テイルズオブフェイティア〜宿命を運命へと変えていくRPG〜   作:平泉

99 / 121
濃いキャラまた登場しますww


スベトラーナ

ラオの一言に皆が暗い気持ちになり下を俯いていると、

 

「んもー!皆こんな暗いニュースで陰気な気持ちになっちゃダメよん!明るく行きまショ!ねっ!?」

 

どこからともなく金髪のセミショートの髪を揺らし顎にはヒゲ、そして軽快なノリで話しかけてくる女、いや男がいた。

年齢は40代後半と言ったところか。メイクを施し髪のセットはしているが完璧男だとわかる声色にその顔、そして外見。いくら女っぽく着飾っていようと。

 

そう、男である。

 

「うわっ!?何だアンタ!?びっくりした!」

 

クラリスは仰天して飛び退いた。思わず新聞を手放してしまい、その宙に投げられた新聞をパシリ、と彼が空中でキャッチする。

 

「もぉ、新聞握り潰しちゃう程アルエンスちゃん派さんなのねウフフッ。お仲間が見つかってアタシ嬉しいわぁ!」

 

「だ、誰だテメェ……!?」

 

ガットが据わった目で言う。

 

「アタシ?アタシはスベトラーナ!グランシェスクのとある兵器生産工場の敏腕経営者の女工場長よ♡」

 

「あっ、スベトラーナさん。こんにちは、はじめまして!私はルーシェと申します!こっちはカヤ。で、彼女がクラリスです」

 

「キャラ濃いわね~この人。オネエなの?」

 

「あっ!そういう事か!いわゆるゲイと言うやつか?」

 

カヤとクラリスが小声で会話を交わした。

 

「ンマッ、可愛いお嬢さん達ね。あらそこのおチビちゃんの名前は?」

 

ルーシェの足にしがみつき後ろに隠れていたフィルはヒクヒクと唇が上がって苦笑いしながら言った。

 

「い、いや、お前明らか女じゃないよなムグァッ!?」

 

「おチビちゃん………!女って言ったら女なのよ………!お分かり………!?」

 

「ムグー!?………………………!!」

 

スベトラーナはフィルの発言に対しまるで獲物を見つけた鷹のように反応し即座に口を手で塞いだ。フィルはその鬼のような形相に怯えコクコクと頷くことしかできなかった。

 

「ちょっとフィルに何してるんですか!」

 

「何って、禁句が聞こえそうな予感がしたから口を封じたのよ」

 

スベトラーナはノインに向かってぱちくりとウインクして答えた。

 

「ゲッ!?何なんですかこの人!?」

 

「ゲッ、なんて失礼ね。アタシの名前はスベトラーナよ♡さっきも言ったでしょンフッ。あらアンタ、なかなかのイケメンじゃない?ちょっと老け顔だけどそれがまた……」

 

スベトラーナはススッと手を動かしノインの体を正面からあちこちまさぐった。

 

「アアアアアア!?ちょっとどこ触ってるんですか!?やめてください!ききっ、気持ち悪い!」

 

ノインは全身が総毛立ち、鳥肌まみれになった。

 

「んも~ウブね。そんなところがまた可愛いけど。お?」

 

パッと手を離すと今度は目をつけたガットの尻を撫でた。

 

「ヒッ!?」

 

突然の感触にガットはゾワリとびくついた。

 

「あーらアンタいい男ねぇ~?このあと一緒にお茶しない?」

 

「なっ、何しやがんだテメェッ!?」

 

ガットは顔を赤らめ急いで彼から距離をとった。ラオは既に危険を感じ取っており、クラリスとカヤ、ルーシェの後ろに隠れかくまってもらっている。

 

「あらん?女慣れはしてそうだと思ったけど、男慣れはしてないみたいね。予想通りだわ。どう?この道開いてみない?」

 

「ギャァァアアアこっち来るなオカマ野郎!?おおっ、俺はそっち系じゃねぇ断じて!!ピッチピチな姉ちゃんの方が断然いいわ!」

 

じりじりと近づいてくるスベトラーナに負けじと後退していくガット。ラオは憐れむような目で見つめていた。

 

「ここにアルスいなくて正解だったかもネ……。彼なら真っ先に目をつけられそうだヨ……」

 

ラオがカヤの後ろに隠れながらボソッと呟いた。

 

「つれないわねぇ~、アタシの初恋のフレちゃんはチョットだけノッてくれたってのに。ま、彼は妻一筋だったけど……。一途な男って素敵よ。だからアルエンスちゃん派のお仲間がまた見つかって舞い上がっちゃった♡」

 

聞いてもいないことをべらべらと喋る饒舌な彼。しかしラオは聞き逃さなかった。

 

「フレちゃん?」

 

「そっ、アルエンスちゃんのお父さんのフレーリットちゃんよ。アタシ、彼がこの街に視察しに来た時親しくなったのよ。彼とーってもハンサムでカッコよくてクールで話分かる人で!一目見た時からもうアタシは一目惚れだったけどね~、キャッ!」

 

年甲斐にもなく彼は恥ずかしげに内股で手に口を当ててぶりっ子をした。

 

「キモッ」

 

「オエッ」

 

「キツッ」

 

フィル、ノイン、ガットはその姿を見て大層怪訝な顔をした。

 

「ちょっとアンタ達殺すわよ!?」

 

彼女(彼)はグシャリと新聞を握りつぶした。

 

 

 

彼はスベトラーナ。グランシェスクのとある兵器生産工場を任されている自称敏腕女工場長らしい。クラリスが納得したように言った。

 

「あぁ、やっぱり。ゲイなのか」

 

「そうよ赤い髪のお姉さん。……貴方は私の事軽蔑したり可笑しいと思ったりしないの?」

 

「いや?そんなもの個人の自由だろう?むしろその道を貫いて行くスタイル精神は素晴らしいと思うぞ。私はおかしいとは思わない」

 

「キャー!?名前なんだっけ貴女!?そうクラリス!クラリスちゃんイケメン過ぎ!?」

 

意外な人物、クラリスと意気投合したスベトラーナ。男性陣はすっかり萎縮し、ルーシェのとカヤの後ろに隠れている。

 

「私は音楽をやっていてな。芸術や音楽は縛られてはいけない。様々な観点からの見方が必要だ」

 

「音楽!まぁ素敵!!クラリスちゃん貴女最高よ!」

 

スベトラーナのご機嫌をすっかり無意識にとったクラリスは何気なく先程の話題を出した。

 

「そういえば、アルエンス派がどうとか言ってたな?」

 

「そうなのよクラリスちゃん。さっきの新聞読んだでしょ?」

 

スベトラーナは握りつぶした新聞紙を広げた。そして一面トップの部分を一瞬見せたかと思うと別の頁を広げて見せた。

 

"皇室関係者まとめ"という見出しだ。

 

そこには皇室関係者の顔写真が並んであり、関係図が示されていた。フレーリット、ヴォルフディア、サーチス、アロイス、アルスの写真がある。当然、スミラは裏切り者で皇室から追放扱いされている為、写真はない。

 

彼はアルスの写真を指さした。

 

「彼ね、アルエンスっていうのは。フレちゃんの息子ヨ。雰囲気がソックリね。よく似てるわ。可愛いし」

 

「ああ、私。彼の事がすごく心配なんだ。ここにいる私の仲間全員彼と友人でね。さっきまでどうしていいか悩んでいた所だ」

 

「まぁそうなの!?確かに陛下はここ最近他の国によく出張なされてたって言ってたけど!?」

 

「えっと…」

 

クラリスはそこで口篭る。彼女はつい最近仲間になったので、現在の状況をあまり知らない。過去の交流時間の方が長かったのが事実だ。どううまく伝えようかとなやんでいたところ…

 

「そうそう!ボク達アルスの護衛みたいな役割だったんだけれども、出張先のロピアスで国際テロ組織リザーガによる首都のあの凄いテロに巻き込まれてネ、彼はそこでリザーガによって誘拐されてしまったんだ」

 

ラオがフォローを入れた。

 

「は、な、何ですって!?」

 

スベトラーナは目を見開いて驚いた。無理もない。公開されていない情報だ。そして同時にショックなのだろう。彼が既にアロイス派の手中と分かってしまったのだ。新聞を読み、僅かでも誤報であって欲しいと願っていたスベトラーナは揺れた目でラオを見つめた。

 

「大変じゃない!?今すぐ彼、アルエンスちゃんを助けないと!」

 

「そうしたいのは山々だ。だが首都にどうやって行く?さっきの新聞にも書いてあっただろう。港は既にリザーガによって封鎖されてやがる」

 

ガットが言った。スベトラーナは、いつになく真剣な表情になり少し思考を巡らせた。

 

「………厳重な守りで有名な首都オーフェングライスは確かに、一般的には船で港から行くのが正攻法だわ」

 

「ですね……。逆に私はそれ以外の方法があるなんて思えません……。こことオーフェングライスは大陸を経て離れてしまっているし…、海路しか…」

 

ルーシェも顎に手を当て、言った。

 

「一般的には、ね?」

 

「………え?」

 

彼はクスッとそこで笑った。

 

「1日、1日だけ待ってくれる?貴方達を直接ではないけど首都に連れていってあげるわ」

 

「は……?え、で、出来んの?」

 

カヤが目を丸くしてたずねた。

 

「出来るとかじゃなくて、やるのよ!」

 

スベトラーナはグッと拳を握りしめ、

 

「やってやるわよ!!!女工場長の権限舐めないでくれる!?それにアタシそれなりにコネあって顔はきくのよ。これも何かの縁だわ。陛下を助けてくれるなら、アタシは全力でサポートしちゃうんだから!!こうしちゃいられないわ!待ってなさいよぉおぉおおおおぉおおぉぉぉぉぉぉ………」

 

喋っている途中に走り宿を出ていく嵐のような彼を、呆然と皆は見つめることしか出来なかった。

 

 

 

スベトラーナの決意表明の後、1日待てと言われた通り皆、宿でゆっくりと休養をとった。特にルーシェが万全な状態に戻った為、彼女の治癒術でカヤ、ノイン、クラリス、フィルの体を治癒し完全に元通りの状態にした。

 

「うわっスゲッ、腰かるっ!」

 

「おおっ!腕がしっかり動く!」

 

「ジャンプできる!」

 

「痛くない!」

 

カヤは腰を捻って動かし、ノインは腕を回す。フィルは飛び跳ね、クラリスは腿揚げをして各々コンディションを確認した。

 

「えへへ、良かった皆。これでもう大丈夫だね」

 

ルーシェは指を閉じたり広げたりしつつ、治癒術を使ったばかりの自分の体を労った。カヤは腰を撫でながら愚痴を言った。

 

「はぁ~治った治ったやーっと治ったわ!ったくロダリアの奴!おかげで散々だったわ!アタシの腰に何か恨みでもあんのかっての!」

 

「……師匠」

 

「………あっ」

 

言い終わった後にやってしまった、とカヤは気づいた。今ロダリアの話題はフィルの前では禁句だ。

 

「あっ、え、えーと!なぁなぁフィル姉、見てみて外!何て綺麗な月明かりだ!流石スヴィエート……!」

 

クラリスは一瞬の重い空気を感じ取り、誤魔化すように窓の外を見て指さした。

 

「あぁ!そ、そっか!クラリスはスヴィエート初めてだもんね」

 

カヤがその場に合わせるように言った。

 

「クラリスちゃん、外出てみたら?」

 

ルーシェが言った。

 

「えっ、い、いいのか?」

「ふふっ、当たり前だよ。別に私達の許可取らなくたっていいの。貴女はもう大人なんだから。それに私より年上だよ?姉、とか兄、ってつけなくてもいいのに」

 

クラリスは照れたようなはにかんだ。

 

「いや……、やっぱり癖でどうしてもな……。いいんだ、私が好きで呼んでる事だし、ここにいる皆は私とロイと思う存分遊んでくれた。今でも鮮明に覚えているさ」

 

ノインが胸を張って誇らしげにした。

 

「そうそう!ノイ兄と呼ぶのは決定事項ですからね!?」

 

「ノイ爺………」

 

カヤがボソッと呟いた。

 

「誰がジイだ!!」

 

「ヤダ聞こえちゃった?ごっめ~ん☆耳いいのねお爺ちゃん!」

 

「ノイ爺!肩もんであげるよ!」

 

「コラー!えぇい別に肩などこっていない!どっちかって言うと腰………」

 

悪ノリしたクラリスはノインの肩を揉んだ。

 

「ほ、ほら!フィルもまざろ!」

 

カヤはフィルの手を取るとノインの方へ引き寄せた。

 

「………」

 

フィルは下をうつむいて黙りこくっている。

 

「フィル…、あ、そうだトランプやる?この前のポーカーのリベンジしたいって前フィル言ってたよね?」

 

ノインが気をきかせてトランプを取り出そうとすると、

 

「うわわわっ、ちょっと!アハハハハ!フィル!くすぐったいよ!!ハハハハハハハハ!!」

 

フィルは吹っ切れたように顔を上げてニヤリと笑うと、ノインをくすぐり始めた。

 

「うわッ!?ノインがこんなに笑うのアタシ初めて見た!」

 

「フンッ、いつまでも落ち込んでられんな…!そらっ、小生のくすぐりテクニックは伊達じゃないぞ!くらえ!」

 

はしゃぐフィルはいっときの間ではあるがロダリアの件、漆黒の翼の件を忘れられたような気がした。

 

「………フィル姉、ちょっとは元気出たかな……」

 

少し寂しそうに、そして憂いを帯びた表情のクラリスをルーシェは見逃さかなった。彼女も何かを溜め込んでいる。

 

「クラリスちゃん、外行こう?ほら、月明かりをもっといい場所から見たいでしょ?」

 

「ルシェ姉?え?ああ、うん。別にいいよ?」

 

賑やかな3人を横目にルーシェはクラリスを連れ出す事にし、2人はこっそりと抜け出した。

 

 

 

「おぉすごい!是非とも生でスヴィエートの月明かりというのを見てみたかったんだ!」

 

部屋を抜け、宿の屋上のテラスに2人は足を運び、柵に寄りかかった。年甲斐にもなく、異国であるスヴィエートに少なからずはしゃいでいるクラリス。ルーシェはそんな彼女の姿を見てクスリと笑った。

 

「こうして2人でいると懐かしいねクラリスちゃん。アルスが修理で忙しい時、一緒にシチュー作ったっけ」

 

「あ!そうだったな!それでその後来たロダリアさんの料理が壊滅的で!」

 

「ふふっ、凄い色してたよね」

 

「全く、何であんな料理できるんだか!アハハハハハ……ハ……」

 

クラリスの笑った声が夜風に乗って流れていき、やがてシン……と辺りが静寂に包まれた。ルーシェは静かに切り出し、沈黙を破った。

 

「ねぇクラリスちゃん、何か胸に溜め込んでいるものがあるんじゃないの?」

 

「っえ?」

 

クラリスはドンピシャに言い当てられ、動揺した。

 

「何か、私に話したいことはない?」

 

そして彼女には叶わないな、と息をついた。

 

「…………………私が考えもなしにあの地下防空壕に逃げ込んだせいで皆が大変な目にあってしまった……」

 

クラリスは柵をギュッと握りしめ呟いた。

 

「クラリスちゃん……」

 

ルーシェはじっと彼女を見つめた。

 

「アル兄はそのせいで連れていかれてしまったし、ルシェ姉は斬られるし、カヤ姉も重症だし、ロイを危険な目に巻き込んでしまった…!」

 

「違うよクラリスちゃん。貴方のせいじゃない」

 

「アル兄とロイは今どうしてるんだ……!?私がもっといい隠れ場所を知っていれば!ああはならなかった!!」

 

クラリスはずっと心に留めていたものを吐き出して独白した。

 

「ずっと探していた皆、そしてアル兄に恩返しが出来る。再会にはしゃいでたのは事実だ。もっと状況を判断するべきだったんだ……!」

 

「あの時フィルの過呼吸を治してくれたのはクラリスちゃんだった。凄く的確な判断でね。そして、あそこから最も近い隠れ場所は地下防空壕以外私達にはなかった。貴方の判断は、間違ってなんかいないよ。結果論でああなってしまっただけ」

 

ルーシェはきっぱりと言いきった。あの時はああするしかなかったのだ。

 

「クラリスちゃん。後悔は過去にしか繋がらない。私は今、未来にいる。未来に帰ってきた。だから、これからの未来に繋げていくんだよ。クラリスちゃんも私達と同じ時代を共に生きている。何かをやってしまったという後悔は、時間と仲間、私が癒してあげられる。でもあの時貴方が行動を起こさないで何もしなかった、っていう事の後悔だったら決して未来に繋がれる事は無い、何も無いよ」

 

クラリスはハッとして顔を上げルーシェを見つめた。

 

「ル、ルシェ姉……」

 

ズズッと鼻をすすり子犬のような目で泣きかけるクラリスにルーシェはフッと笑い、

 

「…ほら、おいで」

 

と、両手を広げた。

 

「うぅっ、うわぁああぁぁぁぁん!!」

 

赤い髪を揺らしクラリスはルーシェの胸に飛び込んだ。

 

「よしよし。全く、相変わらず泣き虫だね~」

 

からかうように、懐かしむようにルーシェは言う。更にアルスと同じく背中をポンポンと優しく一定のリズムで叩きながらあやしてくるものだから余計にアルスの事を思い出してしまい涙が止まらない。

 

「グズッ、うっ、ルシェ姉…、ずるいよ……!こんなの、こんなの泣いちゃうに決まってるよ……!」

 

「溜め込んだらダメ。私達がいるんだから利用しないと」

 

「ぅ、ぅぇえぇぇえん………、ヒック、グスッ……」

ルーシェはしばらく彼女を泣かせておいたが、思い出したように、

 

「でもロイの前では泣かないんだよね?」

 

と、言った。

 

「あ、当たり前だ!!」

 

クラリスはルーシェの胸からバッと離れ、顔をゴシゴシと擦り涙を拭くと、

 

「ふぅ!!やっぱりルシェ姉に聞いてもらってよかった!凄く今は気持ちが楽だ!」

 

クラリスもすっかり気持ちが吹っ切れたようだ。

 

「フィルちゃんも辛いけれど、クラリスちゃんだって辛いよね。当たり前だよ…、本当のお兄さんのようにアルスを慕ってたんだもの」

 

「あぁ。アル兄……は、私の初恋の相手だったよ」

 

「え゛ぇっ!?そうなの!?」

 

ルーシェはかなり驚いた。そんなの初耳だ。

 

「そうだよ!?っていうか20年前の時気づかなかったのか!?」

 

「全然!!」

 

「私をあの魔物から助けて受け止めてくれた時!本当にカッコよかった。さながら幼い頃憧れた白馬の王子様そのもののようだったからな」

 

「アハハッ!でも合ってるよ!アルスって皇帝陛下だもの!」

 

「そうだよな!冗談が本当になってて何か笑っちゃうよ!ハハッ!」

 

「そっか………………。アルスを助けたら、告白するの?」

 

あからさま少し気分が落ち込んだルーシェはクラリスに気になることをたずねた。

 

「告白!?まさか!!しないさ!!」

 

クラリスは即答した。

 

「えっ?どうして?」

 

「ど、どうしてって……アル兄にはルシェ姉がいるじゃないか」

 

クラリスは不思議そうにルーシェを見つめた。

 

「………………………………私?」

 

「えっ、貴方以外に誰かいるんですか」

 

クラリスは思わず敬語になってしまった。

 

「私は大好きな人が幸せになってくれるならそれは応援するさ。ルシェ姉もアル兄も、私は大好きだから………」

 

クラリスはニッと笑い、ルーシェの肩をポンっと叩いた。

 

「幸せになってくれよ。全力で応援するからさ」

 

「………?う、うん。クラリスちゃんもね?」

 

いまいちルーシェは理解していなかったので曖昧に返事をした。

 

「ハハッ、気づいていないのか!鈍感だなぁ~!まぁいいや!面白いし!ありがとルシェ姉!さぁ、体が冷えてしまう。部屋に戻ろう!」

 

2人はテラスを抜け、部屋へと戻っていった。




前半と後半の雰囲気の差がヤバイですねwwww

カマホモスベトラーナ

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。