『ティアナさん! ルーちゃんが何やら企んでます!』
「あの子の企みって、ちょっと洒落にならないのが多いのよねぇ」
キャロからの通信を受けて、ティアナは苦笑いを浮かべた。その直後、一部のメンバーが二対一の状況に追い込まれた。
『2on1!?』
「ちょっとルーテシア、私とキャロを無視するなんて、いい度胸じゃない?」
『ふっふっふ。度胸じゃなく、作戦です』
ティアナの言葉に、ルーテシアは不敵な笑みを浮かべながら答えた。確かに、それにより切り込んでいたノーヴェがヴィヴィオとスバルに挟まれ、フェイトはエリオとなのはに挟まれ窮地に陥っている。そこから各個撃破という流れになれば、不利になってしまう。
それを理解したアインハルトは、まだ回復が終わっていないが出撃しようとした。だが、それに気付いたキャロは
「大丈夫。赤組の仲間は、弱くないから」
と笑みを浮かべながら、アインハルトを制止した。
その時
『悪い、ルーテシア! 冬也さんに抜かれた!!』
「あちゃあ……まあ、あの人は仕方ないかなぁ……予想より、大分早かった……」
レンヤと交戦していた冬也が、その攻撃力の高さを活かしてレンヤを突破。そして
「無事か、フェイト」
「大丈夫だよ、冬也さん。信じて待ってたから」
そのまま、フェイトと合流。フェイトの後ろで、構えた。
「あちゃあ……こうなる前に、フェイトちゃんを倒したかったけど……流石は冬也さん。噂に違わぬ突破力」
「けど、一番驚いたのはフェイトさんの防御です……こっちの攻撃の殆どが、防がれました」
冬也が合流したのを見たなのはが頭を掻きながら言うと、同意するようにエリオがそうなのはに告げた。それは、見ていたなのはも思ったことだった。
フェイトは高機動を活かして攻撃を回避することを念頭に置いて戦術を組んでおり、それに伴ってバリアジャケットの防御力はかなり低い。それにより、下手な位置に攻撃を受ければ一撃が致命傷になることも有るのだ。
だからフェイトは、更なる機動を編みだし続けた。
そして最近、冬也と模擬戦を繰り返した際に相手が自身と同等の機動性を有していると、必然的に近接戦闘となり、相手の攻撃力が高い場合は致命傷に繋がり易くなる。
そこで考えたのが、自身の防御技の向上。
格闘戦に関しては、ある程度は自信がある。しかし、そこで満足しなかった。暇が見つかればシグナムや冬也と模擬戦を行い、近接戦闘での防御の向上に努めたのだ。
その甲斐あり、二対一という不利な状況で冬也が来るまで耐えてみせたのだ。
赤チーム GWフェイト 残LIFE2200
同チーム GW冬也 残LIFE2300
青チーム GWエリオ 残LIFE2200
青チーム FBなのは 残LIFE2150
状況は、二対二になった。しかも、戦況は拮抗状態になった。だが、そこに
「僕を忘れないでほしいね」
何処からともなく、ユーノが姿を現した。
青チーム WBユーノ 残LIFE2400
「ユーノ君……」
「なのは、交代しよう。ティアナが動きそうだから」
「わかった」
ユーノの言葉を聞いて、なのははそこから移動を始めた。冬也は敢えて、見逃した。否、動けなかった。
「流石だな、ユーノ……抜け目ない」
冬也は称賛しながら、刀を一閃。その直後、冬也とフェイトを縛ろうと隠蔽されていたチェーンバインドを斬った。
「いつの間に、幻術系まで?」
「少し興味が有ったからね……けど、気付かれたか」
「……ティアナに比べれば多少、空間に揺らぎがな」
「なるほど……要練習だね」
冬也の言葉に、ユーノは肩を竦めた。
「さて、どうも終わりが近いみたいだし……始めようか」
「ああ」
その会話を最後に、双方は動いた。