魔法少女リリカルなのは 集う英雄達    作:京勇樹

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会話と約束と

ゆりかご事件を経て、ある家族は幸せに過ごしている

 

「って思ってたのに……なんでこうなってるの!?」

 

「あははは……」

 

フェイトの言葉を聞いて、なのはは苦笑いを浮かべた

なおユーノと冬也の二人は、正座して首から《知ってたが、言いませんでした》という看板を下げている

 

「えっとね、フェイトママ。確かにこの姿は、あの聖王としての姿だけど、中はヴィヴィオのままだよ?」

 

そんなフェイトに、ヴィヴィオが顔を見ながらそう言った

そして

 

「前から、何回も変身魔法の練習をしてたの。やりたいことがあるから」

 

と語った

それを聞いたフェイトは、完全ではないが納得することにしたようだ

すると、ヴィヴィオが

 

「それに……ママ達が今のヴィヴィオ位の時には、相当やんちゃしたって聞いたよ?」

 

と問い掛けた

 

「にゃははは……」

 

「そ、それは……!」

 

その言葉に、なのはとフェイトは赤面した

すると、ユーノが

 

「そうだね。結構、やんちゃしたね」

 

「ほう。これは確かに」

 

と冬也に、映像を見せていた

どうやら、過去の映像を見せているようだ

 

「待って、ユーノくん!?」

 

「い、何時のまに!?」

 

それに気付いた二人は、慌てた様子でユーノに視線を向けた

そしてこの後、高町家は夜のお散歩に出てフェイトと冬也は家に帰ると

 

「……という訳なの……」

 

フェイトは、通信で環境保護隊の二人

エリオとキャロの二人と話し始めた

冬也は、夜叉の簡易メンテ中である

 

「二人は知ってた?」

 

『はい。話だけは』

 

『それとなく、ですが』

 

フェイトの問い掛けに、エリオとキャロはそう返した

すると二人は

 

『まあ、ヴィヴィオも一生懸命練習してたみたいですし』

 

『大丈夫ですよ、フェイトさん!』

 

と朗らかに言った

その頃、散歩に出た高町家は

 

『ふっふふーん! やっぱり、この身長はいいなあ♪』

 

と上機嫌なヴィヴィオが、スキップしていて、それをなのはとユーノが微笑みながら見ていた

するとなのはが

 

「ねぇ、ヴィヴィオ」

 

とヴィヴィオを呼んだ

 

「なに? なのはママ?」

 

呼ばれたヴィヴィオは、振り向きながら首を傾げた

するとなのはは、真剣な表情で

 

「分かってると思うけど、魔法はイタズラに使わないようにね? 使い方を間違えたらどうなるか、ヴィヴィオも知ってるよね?」

 

と問い掛けた

その問い掛けに、ヴィヴィオは頷き

 

「うん、知ってる……ゆりかご事件……マリアージュ事件……あんな事になる……」

 

と答えた

ヴィヴィオがある意味中心だったゆりかご事件

そして、ヴィヴィオと同じ古代ベルカの技術が関わった事件たるマリアージュ事件

その両方は、魔法が深く関わっている

 

「だから、絶体に間違った使い方はしないこと……いいね?」

 

「うん、約束する!」

 

なのはの言葉を聞いて、ヴィヴィオはそう力強く返答した

すると、なのはが

 

「誓う?」

 

と言葉短く問い掛けた

その問い掛けに、ヴィヴィオは

 

「星と夜天と雷光。そして、刀と翡翠に誓って」

 

と答えた

それを聞いたユーノは、軽く笑って

 

「それは、絶体だね」

 

と頷いた

再び場所は変わり、ナカジマ家

そのリビングでは、四姉妹

チンク、ディエチ、ウェンディ、ノーヴェの四人が、ギンガからの通信を聞いていた

 

「傷害事件?」

 

『被害届けが出てないから、正確には未遂だけどね』

 

今日ギンガは、夜間シフトなので陸士108隊の隊舎に居る

そこから通信してきていた

 

『誰もが、有名なインストラクターや格闘家なんだけど、路上で挑まれて、負けてるの』

 

「あたし知ってるっす! ストリートファイトっすね!?」

 

ギンガの話を聞いて、ウェンディは興味津々と言った様子でそう言った

すると、そんなウェンディの頭にディエチが手を置いて

 

「ウェンディ、五月蝿いよ?」

 

と注意した

 

『まあ、ウェンディの言う通りね。それで相手は、この子』

 

ギンガがそう言うと、新しくウィンドウが開いて、一人の人物を写し出した

遠くから撮影されたらしく、少しボヤケている

 

「ふむ……バイザーで顔は分からんか……だが、珍しい髪だな……薄緑色か?」

 

とチンクは、画面を見ながら首を傾げた

すると、ギンガが

 

『その相手だけど、覇王インクヴァルトって名乗ってるらしいの』

 

と言って、それを聞いた四人は軽く驚いた

覇王インクヴァルト

その名前は、歴史を勉強しているならば知らぬ者は居ないと断言出来る名前だったからだ

 

「だけど、結構使われる名前だよね?」

 

『ええ……けど、使っている技が、どうも古流の物らしいの……だから、気をつけてね?』

 

ディエチの指摘に頷くと、ギンガがそう言った

すると、それを聞いたノーヴェが

 

「大丈夫だ。逆にボコッてやる」

 

と答えた

それに頷き、ギンガは

 

『それと、最近……その覇王が現れた場所に、一人の人物がよく目撃されてるの』

 

と言った

それを聞いたノーヴェが

 

「あ? 二人なのか?」

 

と首を傾げた

だが、ギンガは首を振って

 

『ううん、関係ないと思うわ。ただ、一応留意していてほしいの。その人物が、これ』

 

と更に新しく、ウィンドウを開いた

そこに写っていたのは、後頭部で括った赤髪に頬に十字傷

そして、腰に刀を差した人物だった

 

「この子に関しての情報は?」

 

『殆ど無いけど、通称で流浪人……って呼ばれてるみたい。かなりの刀の使い手みたい』

 

ディエチの問い掛けに、ギンガはそう答えた

これは、古代ベルカを巡る鮮烈な物語の始まりだ


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