魔法少女リリカルなのは 集う英雄達    作:京勇樹

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突入

ヴェルウィードホテル内部

上層階

 

『スバルさん! こちらエリオ! 現在25階、中央付近にて消防隊と瓦礫を破砕突破!』

 

『こちら、キャロ! 22階右階段! こちらも同じくです!』

 

エリオとキャロからの報告を聞いたスバルは、落下してきた瓦礫を回避して

 

「了解! 火の勢いは!?」

 

と二人に問い掛けた

 

『もの凄い勢いです……!』

 

『こちらもです。まるで、竈の中みたいに真っ赤です!』

 

二人の報告を聞きながらスバルは、二人の正確な位置をマップで把握

そして、新しく通信ウィンドウを開いて

 

「武! 冥夜!」

 

と端的に、二人を呼んだ

すると、音声のみで

 

『こちら武! 26階にて、要救助者発見! 避難路の確保中!』

 

『こちらは24階で、瓦礫の撤去中! 破砕突破は出来ん!』

 

と報告してきた

それを聞いたスバルは

 

「了解! 各員、フラッシュオーバー……突発的な爆発に注意!」

 

と注意勧告をすると、一旦通信を閉じた

そして、別のウィンドウを開き

 

「黒くて、かなり粘っこい燃焼材に、階段とエレベーターの爆破……相手は、その手の違法魔導師か質量兵器を所持してる……」

 

と真剣な表情で呟いた

そこに、ティアナからの通信が繋がり

 

『スバル! 聞こえたら返事をしなさい!』

 

と言ってきた

それでティアナからの通信に気付き、スバルは

 

「ティア! 今何処!?」

 

と問い掛けた

すると、ティアナは

 

『今ようやく、ヴェルウィードホテルに到着するところよ!』

 

と言って、その詳細な位置をマップで表示させた

それを見たスバルが頷くと

 

『今回の犯人。高い確率で、私達が追ってる犯人だと思うわ! それなら、まだ犯人は中に居る筈よ! 被害者と一緒に!』

 

と言ってきた

それを聞いたスバルは、目を見開き

 

「被害者!?」

 

とティアナに問い掛けた

すると、ティアナは

 

『ええ! 恐らくは、最上階に居るわ!!』

 

と教えた

ほぼ同時刻、ヴェルウィードホテル最上階

その一室

そこも激しく燃えていて、その部屋に泊まっていた男は頭の半分を機械質なバイザーで覆われた女

マリアージュに、迫られていた

 

「教えてください……貴方は、イクスの居場所を知っている筈です……」

 

マリアージュが機械的に問い掛けると、男

古代遺跡盗掘家、ベルカ・ディランは

 

「知らねえ! イクスなんて物は知らねえよぉ!?」

 

と震えながら、マリアージュに答えた

するとマリアージュは、更に一歩迫り

 

「知らない筈はありません……イクスは我等が王……近年では、トレディア・グラーゼが堀当てた」

 

と言った

それを聞いた直後、ベルカ・ディランは

 

「トレディア!? やっぱり、あのジジイか!!」

 

と悪態を吐いた

すると、マリアージュに視線を向けて

 

「イクスなんて物は知らねえが、トレディアの居場所なら知ってる! 今の通信コードもな!」

 

と言って、ポケットに手を入れた

すると、マリアージュは

 

「教えてください」

 

とベルカ・ディランに問い掛けた

するとベルカ・ディランは、端末を取り出して

 

「あの爺さん、ここ五年程音沙汰も無かったんだが、先月に急に連絡してきたんだ! なんでも、前に失敗した戦争を、また起こしたいんだとよ!」

 

と語りだした

 

「戦争……」

 

「ああ……詳しいことは知らねえよ? 元々あの爺さん、妙なことを言う奴だったんだ。ただ、金払いは良かったからよ!」

 

それを聞いたマリアージュは、一度頷いて

 

「今の居場所と、通信コードは?」

 

と問い掛けた

すると、ベルカ・ディランは持っていた端末を掲げて

 

「居場所は先週までだが、再開発地区の、Kの267に居た! 通信コードは、この端末に!」

 

と言って、マリアージュの足下に投げた

それをマリアージュは拾い上げて、衣料品店から盗んだのだろうコートの上着に入れて

 

「確認しました……情報提供に感謝します……では……」

 

と言って、何処かへと去っていった

其を見送ったベルカ・ディランは

 

「た、助かった……あの爺さん……どんな厄介事に首を突っ込んだんだ?」

 

と言って、脱出を始めようとした

だがその時、何か思い出すように

 

「待てよ……? イクス……」

 

と呟きながら、首を傾げた

そして、少しすると

 

「もしかして、アレのことか!?」

 

と言った

その直後、ベルカ・ディランは頭を抱えて

 

「が、ガアァァァァ!? あ、頭がアァァァァア!?」

 

とのたうち始めた

それから数十秒後、その部屋にスバルと合流したレンヤが突入してきて

 

「要救助者発見!」

 

「男性一名! 大丈夫ですか!?」

 

とベルカ・ディランに近づいた

するとベルカ・ディランは

 

「た、助けてくれ! 死にたくねぇぇ!!」

 

と懇願してきた

それを聞いたレンヤが

 

「もう大丈夫です! 今から、バリアを張ります!」

 

と教えた

その直後、スバルがドーム形のバリアを形成

脱出ルートの確認を始めた

だが

 

「た、助けてくれ! ちくしょう! 手、手が勝手に!?」

 

とベルカ・ディランの困惑した声が聞こえて、二人は振り向いた

すると見えたのは、何処から取り出したのか

ナイフを逆手持ちにした、ベルカ・ディランの姿だった

 

「ちょっ!? な、ナイフ!?」

 

「スバルさん! バリアの解除を!!」

 

スバルは驚き、自身のデバイスたるバルグレンを構えた

だが

 

「あがぎゅっ!?」

 

ベルカ・ディランは、自身の咽にナイフを突き立て、倒れた

 

「そんな……なんで……!?」

 

スバルは瞠目し、レンヤは悔しそうに歯を食い縛ったのだった


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