魔法少女リリカルなのは 集う英雄達    作:京勇樹

113 / 220
ゲンヤさん、然り気無く昇進


シスターズ2

ミッド郊外、海上保護施設

通称、ホーム

その大浴場

そこには、戦闘機人の四姉妹が入浴していた

 

「おやぁ? どうやら、お外は雨模様っすね?」

 

と最初に外の天気に気づいたのは、湯船に浸っていたウェンディである

そのウェンディの言葉を聞いて、体の泡を流したチンクが

 

「そのようだな……今日は、不安定と言っていたからな」

 

と天気予報を思い出しながら、そう言った

すると、ディエチが

 

「嫌だなぁ……雨だと、星空が見えない……」

 

と残念そうに言った

彼女は最近、天体観測に嵌まっているので、星が見たかったようだ

それを聞いて、ノーヴェが

 

「まあな……」

 

と言葉少なげに、同意した

すると、スピーカーから

 

『はーい♪ 入浴中の、チンク、ディエチ、ノーヴェ、ウェンディ♪ ナカジマ家四姉妹へ』

 

と女性

マリエルの声が聞こえた

呼ばれた四人が顔を上げると

 

『今日は早めに上がって、部屋かロビーに集まることをオススメしまぁす』

 

と言った

その理由が分からず、四人が首を傾げてた

 

『ちょっと遅い時間だけど、皆のお義父さんがお土産を持って、来てくれましたよ♪』

 

と言って、思わずウェンディは上半身を出して

 

「パパリン♪」

 

と嬉しそうに、言った

すると、チンクとディエチが

 

「魏父上か……」

 

「お義父さん……忙しいんだから、そんなしょっちゅう来なくていいのに……」

 

と言った

そして、最後にノーヴェが

 

「ま、まあ……さっさと上がろう……」

 

と恥ずかしそうに言った

それに同意してチンクが頷くと、四人は続々と湯船から出た

場所は変わり、放送室

 

「という訳で、四人共すぐに上がってくると思いますよ」

 

とマリエルが言うと、その後ろに居たゲンヤが

 

「ありがとうな、マリエル技官」

 

と感謝の言葉を言った

そして、マリエルが放送機材を止めると、放送室から出て廊下を歩き始めた

ふとその時

 

「……でも、本当……ナカジマ二佐は凄いです」

 

と呟くように、マリエルが言った

それを聞いたゲンヤは

 

「おぉ? なんだいきなり」

 

と首を傾げた

すると、マリエルは

 

「スバルとギンガだけでなく、四姉妹の保護者になっただけでも凄いのに……四人共、もうすっかりなついてます」

 

と賞賛した

するとゲンヤは、頭を掻きながら

 

「そうか? ノーヴェ辺りは、まだ距離感あるけどな」

 

と普段の言動を思い出しながら、そう言った

すると、マリエルは

 

「全然です。あれは、十分個性の範疇ですよ」

 

と教えた

それを聞いて、ゲンヤは

 

「だといいがな……」

 

と嘆息混じりに言った

すると、マリエルは

 

「あの子達が人間として生きていくための、大事な土台……それをこんな短時間で作ってくれたこと……本当に感謝してるんです」

 

と言った

それを聞いて、ゲンヤは

 

「土台?」

 

と首を傾げた

するとマリエルは、指を立てながら

 

「帰る家と、家族ですよ」

 

と言った

それを聞いて、ゲンヤは納得しながら

 

「まあ、このホームも良いところだが……早いとこ、自由に暮らせるようになれば一番いいんだがな……」

 

と言った

それを聞いて、マリエルは

 

「ですね……まあ、きっともうすぐですよ」

 

と明るく言った

そして、二人がロビーに到着しゲンヤが同意するように頷いた直後

 

「わーい! パパリン!!」

 

とウェンディが、ゲンヤに飛び付いた

 

「おっと、こらっ! ウェンディ!」

 

一応、過去から注意している行動なので、ゲンヤは軽くウェンディの頭を叩いた

すると、歩いてきたチンクが

 

「すまないな、義父上……はしゃいでしまって」

 

と頭を下げた

 

「お、おお。チンク、二日ぶりだな」

 

どうやら、ディエチの言葉の通り、そんなに期間を空けずに来ているようだ

するとウェンディが

 

「パパリン! 今日のお土産はなんすか?」

 

と問い掛けてきた

 

「あ? 食いもんだよ。つか、パパリンは止めろよ! 恥ずかしいっ!」

 

ウェンディの問い掛けに答えつつ、ゲンヤはウェンディにそう言った

するとウェンディは

 

「えぇー、いいじゃないすっかぁ。パパリン」

 

と残念そうに文句を言った

そこに、遅れてディエチがやってきて

 

「お仕事お疲れ様、お義父さん」

 

と労った

 

「おぉー、ディエチ……すまんが、これを頼む。ウェンディが重い」

 

ゲンヤはディエチに挨拶すると、持っていた紙袋を差し出した

ウェンディは、ゲンヤが重いと言ったのを聞いて

 

「重いとはなんすかぁ、乙女に向かってぇ」

 

と文句を呟いた

その間に、ディエチは袋の中を見て

 

「あ、ケーキだ」

 

と表情を綻ばせた

ディエチの言葉を聞いて、チンクが

 

「ありがとう、義父上。スイーツは大好きだ」

 

と言った

それを聞いたゲンヤは

 

「だよな」

 

と笑みを浮かべながら、チンクの頭を撫でた

そして、ノーヴェに気付き

 

「おう、ノーヴェ。お前も来るか?」

 

と問い掛けた

するとノーヴェは、顔を赤らめながら

 

「いいよ、恥ずかしい……つか、降りろウェンディ……お義父さんが……困ってるだろ」

 

と後半は小声で、ウェンディを注意した

その一連の光景を見ながら、床下収納式机を上げたマリエルは

 

(うん……やっぱり、ナカジマ二佐なら大丈夫)

 

と確信し、ロビーから静かに退室

ホーム常駐の保護官の居る部屋に向かったのだった

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。