魔法少女リリカルなのは 集う英雄達    作:京勇樹

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言ってやる! 駄文だと!!

あ、いけね、アイツを忘れてた……


模擬戦とその後の………

現在時刻 午前11時 場所 機動6課訓練スペース

 

廃墟ビル郡を想定して再現された、訓練スペースの中央で……

 

「なぜ、こんなことになっている……」

 

冬也はバリアジャケットを展開した状態で、唸っていた

 

なお、目の前には……

 

「えっと、やっぱり仲間になったからには実力を把握しないとね…」

 

バリアジャケットを展開して、苦笑いを浮かべているフェイトが居た……

 

話は今から、約10分ほど遡る

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

「ふむ、あとはここをこうすれば……」

 

と、冬也がデバイスを作っていた時だった

 

プシュー

 

「冬也さん、居る?」

 

空気が抜けた音が聞こえて、中を覗いているのはフェイトだった

 

「む? どうした?」

 

冬也は作業を一旦止めて、視線をフェイトに向けた

 

「ああ、よかった、実はね。ちょっと模擬戦をしたいんだ」

 

「模擬戦だと? しかし、フェイトのデバイスは確かメンテナンスに出してなかったか?」

 

「そうなんだけd…あ、ここに置いてあった」

 

フェイトが口ごもると、目の前の机の上に待機形態のバルディッシュが置いてあったのを見つけて、回収した

 

そして

 

「それじゃあ、今から訓練場に行って模擬戦しよう!!」

 

と、冬也の手を握って走り出した

 

「おい、ちょっと待て! 引っ張るな!」

 

冬也の抗議虚しく、フェイトは冬也の手を引っ張って走り出した

 

その時2人は気がつかなかったのだ、机から落ちたある札に……

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

『2人とも、準備はええか?』

 

通信画面には、はやての顔が映った、はやてを含めた6課メンバーの主なフォワードのメンツはデバイスルームに居るのだ

 

「私は何時でもいいよ」

 

フェイトは両手にバルディッシュを構えて言って

 

「もう、勝手にしてくれ…」

 

冬也は、半ば諦めかけた状態で言うと

 

『せやったら、模擬戦開始!!』

 

はやての合図とともに、2人は突撃した

 

場所は変わって、デバイスルーム

 

「ほう、テスタロッサに追いつけるとは、なかなかだな」

 

シグナムは画面を見ながら、冬也を褒めた

 

「あのフェイトさんと互角なんて…」

 

「凄いです…」

 

エリオとキャロは、冬也がフェイトと互角に戦えてることに驚いていた

 

しかし

 

「うーん、なんか忘れてるような……」

 

横ではシャーリーが腕を組んで唸っていた

 

「どうしました、シャーリーさん?」

 

「さっきから唸って、どうした?」

 

武と当麻は、唸っているシャーリーに気付いて声をかけた

 

「ああ、なんか忘れてるような気がしてねー、うーん、なんだっけ……」

 

と、シャーリーは唸りながら下を向いた

 

「ん?」

 

シャーリーは、なにか落ちていることに気付いて拾った、それには……

 

「あーーー!!」

 

<メンテナンス中>の文字が書かれていた……

 

「ど、どうしたんや? いきなり大声なんか出して」

 

はやては、大声を出したシャーリーを目を丸くして、見つめた

 

「思い出しました、フェイトさんのデバイス……まだ、整備中なんです!」

 

「「「「「ええーー!!??」」」」」

 

全員は、シャーリーの言葉に驚愕した

 

「しかも、今調べたんですけど……、非殺傷設定外れてるみたいです……」

 

シャーリーは、気まずそうに呟いた

 

「なんやって!? はよ、止めな!!」

 

はやては、機械をいじるが……

 

「あかん! 通信できへん! 誰か、訓練場に直接向こうて止めてきて! それと、医務室に行ってシャマルを向かわせて!」

 

「訓練場には俺が行きます!」

 

武はそう言うと、デバイスルームを飛び出した

 

「それでは、私が医務室に向かいます!」

 

「頼むな!」

 

また、場所は変わって、訓練場

 

「わかってたけど、冬也さん強いですね!」

 

「そういうキミもな! (バルディッシュの調子がおかしい、さっきから異音がする)」

 

冬也は、何回か打ち合った時にバルディッシュから異音がしたのに、気付いたのだ

 

「さて、そろそろ終わらせようか、夜叉!」

 

<承知、イクスプロージョン!>

 

夜叉の峰の部分の機構が作動して、2発の薬莢が排出された

 

「もうちょっと、戦いたいですけど、仕方ないですね、バルディッシュ!」

 

<イエス・サー! カートリッジロード!>

 

バルディッシュも2発カートリッジを炸裂させたが……

 

(まただ、また聞こえた! 今、確かにミシッって聞こえた!)

 

冬也は僅かな音を聞き逃さなかった

 

「行きます! プラズマ・ザンバー!」

 

何時もは鎌のフェイトのバルディッシュが変形して、雷光纏う大剣に変わった

 

(来るか!)

 

フェイトが大剣を構えたのを見て、冬也も身構えた

 

「疾風迅雷!」

 

その瞬間、フェイトの姿は消えて、冬也の背後に現れた

 

(間に合え!!)

 

冬也は急いで左手を後ろに回す

 

「貰いました!!」

 

フェイトは勝利を確信して、振り下ろした

 

大剣が当たった瞬間、土煙が上がり、フェイトの視界を埋め尽くした

 

「ケホッ! どうなったのかな?」

 

フェイトは、大剣を引き戻そうとしたが

 

グイッ!

 

「え!?」

 

フェイトは思いっきり引っ張られてバランスを崩した、普段ならばこうはならなかっただろう

 

しかし、今回は勝てたと思い油断したのだ

 

「すまない……」

 

その言葉を聞いた後に、フェイトの意識は深い闇の底に沈んだ……

 

第3者sideEND

 

冬也side

 

「むぅ……流石に治りが遅いか……」

 

俺は、右手で意識を失っているフェイトを抱えながら、左手を見た

 

そこには、焼け爛れた左掌が見えた

 

なお、真ん中には切り傷痕があった、フェイトの大剣を左手で受け止めたのだ

 

「ふむ、夜叉、幻影魔法で隠してくれ。それと、パワーアシスト機構で俺の左腕を動かしてくれ」

 

<承知しました、あんまり無理しないでくださいね?>

 

「ふむ、善処しよう」

 

冬也sideEND

 

第3者side

 

「冬也隊長! フェイト隊長! 模擬戦を止めてください!」

 

武が、そう叫ぶと(冬也を隊長と呼ぶ理由は、以前はやてが部隊を決めた時に、冬也を隊長とした第3の分隊を設立したためだ)

 

「む? 武か?」

 

武の目の前に、フェイトをお姫様抱っこで運んできた冬也が居た

 

「冬也隊長! 大丈夫ですか!?」

 

「ああ、問題ない。それより先に、フェイトを医務室に運びたいから、すまんな」

 

「わかりました、俺は皆さんに状況を教えてきますね!」

 

武は言うと同時に走り出した

 

「さてと、運ぶか……」

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

場所は変わって、医務室

 

「ええ!? フェイトちゃんと冬也さんが!?」

 

「はい、ですから、急いで訓練場に!」

 

医務室では、冥夜が状況を説明していた。シャマルは話を聞いて驚いている

 

「わかったわ、すぐに!」

 

と、シャマルが医療キットを抱えてドアに向かった、その時だった

 

「ふむ、入れ違いにならなくってよかったよ」

 

ドアが開いた先には、フェイトをお姫様抱っこしている、冬也が立っていた

 

「冬也隊長! お怪我は大丈夫なんですか!?」

 

「ああ、大丈夫だ。シャマル先生、フェイトを頼む。気絶してるだけとは思うが、念のためにな」

 

冬也は、抱えていたフェイトをシャマルに見せた

 

「わかったわ、そこのベッドに寝かせてくれる?」

 

「了解した」

 

冬也はシャマルの指示に従って、フェイトをベッドに寝かせた

 

すると、シャマルはすぐにフェイトに近づき、色々検査をすると

 

「大丈夫そうね、これならすぐに起きると思うわ」

 

と、冬也に向き直って言った

 

「ふむ、それじゃあ、俺は自室に戻るか…」

 

と、冬也が医務室を出ようと身を翻したときだった

 

「冬也さん、待った!!」

 

ドアの前で、なのはが立っていた

 

「なのはちゃん?」

 

「なのは隊長…」

 

「ふむ、なのは? どうしたのかな?」

 

なのはは、冬也に近づくと…

 

「冬也さん、バリアジャケットと幻影魔法、解除してください」

 

「気付いていたか……」

 

冬也は、なのはの言葉に苦笑いした

 

「当たり前です! いつもより動きが鈍いんですから!」

 

なのはは、思わず大声を出していた

 

「夜叉、リリース…」

 

冬也は夜叉に命じた

 

すると、バリアジャケットが解除されて…

 

「やっぱり…」

 

なのはの視線の先には、焼け爛れた左手があった

 

「冬也隊長!」

 

冥夜は顔を青ざめて、声を張り上げた

 

「医務室では静かに…って、どうしたの!?」

 

シャマルがフェイトにタオルケットをかけて戻ってきて、うるさくしていた3人に注意しようとした時、冬也が怪我をしているのに気付いた

 

「シャマル先生、冬也さんも治療を!」

 

なのはは、視線をシャマルに向けて頼んだ

 

「ええ、わかったわ!」

 

「むぅ、このくらいならば、ほっとけば……」

 

冬也は断ろうとしたが…

 

「「治療します!!」」

 

「はい……」

 

あまりの迫力に気後れした

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

数分後

 

「まったく、あなたも無茶するわね。フェイトちゃんのプラズマ・ザンバーを掴むなんて」

 

シャマルは、冬也の左手の治療をしながら諌めた(なのはと冥夜は、冬也の現状を伝えに行った)

 

「ああでもしなければ、フェイトのほうが大怪我をしていただろうよ」

 

冬也は治療されている手を見ながら、呟いた

 

「気付いてたの?」

 

シャマルは驚いた様子で、冬也を見つめた

 

「ああ。時々バルディッシュから聞こえていた異音、あのままやっていたら、爆発でも起こしていただろう」

 

「ええ、実際その通りね、バルディッシュね、まだ整備中だったのよ」

 

それを聞いた冬也は頭を振った

 

「あそこに置いてあったのは、そういうことか」

 

そして、冬也はため息を吐いた

 

「はい、終わり、しばらくは引き攣《つ》るかもしれないけど、無理しないでね」

 

シャマルは治療が終わると、器具や包帯を片付ける

 

「すまない」

 

冬也は謝ると、あくびをした

 

「む、すまん、少し…眠る……」

 

冬也はそう言うと、イスに座った状態で眠った

 

「あらあら、眠るならベッドで寝て欲しいわね」

 

シャマルは、イスに座って寝ている冬也を見て苦笑した

 

「う、うん……」

 

ベッドに寝ていたフェイトの瞼が、震えた

 

「あら、起きたようね、気分はどう?」

 

シャマルは、起きたフェイトに近づき尋ねた

 

「あれ? シャマル? あれ? なんで私、医務室に?」

 

フェイトは状況が掴めないのか、周囲を見回した

 

「覚えてないのね? えっと、冬也くんと模擬戦したのは覚えてる?」

 

シャマルは、状況が掴めていないフェイトに聞いた

 

「うん、それで確か、プラズマ・ザンバーで切りかかって…」

 

フェイトは、そこまで言ってようやく思い出したようだ

 

「負けたんだ…」

 

「ええ、そうね。けど、冬也くんに感謝しないとね」

 

フェイトは、シャマルが言った言葉の意味が分からなくって首を傾げた

 

「感謝?」

 

「ええ、バルディッシュなんだけどね、まだ整備中だったのよ」

 

「え!?」

 

フェイトは、シャマルの言葉を聞いて驚いた

 

「しかも、非殺傷設定まで外れてたんですって。冬也くんは異音がしたのを聞いたらしいわよ?」

 

フェイトは、シャマルの言葉を聞いて顔を青くした

 

「え? ちょと待って、じゃあ冬也さんは!?」

 

フェイトは上半身を起こして、シャマルに尋ねた

 

「ん? あそこよ」

 

シャマルは、イスで眠っている冬也を指差した

 

フェイトは、イスで眠っている冬也を見て、息を飲んだ

 

冬也の左手には、真新しい包帯が巻かれていた

 

「そんな……」

 

フェイトは、ベッドからゆっくりと降りて、冬也の近くに寄った

 

「彼ね、左手に魔力を集中させて、ザンバーを掴んだみたいね。でも守りきれなくって、火傷したみたい、ああ、大したこと無いから、安心してね」

 

シャマルは、使用した薬品などを仕舞うと

 

「それじゃあ、私はみんなにフェイトちゃんが起きたことを伝えにいくから、ゆっくり休んでね?」

 

と、医務室から出て行った

 

第3者sideEND

 

フェイトside

 

「冬也さん……こんな無茶して……」

 

私は、眠っている冬也さんの左手を見ながら言った

 

その左手は、今は包帯で覆われており、痛々しい

 

「どうして、そんな無茶ばっかりするのかな…」

 

思えば、初めて会った時もそうだった

 

彼は、会ったばかりの私のためにその身を挺して、私を助けてくれた

 

今回だってそうだ、彼は装甲に覆われていない掌で、ザンバーを掴んでまで、模擬戦を止めた

 

「少し、不器用なんだね……」

 

そう、彼は不器用なのだ

 

そこで、彼が言っていた言葉を思い出した

 

『俺は12年前から最前線に居たからな』

 

つまりは、戦場しか知らない

 

すなわち、戦いしか知らない

 

一体、どれほどの理不尽や絶望を見たのだろうか

 

恐らく、それは私達には想像すら出来ないだろう

 

それなのに、人を守るために戦い続けた

 

自分を犠牲にし続けてまで、救ってきた

 

「そんなの、悲しすぎるよ……」

 

だったら、私にできるのは?

 

せめて……

 

「日常を教えてあげたいな……」

 

そう、本当に普通の日常

 

出かけたり、買い物したり、遊んだり

 

そういう日常を

 

彼は、そんな日常を経験しないで育ってしまった

 

だから、こんなに不器用なんだろう

 

「休暇になったら、彼を誘おうかな……」

 

私は密かに決意した……

 

 

 

 

因みに、この時外にはみんなが居て、後で微笑みながら見守られました……

 

恥ずかしい……


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