魔法少女リリカルなのは 集う英雄達    作:京勇樹

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朝の一幕

ヴィヴィオの朝の日課はジョギングで、今日もまた走り

 

「ゴール!」

 

と家の前に到着した。

そこに

 

「ああ、ヴィヴィオか」

 

と冬也が出迎えた。

 

「冬也パパ! 今帰ってきたの?」

 

「ああ……土壇場で、出動が掛かってな……その分の書類を纏めてから、引き継ぎをしたんだ……」

 

ヴィヴィオが問い掛けると、冬也は疲れた表情でそう説明した。それを聞いたヴィヴィオは、心配した表情で

 

「無理しないでね? フェイトママとアリシアが待ってるんだし」

 

と言って、冬也に近寄った。

それを聞いた冬也は、ヴィヴィオの頭を撫でながら

 

「ありがとうな、ヴィヴィオ……分かっているさ……」

 

と微笑んだ。

アリシアがフェイトと結婚してから、冬也は家族や親しい人限定でたが、よく感情を表情に出すようになっていた。

このことに関して、フェイトは

 

『長い間抑制された感情が、ようやく表に出るようになってきたんだよ』

 

と微笑んでいた。

いい変化だと言えるだろう。長年自身を兵器と定義して戦場をさ迷い続けた一人の存在が、ようやく人間に戻ったのだから。

すると、冬也が不意に欠伸して

 

「すまん……やはり、五日はマトモに寝てないからな……これから、仮眠を取る……」

 

「早く休んで」

 

冬也の話を聞いて、ヴィヴィオは思わず言葉が出た。

流石に、五日は予想外にも程がある。

そして冬也は、鍵を開けて家に入った。

それを見送ったヴィヴィオは、自宅のドアを開けて

 

「ただいまー!」

 

と声を上げた。

その後ヴィヴィオは、準備と朝食を終えると、なのはとユーノの二人と一緒に家を出た。

 

「ヴィヴィオ。そう言えば、新しいお友達が出来たんでしょ? 紹介してほしいなぁ」

 

「んー……友達って言うか、先輩なんだよねぇ」

 

なのはの言葉に、ヴィヴィオは少し困った表情を浮かべながら、そう答えた。

すると、ユーノが

 

「ああ、ノーヴェから聞いてるよ。少し特殊な子達と知り合ったって」

 

と思い出すように告げて、それを聞いたなのはが

 

「あ、一人じゃないんだ」

 

と少し驚いた表情で、そう言った。

その頃、フェイトは自宅で

 

「それじゃあ、休暇は貰えたんだね?」

 

『はい! 今日、引き継ぎが終わりました!』

 

『ちゃんと、合宿に行けます!』

 

通信で、エリオとキャロの二人と話していた。

すると、エリオが

 

『あの、冬也義父さんは……』

 

と聞いてきた。

 

「ああ、冬也は今朝帰ってきてね。今は仮眠中……なんでも、五日は寝てなかったらしくって……」

 

『あ、もしかして……あの武器密売組織をやったのって……』

 

フェイトの言葉に、キャロが何かを思い出すように顔を上に向けた。

すると、フェイトは

 

「それもあるけど、昨日の夜に実弾装備の一団が、開拓地を襲ったみたいでね……その鎮圧に出てたの」

 

と説明した。

それを聞いて、エリオは

 

『冬也義父に、お疲れ様でした。と言っておいてください』

 

とフェイトに頼んだ。

場所は変わり、ヴィヴィオは

 

「あ、アインハルトさん! 緋村先輩!」

 

「ヴィヴィオさん」

 

登校した時に、アインハルトと剣士郎に出会った。

 

「おはようございます!」

 

「おはようございます」

 

「ん、おはよう」

 

二人に挨拶すると、二人から返答がされた。

新しく知り合ったアインハルトと、以前から知っていた剣士郎と談笑しながら、歩いていると

 

「あー、ヴィヴィオちゃん」

 

「はい? なんですか?」

 

「ヴィヴィオさんの教室は、あちらでは?」

 

剣士郎とアインハルトが、進行方向と真逆を指差した。

そこでヴィヴィオは、自分が中等部の校舎の入り口に居ることに気付いた。

 

「うわわっ!? しまった!? 遅刻しちゃう!!」

 

指摘を受けて、ヴィヴィオは反射的に時間を見た。

少し急がなければ、遅刻してしまう時間だ。

それに気づき、ヴィヴィオはその場で反転し、駆け出そうとした。すると

 

「遅刻しないよう、頑張ってください」

 

「転ばないようにな」

 

とアインハルトと剣士郎が、声を掛けた。

それを聞いたヴィヴィオは、素早く振り向いて

 

「はい、ありがとうございます!」

 

と返答してから、駆け出した。

そして教室に到着し、リオとコロナに会ったのだが

 

「大変だよぉ! 試験だよぉ!」

 

「そうなんだよねぇ」

 

只今聖ヒルデ魔法学院は、一学期末の期末試験真っ最中だった。

 

「けど、これを乗り越えたら、楽しい合宿が待ってるよ。頑張ろう?」

 

『おー!』

 

コロナの言葉の後に、三人は揃って拳を上げた。

そして学生組は、試験に勤しむのだった。


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