな」

 

「え?」

 

冬也が刀を一閃した

 

その時

 

ゴガギン!

 

鈍い金属音が響いた

 

「え!?」

 

「なっ!?」

 

フェイトとなのはは予想外の事態に、驚いた

 

「ふむ……今の衝撃は13mmアンチマテリアル弾か」

 

冬也は手の感触を確かめるように手を動かしながら、眼を細めた

 

「ど、どこから!?」

 

となのはが、警戒したら

 

「2時の方向、距離3000だ」

 

と冬也が刀で方向を示しながら、視線を向けた

 

そこには………

 

「な!? あれは、空港で見た人型機!」

 

「な、なんて数………」

 

元第8臨海空港跡地で冬也を切ったのと同型の人型機が、空を覆い尽くさんばかりに大挙して飛んでいた

 

「アサルト1よりロングアーチ!」

 

冬也はそれを確認すると、ロングアーチに通信をつないだ

 

 

 

 

機動六課の初出動は、まだ終わらないようだ


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