魔法少女リリカルなのは 集う英雄達    作:京勇樹

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邂逅

翌日、ミッド主街区のある一角

 

「じゃーん! 私のデバイスのクリスだよ!」

 

「おぉー!」

 

「可愛いね!」

 

ヴィヴィオが御披露目すると、リオとコロナの二人はクリスを見ながらそう言った

そこに、ノーヴェが

 

「悪いな、ヴィヴィオ。今日は大所帯になった」

 

と謝ってきた

何故なら、ノーヴェの他にディエチ、ウェンディ、ティアナ、スバルの姿があったからだ

 

「大丈夫だよ、ノーヴェ」

 

ヴィヴィオがそう言うと、目的地に向かった

目的地は、複数建設されている大型体育館

その一つだ

そこに入ると、ヴィヴィオ、リオ、コロナ、ノーヴェの四人は運動着に着替えた

そして、軽いスパーを始めた

それを見て、スバルが

 

「うわ……ヴィヴィオ、結構やる……」

 

と素直に驚きの声を漏らした

 

「本当……」

 

とティアナも驚いていると、ディエチが

 

「ヴィヴィオ、結構特訓してきたからね」

 

と言いながら、タオルを用意した

そして、ある程度するとノーヴェが

 

「んじゃ、本番行くか」

 

とヴィヴィオに言った

それを聞いたヴィヴィオは、クリスを呼んで

 

「バリアジャケットは、トレーニングウェアをベースにして」

 

と言った

それを聞いたクリスが敬礼すると、ヴィヴィオは掴んで

 

「セイクリッドハート、セットアップ!」

 

とセットアップ

聖王モードになった

そして、少し開けた場所に向かって

 

「すいません」

 

「使わせてもらいます」

 

と近くの人達に断ってから、相対した

そして数秒後、激しめの組手を始めた

 

「お、おお……」

 

「ヴィヴィオ、やるわね……」

 

スバルは驚き、ティアナは素直に感嘆した

すると、ウェンディが

 

「ノーヴェが基礎から教え続けてきたっすからね!」

 

と自慢気に言った

それは、ヴィヴィオが聖ヒルデ魔法学院に通っていたある日、ヴィヴィオは一人で格闘技

ミッド呼称ストライクアーツの訓練を、一人でしていた

しかし、独学なために色々と未熟な面があった

そこに、ノーヴェがアドバイスをしたのだ

構えかたから、体の動かしかたを

その結果、ヴィヴィオはノーヴェに師事を仰ぐようになり、今に至る

ヴィヴィオがやりたかったことというのは、格闘技(ストライクアーツ)のことだったのだ

その後、夕方近くまで組手を繰返し、帰ることにしたのだが、ノーヴェのデバイス

ジェットエッジに、通信が入り

 

「ディエチ、ウェンディ、悪いが、チビ達を送ってくれねぇか?」

 

とノーヴェが言った

 

「どうしたの?」

 

「消防隊からで、調整した装備の確認だとよ」

 

ディエチが問い掛けると、ノーヴェはそう言った

それを聞いたウェンディは

 

「任せるっす!」

 

とサムズアップして答えた

そこでノーヴェは一人別れて、消防隊の隊舎に向かった

そして数時間後、ノーヴェが暗い街中を一人歩いていると

 

「ストライクアーツ有段者……ノーヴェ・ナカジマさんとお見受けします」

 

と声が聞こえた

その声を聞いたノーヴェは、近くの街灯を見上げた

その一番上に、ギンガから教えられた人物

覇王、イングヴァルトが居た

 

「……噂の覇王か」

 

「そう名乗っていることは、否定しません」

 

覇王はそう言うと、バイザーを外したすると、見えたのは虹彩異色症(オッドアイ)だった

 

(まだ若いな……)

 

顔と声の感じから、ノーヴェはその覇王がまだ幼いと言える年齢だと思った

そして

 

「名乗れよ……アタシは、お前の名前を知らないんだが?」

 

と問い掛けた

すると、覇王は

 

「申し遅れました……私の名前は、ハイディ・E・S・イングヴァルト……と申します」

 

と名乗った

その名前と虹彩異色症の色合い

それは、ノーヴェの知識に該当があった

 

(こいつの特徴は、確かに覇王と一緒だが……血縁が生き残ってたのか?)

 

ノーヴェはそう思いながら、肩に掛けていたショルダーバッグを下ろした

そして、覇王に

 

「お前さんの話は、姉から聞いてる……なんで、ストリートファイト(こんなこと)を続けている?」

 

と問い掛けた

すると、覇王は

 

「……私の中では、古代ベルカの戦争はまだ終わっていません……」

 

と言った

 

「あ?」

 

「……まだ、終わってないんです……そして、私の悲願を叶える……今を生きる古代ベルカの血を引く者達を全て倒し、覇を唱え、覇王流が最強だと証明するんです……」

 

ノーヴェが眉を潜めると、覇王は複雑な感情が籠った声でそう言った

それを聞いたノーヴェは、歯を鳴らして口を開こうとした

その時だった

 

「すまんが、そいつの相手……こちらに任せてもらっても?」

 

と新たな声が聞こえた

その声を聞いた二人は、ほぼ同時に声が聞こえた方向を見た

すると、ある一つの街灯の下にその人物は居た

後頭部辺りで纏めた赤い髪に、頬に十字傷

そして、腰に刀を履いた若い少年が

 

「お前は……」

 

「敢えて名乗るなら、流浪人……か……その覇王を探していたんだ……同じ古代ベルカの血を引く者として……ね」

 

ノーヴェの問い掛けに、その少年はそう言うと、覇王と対峙した

すると覇王は、傷みを堪えるような表情を浮かべながら、左手を側頭部に当てて

 

「流浪人……」

 

と少年を睨んだ

これが、古代ベルカを巡る鮮烈な物語の始まり


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