東方神実郷~『仮面ライダーバロン』、駆紋戒斗が幻想入り~ 作:火野荒シオンLv.X-ビリオン
チルノ「それはいいけど作者、あっちで翔たちがスタンバってるんだけど」
シオン「スピンオフはもう少し待ってぇぇぇぇぇ!!」
戒斗(…色々と忙しいやつだな…)
「……で、本来はあの果物を食べたらその……インベス?になってしまうと?」
戒斗がヘルヘイムの果実で大騒ぎして約3分後……なんとか心を落ち着かせた彼は、魔理沙だけを連れ、彼女の家の中に入る。
そして植物と果実の正体を明かし、それを聞いた彼女は頭をボリボリと掻きながら尋ねていた。
戒斗はそれに頷き、取り合えずチルノが持ってきた果実を取り出す。
「あぁ……これは言わば『人間を越える』力を持つ果実だ。だが、何も知らずにただ食べてしまえば、自我を失い、インベスと同じになってしまう」
「へぇー……まだ調べてなかったとはいえ、そんな効果があったなんだな」
「…だが……どういうわけだ…?果実は口にして飲み込んだ瞬間、インベス化が起こるはずなのに……」
戒斗はまじまじと果実を眺める。
すると魔理沙が戒斗から果実を奪い取り、手でポンポン投げながら告げる。
「…ま、調べてみりゃ分かるだろうから、私が調べとくぜ。どうせお前食べないだろうし」
「そうか…なら任せるが……あまりそれは食べるな。いいな?」
「わ、わかったぜ……」
魔理沙はアハハ、と笑いながら言うが……その際軽くポケットらしき場所をガサゴソとする。
―――こいつ、既に幾つか所持してるな……
戒斗は軽く頭を押さえながら項垂れる。
そんな彼は気にせず、魔理沙は「ところで」と彼に話しかける。
「あ、そういや戒斗。お前、なんで私だけにこんな話をしたんだぜ?チルノや大妖精にも話した方が」
「それであいつらが知った場合の反応を考えると、面倒だからだ」
「…あぁ、確かに……」
戒斗の言葉を聞いた魔理沙は思わず頷いてしまう。
…確かに、チルノが聞けば色々と喧しくなるだろうし、大妖精に至ってはインベスに襲われたのだ……恐らくその時の恐怖心は充分あるだろうし、自分が同じインベスになる可能性があると知ったら、激しく怯える可能性もある。
そう考えた戒斗は、あえてこの話に彼女たちを呼ばなかったのだ。
「流石にそうなった時のフォローが面倒だからな……それに知らない方が、身のためだ」
「…ま、お前がそうしたいならそうすればいいさ。でもよ……いつかは知られるぞ?」
「分かっている…それじゃあ、果実の事、頼んだぞ」
「あいよっと。できれば今日中には調べあげるぜ」
魔理紗はニカッと笑いながら返事をすると、自室に入っていく。
そして戒斗は霧雨魔法店から出ると、未だに外でムシャムシャと果実を食べているチルノを見つけ、彼女の元まで歩み寄る。
そしてそのまま彼女の頭を軽く叩いていた。
「…いつまで食っているんだ貴様は」
「いっ!?…何よー……魔理紗が「遠慮せずに食え」って言うから、遠慮せずに食べているだけじゃん」
「貴様のは食いすぎだ。それで夕飯が食えなくなっても知らんぞ……ところで、大妖精は何処だ」
「ん?大ちゃんならあそこにいるよ?」
チルノはそう言って、大妖精のいる方向を指差す。
戒斗はその方向を向くと、まじまじと果実を眺めている彼女の姿が…
それを見た戒斗は軽く嫌な予感を感じつつ、彼女の元まで歩み寄って話し掛ける。
するといきなり彼がやって来たのに驚いたのか、大妖精は大袈裟なほど驚いていた。
「…大妖精…」
「ひやっ!?か、戒斗さん!?いいいいつ戻ってきたんですか…!?///」
「さっきだ。…それより大妖精、お前は何故そんなにまじまじと果実を眺めているんだ…?」
「え、あ、そ、それはですね……こ、これでお菓子を造れるかなー……って…思いまして……///」
戒斗に尋ねられた彼女は、もじもじと体を動かしながら答える。
…どうやらヘルヘイムの果実を使ったお菓子を考えていたようで、どんなお菓子にしようかと考えていたらしい……
だが…それを聞いた戒斗は、軽く思考が停止し、その場で固まっていた。
それもそのはず……口にした者を怪物へと姿を変えさせる実を、普通に『お菓子にする』と言われたら、誰だって絶句してしまう……むしろしない方がおかしい。
すると戒斗の様子がなんかおかしいと感じたのか、大妖精が彼を呼び掛ける。
「…」
「…えっと……戒斗…さん……?」
「(はっ……!俺としたことが、衝撃的すぎて……)……そう、か…上手く……出来上がれば…いいな……」
「は、はい……///」
彼女が呼び掛けたことにより、戒斗はハッとする。
そして彼女から軽く視線を逸らしながら、皮肉じみた感じで彼女に告げ、彼女は少々嬉しかったのか顔を赤らめていた。
その一方で戒斗は、大妖精の発言を聞いて軽く項垂れるが……
―――冷静に考えてみれば、俺やシャルモンのオカマ店長も果実の真実を知らなかったら、確実に造っていたかもしれん…特にオカマ店長だったら確実に造る
……と、自分と何処ぞの某元軍人パティシエが果実の真実を知らなかった場合を考え、無理矢理納得していた。
というよりも、大妖精は果実の真実を知らない……なので普通に考えてみれば、ああいうお年頃の女の子は、様々なものを料理して、より美味しく食べれるようにするのは、わりと自然なことだ。
(…今のところ、インベス化する様子はなさそうだし、どうせ注意してもチルノを食べ続けるだろうから、暫くは様子見するか……)
「…そういえば戒斗さんって、外の世界にいた時は、お料理されてたりしたんですか……?」
「…何故いきなりそんな質問を…」
「あ、いえ……ただ気になって…///」
突然大妖精が、そのようなことを尋ねてくる。
いきなりの質問に少々驚きながらも、彼は落ち着いた口調で返答する。
「…小さい頃から料理はしていた……」
「そうなんですか?ということは、お料理にはそれなりの自信が……」
「あるにはある」
「…なら…あの……その…い、一緒にこれを使ったお菓子…考えてくれませんか……?」
「…何?」
大妖精はもじもじしながら、再び話す。
どうやらどんなお菓子にしようか決まらず、それで彼に尋ねたらしい……
それを聞いた戒斗は心の中で溜め息をつくが、とりあえず相談には乗ってみる。
…というか、ぶっちゃけ彼もその言葉を聞いて、調理したらどうなるかと薄々考えていたのだが。
「…そうだな……フルーツタルトはどうだ」
「んー……でもそれだと、他にも材料を集めないといけませんね……ケーキ…もスポンジケーキとクリームが今家にないですし……」
「他の果物の材料は集めれば問題ないだろうが……というか、スポンジケーキがあるんだな、この世界は」
「えぇ。何年か前にスキマ妖怪の紫さんが持ってきて……いっそのこと、クッキーみたいにしてみませんか…?ケーキだと…ありきたりですから……」
「細かく切ったり磨り潰たりして生地に混ぜるということか……少し難しいだろうが、いいアイデアかもしれない。だったら他の果物も混ぜた方がいいかもしれんな。その方が味にバリエーションが増えるし、飽きもしないだろう」
「成程……確かに味が一種類だけじゃつまらないですね……でもそれも難しいのでは…?」
「生地を伸ばすときに実が潰れるだろうから、大丈夫だろう……問題として、焼いても大丈夫な果物を使わないといけないが……」
「あ、確かに……レンジで焼いたら、当然果物も焼けちゃいますもんね……焼いて食べても大丈夫なの……バナナやパイナップル…他に何がありますかね……」
「俺が覚えている限りでは、スイカとレモンは駄目で、ブドウやリンゴ、イチジクが美味しさを増すらしい。実質、アップルパイも焼いているからな」
「へぇー……初めて知りました…あ、アップルパイみたいなお菓子にしてみれば…!」
「確かに……というか今更だが、この果実は焼いて食えるものなのだろうか……」
「……あ」
暫くの間、様々なアイデアを出し合って話していた二人だが、ふと戒斗が疑問に思ったことを呟く。
それを聞いた大妖精は……肝心なことに気付けなかったのに気付き、軽くorzしていた。
「…そうでした……焼いたら美味しいのか…まずそこを考えるの忘れてました……orz」
「…すまん、俺もそれについて忘れてた……」
「と、とんでもないです!相談に乗って頂いただけでも…う…嬉しかったです……///」
「そうだな……後で霧雨に厨房を借りて、煮たり焼いたりして、味を確かめるか。それで何を作るか決めるぞ」
「……はい!」
大妖精は顔を赤らめつつ、戒斗の言葉に大きく返事をする。
それと同時に、彼女はふと、彼を見ながら考える。
―――なんでだろうなぁ……ここ最近、戒斗さんと話していると……ほっとするのは……
―――それと同時に、この胸の”痛み”みたいなのは……なんなんだろう……
大妖精は彼に会ってから感じる”何か”を考えるが、その度に彼の顔が頭の中に浮かび上がる。
(…って、なんで自分の事考えているのに、戒斗さんの顔が頭に……///)
「…どうした、大妖精」
「ひぇっ!?な、なんでもないです!はい!!」
「?そうか…ならチルノのバカを止めるぞ。あいつ、いつまで食うつもりだ……!」
突然戒斗に声を掛けられ、大妖精はあたふたしながら何故かなんでもないと答える。
それを聞いた戒斗は深く詮索せず、未だに果実を食べているチルノ(という名の馬鹿)を止めるよう告げる。というかチルノはいつまで食べているのだ。
それを見かねた彼は彼女のところまで歩きだし、大妖精も二人のところに行こうとした…瞬間だった。
突然近くの茂みがガサリと音をたて、大妖精は思わず足を止める。
すると茂みから龍みたいなインベスが現れ、それを見た彼女は大きな悲鳴をあげていた。
『ギシャァァァァァ!』
「!?きゃああああ!!?」
「なっ…!インベス!?しかもあの個体…!」
「大ちゃん!!」
彼女の悲鳴を聞いた二人はその方向を向くと、龍みたいなインベス……セイリュウインベスがゆっくりと、彼女に歩み寄っている……
それを見た戒斗は急いで変身すると、バナスピアーでセイリュウインベスに攻撃していた。
「か、戒斗さん!」
「何をモタモタしている。急いで霧雨の家に入れ!!」
「は、はい!」
「チルノ!貴様はいくつか果実を寄越せ!」
「わ、分かった!」
バロンは的確に指示すると、更にセイリュウインベスに攻撃を仕掛ける。
だが、セイリュウインベスの皮膚が相当硬いのかダメージを与えている様子はなく、バロンはそれを見て舌打ちする。
「チッ……やはりバナナでは、こいつの硬い体とは相性が悪いか……」
「戒斗ー!言われた通り果実投げ渡すよー!!」
するとチルノがいくつか手に持っていた果実を投げ、バロンに渡す。
バロンがそれを受けとると、同時に果実がロックシードになっていた。
それを見たチルノは驚くが、構わずバロンは変化したロックシードを見る。
その中央に描かれているのはヒマワリの種のようなもの……
だがバロンはそれを見て舌打ちすると、ヒマワリのマークのロックシードを投げ捨て、チルノに別の果実を寄越すよう叫ぶ。
「チッ…Dランクのロックシードじゃあ、インベスを召喚しても意味が無い…!チルノ!別の果実を寄越せ!!」
「えっ!?それ捨てちゃうの!!?」
「いいから早くしろ!」
いきなりロックシードを投げ捨てたバロンを見て驚くが、そうしてる間にもセイリュウインベスが青い炎を吐き出し、バロンを攻撃するのを見て、慌ててバロンに別の果実を投げ渡す。
バロンはそれを受け取りロックシードに変えるが、またしても出てきたのはヒマワリで、バロンはそれを思い切り地面に投げ捨てていた。
「くそっ!ドングリすら出ないというのか…!仕方ない、このまま攻撃を…」
「もう一個受け取れー!」
「なっ…いきなり投げ渡す馬鹿がいるか!?」
『ギシャァァァァァァァ!!』
「!しまっ…!」
バロンは再度構えなおすが、またしてもロックシードを投げ捨てた彼を見たチルノがいきなり果実を投げ渡し、バロンはそれを受け取り損ねてしまう。
同時にセイリュウインベスが飛び掛ると、果実を口にしてしまい、それを見たバロンは慌てて身構える。
するとセイリュウインベスの体が軽く緑色に光り、荒々しい咆哮を上げるとバロンに襲い掛かっていた。
その攻撃の速さは果実を食べる前より上がっており、攻撃を受けたバロンは大きく吹っ飛ばされていた。
「が、ぁぁぁぁ!!」
「か、戒斗!大丈夫!?」
「っ、あぁ…巨大化まではしてないから助かったが……あそこまで力が上がるとは…!」
『グルルルルル…』
「クッソー!こうなったら凍らせてやるー!!」
チルノは叫ぶと、自身の能力でセイリュウインベスを凍らせる。
チルノは「やった」と声を漏らすが、次の瞬間、セイリュウインベスが無理矢理凍結を解いていた。
それを見たチルノは驚くが、セイリュウインベスが炎を吐いてきたのを見て、慌てて回避する。
「うっそ、アイツ自力で氷付けから抜け出したよ!?」
「やつは炎を使う…だからあの程度では簡単に打ち破られたんだろうな…」
「じゃあどうすんのよ!?」
「本来は火力の高いアーマーで戦いたいが…予定変更だ、一点を集中狙いだ。行くぞチルノ!!」
バロンは起き上がると、セイリュウインベスに向かって走り出し、バナスピアーで攻撃する。
しかし先程果実を食べた影響か、セイリュウインベスに攻撃が通らなくなっており、軽くバナスピアーが弾かれていた。
しかしバロンは素早くカッティングブレードを倒すと、そのままスピアビクトリーを放ち、そこからチルノも弾幕で攻撃していた。
だがそれらを受けても、セイリュウインベスはびくともしておらず、終いにカウンターで炎の攻撃を食らっていた。
「「ぐわぁぁぁ!」」
『ぎしゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』
「うっ…あいつ強すぎない……!?」
(おかしい…たった一つ果実を食べただけでああなるなんて…まさかここ一帯の茸の胞子が果実の力に影響しているとでもいうのか……!?)
『グルァァァァァァァァァ!!』
「!やばいよ戒斗!アイツまた果実を食べようとしてる!!」
「なんだと!?」
チルノが指差した方向には、近くに生えてる果実に向かって歩み寄るセイリュウインベスの姿があり、それを見たバロンは慌てて起き上がろうとする。
しかし既に果実を捥ぎ取ってしまい、この距離からだとチルノが弾幕を放っても、先に食べられてしまう可能性がある。
そして果実がセイリュウインベスの口に運ばれ始めた……その時
「―――恋符『マスタースパーク』!!範囲凝縮バージョン!」
『グル!?ギシャァァァァァァァ!!』
突如として、レーザーのような攻撃がセイリュウインベス目掛けており、それを見たセイリュウインベスは驚きながら、大慌てで回避していた。
バロンたちは攻撃が放たれた方向を見ると、そこにいたのは、八卦ロと呼ばれるものを持った魔理沙が立っていた。
その後ろには大妖精が隠れており、恐らく彼女が魔理沙を呼んだのだろう……
大妖精は間に合ったと言葉を溢しながら安堵の表情をしており、一方の魔理沙は軽くしかめっ面になっていた。
「ちぇ……家が壊れないように範囲狭めたのが間違いだったか……」
「霧雨…!」
「ん?そこのなんかよく分からんやつ…戒斗か?」
「さっき説明したじゃないですか!?」
「あれ、そうだっけ」
大妖精の言葉に魔理沙は頭を傾げるが、その際バロンがそこら辺に投げ捨てたヒマワリロックシードを見て「ん?」と呟く。
「なぁ戒斗、そこに落ちてるやつ…」
「?ロックシードの事か?」
「あ、それ、ロックシードって言うんだな。いやー、”前に拾ったやつと似てる”から、つい気になって」
「…何?」
―――今、なんと言った…?前に拾ったやつと似てる…だと?
魔理沙の言葉を聞いたバロンは首をかしげる。
すると彼女はポケットからあるものを取り出す。
それをよく見た結果……マンゴーのようなマークのロックシードだった。
もう一度言おう、マンゴーのようなマークのロックシードだった。
それを見たバロンは当然驚き、同時に彼女にそれを投げ渡すように叫ぶ。
それを聞いた魔理沙は何故か不機嫌そうな顔をするが、軽く無視されていたセイリュウインベスが彼女に襲いかかる。
「(!?マンゴーのロックシードだと!?何故あいつが……だが、丁度いい…)霧雨!そのロックシードを俺に渡せ!」
「えー。なんでだよ……折角人が拾ってきたのを…」
「いいから寄越せ!」
「ままま魔理沙さん!?インベスがこっちに!!」
『ギシャァァァァァァァァァァァァァァ!!』
「うおっ、やっべ!」
「ちぃ!」
だが、それを見かねたバロンが起き上がると、そのままセイリュウインベスに向かってバナスピアーを投げる。
セイリュウインベスはそれに気付くとすぐさま避けるが、それを狙っていたのか、バロンがすぐさま魔理沙たちとセイリュウインベスの間に入り、そのままセイリュウインベスを蹴飛ばしていた。
その後すぐに魔理沙からマンゴーロックシードを奪い取っていた。
「…寄越せ!」
「うわっ!人のもの盗みやがって!この泥棒ー!!」
(…ねぇ大ちゃん…)
(…思っても言ったらダメよ、チルノちゃん…)
…約二名、彼女の言動に軽く汗をかいていたが……
それらに構わず、バロンはバナナロックシードを戦極ドライバーから外すと、同時にマンゴーロックシードを解錠する。
するとマンゴーロックシードから音声が発せられ、バナナロックシードと同様に、上空からマンゴーのような鎧が現れ、それを見た少女たちは、思い思いの言葉を口にしていた。
『マンゴー!』
「え!?マンゴー!?バナナ以外にもあったの!?」
「…え、っと…?」
「…なんだ、ありゃ?」
『カモォン!マンゴーアームズッ!ファイト・オブ・ハァー・ン・マーッ!!』
するとカッティングブレードが倒され、バロンの頭にマンゴーの鎧が突き刺さる。
それを見た大妖精と魔理沙はあまりの光景に驚き、2~3回はこの光景を見ているチルノは「なんで毎回頭に突き刺さるんだろう…」と感じる。
そうしている間にマンゴーの鎧は開かれていき、途中で変形などする。
そして完全に鎧が変形し終えると、先程とは違うバロンの姿が、そこに立っていた。
見た目的には大きなマントに、下向きの角が特徴で、それ以外はマンゴーの表面が肩などに付けられている感じであった。
その手にはかなりの重量感が目に見えるメイス状の武器を持っている……
先程とは違う姿のバロン―――バロン・マンゴーアームズは、メイス状の武器『マンゴパニッシャー』を持ち上げると、そのままセイリュウインベスに走り出していた。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
『ギシ、ギシャァァァァァァ!?』
「さっきより攻撃が効いてる!」
「チルノ!お前の能力でインベスの動きを鈍らせろ!」
「分かった!」
「私も手伝うぜ!」
バロンM(マンゴー)Aの言葉を聞いたチルノと魔理沙は、セイリュウインベスを囲うように立つ。
そしてチルノは自身の能力でセイリュウインベスの足元を凍らせ、無理矢理抜け出そうとしているところを魔理沙が弾幕で攻撃、そこから追撃でバロンMAが攻撃を叩き込む。
すると魔理沙の弾幕の威力の高さと、マンゴパニッシャーの破壊力がかなり応えたのか、セイリュウインベスはその場で膝をつく。
それを見たバロンMAは必殺技の体勢にはいると同時に、チルノにセイリュウインベスを丸ごと凍らせるよう指示していた。
『マンゴースカァッシュ!』
「チルノ!あいつの体を全部凍らせろ!」
「おっしゃあ!うぉぉぉぉぉ!」
『グル!?ガ……』
必殺技が放たれる前に逃げ出そうとするセイリュウインベスだったが、その前に完全に凍ってしまう。
そして同時にバロンMAが『パニッシュマッシュ』を叩き込んで、その場で砕け散っていた。
~~~
「んー……拾ったのは確か、1週間ぐらい前だったかなー?」
インベスとの戦闘が終わって数分後、変身を解いた戒斗は、魔理沙にマンゴーロックシードをどこで拾ったのかを尋ねていた。
尋ねられた彼女はというと、頭を捻りながら、それを拾ったときの事を思い出しながら話し始める。
どうやら1週間ほど前、茸採取をしに魔法の森を探索している途中、茂みの上に落ちてるのを見つけたらしい……
それを拾うと、彼女の知り合いにどういうものか調べてもらおうとしたらしいが、その際これが貴重なものだったらと考え、そのまま自分のものにしていたらしい…
それを聞いた戒斗はそういう事かと納得しつつ、そのままマンゴーロックシードをポケットに入れる。
それを見た魔理沙は叫びながら、彼のポケットのロックシードを奪い返そうとしていた。
「…成程……どうやら戦極ドライバーや他のロックシードと同じ原理で、この世界に流れ着いたようだな…」
「Σって何勝手に人のものパクってるんだよ!?返すんだぜ!!」
「悪いが貴様にこれを持たせていると、面倒事しか起こしそうにないからな……それにこれは、”元々俺のもの”らしい」
「「「?」」」
戒斗の『元々自分のもの』という言動に、魔理沙はおろかチルノや大妖精も首を傾げる。
…どうやら戒斗が言うには、マンゴーロックシードを手にした瞬間、凄まじく手に馴染んだらしく、しかも懐かしさを感じたらしい……
この世界に流れ着いたバナナロックシードが自分のものだったのと同じように、もしくはこれも自分が使っていたやつではないのかと思ったとのこと。
それを聞いた大妖精は興味深そうな顔をし、チルノに至っては目を輝かせていた。
「へぇー……そんなことあるんですね……」
「ある意味運命だよね、それ!」
「運命、か……確かにそうかもしれんな……」
「えー。そんなの偶然だろー?それに今の所有者はわ・た・し・だ!」
「元々俺のだと言ってるだろうが!」
しかしそれを快く思っていないのか、勝手に自分の所有物にしようとしている魔理沙。
その言葉を聞いた戒斗は意地でもそれを奪われまいとしており、自分のであると魔理沙に向かって叫ぶ。
そして痺れを切らした魔理沙が「立ったら力ずくで手に入れるぜ!」と叫び、戒斗も「望むところだ!」と言って変身し、そのまま両者共にバトルを始めてしまっていた。
それを見た大妖精は、その場であたふたしており、チルノに至っては軽く呆れながら、ヒマワリロックシードを手に持って眺めていた。