テイルズオブフェイティア〜宿命を運命へと変えていくRPG〜   作:平泉

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ここまで来ると大体予想ついていると思いますが1部で3ヶ国既に回ったのでここでネタ元ばらし。それぞれの国についてですが。

スヴィエート→ソビエトを文字ったもの
ロピアス→ヨーロピアンを文字ったもの
アジェス→アジアを文字ったもの

です。スヴィエートは雪降る寒冷な気候はまんまロシア、んでイメージ的には堅物ゲルマン系+ロシアみたいな感じです。雪振らない所もあるんですよ実は。

ロピアスはイギリス+フランス+イタリア+スペイン+トルコみたいなものかな?

女王はイギリスモデルですし、ハイルカーク時計塔もビックベンですかね。ラメントはイタリアのアマルフィがまんまモデルです。後に出てくるミガンシェもイタリアっぽい感じ。芸術の街ポワリオはフランス。田舎のデネスはスペインの田舎をイメージした感じ。

アジェスはもちろん、日本+中国です。あの長い川サンハラ川なんてまんま中国の長江をイメージしています。

史実と違いすぎる点もあるだろ、というツッコミも聞こえそうですがあくまでモデルです(笑)
全部同じなわけではありません〜(  ̄▽ ̄)


再びロピアスへ

「スゲー……、豪華な船……」

 

「まるで豪華客船ですわね」

 

「ほえー、凄いですねぇ」

 

「快適そうだネ」

 

「すっごい船……」

 

「これなら小生も船酔いしなさそうだな、うむ。合格にしてやろう」

 

船に乗り込んだ皆はそれぞれの感想をもらした。

 

「当たり前だ。俺が乗るんだから。この船はナルザハトと言って、まぁ、見た目は豪華客船に近いな。だが万が一に内装は備えてイロイロとあるが」

 

アルスは敢えて言わなかった。見た目豪華な船だが、中身は俺達の他に船員はもちろんスヴィエート軍人も乗っているのだ。そして、沈められそうになった時の対処等は、この船は出来る。無論戦艦に比べると力は歴然として低いが。

 

「この船は速い。明日にはロピアスだ。それまで皆自由にしていて構わない。ただあまり目立った行動はしないでくれ。しないと思うが、念のためな」

 

皆の返事を聞くとアルスは自室へ行った。皆それぞれ部屋は個室で用意してある。アルスはシャワーを浴びて、バスルームから出た。まだ湯冷め火照った体に服は早いと思い、ズボンだけ履き、上半身は何も着ないで椅子に座った。

 

髪の毛を拭いていると、ふと一昨日の出来事を思い出していた。戴冠式の式典が終わり、街のパレードも終わった後、平和条約を結ぶと、アロイスやサーチス、そして元老院代表とスヴィエート軍総指令に伝えた事だ。アルスはその後、仲間達の所へ行ったのだ。

 

(俺は、俺の判断は正しかったはずだ。ハウエルやマーシャも言ってくれた。正しいと信じたい…!)

 

アルスは髪の毛を拭いていたが、いつの間にかその手は止まっていた。

 

(ロダリアに拷問…か…。本来はそうするべきなんだろうな…)

 

仲間を拷問など、アルスはしたくなかった。一緒に過ごした時間は変わらない。それに彼女に助けられた事は多くある。彼女がいなければそもそもアジェスに行けなかった。

 

だが彼女から情報を引き出すのは無理だと、分かっている。こんな、仲間は大事だとか、綺麗事を考えている癖に自分はスヴィエートの事を第一に考えなくてはいけない。もう自分は皇帝なのだ。スヴィエートに有利な事は、確かに良い。だがせっかくできた仲間を思う心も本心である。

 

アルスは心の底ではロダリアを信用したいという気持ちの方が勝っていた。だが、それは裏を返せば。もし、もしその信用が裏切られたのだとしたら、どうするのだろうか、というものだ。

 

そこまで考えると、アルスは首をぶるぶると横に振り思考を停止させた。

 

(今考える事じゃないだろう。今は、平和条約が結ばれる事だけを、考えていればいい)

 

アルスはそう自分に言い聞かせ、椅子から立ち上がった。喉が乾いていたので、水を飲もうと取りに行くが、思わぬ来客が来る。ガチャリとノックもせずにいきなり入ってきた。同時にドア前の見張りの軍人の

慌てた声も聞こえる。

 

「あ!ルーシェ様!ノックした方が……!」

 

「アルスー?私の個室のシャワーが壊れて……、きゃあああ!?」

 

「ん?ってルーシェ!?」

 

アルスは彼女の姿を確認すると驚いた。何故かルーシェはバスタオル一式を持っている。

 

「な…ななな、何で裸なの!?」

 

「何でって、シャワー浴びてたからだよ!それに誤解される言い方だから修正入れとくけど、裸ではないからね!?」

 

きちんと下にズボンは履いてる。隠してる所は隠してるのだ。

 

「ふふ、服着てよ!!」

 

ルーシェは顔を赤くし急いで後ろを向いた。

 

「ノックせずに入ってくる方も悪いと思うんだけど…」

 

「しないよ!ノックなんて!少なくとも私はそうだった!」

 

アルスは彼女の常識は、たまに常識ではない事を知った。そういえば彼女は宿屋でシューラと2人暮らし。あまり男の体は見慣れていないのかもしれない。いやいや、でも宿屋に男が泊まることもあったのでは?まぁ、今はそんな事どうでもいい。

 

アルスはハンガーにかけてある自分の服を着ると彼女に話しかけた。

 

「で、どうしたの?」

 

「ふ、服着た?」

 

「着たよ」

 

ルーシェは振り向くと安堵の表情を見せる。

 

「はぁーびっくりした。もう、今度から気をつけてよね」

 

何と言うか、

 

(普通あの状況だと悲鳴をあげるのは俺の方じゃないか?)

 

と、思ったが口に出すのはやめた。

 

「いや、気をつけるのはルーシェ……、まぁもういいや。で、要件は何?」

 

アルスはボトルに入っている水を一口飲むと彼女に聞いた。

 

「あ!そうそう!酷いの!私の部屋シャワーが壊れてて浴びれないの!」

 

「壊れてた?それは災難だったな。直す様に言っておくよ。流石に今すぐは無理だろうけど」

 

「でも私今日シャワー浴びれないよ〜、困ったなぁ〜」

 

ルーシェ頭をかかえ悩んだ。「いやいや」と、アルスは呆れた。

 

「……普通に誰かの借りればいいじゃないか。フィルとか、ロダリアさんとか」

 

アルスはそう言うとまた水を飲んだ。

 

「あ!そうだ!じゃあアルス!シャワー借して!」

 

「グフッ!ゲホッ!?ゴホッ!!ゴホッ!」

 

アルスは彼女の発言に驚きすぎ、むせて飲んでいた水を吐きかけた。

 

「アルス?どうしたの?大丈夫?」

 

彼女は自分が何を言ってるか分かっていないようだ。

 

「ゴホッ、ちょ、ちょっ……と待てルーシェ。今借りに来たと言った?俺の部屋に?」

 

「うん!ほら見てバスタオル持ってきたから大丈夫!」

 

自慢げに見せびらかしてくるが、何が大丈夫なのか分からない。何処の誰が男の部屋に来た挙句シャワーを借せと言うのだろうか。

 

「あ、あのねルーシェ。君分かってる?」

 

「??分かってるって、何を?」

 

「普通に女性陣の部屋行けばいいだろう借してもらうなら!何故俺のところで借りる必要がある!?」

 

「だって、それは壊れてた、っていう事伝えるためだよ!ついでに、何かタオル持ってきちゃったから、もうめんどくさいし成り行きでここで借りようかなって。ほら!それに皇帝の部屋だよ!他のより広いんでしょ!?」

 

「な、成り行きでっ、て…、広いって……!」

 

やはり彼女は微塵にも分かっていない。男の部屋来てシャワーなど、確かに信用されてるのは有難いが、それだけ自分は男として見られていないのだろうと思うど無性に悲しくなる。

 

彼女の場合そんな事はまるっきりなく、ただ言動そのものだがアルスにはそうは思えない。ましてや自分ははルーシェが好きなのだ。自分が彼女に手を出さなくもない。いや出さないけど。というかここでシャワーなんて浴びられたら生殺し過ぎる。

 

「いいよねもう、船広いんだもん。戻るのめんどくさいし。お邪魔しまーす」

 

「あっ!ちょっ!?」

 

「すぐ終わるから!」

 

「そうゆう問題じゃなくて……!」

 

ルーシェはアルスの部屋に入るとバスルームへ向かった。焦るアルスはお構いなしにズンズンと進んでいく。

 

「あっ、あったかいね、そういえばさっきまで入っていたんだっけ?」

 

ルーシェは脱衣室の扉をピシャッと閉めロックをかけた。

 

「う、ぁ、おいぃい!ルーシェ!」

 

アルスはそこで足を止めた。ここから先は楽園、だが。今すべき事じゃない。今そんな事したら最低の男になってしまう。

 

「………、うぉぉおおお………、何でこんな美味しい展開に……!俺はっ!」

 

アルスは顔に手を当て嘆いた。

ルーシェがシャワー浴びに来た事を嘆いているんじゃない。こんな美味しい状況になっても手が出せない自分の不甲斐なさとそれとルーシェの警戒心のなさ。流石に無防備すぎる。俺じゃなかったらどうなるんだこれは。

 

しばらくそうした状態でいたらシャワーの音が聞こえ、あろうことか彼女の鼻唄まで聞こえる。アルスの顔は赤くなり、あらゆる邪念が押し寄せる。これは、いや、これは健全な男として当然な思いのはず。

 

(ルーシェの裸…………、彼女胸どのぐらいなんだろう。パッと見普通っぽいけど多分、いや絶対アレは着痩せしてる。着痩せするタイプ。着痩せする服!いや、というかあまり体のラインがでない服だからか。うがぁぁぁああ!!何で彼女はこうなんだー!?まるで俺に対する警戒心がない!!襲うぞ!?襲ってもいいのか!?犯すぞ!?いやいや馬鹿か?!何言ってるんだ俺は!?そんな事したら彼女に嫌われるだろ!嫌われるどころか一生口聞いてくれないかもしれない!それは絶対に嫌だ!)

 

アルスは邪念を払うため頭を壁に打ち付けた。はたから見ると本当にただの変人である。

 

(─────!ダメだダメだダメだダメだ!冷静になれアルエンス!変な妄想はやめろ!あー、でもD?いや、でもEはあるはず……!って、何考えてるんだ!!最低だぞ俺!)

 

アルスは更に混乱し、冷静になるために水を飲み干した。

 

「ぶはっ!ハァッ、あ゛~、はぁ~…」

 

水を勢い良く飲んだせいで息苦しくなり慌てて空気を取り込む。するといつの間にかシャワーの音は消えていた。いきなり脱衣室の扉が開いた。

 

「アルスー!大変!服忘れちゃった!」

 

「はぁっ!?ってちょ!?うぇええええ!?なんっ、ルーシェ!?そそそれは!はだっ、はだか……!!」

 

脱衣室から慌てて出てきた彼女はバスタオル1枚だけ体にまとった姿であった。

 

「裸りじゃないよ。さっき同じよな事あったよ!ちゃんと隠してるよ!」

 

仁王立ちで見せびらかしてくるが俺にはとても耐えられない。

 

「いいいい、いいから!こっち来るな!!目の保養……って違うっ!!目のやり場に困る!!」

 

「私の部屋から服取ってきてくれないかな。忘れちゃって……」

 

「何で忘れるんだ!?1番重要な物だぞ!」

 

「タオル持ってたら満足しちゃって……、すっかり忘れてた、えへへ」

 

照れ笑いするルーシェだがアルスは直視できない。

 

(た、谷間………。というか胸…、胸がっ、思ってたより大きい!)

 

「ふ、服なんか俺が持ってこれるわけないだろっ!?と、とととりあえずこれ着て!!」

 

「わぁっ!」

 

アルスは乗船前に着ていたコートを彼女に被せた。雪合戦時に濡れたのでハンガーにかけて乾かしていたのだ。

 

「うわぁ、大きいね…。これなら隠せるサイズ!」

 

ルーシェの身長は165cmでアルスの身長が179cmなので、大体彼女の体の部分は覆い隠せた。あくまで大体、だが。

 

「ありがとアルス!ちょっと借りるね!」

 

「……………うん……」

 

彼女の天然っぷりにアルスはげっそりとして壁にもたれかかった。

 

ルーシェは脱衣室に再び戻り、しばらくして出てきた。コートをすっぽりと着て幸い見える部分は彼女の太腿辺りから下の部分。だが少し長さが足りないようで、裾を控えめに押さえていた。

 

「すぐ部屋に戻って、服着たら返しにくるから、待ってて?ごめんね?迷惑かけちゃって…」

 

「ああ。全くだよもう…、早くしてくれ……」

 

口ではそう言うが、

 

(全然迷惑じゃない。むしろありがたすぎた。裾押さえてる姿とか、なんかヤバイ………)

 

アルスは真っ赤な顔を隠す為に後ろを向いてルーシェを帰らせようとする。

 

「じゃ、急いで戻ってくるから!」

 

「………………分かった」

 

彼女が部屋から出ていき、頭がだんだと冷静になってきた。

 

(ちょっと、ちょっと待て。あのコート、ルーシェが着たって、ルーシェ着たって事は…………!?俺のコートだから、つまりその、また、アレ、あのコートを着なくちゃいけないことになる!!)

 

「うぉおおおおおっ………!!」

 

歓喜しすぎて無性に叫びたくなってアルスは叫んだ。

 

 

 

翌日ロピアスに着いた。

 

エルゼ港に着くとまた雨が降っている。なかなか激しい雨で雨粒が大きく地面に打ち付ける音が耳に響く。

 

「雨か……」

 

アルスは空を見上げた。空は黒く、雨雲が立ち込めている。時折雷の音も聞こえる。

 

「そういえば、前に来た時も雨が降ってきたな…。降りやすいのか?」

 

アルスは独り言を言うとロダリアが答えた。

 

「いいえ?あまり雨は降らない方なのですが…。それに雷まで鳴るのは珍しいですわね。基本この国は温暖で、乾いた空気が特徴なんですが。まぁ、これは私が子供の頃の事ですがね。聞くところによると、20年程前から徐々に気候が変動してきたようですわ」

 

「へぇ、相変わらず博識ですねロダリアさん」

 

アルスは思い出した。そういえばベクターに襲われた後、船室で休んでいた時もそのような話をきいたのだ。

 

「いえ、それ程でも。私はこの国出身ですから」

 

「そうでしたね」

 

その会話を済ませるとアルスは船から降りた。タラップが降ろされ港に降りると両脇に軍人が待機しており傘をさしてアルスが濡れないようにする。

 

「悪いな」

 

「いえ、陛下のお体が濡れてはお風邪を引いてしまいます」

 

「悪いが仲間の分も用意しておいてくれないか、先に降りた筈なんだが」

 

「もちろん用意してあります、捕虜のロダリア殿もいるのですからね、丁重に扱えとの陛下の指示です。我々はそれに従順に従うまで」

 

「そうか」

 

いよいよ港に降りるとそこには数百のロピアス軍が待機してた。アルスは仲間と合流した。圧倒的なその数は普段賑わっているだろうこのエルゼ港の雰囲気を飲み込み厳格なものにする。やがてアルスの周りにもスヴィエート軍人が集結する。アルスは仲間達の所へ行くと軍人もその後を付いてきた。隣にはロダリアがいる。そして他の仲間も空気に飲まれ、沈黙を貫く。

 

(やはり警戒体制は最上級だな、少しでも下手な動きをすると撃たれそうだ)

 

ただでさえ仲の悪いスヴィエートとロピアスだ。自分と同乗した軍人達も負けじとその眼光を光らせる。彼らの睨み合いが続いていると、ロピアスの軍勢が2つに割れ、そこに1本の道が出来る。

 

そしてその奥から、コツコツと杖を突きながら歩いてくる人物がいた。中性的な顔立ちだが服装から推定して恐らく女性だとアルスは判断した。傘はさしておらず髪の毛は雨に濡れ、水がしたり落ちる。アルスの前で止まると彼女は静かに口を開いた。

 

「ようこそ………、ロピアスへ…。私はノア…。ラミルダ・カルデノーテ・ロピアス様の側近。貴方の事はレガルト女王から聞いている。私はその案内人を任された。生憎の天気で申し訳ないが歓迎する……」

 

ノアはスカーフに顔を埋めるとアルスを一瞥した。女王の本名はラミルダという名前だが、この国ではレガルトという愛称で呼ぶのが当たり前らしい。

 

「どうもこんにちは。ノアさん、でいいのかな」

 

アルスは愛想笑いで返す。穏やかにいかなくては。

 

「私の名前などどうでもいい。好きなように呼んでくれて構わない。して、ロダリア…、ロダリア殿はいるか」

 

「私ですわ」

 

アルスの隣にいたロダリアは名乗りをあげた。

 

「貴方か。連絡は入っている。スヴィエート軍の捕虜らしいな。墜ちたものだ。貴方ほどの人がこのような嘆かわしい平和条約などというものに利用されるとは」

 

アルスは怪訝な顔をしそうになった。平和条約についてそこまではっきり言われるとは。だがここはぐっと我慢する。ロピアス人なら誰もが思ってる事だ。

 

「申し訳ありません。ですが、随分な物言いですわね」

 

「私はレガルトの命令に従っているだけ…。貴方を保護して、城に案内する…。それが課せられたもう1つの命令。そして、スヴィエート皇帝と、レガルトの、……ロピアス女王の話し合いの場を設ける。ついて来て……」

 

ノアはそう言うとエルゼ駅の方へ向かった。前は事故のせいで列車が停止していたが今は使えるようだ。

 

「ロピアス城へ案内する」




このパートと雪合戦の話はほとんどギャグです(´>ω∂`)

ムッツリスケベアルス

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