魔法少女リリカルなのは 集う英雄達    作:京勇樹

132 / 220
ただ今、活動報告にて新作に関するアンケートをしています
皆さん、どうぞご参加くださいませ


ヴィヴィッド編
新学期


「おはよう、ヴィヴィオ」

 

「おはよう、なのはママ!」

 

起きてきた愛娘

高町・S・ヴィヴィオに、なのはは朝の挨拶をしてから朝食を置いた

すると、ヴィヴィオは

 

「あれ? ユーノパパは?」

 

と首を傾げた

何時もなら一緒に朝食を取る父親たるユーノが、居なかったからだ

すると、なのはが

 

「ユーノ君なら、今朝早くに出たよ。新しい未開拓地域が見つかったんだって」

 

と教えた

それを聞いたヴィヴィオは、納得した表情をしてから朝食を食べ始めた

JS&R事件から時は経ち、今日からヴィヴィオは(ザンクト)ヒルデ魔法学院初等科の四年生になる

それを祝してか、朝食のオムレツには祝4年生とケチャップで書かれてある

 

「ヴィヴィオ、今日は早く帰っておいで。そうしたら、良いことあるかもよ?」

 

「? 分かった」

 

疑問に思いながらも、ヴィヴィオは頷いた

そして朝食後、二人は一緒に家を出た

なのはは車で管理局に出勤し、ヴィヴィオはランニングを兼ねて学院まで走った

門に到着するとヴィヴィオは、そこで友達を見つけた

 

「リオ! コロナ!」

 

『ヴィヴィオ!』

 

ヴィヴィオが呼んだ二人

リオ・ウェズリーとコロナ・ティミルの二人も、ヴィヴィオに気がついたらしい

ヴィヴィオに駆け寄ってきた

リオは短く切った黒髪に、八重歯が特徴的な活発な子

そしてコロナは、少し長く伸ばした茶髪と利発さが印象的な子だ

その後、三人揃ってクラス分けを見て

 

「また私達!」

 

「同じクラスだね!」

 

「うん!」

 

と嬉しそうに、ハイタッチした

それを、回りから見られていることに気づいた三人は、少し恥ずかしそうにしながら教室に向かった

この二人と出会ったのは、この学院に来てからである

コロナは、一年生の時にクラスメイトになり、ある魔法が切っ掛けになった

そしてリオは、三年生の時に出会った

それ以来、ほぼ三人で行動を共にしている

そして、始業式が終わった後

 

「んー……この後は、どうするの?」

 

「私は、家に帰って家の手伝いかな?」

 

リオの問い掛けに、コロナはそう答えた

すると、ヴィヴィオは

 

「私も、家に帰るかな」

 

と言いながら、携帯を操作していた

その携帯を見て、コロナが

 

「そう言えば、ヴィヴィオってデバイス持ってないよね?」

 

と問い掛けた

聖ヒルデ魔法学院はその名前の通り、魔法を習うところだ

故に、一部例外を除き、ほぼ全生徒がデバイスを所持している

 

「うん。なのはママが、厳しくって……」

 

とヴィヴィオは言いながら、メールを作成していた

なのはが言ったのは

 

《基礎を習得するまでは、専用デバイスは必要ありません。もし必要な時は、レイジングハートを貸して上げるから》

 

だった

そしてそれは、今まで守られてきている

しかし、やはり欲しいのは事実だった

そうすれば、通信やメール作成が一気に楽になるのに

とヴィヴィオは思っていた

 

「それで、なんて送ってるの?」

 

「うん! お世話になった人達に、今日で私は四年生になりました。これからも、全力全開で頑張ります! ってね♪」

 

問い掛けてきたリオに、ヴィヴィオは笑顔でそう言った

そしてヴィヴィオは、二人と別れて帰宅した

 

「ただいまー!」

 

「お帰り、ヴィヴィオ」

 

そんなヴィヴィオを出迎えたのは、なのはではなくフェイトだった

 

「あれ? フェイトママ!?」

 

「うん♪」

 

「ああ、帰ったか」

 

新たに聞こえた声の方向を見れば、椅子に座って新聞を読んでいる冬也の姿があった

最近冬也は、時々眼鏡を掛けている姿が散見されている

別に視力が悪いわけではなく、意識集中のために掛けているそうだ

 

「冬也パパ、久しぶり!」

 

「ああ、久しいな」

 

ヴィヴィオが嬉しそうに飛び付くと、冬也は優しくヴィヴィオの頭を撫でた

なお、なぜフェイトと冬也のこともママとパパと呼んでいるのか

どうやら、六課時代に世話になったことが理由で親という認識になったらしい

だから、二人のこともママとパパと呼んでいるのだ

そして二人は、高町家の隣の家に住んでいる

 

「そういえば、アリシアは?」

 

「ん? そこで寝てるよ」

 

ヴィヴィオの問い掛けに、フェイトはソファーを指差した

そのソファーでは、一人の子供が寝ていた

フェイトと冬也の子供、アリシア・T・ハラオウン

今年で三歳になる、二人の愛娘である

 

「ふわぁ……可愛い……」

 

そんな寝ているアリシアを見て、ヴィヴィオはホニャリとしながら頬を優しく突っついた

そこに

 

「いやぁ、ごめんね。フェイトちゃん! ユーノ君の車が、いきなり故障しちゃって!」

 

となのはが帰ってきた

どうやら、ユーノが使っていた車が故障したので、迎えに行っていたらしい

 

「大丈夫だよ、なのは。ユーノも、災難だったね」

 

とフェイトが労うと、ユーノは

 

「本当に、災難だったよ……いきなり、動かなくなるなんて……」

 

と呟いた

そして、ヴィヴィオを見て

 

「ヴィヴィオ、四年生おめでとう」

 

と言って、一つの箱を手渡した

 

「ふえ? これって……」

 

とヴィヴィオが困惑していると、なのはが

 

「開けてみて、ヴィヴィオ」

 

と開けるよう促した

それを聞いたヴィヴィオは、四人が見守っている視線の先で、ゆっくりと箱を開けた

そして中に有ったのは、一つのウサギのぬいぐるみ

 

「……ぬいぐるみ?」

 

なぜぬいぐるみが入っているのか分からず、ヴィヴィオは呆然と呟いた

すると、冬也が

 

「そのぬいぐるみは、アウタースキンだ。中は、至って普通のデバイスのAIコアが入っている」

 

と教えた

実はこの時、ヴィヴィオの持っていた箱の中からそのウサギのぬいぐるみがよじ登って出て、ヴィヴィオの顔の高さで浮いていた

それに気づいたヴィヴィオは、思わずなのはの後ろに回り

 

「動いた!? 飛んだ!?」

 

と驚いた

よく見れば、ウサギのぬいぐるみはガーンという表情を浮かべている

喋れないようだが、ジェスチャーや顔の表情で分かりやすい

 

「この子は、まだ生まれたばかりなんだ。だから、ヴィヴィオが名前を着けてあげて」

 

なのはがそう促すと、ヴィヴィオは近寄ってきたぬいぐるみを優しく掴んで

 

「えへへ……実は、もう決めてた名前が有るんだ」

 

と呟いた

そして庭に出ると

 

「デバイス使用者認証……高町・S・ヴィヴィオ……使用魔法、近代ベルカ、ミッドのハイブリット……」

 

と登録を開始した

それを四人は、優しく見守っている

 

「デバイス名は、セイクリッドハート……愛称はクリス!」

 

その名前を聞いて、なのはは少し恥ずかしそうに、フェイトは嬉しそうにした

そしてヴィヴィオは、新しい愛機

クリスを掴んで

 

「セイクリッドハート……セットアップ!!」

 

と早速、セットアップした

すると、幼いヴィヴィオの姿が変わり、成長した姿

ゆりかご事件の時の聖王としての姿になった

 

「やったー! 成功したよ、なのはママ!!」

 

「おー! 良かったねぇ」

 

ヴィヴィオが喜んでいると、なのはは拍手した

それを旦那sも微笑ましく見ていたが、冬也はフェイトが静かなことに気づき

 

「フェイト?」

 

と声を掛けた

すると、フェイトはへたりこんだ

それを見た冬也は、なのはに

 

「……なのは」

 

と声を掛けた

その直後

 

「あ」

 

となのはが声を漏らした

それを聞いたユーノは察したらしく、額に手を当てた

その光景を、ヴィヴィオが不思議そうに見ていると

 

「なのはぁ! ヴィヴィオが! ヴィヴィオがぁ!?」

 

となのはに飛び付いた

するとなのはは、焦った表情で

 

「あ、安心して、フェイトちゃん! これは、大丈夫だから!」

 

と説明を始めた

それを見たヴィヴィオも、気づいたらしく

 

「なのはママぁ! なんでフェイトママに教えてなかったの!?」

 

と問い掛けた

するとなのはは、少し視線を逸らしながら

 

「いや、その……つい、うっかり」

 

と溢した

 

「うっかりってぇぇ!?」

 

「昔から、変わらないね。なのはは……」

 

ヴィヴィオはなのはに怒り、ユーノは昔を懐かしみながら呟いた

そんな騒ぎの中、一度も起きなかったアリシアは、意外と大物になるかもしれない

こうして、新世代の物語りが始まった


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。