テイルズオブフェイティア〜宿命を運命へと変えていくRPG〜   作:平泉

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ガット・メイスン

その声に、2人は同時に振り返った。アルスの口から安堵の息が漏れる。彼女まさに救世主だった。

 

「ルーシェ!?」

 

「アルス!」

 

ルーシェはアルスに駆け寄った。そしてアルスと男の間に立ちはだかった。

 

「……あんた誰」

 

意表を突かれた上に邪魔をされたのだ。不機嫌を露にし、ぶっきらぼうに男は言い放つ。

 

「この人は、私のお友達です!そんな危ないもの向けないで下さい!」

 

ルーシェは両手を広げアルスを守る。意志の強いその瞳。男の据わった鋭い視線に怯むことなく睨み返す。

 

「ルーシェ…………!」

 

彼女は女神か?と思ったと同時に、お友達、という発言に少なからず残念な気持ちを覚えざる負えない。

 

「あー、ルーシェさん?どいてくんない?ソイツ、盗賊なんだぜ?」

 

「全っぜん違います!そもそも!あの盗賊は女性なんですよ!?」

 

「………え?」

 

男は目が点になった。同時にやっちまった、という表情にみるみる変わる。

 

「商店街の方で、あの人の声を聞きました!他にもそうだって言う人がいっぱいいる筈です!私達だってあの盗賊と関わったし、姿も見ました!ビックリですよ!お店見てたら後ろにいきなりいたんですもん!え、えーと、それで!私は訳あって彼とはぐれてしまって。探してまして、そう。そしたら戦ってて」

 

この男への恐怖からか、しどろもどろになりながらもルーシェは必死に自分の意思を伝える。

 

「あー………なんか、すまん。俺勘違いしてたみたいだわ。つーか、ソイツも悪いだろ。誤解されるような格好しやがって。言えよ!」

 

なんとこの男、アルスに責任転換をしてきた。

 

「言った!俺言った!!それにも関わらずにアンタが仕掛けてきたんでしょうが!まず謝ってくださいよ!」

 

「…ヘイヘイ、ごめんなさいねーと」

 

「…………」

 

アルスはイラッとした。その軽薄な態度。どうも気に入らない。お世辞にも真摯な態度とは言えない。

 

「よし!えっと!これで仲直り!ほら握手握手!」

 

ルーシェはアルスと男の手を取り、握手をさせた。アルスは先程の態度のお返しをする。

 

「………い、痛いですよ……?アルスさん?」

 

「気安く呼ばないで頂きたいですねぇ………!」

 

ミシミシと音が鳴るほどアルスは手に力を入れた。片や張り付けたような笑み、片や苦笑いで手を握り合う2人。異様な光景だ。しかし、ルーシェは事が済んだと思ったようだ。ちっともアルスは納得いってないが。

 

「アルスー?勘違いは誰にでもある事だよ。あ、この場合は早とちりって言うのかな?それに、女の人が盗っちゃった物を、私達が捕まえて取り返せばいいだけだもんね!それで一発解決!」

 

アルスはルーシェが前向きな女性で良かった、と改めて実感した。並大抵の人間なら親の形見を失くし、これから見つかるかすら保障できないような事にこんな風にはいえないだろう。自分だったら、もっと悲観的な事を口にしていたに違いない。現実的になれ、と言い聞かせるかもしれない。楽観的であり、前向きであり、ほわほわと浮いたような雰囲気。それがルーシェなのだ。

 

「取り返せばいいって、ねぇ?嬢ちゃん俺の探し物知ってんの?」

 

「え?貴方も何か盗まれたんですか?」

 

「も、ってことは、アンタもなのか。……盗まれたのは俺の雇い主の物だ」

 

「そうなんですか。雇い主さんの、何を探しているんですか?大切な物?」

 

ルーシェが盗まれた物は両親の形見という大事な物だ。男は頭を掻きながら言う。どうやらルーシェのペースに調子を狂わされているようだ。

 

「……あー…。えっとさ。まぁダメ元でだけどよ嬢ちゃん。んだっけなぁ。氷石(こおりせき)って知ってるかい?」

 

「……こおりせき?」

 

「別名セルシウスの落し物、だそうだ」

 

「あ!知ってる!」

 

「ホントか!?」

 

男は目を輝かせた。

 

「スヴィエートのおとぎ話に出てくるやつ!その落し物は精霊セルシウスの涙とか、ペンダントだとか昔私色々想像を膨らませたんです…!懐かしい……!」

 

ルーシェがそう言い終わると、物陰から音がした。ホームレスと思われしき人が煩わしそうにこちらを見つめていた。

 

「さっきからうるせぇんだよあんたら!!俺らの住処荒らしやがって!」

 

どうやら好くは思われていないらしい。男は少し思案するような態度をとった後、こちらに向きこう言った。

 

「…説明が面倒だな。一旦商店街の広場に戻って説明したほうが早い。…ついてきてくれ」

 

「………」

 

胡散臭いこと極まりないが、騙そうという気はないらしい。付いて行ってもよさそうだ。ふと、ルーシェを見ると、自信満々にあの人は大丈夫!という顔で力強く頷いた。胃が痛い。

 

「っと、とりあえず自己紹介すっか。俺はガット・メイスンだ。よろしくな」

 

「分かりました! よろしくおねがいします!ガットさん!」

 

さっそくルーシェは警戒心ゼロであった。

 

 

 

「…お疲れさん。到着だ。」

 

3人は広場の商店街に着いた。すると、今度は先程の港の野次馬になっていたであろう人だかりが広場に移動していた。多方、軍に追い出されたのだろう。女盗賊がどこへ行ったのかは今の状況では分からなかった。その中の1人、中肉中背の男がいた。その男はガットと目が合うと、周りの喧騒を掻き分けてこちらへと早足に歩み寄ってくる。

 

「万屋!盗賊は捕まったか?ん?その後ろの人は誰だ?」

 

落ち着いているが、少し顔色が悪く、どことなく機嫌も悪そうだ。

 

「こんにちは、ルーシェって言います。こっちはアルスです」

 

「ん?あ、あぁ、よろしく。というかさっき聞いたんだが、盗賊の奴は女なんだそうだな。いやぁ、もう少し早く聞いていればなぁ。お前にマント姿以外の情報提供できたのに」

 

「そのせいで俺はとんでもない目にあったがな……」

 

アルスは小声で愚痴った。

 

「あぁ……、あんたが例のマント姿の……。港で見かけたっつー。ガットが、どうやら早とちりして追いかけたようだな……。いや、濡れ衣を着せて本当に申し訳なかった」

 

ガットの代わりに、この男が真摯に謝った。そしてガットが言った。

 

「おい。あんたにゃ悪いが、この男は違ったって事で。盗賊は完全に見失った。裏路地はあらかた探したが、他に奴と思わしき者は居なかった」

 

「そうか…」

 

商人は肩を落として落胆した。

 

「………どうする?」

 

「そんなもの!引き続き探すに決まっているだろ!万事屋!雇ってるんだから!」

 

「ですよねー」

 

ガットはまぁまぁ、と万事屋を手で制して言った。

 

 

 

 

「ま、今あった出来事通り、俺はあの商人から依頼を受けてて、盗賊探してるわけよ。氷石(こおりせき)っつーもんをな。状況分かったか嬢ちゃん?」

 

商人と別れ、再び宛もなく歩き出す。歩きながらガットはルーシェに説明をする。するとルーシェは思い出したように言った。

 

「私も、実は両親の形見のナイフを盗まれたんです!」

 

「マジかよ、大層なもん奪われたなそりゃ」

 

「そこで……一緒にあの盗賊を探しましょうガットさん!」

 

「はぁ!?」

 

声をあげたのはアルスである。何でこんな無粋な男と一緒にいなければならないんだ。

 

「お?奇遇だねぇ〜?俺も今そう思ってた」

 

「冗談じゃない!何でこんな奴と!」

 

「失礼だなぁオイ!」

 

腕を振り上げて指をさし、アルスは全力で拒否を示した。すると、ルーシェが目ざとく何かに気づいたようだ。

 

「…アルス?手、怪我してない?」

 

「え…、ああ本当だ。大丈夫だよ、これくらいならなんともないよ」

 

気付かなかったが、よく見ると確かに手首に痣があった。ガットに吹っ飛ばされた時に強打した時だろうか。しかし彼女はよく気づいたものだ。袖で普段は隠れているから自分では気がつかなかった。

 

「ん?お。無傷だと思ってたんだがな。俺も気付かなかったよ。飛ばした時にはうまく受身とってたからな。案外戦闘慣れしてるみたいでよー。あれ咄嗟にあんな対処されちゃ自信なくすぜ」

 

そんなこと欠片も思っていないだろう。よくこうも白々しくできるものだ。

 

「待ってて。今治すから」

 

ルーシェはアルスのおもむろに手を取った。真剣な彼女の表情に、アルスは何も言えなく、逆らえなかった。

 

そして袖をまくって患部を顕わにする。布に触れて少し痛かったが、仕方ない。こう見ると、中々痛々しいもので、戦っている時は全く気付かなかったのだから不思議だ。過度の緊張が起こした痛覚麻痺だとしたら、嬉しい誤算だ。そして、患部に手をかざし光を収束させる。

 

(ちょっと待て)

 

アルスはハッとした。

 

「…………。へえ。あんた治癒術できんだ。生まれつき?」

 

そう、ガットが隣にいるのだ。

 

「あ。はい。女将には使うなって言われたんですけど、やっぱり治せるなら治した方がいいですよね。ガットさんも傷があったら見せて下さいね」

 

「俺の事は親しみを込めてガットとでも呼んでくれよ?ともかく、俺はいいさ。自分の傷は自分で治せるからな」

 

(………何だって?)

 

アルスはナチュラルに飛び出した問題発言に耳を疑った。

 

「…っていうことは、ガットさんも治癒術が扱えるんですか?」

 

「まあ、そうことになるな。だが俺はそこまで素質は無いっぽいからよ、軽いやつしかつかえないからそこはあんま期待すんなよ」

 

どうやら、彼もある程度治癒術の心得があるらしい。本当にこの力は希少価値があり珍しいものなのに。ルーシェの影響で薄れてはいるが、2人も見つけるなんて偶然にしても凄いことだ。だが、この時点でルーシェに及ばないと断定しているところからすると、本当にある程度の技術しかない、ということだろうか。

 

「…生まれつきでも、その後で変わってくるものなんですね。ということは、光術も扱えるんですか?」

 

「いや? ガキの時はうまくつかえたもんだが、治癒術使えるようになってからパッタリでなー。初期光術しか使えないんだ。成長ストップでもしてんじゃねえのかね?」

 

淡々とした口調でそう語る。無論アルスにはまったくわからない領域だが、そういうこともあるのだろう、と自己完結させた。そう思うくらいには不思議な力なのだ。治癒術とは。

 

「……。終わったよ!アルス」

 

「あ、ありがとう。…すごいな、コレくらいだったらこんなに綺麗に治ってしまうものなのか」

 

さっきまであった青紫色の痣は今は健康な肌色そのものだ。

 

「基本的に治癒術師はそれくらいできなきゃ名乗れないんだぜ。それでもできるに越したことはないから、大体どこでも大歓迎なんだけどな。いい意味でも悪い意味でも。で、だ。まぁ一緒に盗賊探すっつー目的があんなら、あんたらのしっかりとした自己紹介も聞きたいね」

 

「まだ一緒に行くとは言ってな…」

 

「あ、そうですよね。私はルーシェ・アンジェリークです。これからもよろしくお願いしますね!」

 

ルーシェはスヴィエートでアルスとやったようにガットと握手をする。なんだか不愉快だ。

 

「で、……アンタは確かアルスだっけ?」

 

「そうです。言っときますが、まだ決まった訳じゃ……」

 

「奴だ!!今度こそ捕まえろー!!」

 

アルスが言い終わる前、叫びが聞こえる。そして港が騒がしくなった。どうやらあの盗賊はよほど騒ぎを起こすことと、逃げるのがうまいらしい…………。

 

「……決まりだな?」

 

「アルス!私達も行ってみよう!?」

 

「………はぁ、分かったよルーシェ……。言っておきますが!あなたの為じゃない、ルーシェの為です!」

 

「はいはい、わかってるっつーの!」

 

 

 

港に着くと、また野次馬達でごった返していた。アルス達は三国の警備軍人が集まっている方に走った。すると奴は既に包囲されていた。

 

「いい加減観念しろ!」

 

「散々振り回しやがってぇ!?」

 

「もう逃げ場はないぞ!」

 

「気をつけろ!何をしでかすか分からん!」

 

どうやったのかは知らないが、何度も軍を巧みに撒いていたらしい。

 

「クッフフ、逃げれるんだなぁ〜、これが♪」

 

「捕まえろ!!」

 

軍人達が一斉に女盗賊に向かった。

 

女盗賊は腕を振り上げた。そして一瞬のうちに玉のような物を地面に投げつけた。小さな煙がたちこめる。

 

「ぬおっ!?」

 

「逃がすか!」

 

「あんのヤロー!?」

 

女盗賊がいた中心の位置で、三国の軍人でごった返す。

 

「落ち着け!馬鹿の一つ覚えだ!さっきと同じ手口だぞ!風よ我に従いたまえ!起これ旋風!ワールウインド!」

 

機転が利いた軍人の一人が風の光術を発動させた。風が港に吹き荒れ、煙があっという間に消える。しかし、女盗賊と思わしき人物はどこにもいない。10秒もたっていない筈なのに。それらしき人物が見当たりもしない。煙の中から出てきたなら丸見えのはずだ。

 

「何故いない!?」

 

「消えた!?」

 

「消えるはずが無かろう!まだどこかにいるはずだ!徹底的に探せ!」

 

騒然とするその場にルーシェは慌てふためいた。

 

「な、どこに行ったの!?あの人は!」

 

「消えやがったぞ!」

 

アルスもその光景を見ていたが、一体奴はどこに行ったというのだ。こんな大衆の面前で忽然と姿を消すなんて。周りは軍人だらけなのに。その時、ある1人の軍帽を深くかぶっているロピアス王国の軍人とすれ違った。アルスはそれに違和感を感じた。

 

(……この匂い……?)

 

アルスはその特徴のある匂いの記憶をだくり寄せた。そう、あの女盗賊が使った爆竹の匂いだった。けむ臭いあの。

 

(まさか………)

 

アルスはある考えがよぎった。短時間で消え、なかなか捕まらない挙句、その神出鬼没ぶり。木を隠すなら森の中と言うだろう。アルスは振り返り、その軍人の姿を見た。身長も大体一緒だ。確信がもうそこで持てた。アルスはその軍人の肩を掴んだ。

 

「ちょっと待てアンタ」

 

「っ!」

 

「お前だろう。女盗賊は」

 

「………よく気づいたね、っと!!」

 

「っぐあっ!?」

 

その女は足掛けを繰り出し、アルスの体制を崩した。そして、そのままジャンプしアルスの肩を踏み台にして、高くジャンプした。

 

「バァイ、踏み台さん♡」

 

そして懐から何か拳銃のようなものを取り出したと思うと引き金を引き、空中でそれを発射させた。ワイヤーのようなものが、既に出発して、海上を進んでいるある船に向かって一直線に飛んでいった。そして先端についた錨のような形をした物が船の手すり部分に引っ掛かっている。

 

「まっ、待て!」

 

そしてまた手元の拳銃の引き金を引き、女盗賊は宙を舞った。引っ張られるように船に向かって一直線に飛んで行く。

 

「アルスどうしたの!?」

 

「ルーシェ!奴だ!あの!ロピアス軍服を着た奴!」

 

「えっ、ど、どれ!?」

 

「まさかアレか!?飛んでるやつ!?」

 

アルスの言葉に、ルーシェとガットが姿を確認した。しばらく見ていると女盗賊は船の手すりに到着し、華麗に一回転し、甲板に降り立つ。そして終いに憎たらしく手を振ってくるではないか。

 

「がー!!ついに島の外に逃がしちまった!!」

 

ガットは地団駄を踏んだ。あの船はロピアスへ向かう船だった。だからロピアスの軍服を着ていたのだ。

 

「しまった………!」

 

まんまと取り逃がしてしまったアルス達なのであった。

 

 

 

「馬鹿野郎!逃がしてどうする!?」

 

ガットは案の定商人に怒鳴られた。

 

「まぁまぁ〜、そうカッカなさんな」

 

「あの氷石(こおりせき)は!とても大事な献上品なんだぞ!?ロピアスにいるあるお方とのな!」

 

「お?そうだったんだ?んー、ならこうしようぜオッサン。あの女盗賊はロピアス行きの船に乗った。オーケー?」

 

「はぁ?」

 

商人は訳が分らない、と言った様子で彼を見つめた。

 

「それを俺は追いかけて 、もちろん見つけしだい取り戻す。んで見つからなかったら、ロピアスにいるっつーそのお方に、話をつけてくる。盗まれましたーって、事情を伝える。あら不思議。アンタは面倒な船旅と?ロピアスまでの道のりをカットして、この島にまだいることが出来る、ってわけ」

 

ガットは言葉巧みに商人をなだめた。

 

「……ホントに出来るんだろうな………」

 

信用していないようで、商人は据わった目でガットを睨む。

 

「ああ、いい案だろ?アンタも得、俺も仕事ができて得」

 

商人はため息をついた。

 

「はぁ………分かった。万事屋ガット。氷石(こおりせき)回収が第一目的だが。あのお方と話をつけて貰えるのはありがたい。盗まれたなんて失態、俺の口からはとてもじゃないが言いにくいったらありゃしない。俺はお方、少々苦手なんでね。頼んでいいのか。」

 

「勿論。あ、そのあの方ってのに氷石(こおりせき)が渡ったら、手紙書くようにも伝えとくよ」

 

「交渉成立だな。いいか、頼んだからな?」

 

商人は念を押した。余程大事な任務らしい。

 

「了解。期待に応える事が得意分野なんでね。そこらへんは任せろよ。そんで?あの方の名前ってのは?流石に名前聞かなきゃ探せねぇよ」

 

商人は辺りを見回した。誰かに聞かれたくないのだろう。声を小さくして言う。

 

「ロダリア……って名前の人だ。だが、どこにいるか分からないんだ。俺がロピアスに行ったら分かるから、だそうだ。いつも迎えにきやがる。待ち合わせ場所なんてねぇんだ。だが、様々な情報を持っていてな。そのせいかもしれねぇな。で、俺も世話になったことがあるのだ。その情報のお陰で今の私は平均以上の生活ができているといっても過言ではない、くれぐれも、失礼のないように!」

 

「ロダリア、ね……。あとは自力でってか。まぁ腑に落ちねぇが、情報屋なら仕方ないって事なのかね、おっけおっけ」

 

 

 

「聞いた?お二人さん」

 

「上手く話をつけたもんだな。解約されても文句言えない状況だったのに」

 

「だろ?」

 

後ろでガットの商人とやりとりを気づかれない様に傍観していたアルスはそうガットと話した。

 

「ルーシェも、あの女盗賊に盗まれたんだろ?大切な物」

 

「うん………」

 

「なら、次の行動は決まってんじゃないの?」

 

ガットはニヤリと笑った。




ガット・メイスン2
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