魔法少女リリカルなのは 集う英雄達    作:京勇樹

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試合1

一番最初に接敵したのは、裕也と剣士郎だった。

 

「さて……」

 

「参る……」

 

裕也が剣士郎を視認した直後、裕也は目を見開いた。剣士郎が消えた。否、消えたと誤認するほどの速度で動いたのだ。

だが裕也は、勘の域で刀を上に振り上げた。その直後、激しい金属音が鳴り響いた。

 

「飛天御剣流、龍墜閃……」

 

「速い……!」

 

驚きながらも裕也は、剣士郎の刀を弾いた。しかし剣士郎は、そこから

 

「飛天御剣流、龍巻閃・凩!」

 

「縱回転!?」

 

剣士郎は弾かれた勢いを利用し、縱回転の一撃を放った。その一撃で弾き飛ばされて、裕也はビルに激突した。

 

裕也LIFE3000→残LIFE2500

 

「なんという腕だ……まるで、戦争経験者だ……そうか……」

 

裕也は何かに気付いたのか、一気に剣士郎に突撃。刀を突き出した。が、その一撃を剣士郎は軽くいなして

 

「飛天御剣流、龍巻閃!」

 

自分の体をまるで独楽のように回転させて、裕也の首を狙って一撃を放った。その一撃を裕也は、前転するように回避し立ち上がった。

 

「やはりか……その剣は……戦乱を知っているか……その目も……」

 

「……」

 

裕也が指摘したのは、剣士郎の目だった。剣士郎の目は、光が感じられなかった。その目は、少し前の裕也や昔の冬也と同じだった。

戦いを駆け抜けて、希望を無くした目。

 

「……先祖から受け継いだ技だけでなく、記憶……それが、その目と気配を可能としているか……」

 

「行くぞ……!」

 

その宣言の直後、剣士郎の姿は裕也に肉薄していた。

ほぼ同時刻、ヴィヴィオとアインハルトも接敵。交戦を開始した。

 

「行きますよ、アインハルトさん!」

 

「お手合わせ願います」

 

(私とアインハルトさんの戦績は、2戦2敗……だけど、今度は魔法アリなら!)

 

今までは魔法を使えなかったヴィヴィオは、今回は魔法も使える。今回は肉薄してみせる。そう意気込んだヴィヴィオは

 

「はっ!」

 

まずは、右ストレートを繰り出してアインハルトの意識を割こうとした。だがアインハルトは、その一撃は軽く受け流し

 

「ふっ!」

 

ヴィヴィオの腹部を狙い、膝蹴りを繰り出した。だがその一撃に、ヴィヴィオは即座に反応。左手を膝に当てて防ぎつつ、素早く後退。

 

「ロック!」

 

アインハルトを狙い、バインドを発動した。しかし、アインハルトはそのバインドを跳躍して回避。

近くのビルに着地、それを狙い

 

「セイクリッド……バスター!」

 

ヴィヴィオは、速射砲を放った。

 

(速射砲!?)

 

辛うじて直撃を回避したアインハルトだったが、無傷ではなかった。

 

アインハルトLIFE3000→残LIFE2700

 

(よし、追撃!)

 

その隙を逃さず、ヴィヴィオは誘導弾を布陣させた。

それを見たアインハルトは、構えた。

 

「覇王流……」

 

(よし、防御にしろ回避にしろ、隙が生まれる!)

 

そう思ったヴィヴィオは、その誘導弾を一気に放った。

 

「エセリアルシフト……ファイア!!」

 

多数の誘導弾がアインハルトに迫るが、アインハルトは慌てずに

 

「覇王流……」

 

なんと、誘導弾を全て受け止めた(・・・・・・・・・・)

 

「いぃっ!?」

 

まさか受け止められるとは思わず、ヴィヴィオは驚いた。しかし、既にヴィヴィオはアインハルトに向けて駆け出していた。

 

(まさか、この技は!?)

 

「旋衝破!」

 

ヴィヴィオが気付いた直後、アインハルトは受け止めていた誘導弾をヴィヴィオに投げた。

 

(反射技!?)

 

その誘導弾には耐えたヴィヴィオだったが、その隙に肉薄し拳を振り下ろした。

場所は変わり、観戦していたセインとメガーヌ達。

 

「うおお!? 今のは何!?」

 

反射技(リフレクト)ね……古代ベルカの使い手なら、理論上は可能よ……」

 

困惑するセインにメガーヌはそう説明するが、内心では

 

(けど、あんな技を可能にするなんて……どれ程苛烈な修練をしたの……)

 

とゾッとしていた。

その時、アインハルトが苦しそうにして、バリアジャケットの右肩辺りが弾けた。

 

「うぇ!? 何が!?」

 

「あら、気付かなかった? さっき、アインハルトちゃんが拳を振り下ろした時、ヴィヴィオちゃんのカウンターの拳が当たってたのよ? 当たり所が違ったら、アインハルトちゃんも倒れてたわ」

 

メガーヌはそう説明しながら、アインハルトが拳を振り下ろした場面をスロー再生した。確かに、ヴィヴィオの拳が右肩に当たっていた。

すると、メガーヌが

 

「そういえば、帰らなくていいの?」

 

「お昼作ったら帰る!」

 

メガーヌの問い掛けに、セインはそう答えた。

場面を戻して、アインハルトとヴィヴィオ

 

(やはり、薄々分かっていましたが……ヴィヴィオさんは、迎撃(カウンター)タイプ!)

 

アインハルト残LIFE2400

 

アインハルトはヴィヴィオの戦闘スタイルに気付き、そしてヴィヴィオは

 

(凄い! まさか、あんな技が有るなんて!)

 

と興奮しながらも、更にアインハルトと戦おうとした。

そこに

 

『はい、ヴィヴィオ。一回後退して』

 

とルーテシアから、後退指示が出された。

 

「えー!?」

 

『残LIFE300しかないのに、追撃はしない! スリートップの一人が欠けたら、戦略上大変だから!』

 

「はーい!」

 

ルーテシアの指摘を受けて、ヴィヴィオはルーテシアの位置まで戻ることにした。そのヴィヴィオを追撃しようとしたが、通信ウインドウが開いて

 

『アインハルト、なのはさんをお願い。妨害するだけでいいから』

 

「承りました」

 

ティアナからの指示を受けて、アインハルトはなのはの方に走り出した。

試合はまだ、始まったばかりである。


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