魔法少女リリカルなのは 集う英雄達    作:京勇樹

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新たな

「凄い……あの数を、一人で……」

 

と呟いたのは、スバルの奮戦を見たイクスヴェリアだった

マリアージュと戦闘が始まり、十数分

スバルは、二十近く居たマリアージュの殆どを撃破

最後の一人を見て

 

「ラスト一体……!」

 

と気炎を吐いた

すると、そのマリアージュは

 

『なるほど……貴女は、中々強いようだ』

 

と言って、左腕を上げた

そして

 

『左腕武装化……戦槍』

 

その左腕を、長大な槍に変化させた

だがスバルは、そんなの関係無いと言わんばかりに

 

「リボルバー……キャノン!!」

 

カートリッジをロードし、拳を繰り出した

だがその一撃は、マリアージュが掲げた槍に受け止められた

 

「つっ!? 止めた!?」

 

止められると思ってなかったスバルは、目を見開き固まった

そこに

 

「防災士長、気を付けて! その子は、軍団長です! 他の子より、ずっと強い!!」

 

とイクスヴェリアが、忠告した

それを聞いたスバルは、連撃を叩き込もうと左手を強く握りしめた

だが、その間に

 

『右腕武装化……対戦車炸裂留弾砲』

 

と呟き、スバルを蹴り飛ばした

蹴られたスバルは、僅かに動きを止めたものの、直ぐに態勢を建て直し、軍団長マリアージュに視線を向けた

そして見えたのは、自分に指向されている大口径砲弾の砲口

 

「実弾兵器!?」

 

「防災士長! 逃げてぇ!?」

 

イクスヴェリアが声を上げた直後、スバルが居た場所で大爆発が起きた

 

「あ……あぁ……なんて、ことを……」

 

その光景に、イクスヴェリアは涙を流した

その間に、マリアージュはイクスヴェリアの前に歩みより

 

『戦車すら一撃で破壊する威力です……生身の人間に、耐えられるわけがありません』

 

と機械的に喋った

そして、イクスヴェリアを見て

 

『ご帰還をお待ちしてました、我等が王よ……貴女が居なければ、我等が進軍は成り立たない』

 

と告げた

それを聞いたイクスヴェリアは、涙目でマリアージュを見ながら

 

「進軍なんて、しなくていい……私達はもう、この世界に居ちゃいけないの!!」

 

と叫んだ

 

『イクス……』

 

それを聞いたマリアージュは、神妙そうにイクスヴェリアの名前を呼んだ

そこに

 

「うぉぉぉりゃあぁぁぁぁ!!」

 

とスバルが、爆煙を突き破って、現れた

しかも、左手でマリアージュの槍を破壊した

 

『私の戦槍を破壊……この威力、まさか……』

 

破壊された衝撃で、マリアージュは数歩後退

折られた槍を見て、そう呟いた

しかし、その間にスバルは

 

「相棒! 全ロード!」

 

と指示を下していた

マッハキャリバーは、その指示に従いカートリッジを全てロード

そしてスバルは、右手を大きく引き絞り

 

「振動拳!!」

 

最大威力の一撃を、叩き込んだ

その一撃で、軍団長マリアージュを撃破した

するとスバルは、荒く呼吸しながら

 

「ごめんね……本当なら……無力化程度で捕まえたかった……んだけど……」

 

とイクスヴェリアに、謝罪していた

スバルの言葉に、イクスヴェリアは

 

「構いません……あの子達は、行動不能になると自爆します……防災士長のせいではありません」

 

と返答した

そして気づいた

スバルの左腕、そこから金属製の骨格やケーブルが露出していることに

 

「人工骨格……貴女も、兵器なんですか?」

 

イクスヴェリアの問い掛けに、スバルは頷き

 

「そう……だね……鋼の骨格に、人工筋肉……私も兵器かもしれない……」

 

と呟いた

そして、何処かから布を取り出して

 

「けど……今は人間……だよ」

 

軽く止血すると、イクスヴェリアに近寄った

そこに

 

「スバル……さん……ご無事で……」

 

とレンヤの声が聞こえた

その声を聞いて、スバルは声のした方向を見て、息を飲んだ

確かにレンヤが居たが、背中には折れた刀が突き刺さり、右肩から人工骨格が露出していた

 

「レンヤ……レンヤも……」

 

「はい……俺も、スバルさんと同じ……戦闘機人です……」

 

スバルの問い掛けに、レンヤはそう答えた

レンヤ・ウェスタン

彼もまた、戦闘機人だったのだ

詳しい経歴は、今は割愛させてもらう

 

「すぐに合流するつもりでしたが……十数体のマリアージュと交戦することに、なり……」

 

「ん、分かった。今は喋らなくていいよ」

 

レンヤは報告しようとしたが、スバルは遮ってレンヤの全身を確認した

見た目の大きな怪我は、背中の刀と人工骨格の露出した右肩だろう

他にも、細かい傷が幾らかある

出血量から、早く治療をした方がいいだろうことは明白だ

 

「よし、脱出するよ!」

 

スバルはそう言って、脱出を目指した

 


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