翌日、ティアナ宅
「……ん、ここは……」
「お、起きたみたいだな」
覇王と名乗っていた少女が目を覚ますと、近くから声が聞こえた
声が聞こえた方を見ると、少女が挑戦しようとしていた相手
ノーヴェが、ベッド近くの椅子に座って本を読んでいた
するとノーヴェは、本を閉じてから
「体の調子はどうだ? アインハルト・ストラトス?」
と問い掛けた
すると少女、アインハルトは
「多少痛みますが、問題ありません」
と事務的に答えた
それを聞いたノーヴェは、アインハルトに
「しかし、制服姿で来るとは……すっとぼけた奴だな」
と意地の悪い笑みを浮かべながら、そう言った
それを聞いて、アインハルトは
「仕方ないじゃないですか……あの場所に行くまでに、かなり時間が掛かるから、着替える時間が無かったんです」
と頬を染ながら、反論した
その反論に、ノーヴェは笑いながら
「一応説明しとくと、ここはアタシの姉貴の友人の家の一室だ」
と説明した
その時
「お、起きたー?」
とスバルが、器用に頭の上にもお盆を乗せて現れた
「ノーヴェ、頭の上のやつ取って」
「あいよ」
言われた通り、ノーヴェはスバルの頭の上に有ったお盆を取り、それをアインハルトの前に置いた
他の二つは、量がかなり多い
どうやら、スバルとノーヴェ用らしい
「向こうはどうだ?」
「そっちは、ティアと裕也が相手してる。さっき目を覚ましたみたい」
ノーヴェの問い掛けに、スバルはそう答えた
どうやら、もう一人たる流浪人も目覚めたらしい
「えっと、アインハルト・ストラトスちゃんだよね? 私は、ノーヴェの姉のスバル・ナカジマ。なんであんなことをしてたか、聞きたいんだ」
「なんでも、こいつの中じゃあ古代ベルカの戦争が終わってなくて、古代ベルカに連なる強い奴を片っ端から倒したいんだとよ」
スバルがアインハルトに問い掛けると、ノーヴェがそう言った
しかし、直ぐにアインハルトが首を振り
「正確には、違います……私の覇王流こそが、最強と示したいんです……でないと、何も守れないから……!」
と涙ながらに訴えた
それを聞いた二人は、顔を見合わせた
同時刻、別室にて
「
「はい、その通りです」
ティアナの問い掛けに、流浪人こと剣士郎は、素直に頷いた
そして、ティアナは
「なんで、あんなことを?」
と剣士郎に問い掛けた
すると、剣士郎は
「……もう終わった古代ベルカ戦争……それに囚われてるあいつを……どうにかしてやりたかったんです……同じ古代ベルカ流派の使い手の一人として……」
と答えた
すると、ティアナの背後に立っていた裕也が
「ノーヴェさんから聞いたが、飛天御剣流……とやらの使い手のようだな……それも、かなり卓越した」
と問い掛けた
すると、剣士郎は
「俺と彼女は、恐らく同じタイプでしょう……過去の人物の記憶と技術を継承しているタイプ……まあ、多少の差はあるでしょうが」
と言った
それを聞いて、ティアナは
「つまり君は、先祖の記憶と技術を受け継いでいる……そういうことね?」
と問い掛けた
その言葉に、剣士郎は頷き
「その通りです……その記憶の中に、うっすらとですが、覇王に関する記憶がありました……聖王と縁深かった覇王の記憶が……」
と語った
「ふむ……」
「なるほどね……だから、あの子を止めたかったのね?」
ティアナの問い掛けに、剣士郎は頷き
「何時までも、過去に囚われたままでは、前に進むことが出来ないから……」
と言った
それを聞いた二人は、顔を見合わせてから
「とりあえず、この後は近くの管理局施設に来て、色々と書類を書いてもらうことになるけど……」
「その後は、どうする?」
と問い掛けた
その問い掛けに、剣士郎は
「登校しますよ……一応、図書館の司書もしていますから」
と答えた
「真面目ね」
「いいことだ」
剣士郎の言葉を聞いて、二人は満足そうに頷いた
実は、アインハルトも同じことを言っていて、この後にティアナの車で送ることになる