魔法少女リリカルなのは 集う英雄達    作:京勇樹

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解決

「……以上が、今回の事件の顛末です」

 

「わかった。ご苦労だったな、ランスター執務官」

 

ナイトレイドを捕まえて数日後、ティアナは時空管理局本局のクロノの執務室に訪れていた

内容は勿論、今回の事件の報告だ

 

「また、上層部……しかも、准将か……」

 

「はい。調べた結果、ナイトレイドを発見し、受け入れたようです」

 

ティアナの報告を聞きながら、クロノはティアナが渡した書類を読んでいた

そして、読み終わったらしく

 

「なるほどな……改めて、ご苦労だった。ランスター執務官」

 

と言いながら、その書類を置いた

そして、ティアナを見て

 

「それで……彼はどうだ?」

 

と問い掛けた

クロノが言った彼というのは、裕也のことだ

 

「裕也なら、今は私の執務室に居ます……」

 

ティアナは、表面的なことを答えた

すると、クロノは

 

「大丈夫。フェイトから聞いた……闇の魔法、使ったんだろ?」

 

と問い掛けた

それを聞いたティアナは、一回目を閉じてから

 

「私が見たのは、一回だけ……なったのは、炎の魔神です」

 

と答えた

それを聞いたクロノは

 

「なるほどな……ナイトレイドが怯えていたのは、それか」

 

と頷いていた

捕まえたナイトレイドは、今は魔法と能力を封じる手錠をして、隔離医療施設に居る

裕也の炎により、顔に重度の火傷を負ったからだ

そのナイトレイドは

 

『炎……炎の魔神……』

 

と怯えた様子で、それだけを呟いているらしい

 

「それで、ランスター執務官は両手は大丈夫かい?」

 

「はい……そちらは、裕也が治してくれましたから……木ノ香さんにも匹敵する回復魔法でした」

 

クロノの問い掛けに、ティアナは両手の袖を捲った

確かに、火傷の痕すら残っていない

 

「攻撃魔法だけでく、支援魔法も使いこなすか……凄いな」

 

「裕也曰く、回復魔法は必死に覚えたそうです……助けられる命なら、助けたかった……と」

 

個人には魔法適性というものがあり、今のミッド世界ではミッド式魔法、近代ベルカ式魔法、古代ベルカ式魔法に大分することが出来る

それらの魔法も、攻撃魔法と支援魔法に分類することが出来る

その攻撃魔法と支援魔法だが、個人の性格や魔力資質でどちらかに適性が分けられる

例えばだが、なのははその性格から攻撃魔法と支援魔法両方が使えるが、比率的にはおおよそ攻撃魔法に6

支援魔法に4となる

そしてシャマルは、その性格から支援魔法に比率が置かれていて、攻撃魔法が約3

支援魔法が7となっている

なおシグナムは、攻撃魔法に8

支援魔法が2となっている

これらは全て、性格が中心要素になっているらしい

 

「そうか……彼の性格からでは、攻撃7に支援が3と見ていたが……」

 

裕也の性格は、冬也に近いだろう

普段は寡黙だが、時には苛烈になる

それを考えると、攻撃魔法に比率が置かれているのだ

 

「なんでも、生態兵器として様々な戦場を駆けていたそうですから……中には、助けられそうな人も居たかと」

 

「それが、彼に回復魔法を修得させた……か……」

 

二人は、裕也がどのような戦場を歩いたか知らない

だが、本来なら攻撃魔法に特化している裕也が回復魔法を修得する

それが、二人に裕也が歩いてきた戦場(地獄)を想像させた

生き地獄を

そして、しばらくしてクロノが

 

「それで、彼を正式に補佐官にすると?」

 

とティアナに問い掛けた

 

「はい。裕也は、疑いようの無いほどに有能です……戦闘技能も事務作業も」

 

「わかった……僕がラダビノット大将に根回ししよう」

 

ティアナの言葉を聞いて、クロノはそう言った

それを聞いたティアナは

 

「ありがとうございます」

 

と頭を下げた

そしてクロノは、開いた画面を見て

 

「ところで、ランスター執務官。休暇が貯まっているようだな?」

 

とティアナに問い掛けた

すると、ティアナは

 

「あ、はい。中々休む暇が無く」

 

と頭を掻いた

それを聞いたクロノは

 

「人事部から催促が来ているのは、知っているな?」

 

とティアナを見た

それを聞いたティアナは、短く呻き声を漏らした

 

「僕の所にも、休暇を取るように言ってほしいと連絡が来た……どうかな? 一週間位は、休まないか?」

 

「一週間も、よろしいんですか?」

 

「ああ……人事部が、その位は休ませてくれ。とな」

 

それを聞いたティアナは、自分が執務官になってから一度も休んでないことを思い出した

確かに、休むべきだろう

 

「わかりました。一週間の休暇を頂きます」

 

「ああ、そうしてくれ」

 

そこで二人の会話は終わり、ティアナは敬礼してからクロノの執務室を退出した

そして、ティアナは自分の執務室に戻ったのだった


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