インフィニット・ストラトス 蒼き雷光 更新凍結   作:09e16

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本作はインフィニット・ストラトスの二次創作です。
原作との違いがあるかもしれませんが予めご了承ください。

アンチ対象
なし

恋しちゃってたんです。
自分も相手も気が付いていないけど…
彼女はずっと彼に恋していたんです。


第六十七話「戦乙女の純情」

午前10時20分頃

ミュンヘン市内

レストラン【ラーツケラー・ミュンヘン】にて

 

あの後ハンス元司令を

本人たち曰く【救援】に駆け付けた

ドイツ軍に引き渡した(押し付けた)一夏たちは

護衛扱いのラウラやクラリッサとともに

ミュンヘン市内にある老舗レストランで

かなり遅めの朝食をとっていたのだが…

 

「…」

 

ジィィィ

 

なぜか千冬が

朝食をとる六郎の顔を凝視していた。

 

「…千冬ちゃん?」

 

「ひゃい!?」

 

いぶかしんだ六郎の問いかけに何というかこう…

らしくない声を上げた千冬、

 

その様子を見ていた一夏たちは…

 

(ち、千冬姉が…女の顔になってるぅぅぅ!?)

…まあ今のは一夏の内心だが

他のメンバーもこう考えていた。

 

冗談抜きで顔を赤らめて

ボケーとした表情で六郎のことを見ていたのだ。

 

「…よし。」

 

その様子を見ていた一夏は決断する。

(千冬姉の表情からして岡部さんに惚れていると考えて間違いない。

ならば…)

 

「ラウラ…鈴…ちょっと。」

 

「ん?」

 

「何一夏…」

 

周囲に気がつかれないように

ラウラと鈴に声をかけた一夏は

二人にあることを持ちかけた。

 

「なあ…あの二人、

…くっつけねえ?

つーか頼む。

千冬姉が結婚できる唯一のチャンスかもしれないんだ。

…手伝ってくれ。」

 

そう言う一夏に二人とも最初は困惑するが…

 

(そういえば…千冬さん。)

 

(臨海学校の時出会いがなかったって言っていたような…)

 

「「その話…乗った!!」」

 

臨海学校での千冬の嘆きを思い出した二人は

彼女への恩返しとしてこの話を受けることを決める。

 

そして…

 

「…織斑先輩(;_:)」

 

「教官…

いき遅れになるところだったなんて…」

 

ある意味蚊帳の外だった湊斗とクラリッサは

一夏たちの話を聞いて千冬の恋愛事情を知り

その悲惨さに涙を流していた。

 

この後一行はミュンヘン市を満喫し…

 

+++

 

翌日

8月3日(日)

午前8時23分頃

ミュンヘン空港にて

 

「じゃあなあラウラ…

また学園で会おうぜ。」

 

「ちゃんと宿題は終わらせときなさいよ?」

 

「ああ…二人とも元気でな。

…行くぞクラリッサ」

 

「湊斗さん…

お手紙お願いしますね。

…待ってますからね?」

 

「分かりましたから…

昨日の夜からずっとこれだもんなあ。」

 

一夏たちの帰国を見送ったラウラとクラリッサ。

その後二人とも約1日ぶりに基地に戻るのだが…

 

「「え…【黒野兎の巣】を一時的に閉鎖する!?」」

 

基地施設の管理プログラムが一部削除ことと

軍の知らない設備が発見されたために

基地の改装と調査が行われることになった。

その関係で一時的に閉鎖し調査及び改装作業の関係者以外は

入ることができなくなっていたのだ。

 

そして紆余曲折の末…

 

「まさか…

クラリッサまでもが学園で暮らすことになるとは…」

 

「フフフ…

日本に着いたら会いに行きますからね湊斗さん♪」

 

リハビリのため入院している他の隊員たちとは異なり

ラウラとクラリッサは

日本のIS学園預かりの身となる。

 

すでに在籍しているラウラはともかく

クラリッサは表向き

ドイツ軍から出向した実技教官扱いとなった。

 

 

そして同時刻

 

ゾゾゾ!!

「何だこの気配は…」

 

湊斗の背筋を凄まじい悪寒が走ったという。

 

+++

同時刻

ドイツ某所を走行する

軍の護送車内部で…

 

軍に引き渡されたハンスは

護送車に手錠をかけられた状態で

閉じ込められた状態で軍内部でも

一部のものしか知らない極秘施設に護送されていた。

 

「フフフ…」

車内で一人きりになったハンスは

不気味にほくそ笑む。

 

(確かに捕まったが私の頭の中には

亡国の機密がいくらか入っている。

…助けが来るのはほぼ確定なのだよ。)

 

そう考えていたハンスだが…

彼のこの考えは結果的に裏切られることになる。

 

そう…

 

『FIRE.』

 

ドギャァァァァン!!

 

「…敵襲!?

被害は…

チッ!!

此方護送車!!

本部応答願う!!」

 

護送車を襲った衝撃

それは…

 

≪此方本部…どうした?≫

 

「何者かに攻撃を受けた!!

おそらく口封じだろう…

後部部分が護送対象ごと

吹っ飛ばされた!!」

 

長距離からの砲撃が着弾したことによるものだった。

この攻撃でハンスは乗っていた護送車の

後ろ側と一緒に吹き飛んでしまい、

亡国企業の情報はドイツ軍に知られることはなかった。

 

『…MISSION COMPLETE.』

 

そしてその砲撃を行った謎の機体は

護送車を眼下に収め状況を確認した後

離脱していった。

 

+++

 

「…危なかった。

アレで口封じで来なければ

情報が漏れていたかもしれない。」

 

そう青ざめた顔で言うのは

かつて臨海学校の時に

暗躍していた謎の男だった。

 

「スレイブ・システムもプログラムデータ自体は

自壊コードを送信して壊したし、

何とかなるだろう…」

 

そう一人呟きながら自身の研究室で

歩き回るその男の耳に

 

コンコンコン

 

ノックの音が聞こえてきた。

 

 

「…入りたまえ。」

 

瞬時にデスクにつきそう言う男、

そして入ってきたのは…

 

「失礼します…

ザパト博士?

うちの子を出撃させたようですが…

何のためですか?」

 

そういう女性は彼に対してその怒りを一切隠さなかった。

 

「…フム。

そういうことをいっていいと

本気で思っているのかね?

君やアレは…

私の一存でいつでも殺せるんだよ?」

 

ザパトの言葉に彼女は…【エルデ・ミッテ】は

自身の首筋に手を当てた。

その首には首輪が付けられていた。

 

「…差し出がましいことをして

申し訳ありませんでした。」

 

そう…護送車を襲撃した機体は

無人機ではなく

エルデ・ミッテの血のつながらない娘であり

 

(御免なさい【マドカ】。

母さんのせいであなたには苦労をかけちゃうわね…

あなただけならすぐに逃げ出せるのに。)

 

行方不明になっている【織斑家の次女】である

【織斑マドカ】が搭乗している機体だった。

 

+++

それから数日後

日本の織斑邸にて

 

「…え?

もう一度言ってくれない千冬姉?」

 

「いやだから私にとって岡部先輩は…

高校時代にお世話になったただの先輩だぞ?

何かおかしいのか?」

 

この日一夏はかつて千冬が言った

【出会いがない】との言葉について

彼女にある確認をした。

 

【…岡部さんとはどうなのさ?】

 

確認したのだが…

こう返されたのだ。

 

そう彼女は自分の気持ちに気が付いていなかった。

相手もまた彼女のことを可愛い後輩としか見ていないことを知っていた

一夏は内心頭を抱える。

 

(どうしよう…

まず千冬姉に自分の気持ち自覚させるところからかよ!?)

 

さて千冬は結婚できるのであろうか?

 

EPISODE5-2「Restart of Brynhildr」

FIN.

NEXT…

EPISODE5-3「The Battle of Britain」

Coming Soon!

 

次回予告

夏休みも佳境に入り始めたある時

俺、柊カイトは会社の仕事でイギリスへ向かうことに…

現地で合流したのはまさかのシャルと

…あんたがシャルの現母親!?

 

次回

インフィニット・ストラトス蒼き雷光

「その名は銀髪の魔女」

 

その者青き炎を纏いし…

【もう一人の戦乙女】なり




お待たせしました。
第67話完成いたしました。

終わったァァァァ…
今回は三連休があったのでいつも以上に執筆時間が取れました。
ドイツ編ラストは千冬さんの恋の始まりにしようと思っていたんですが…
むしろ【千冬さんを幸せにし隊】の結成話ですね。
ハンスさんのラストは…
狙撃にするか吹っ飛ばすかで悩んで
吹っ飛ばした方が手っ取り早く感じたのでこうしました。
爆発オチはある意味鉄板ですしね。

エルデとマドカの義親子関係はピクシブでは
一部ネタばれしてましたが
こちらではあまり出していなかったので
驚いた人もいるのでは?
こう【ビビィ】とインスピレーションがわいたのでこうなりました。
このエルデさん…名前と姿形が同じだけの別人化してます。



本作では皆様のご感想やご意見及び誤字脱字報告をお待ちしております。

それではまた次回の更新で逢いましょう。
よき一週間をお過ごしください。

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