魔法少女リリカルなのは 集う英雄達    作:京勇樹

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冥府の炎王

「特救はツーマンセルで行動! 他は分隊で行動するように厳守!」

 

と通信で指示を下していたのは、特別救助隊司令のボルツ・スターンだ

そこに、通信士が賭けより

 

「連絡が着いた非番のチームから、到着してきました!」

 

と報告してきた

それを聞いたボルツは

 

「臨時の部隊を編成し、随時突入させろ!」

 

と指示を下した

それを聞いた通信士は、敬礼して指示を伝えに走った

そこに、ボルツの副官が現れて

 

「全非番に招集掛けました。近い者達から、随時到着します」

 

と告げた

 

「そうか……ったく、厄介な場所を燃やしやがって!」

 

副官の報告を聞いたボルツは、悪態混じりにそう言った

すると、副官は

 

「はい……幸いにも営業時間外でしたから、中には客は居ませんでしたが……従業員が多数取り残されています」

 

と手元の書類を見た

どうやら、アクアミュージアムの関係者からの証言を纏めてあるらしい

それを聞いたボルツは、頷いてから

 

「各班に、報告を厳命! どんな些細でもいい! 必ず報告させろ! 油断はするな!」

 

と命令した

そこに

 

『ソードフィッシュ隊、再出動!』

 

と通信音声が聞こえた

その頃、アクアミュージアム内部

 

「熱っ!? 室内の温度が、軽く五百度を越えてる……! こんなの、バリアジャケットも長くは持たない……!」

 

と言ったのは、スバル達と一緒に突入したエリオである

その後ろには、相方のキャロの姿もある

 

「まるで、竈の中みたいに真っ赤……!」

 

と二人が言った直後、通信画面が開き

 

『二人共! 厳しくなったら、一度離脱してバリアジャケットの再構築だよ!』

 

とスバルが言ってきた

 

「はい!」

 

「つっ! 近くに要救助者の反応!」

 

スバルの言葉にエリオは頷き、キャロはケリュケイオンが表示させたマップデータから近くに要救助者が要ることに気づいた

場所は再び変わり、ソードフィッシュ隊

スバルとレンヤ

 

「こちらソードフィッシュ1! 地下Dフロア! 延焼無し! 室内500度オーバー!!」

 

『了解! フラッシュオーバーに注意!』

 

スバルが司令部に報告している間、レンヤは注意深く周囲を警戒していた

マリアージュのことを聞いていたからだ

 

「……流石に、この近辺は生命反応は見られませんね」

 

「うん……けど、まだ取り残されてる可能性が有る……見逃さないで」

 

スバルのその言葉に、レンヤは無言で頷いた

すると、二人のデバイスが同時に

 

《報告!》

 

《生命反応感知!》

 

と告げて、それをマップに表示させた

だが同時に、二人の頭上の天井に亀裂が走った

 

「亀裂! 崩落!?」

 

『ソードフィッシュ隊、緊急離脱しろ!』

 

スバルの報告に、通信士がそう言ってきた

しかし、レンヤが

 

「ですが、生命反応が!」

 

と反論した

そこに、場違いにも一人の少女が現れた

まるで、入院患者が着るような病衣を着た幼い少女だった

 

「女の子……?」

 

とスバルが呟いた

その直後、スバルとレンヤの二人を崩落と爆発が襲った

それからどれほど経ったか

 

(痛ぅ……頭、打った? 視界が……それに、耳も聞こえない……早く、回復を……!)

 

とスバルは、自身の修復機能を最大限に稼働させた

そこに

 

「……の、大丈夫ですか? 聞こえますか? 見えますか?」

 

と儚い印象の声が聞こえてきた

そして気づけば、スバルを覗きこむように、先ほどの少女が居た

 

「つ……うん! 大丈夫! 見えるし、聞こえる!」

 

少女の問い掛けに、スバルはそう言いながら身を起こした

そして、周囲を見て

 

「レンヤ!」

 

と呼んだ

その直後、スバルの近くの瓦礫の中から

 

「こ、ここです!」

 

とレンヤが姿を見せた

それを見たスバルは

 

「怪我は?」

 

と問い掛けた

すると、レンヤは

 

「軽度の打撲程度です。問題ありません!」

 

と答えた

そこまで確認して、少女は立ち上がり

 

「良かった……その様子なら、大丈夫そうですね」

 

と言って、二人に背を向けた

それを見て、スバルは

 

「待って! どこ行くの!?」

 

と問い掛けた

その問い掛けに、少女は

 

「逃げます……あの子達に見つからないように」

 

と答えた

それを聞いたスバルは、思わず少女をジッと見て

 

(この子……なんか、おかしい……こんな所で、裸足だし……)

 

と考えた

そして、ある一つの答えに行き当たり

 

「もしかして……イクス?」

 

と問い掛けた

それを聞いた少女

イクスヴェリアは、驚いた表情で振り向き

 

「え……」

 

と呟いた

その直後、膝から力が抜けたように倒れた

 

「た、倒れた!?」

 

「大丈夫!?」

 

それを見た二人は、慌てた様子でイクスヴェリアに駆け寄った

するとイクスヴェリアは、上半身を起こしながら

 

「体が、上手く動かない……なんで? 設定外の目覚めかたをしたから?」

 

と混乱していた

それを聞いた二人は、顔を見合わせてから

 

「えっと……よく分からないけど……」

 

「やることは、変わりませんね」

 

と喋った

そして

 

「私達は、特救……特別救助隊です!」

 

「災害現場から、要救助者を助けるのがお仕事です!」

 

と宣言

イクスヴェリアが視線を向けると、敬礼しながら

 

「港湾特別救助隊所属、スバル・ナカジマ防災士長です!」

 

「同じく、レンヤ・ウェスタン防災士です!」

 

と名乗った

すると、スバルが

 

「お嬢さんのお名前は?」

 

と優しく問い掛けた

すると、イクスヴェリアは

 

「イクスヴェリア……」

 

と呟くように、答えた

これが、彼女との長い付き合いの始まりだった


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