「はあぁぁぁぁ!」
「っらあ!!」
と気合いの声を上げながらぶつかったのは、スバルとノーヴェだった。
二人は同時に拳を繰り出し激突させると、その衝撃を利用して逆回転の蹴りを繰り出した。
「やるね、ノーヴェ!」
「まあな! 仕事はともかく、格闘技は」
「とは言っても、アタシもお姉ちゃんだから!」
「負けない!」
「負けねー!」
二人は会話しながら交戦を続けていたが、ふとその時
「お、アインハルトがなのはさんに迫ったな」
とノーヴェが溢し、それを聞いたスバルは視線を僅かにずらして見た。確かに、アインハルトがなのはと交戦を始めていた。
なのはは迎撃の為に、戦域全体に向けていた誘導弾をアインハルト一人に集中させた。
しかしアインハルトは、その弾幕を拳で全て弾いて肉薄。拳を繰り出した。
その初撃を、なのははデバイスで防いだが、そこからはアインハルトのラッシュが始まった。すると
「ああ! アインハルト、気を付けて! なのはさんの近接封じが!?」
と心配そうにした。
「スバル……お前、敵チームだろ……」
自分との交戦を忘れてアインハルトの心配を始めたスバルを見て、ノーヴェは呆れた様子で肩をすくめた。
その間に、アインハルトは次々と拳を叩き込んでいく。その時だった、アインハルトの一撃でなのはのガードががら空きになった。それを見たアインハルトは、一歩踏み出しながらなのはの顎を狙って右フックを繰り出した。
だがその一撃は、なのはのバインディングシールドで防がれ、更に右腕は拘束された。
「あぁ……捕まっちゃった……なのはさんの近接封じの必勝パターン……」
アインハルトは何とかバインドを引きちぎろうともがくが、そこは歴戦の魔導師のなのは。ちょっとやそっとじゃ、千切れない。
「そうじゃねぇだろ、アインハルト……教えたことを思い出せ……」
そのノーヴェの言葉が届いたかのように、アインハルトの動きが変わった。
先ほどまでは、全身がバラバラの動きだったが、足から腰、腰から腕へと動きが繋がっていく円の動き。
それらが連動し、バインディングシールドだけでなく、なのはが撃った砲撃すら迎撃した。
「うそ……」
「っし!」
その光景に、近くで戦っていたメンバーも驚いていた。
まさか、あのなのはの一撃を打ち破るとは、と。しかし、直ぐ様なのはの第二撃でアインハルトは戦闘不能になる大ダメージを負った。
アインハルト
残LIFE 80 100以下のために、行動不能
それを、少し離れた位置から見ていたユーノは
「最近の子達、凄いなぁ……どんどんと高みに登っていくね……」
と呟いた。そんな彼の前には、巨大な人型。コロナが作り出したゴーレム。ゴライアスがチェーンバインドで拘束されていた。
「コロナちゃんのゴライアスも、中々の能力だね……まさか、10本以上で縛っても動こうとするなんてね」
「お話には聞いてましたが……凄いですね……」
そして、ゴライアスを産み出したコロナは、そのゴライアスの肩の辺りで一緒に拘束されていた。
(ヴィヴィオから、話には聞いてた……結界型魔導師の中でも、最高峰の魔導師……翡翠の守護者……ここまでだなんて……)
ユーノと接敵、交戦開始したコロナは、ヴィヴィオに昔誉められてからずっと練習していた創成魔法と操作魔法の合わせ魔法で、ユーノに攻撃を繰り出した。
しかしユーノは、慌てもせずにゴライアスの攻撃の悉くを障壁で防御した。
デバイスを使わないで、その類い希なる並列思考のみで魔法を次々と繰り出すユーノは、正に結界型魔導師の中では最高峰に位置する魔導師だった。
障壁、バインド、転移、それらを駆使してコロナを翻弄し、気づけば多方向からのバインドでゴライアスと一緒に縛られていた。
「さて、なのはも自由になったし……って、あ」
そんな時、なのはの後頭部にオレンジ色の魔力弾が命中した。
高町なのは
残LIFE 2200
「あー……今のは、ティアナか……っとと!?」
ユーノがなのはを襲った魔力弾の主に気付いた直後、戦域全体に魔力弾が次々と撃ち込まれた。
それは、ティアナの得意魔法のクロスファイア・フルバーストだった。
そして、ここから戦況は激変することになる。