魔法少女リリカルなのは 集う英雄達    作:京勇樹

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次代へ

マリンガーデンの火災から、数日後

 

「んー……っはぁ……ようやく、オフシフトだぁ……」

 

とスバルは、何時もより少し遅くに起きた

事件の影響で、流れに流れていたオフシフト

実に、二週間振りだった

 

「さってと、何しようかな……」

 

スバルはそう言いながら、首を傾げた

そこに、通信が鳴ったので

 

「はい、スバルです」

 

と出た

通信相手は、ティアナだった

 

『あ、スバル? 私、本局行きのチケット取れたから、明日には本局に戻るわね』

 

「了解。お互い、大変だったね」

 

スバルは本心から、ティアナにそう言った

事件が解決した後、ティアナは暫くの間は色々と走り回っていた

その理由は、ティアナの部下になっていたルネッサが、今回の事件の首謀者だったからだ

一度はティアナの責任問題になりかけたが、ティアナ自らが犯人たるルネッサの逮捕をしたこと

更に、捜査が的確だったことから、なんとか免れた

その後は、裕也の再入院の手続き、捜査に協力してくれた関係各所への挨拶回りで、走り回っていたのだ

 

『本当にね……あ、スバル。今日はオフシフトだったわよね?』

 

「そうだよぉ? 二週間振りのオフシフトだよ!」

 

ティアナの問い掛けに、スバルはそう答えた

なお、レンヤもオフシフトだが、何やらやることが有るとのことで、別行動を取っている

 

『ならさ、今夜は外食にしない? 捜査を助けてくれたお礼がしたいし』

 

「お礼とか、気にしないでいいのに。でも、外食は了解!!」

 

スバルがそう言うと、ティアナは短く笑い

 

『じゃあ、今夜ね』

 

「うん、またね!」

 

と通信を終えた

そして、夜まで何をしようか

とスバルが考えた時

 

「っと、また通信だ。はい!」

 

すぐに、通信が繋がった

相手は、マリエル技官だった

 

『スバル、今大丈夫?』

 

「はい、オフシフトですから」

 

スバルがそう言うと、マリエルは

 

『それじゃあ、言うね……イクスが、目を覚ましたの』

 

「ほ、本当ですか!?」

 

マリエル技官の言葉を聞いて、スバルは嬉しそうにした

マリンガーデンから救出後、イクスヴェリアは海上隔離施設で眠り続けている

眠り続けている理由と原因は、一切不明

恐らく予定外と設定以外の目覚めかたをしたために、何らかの異常が起きたと思われる

原因を特定しようにも、今の科学技術では迂闊に調べられなかった

それゆえに、何時起きるか分からない

とスバルは聞いていた

だが、僅か数日で起きたことが嬉しかった

しかし

 

『けどね……よく、聞いてね……』

 

マリエルのその言葉に、どうしようもなく、胸騒ぎがした

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

少しして、海上隔離施設の一角

そこで、ヴィヴィオとイクスヴェリアが楽しそうに話している

それを見ながら、スバルはマリエル技官から聞いた話を思い出した

今回起きれたのは、偶然に過ぎない

起きれて、夕方まで

その後は、何時起きれるかは分からない

 

「……世界って……理不尽だよ……」

 

スバルは、そう呟かずにはいられなかった

何故、優しいイクスヴェリアが、こんな目に遇わなければならないのか

イクスヴェリアはもう、十分に辛い思いをしたのに、と

その後スバルは、イクスヴェリアが目覚めるまで待ち続けると約束した

見せたい場所や物

連れていきたい場所があるから

もし自分達の代で起きなかったら、子孫にその役割を継がせると

そう約束して、スバルはイクスヴェリアが眠るまで一緒に居た

こうして、時と世界は回り続ける

新たな世代(ヴィヴィッド)へと


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