「それじゃあ、それで人数は確定なのね?」
と問い掛けたのは、開拓世界カルナージに住む数少ない住人。メガーヌ・アルピーノだ。
『はい。今から向かいますので、お願いします』
「はーい。待ってるわねー」
ユーノの話を聞いたメガーヌは、朗らかに笑いながら通信を閉じて
「さーて、食材の買い出しに行かないと行けないわねー♪」
と楽しそうに、玄関に向かった。
その頃、外では
「ねえ、ガリュー……私、自分の才能が怖いかも」
とメガーヌの娘、ルーテシアが楽しそうに自身の成果を見ていた。
「何せ、今回のお出迎えは過去最高……まず! ホテルたるロッジは、去年から大幅にパワーアップ! 部屋の広さ、数、過ごしやすさは大向上! 目玉は改築中に掘って出てきた温泉をノリノリで使った露天風呂! 次に、アスリート御用達! 自然を活かしたアスレチックにレイヤー建築による擬似市街地の再現により、様々な訓練が出来る! 更に、未だに増改築中! さあ、どんな宿泊客も、ドーンとおいでませー!!」
屋根の上に上ったルーテシアは、そう言うと高笑いした。そこに、メガーヌが現れて
「ルーテシアー! お母さん、食材の買い出しに行ってくるから、魚や山菜採ってくるのお願いねー」
と朗らかにお願いした。その前に、屋根の上に登ってることを怒ってほしい。
良い子の皆は、決してマネしないでください。大変危険です。
「はーい、ママー!」
メガーヌのお願いを聞いたルーテシアは、返事をすると屋根から降りた。
その頃、ミッドチルダの次元港では
「あれ、エリオとキャロはどうしたんですか?」
「二人ならば、直接カルナージに向かうそうだ」
「えっと……忘れ物は無いよね……」
「はやてちゃんから預かってた荷物も、預けたし……大丈夫だと思うよ」
御一行が、カルナージに向かうために色々と確認していた。
そんな中で、ヴィヴィオは
「アインハルトさん、剣士朗さん、今回の合宿中よろしくお願いしますね!」
とアインハルトと剣士朗に、朗らかに話し掛けていた。
「はい、よろしくお願いします」
「ん、よろしくな」
「えへへー♪」
二人と握手したヴィヴィオは、嬉しそうに笑みを浮かべた。
アルピーノ親子が住む開拓世界カルナージは、ミッドから次元航行船で片道四時間掛かる世界で、ミッドとの時差は約七時間となっている。
その世界で、全員は訓練を兼ねた旅行である。
「いらっしゃーい!」
「ホテルアルピーノにようこそ!」
『お世話になりまーす!!』
親子が出迎えると、ミッド組は一斉に頭を下げた。
そこに、薪を抱えたエリオとキャロが現れて
「お久しぶりです、皆さん」
「お久しぶりですー」
と全員に挨拶した。
すると、ヴィヴィオが
「アインハルトさん、剣士朗さん。こちらの二人は、フェイトママと冬也パパの家族。エリオ・モンディアルさんとキャロ・ル・ルシエさんです」
と紹介した。そこに、ルーテシアがいたずらっ子な笑みを浮かべながら
「一人チビッ子が居るけど、あたし含めて三人同い年」
と教えた。
「一応、1.5cmは伸びてます!」
ルーテシアの言葉を聞いて、キャロは少し意地になりながら抗議した。最近のキャロの悩みは、身体的な悩みであり、身長はエリオに、胸はルーテシアに成長力を奪われてる。と、フェイトに嘆いていたとか。
「初めまして、アインハルト・ストラトスと言います!」
「緋村剣士朗です」
と二人が、エリオ達に名乗った時、近くの草むらを掻き分ける形で魚の入った籠を背負った蟲人、ガリューが現れた。
その直後、ガリューの姿を見たアインハルトとクリスが反射的に構えたのだが
「あ! 大丈夫ですよ、アインハルトさん、クリス! この子は、ルールーの召喚蟲なの!」
とヴィヴィオが静止。そして、ルーテシアが
「私の家族のガリュー。大丈夫、優しい子だから」
と教えた。
すると、アインハルトが
「す、すいません! そうとは知らず!」
と謝罪した。
「まあ、最初は仕方ないよ」
「うん! 私も、最初は驚きましたから!」
アインハルトの謝罪を聞いて、ルーテシアとヴィヴィオはアインハルトにそう言葉を掛けた。
すると、エリオが
「剣士朗君、だったね? よく構えなかったね?」
と剣士朗に問い掛けてきた。
「はい、彼から害意を感じなかったので、大丈夫と判断しました」
「気配から察したんだ。凄いね」
「まあ、一応剣士なもので……」
エリオが褒めると、剣士朗はそう言いながら、軽く頭を下げた。
そこに、ノーヴェとディエチが現れて
「おら、お前ら! 水着に着替えて、川に行くぞ!」
「遅れないでね」
と声を掛けた。
こうして、楽しい合宿が始まった。