魔法少女リリカルなのは 集う英雄達    作:京勇樹

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接敵と捜索

イクスヴェリアを背負ったスバルは、レンヤが先導する形で脱出を試みていた

爆発での影響かは不明だが、通信が出来ない

その為に、頭に叩き込んだ地図を思い出しながら進んでいた

 

(というか……右足、ヒビ位入ってるかも……)

 

とスバルは、軽く顔をしかめた

すると、レンヤが

 

「スバルさん、大丈夫ですか?」

 

と問い掛けてきた

そのレンヤに

 

「なんとか大丈夫……レンヤは先行……出来るなら、瓦礫の破砕突破を」

 

と指示を下した

それを聞いたレンヤは、頷いてから速度を上げた

小回りという点ではスバルの方が上だが、最高速度はレンヤの方が速い

だから、レンヤを先に行かせたのである

最近は、それがデフォルトになってきている

すると、イクスヴェリアが

 

「あの、ダメです……下ろしてください……」

 

とスバルに言ってきた

だがスバルは

 

「やぁです! 素直に背負われててください」

 

と拒否した

 

「でも……」

 

「というか、なんで私は敬語で話してるんだろ……」

 

スバルが苦笑を浮かべると、イクスヴェリアが

 

「王、ですから」

 

と言った

それを聞いたスバルは、どこか納得した様子で

 

「あ、やっぱり王なんだ」

 

「……冥府の炎王……そう呼ばれてました」

 

スバルの言葉に、イクスヴェリアはかつて呼ばれていた称号を告げた

冥府の炎王、イクスヴェリア

古代ベルカに実在した王で、邪知謀逆の王として知られている

戦力は、死体で作るマリアージュ

相手を倒す度に、戦力が増える

それにより、幾多の国に侵略したとされる

 

「じゃあ、陛下って呼んだ方がいいですか? 聖王はそう呼ばれるの、嫌がるけど」

 

スバルがそう言うと、イクスヴェリアが

 

「聖王? あのベルカの聖王ですか?」

 

と驚いていた

 

「はい、そうですよ。友達なんです」

 

とスバルが言うと

 

「嘘です……だって、前に目覚めた時は、古代ベルカそそのものが無くなってたのに……」

 

「あ、それは確かに……けど、本当ですなんですよ。何代目かは分からないけど、聖王の血を引いてるんですよ」

 

イクスヴェリアの言葉に、スバルはそう返した

するとイクスヴェリアは

 

「……本当なんですか?」

 

とスバルに問い掛けた

 

「本当です……ゆりかごなんて言う物騒なのとは、バイバイしました。今は、お義母さんと仲良く平和に過ごしてます」

 

スバルがそう言った直後、レンヤから

 

『こちら、レンヤ! ダメです。最短ルートは、瓦礫によって塞がれてて、破砕突破すれば海水が流れ込む危険性が高いです!』

 

と音声通信が来た

それを聞いたスバルは、少し考えてから

 

「分かった! 一度戻って、迂回ルートを探すよ!」

 

と指示を下した

そこに

 

『見つけました……』

 

と声が聞こえた

そして、スバルの後と左右の通路から次々とマリアージュが姿を現した

それを見たスバルは

 

「イクス……王なら、命令とか出来ないんですか?」

 

とイクスヴェリアに問い掛けた

するとイクスヴェリアは

 

「無理です……命令権は、操主のみしかありません……恐らく、別の場所に……」

 

と首を振った

それを聞いたスバルは、イクスヴェリアを下ろして

 

「だったら……倒して進むだけです!」

 

と言って、イクスヴェリアを囲む結界を張った

それを見たイクスヴェリアは

 

「保護バリア? 私にだけ!?」

 

と驚いていた

するとスバルは、微笑みながら

 

「そこで待っててくださいね? すぐに終わらせるから」

 

と言って、マリアージュに向き合った

そして、マリアージュとの戦いが幕を開けた

一方、その頃外では

 

「裕也……大丈夫?」

 

とティアナが、傍らに立つ裕也に問い掛けていた

今しがた、消防隊員を襲撃しようとしていたマリアージュを撃破したところである

 

「大丈夫だ……流石に、全力戦闘は無理だが……この程度ならば、まだ行ける」

 

ティアナの問い掛けに、裕也はそう答えた

本来ならば、裕也はまだ入院している筈なのだ

それを裕也は、ティアナからの要請が来たことを理由に病院を強引に退院し、調査

そして、今は戦闘に参加している

裕也の全力戦闘を知っているティアナにも、今の裕也の動きが遅いことは分かっていた

だから、心配で声を掛けたのだ

 

(大丈夫って言ってるけど……息が荒い……それに、普段よりも動きに無駄がある……早く、終わらせないと……)

 

呼び出したのが自分だから、責任を感じているティアナは、そう思った

そこに

 

「おーい! ティアナー! 裕也ー!!」

 

と声が上から聞こえた

それを聞いた二人は、視線を上に向けた

すると、こちらに近付いてくる人影があった

今は民間協力者として行動している、ウェンディだ

 

「ウェンディ!」

 

ティアナが手を振ると、ウェンディは軽やかに着地して

 

「裕也は、大丈夫なんすか?」

 

とティアナに問い掛けた

すると、裕也は

 

「全力戦闘は無理だが、まだ戦える」

 

と答えた

だが、ウェンディは戦闘機人だ

その目は、裕也の体のダメージを見抜いていた

 

(本来なら、まだ戦える傷じゃないっすね……)

 

そう判断したからか、ウェンディは

 

「アタシの方は見つけた要救助対象は全員助けたっすから、しばらくは一緒に行動するっすよ!」

 

と言った

しかし、すぐに苦い表情を浮かべて

 

「ただ、少し前からスバルの位置が把握出来ないんすよ……生態反応はあるから、要救助対象と一緒に居るのは分かってるんすが……」

 

と言った

それを聞いたティアナは、ウィンドウを開いて

 

「見て、これ。ここの詳細マップデータ」

 

と二人にも見えやすいようにした

 

「この地図と私の経験と勘……それで、今のスバルの位置はおおよそ分かるわ」

 

「マジですか!?」

 

ティアナの言葉を開いて、ウェンディは驚きで目を見開いた

するとティアナは、自信ありげに

 

「マジで。着いてきて」

 

と言って、走り出した

 


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