東方神実郷~『仮面ライダーバロン』、駆紋戒斗が幻想入り~ 作:火野荒シオンLv.X-ビリオン
チルノ「殺したらアンタを殺す」←スペカ用意
霊夢「チルノに同じく」←スペカ用意
永琳「その前に助ける」←手術準備
イナバ「師匠に同意です」←手術準備
大妖精「」←結構ヤバイ状態
戒斗「………本当に助かるのか?」
戒斗は霊夢たちの案内を受けながら、『迷いの竹林』と呼ばれる場所をローズアタッカーで道を進んでいく。
その戒斗の背中にもたれ掛かっている大妖精は、今もなお苦しそうな表情をしていた。
そんな彼女を後ろからついてくるように飛んでいるチルノが、ずっと励ましている。
「大ちゃん……もうちょっとだから、頑張ってね……」
「おい霊夢、永遠亭とやらは後どれぐらいで辿り着く」
「そうね……今のスピードで後7~8分ってところかしら」
「そうか……ならば飛ばすぞ!」
戒斗はそう言って、ローズアタッカーのスロットルを一気に回す。
そしてそのまま霊夢すら追い越そうとして、それを霊夢が弾幕で止めていた。
「こら。勝手にいかないの」
「というか大ちゃんの身を心配しろー!」
「何故だ?どうせすぐ近くだろう」
「はぁー……戒斗、貴方、普通の人間が永遠亭に辿り着くのは、かなり難しいのよ?常連とか以外は基本、妹紅(もこう)っていうやつに道案内とかを頼んでから訪れるのよ?それなのに何も知らない貴方が、無事に辿り着けるとでも?」
霊夢の意見に、戒斗はぐぅの音も言えなくなってしまう。
「分かればいいのよ」と霊夢は言って、再び移動を始める。
戒斗は黙ってそれについていき、チルノは後ろで大妖精が落ちないように見守りながら、飛行を続ける。
そして暫く進むと、奥に建物のようなものが見えてくる。
そのまま竹林を抜けると、目の前に純和風の屋敷が現れていた。
霊夢は「着いたわ」と言って地上に降り、戒斗もローズアタッカーのエンジンを切る。
そして大妖精を括りつけていた紐を外し、霊夢に彼女を預けると、ローズアタッカーを元のロックシードに戻していた。
「それにしても…こんなところに建ててるとはな…」
「まぁ、ここもここの宿主も色々あったからね…」
「それよりも早く大ちゃんを運ぼうよ!!」
「それもそうね。それじゃあいきましょう」
霊夢は頷くと、永遠亭の入り口の門を叩く。
「門が閉まっているなら、もう終わったんじゃないのか」と戒斗は呟くが、そんな彼の心配も安堵に終わる。
入り口の門がゆっくりと開き、そこからひょっこりと、紫の髪の毛をした、赤い瞳の少女が顔を出す。
…その頭には、ウサ耳が付いていたが。
「はーい。どちら様…あら、霊夢さんじゃあありませんか」
「!?」
「あら、うどんげじゃない」
「冷やしうどん!えーりんいる!?」
「ちょっ、チルノさん!?いきなりどうしたんですか!?」
うどんげと呼ばれた少女(何故かブラウスの服)―――鈴仙(れいせん)・優曇華院(うどんげいん)・イナバはそう言って、チルノを慌てて止める。
そして霊夢に詳しい詳細を聞いて、「分かりました」と答える。
「ならば至急、師匠にこの事を伝えます!」
「助かるわ。それで私たちは何処に?」
「そうですね……てゐに何処か空いてる部屋にお連れさせるよう頼んでおきます。そこでしばし待っていてください。あ、大妖精さんはそちらの人間の方に運んでもらいますので、そこの人は一緒に付いて来て下さい!」
「だってよ、戒斗……って、アンタ何ボーっとしてんのよ」
「あ、いや……なんでもない…(兎の耳…コイツも妖怪か?…それでいて服装に違和感が……)」
イナバはそう言って戒斗を指差すが、当の本人は、目の前のウサ耳少女に変な印象を持っていた。
まぁ、確かに何故かブラウスの服を着ている兎の妖怪(月出身で本当は妖怪とは言い辛いが)に違和感を持っても仕方ないだろう……。もっとも、この幻想郷は色んな意味でツッコミどころとかが多いが。
戒斗は「何で俺が」とぼやくが、霊夢に「男なんだから運んでやんなさいよ」と軽く足を蹴られ、仕方なく大妖精を背中に抱える。
そしてイナバの案内を聞きながら、永遠亭に入っていった。
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「師匠、どうですか?」
「…そうね……。そこの貴方の話を聞く限りじゃあ、これは先にこの植物を全部取った方が早いわね。まずはレントゲンで植物の根っこが蔓延っている場所を完全に特定するわよ。優曇華院、急いでレントゲンの準備を」
「はっ、はい!!」
戒斗はイナバの後を付いて行き、治療室まで連れて来られる。
そして大妖精を近くのベッドに寝かせ、そのまま暫く待っていると、一人の女性がやってくる。
恐らく彼女が八意永琳だろうと思い、そのまま見つめていた。
すると永琳が戒斗に近づき、話し掛けてくる。
「…貴方が霊夢たちと一緒に大妖精を運んできた……」
「駆紋戒斗だ」
「そう、戒斗ね。私は八意永琳。ここに住んでいる医者よ」
「…アンタは人間なのか?」
「ふふっ、どうでしょう?それで優曇華院には聞いたけど、かなり厄介ね、あれは」
永琳はそう言って、後ろの大妖精をチラリと見てみる。
今は麻酔をしているので大分落ち着いているが、急がないとまた痛みで苦しみだすとの事。
戒斗は助かるのかと尋ねるが、永琳は薄ら笑いをしながら返答する。
「大丈夫…とは言い難いけど、彼女はしっかり助けるわ。幸い、最近優曇華院にじっけ…ゲフン、作ったやつに、ある程度の皮膚や細胞なら再生できる薬が出来たの。流石に引っ掻かれた場所は無理だけど、根っこを取り除いた場所なら多分再生して元に戻るわ」
「……俺のいた世界では、細胞の再生など、到底無理な技術だったが」
「まぁ、その薬は応急処置程度、彼女がある程度回復すれば、多分自然治癒で治る筈だわ。妖精は基本死ぬ事がないですもの」
「そう、か…」
戒斗はそう言って、医療室から出て行く。
流石にこのままいても邪魔になるのは確定なので、先に言われる前に退出したのだ。
戒斗はとりあえず霊夢たちのところに戻ろうと思い、足を動かす。
(…この世界なら出来る、か……確かに、俺の思っているよりは、可能性が充分にあった)
戒斗は自分の世界とこの幻想郷、それらを並べ、自分の世界感覚で考えていた。
だからだろうか……勝手に決め付け、当たり前のように思っていたのは。
(…馬鹿だな、俺は。この世界と元いた世界、全く違うのは当たり前だ。ヘルヘイムもそうだった…住む場所が違えば、自分の知ってる常識は非常識に、自分の思った非常識は常識になる。…当たり前な筈なのに、な…)
戒斗は途中で足を止め、夜空を見上げる。
…外は既に暗くなっており、夜空には満月が浮かんでいる。
それを見ながら戒斗は「…チルノのやつには謝っとくか…」と呟き、再び歩き出そうとする。
だが、月に薄らと、無数の黒い粒が見える。
戒斗はそれが何かよく見てみると、何か虫っぽい生き物だと分かってくる。
そして暫く見ていると、それが何か分かり、戒斗は目を見開いていた。
「なっ…!?インベスがこっちに……!?」
それは大量のインベスで、明らかにこちらに向かってくるような飛び方をしていた。
それを見た戒斗は舌打ちし、急いで霊夢たちのところに走り出す。
が、今更ながら部屋を何処か聞いてなかった為、2、3回程部屋を間違える。
そして霊夢たちの話し声が聞こえ隣の部屋で聞こえ、襖を強引に開いていた。
突然戒斗がやって来たのにチルノは驚き、霊夢に至っては、戒斗の様子が慌しいのに疑問を持つ。
その近くでは、何処となく『竹取物語』に出てくる『かぐや姫』のような少女が、口をポカーンとしながら、戒斗を見つめている。
「霊夢!チルノ!いるか!!」
「∑!?び、びっくりした~…戒斗じゃんか~…」
「どうしたの戒斗、なんか慌しくして」
「O□O」
「実はインベスがかなりの数でこっちに向かってきてる!」
「「えぇ!?」」
戒斗の言葉に二人は驚き、近くにいる少女は、未だ戒斗をポカーンと見つめている。
それに気付いた戒斗は、先に少女について尋ね、少女はハッとして自己紹介をしていた。
「…ところで、そこの女は誰だ?」
「はっ!!あまりにも驚いて茫然としていた!?」
「…で、お前は誰だ?」
「あ、すみません。申し遅れました。此処の主の蓬莱山 輝夜(ほうらいさん かぐや)と申します」
「…こんな子供が?」
流石に主にしては幼すぎると戒斗は思うが、多分家系か何かによる跡継ぎなのだと思い、特に深く追求しなかった。
一方で霊夢は、戒斗に現在の状況などを尋ね、チルノは大妖精が助かるのかと騒ぎ立てる。
戒斗は永琳と話した内容と、インベスがどれぐらいかを話していた。
「恐らく、100かそこらはいるだろう。問題は、やつらは空中にいるという事だ」
「そこはアタイたちに任せてよ!大ちゃん傷つけたやつらの仲間は、皆弾幕で撃ち落としてやるよ!」
「けれど、少し疑問に思いますね」
「?輝夜、何が?」
「何故こちら方面に飛んでくるのかですよ。単に空を飛んでいるだけかもしれないですし」
輝夜の言葉に霊夢は納得し、戒斗も頷く。
だが、単に飛行しているだけならまだいいが、もしそれがこの付近に降り立ったら、間違いなくその付近のものはインベスに襲われるだろう。
つまりはどのみち、警戒していないと危険な目に遭う。
「幸いにも人里は反対方面だし、恐らくはここに来る可能性が一番高いわね」
「だったらここで迎え撃つ!大ちゃんが治療を受けているのに、今襲われたら意味がないもん!」
「決まりだな。ならば霊夢とチルノは、出来るだけインベスを撃ち落としていけ。その弾幕とやらで簡単に倒れるとは思わんからな。落ちたやつは俺がすべて止めを刺す」
戒斗は既に戦極ドライバーを装着しており、いつでも戦う準備はできている。
二人は戒斗の言葉に頷くと、各自目的を果たす為走り出した。
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「おっちろぉぉぉぉぉぉぉ!!」
『ギシャアアア!?』
『ギシャアアアアア!』
「おっと!!当たるもんか!」
各自戦闘に入ると、霊夢たちは戦力を分断させて攻撃に入っていた。
特にチルノの方にかなりの数のインベスが集まったが、チルノはそれらを片っ端から蹴散らしていた。
「食らえぇぇぇぇぇぇぇ!!」
『『『ギシャアアアアア!!』』』
「うっしゃ!殆どアタイが倒した!やっぱアタイってサイキョーね!」
チルノは弾幕を何度もインベスにぶつけ、一部のインベスは爆散する。
それを見たチルノは喜ぶが、そうしている間にも、次々と彼女の方に集まったインベスが、彼女目掛けて飛来してくる。
それに気付いたチルノは慌てて応戦し、インベスに向かってしつこいと叫んでいた。
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一方の霊夢も、ある程度の攻撃は結界で防ぎ、怯んだところを的確に狙っていた。
そのうちの大半は、下で残りを倒している戒斗に負担をかけないように、自らが倒していた。
「…にしてもこいつら、不気味ね。レミリアたちのところではこういう次々に現れるやつらみたいなのをゾンビって言うんだっけ?まるでそれみたいだわ」
まるでゾンビみたいに現れるインベスを見て、霊夢は軽く舌打ちする。
着実に減ってはいるが、それでも後15匹ほど……だいぶ減ったわりには、まだ残っていた。
それでももし最初にいた数が2、300という数だったら、完全に押し負けていただろう。
(まぁ、ある程度体力を抑えながら戦うとなると、苦戦はするでしょうね……そこまでこいつらがいなくてよかったわ)
霊夢はそう思いながら、残りのインベスに攻撃していた。
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「フンッ!ハァァ!!」
『ギシャアアアア!?』
『ギシ、ギシャアアアア!!』
「雑魚が……とっとと失せろ!!」
『『『ギシャアアアア!?』』』
別の所では、バロンが地上に落ちてきたインベスに、追い討ちを掛けていた。
元々数が少ないのもあってか、バロンにとって他の二人よりは楽な方だった。
問題があるとすれば、いちいち移動するのが面倒である事……
「もう少し近くで戦わせるようにすればよかったか」とバロンは呟きながらも、着実に数が減ってきていた時だ。
何処からかヘキジャインベスが現れ、バロンに攻撃を仕掛けていた。
『ギシャアアア!!』
「!上級のインベスか…しかもあの固体は確か、初瀬がインベス化したやつと同じ……」
バロンはかつて自分の元いた世界で、何も真実を知らず、哀れも無い最後を迎えた男と重ねながら、ヘキジャインベスに向けて構えを取る。
―――そう言えば、葛葉は初瀬を助けようと必死だったな…結局無理だったが…
バロンは心の片隅で、密かにそう思いながら、ヘキジャインベスを攻撃する。
次々に与えられる攻撃を与えていき、ヘキジャインベスはその場で怯む。
それを見たバロンはチャンスだと思い、カッティングブレードを一回倒す。
『カモォン!バァナァナスカァッシュ!!』
「トドメだぁ!!」
『ギシ!?ギシャアアアア!!』
だが、バロンが必殺技を放とうとする前に、ヘキジャインベスは気力を振り絞って、逃走していた。
それを見たバロンは追い駆けようとするが、既に暗くなっており、無闇に追ってしまえばこの竹林に迷ってしまうだろう。
バロンは舌打ちをしながら変身を解き、辺りを見回し、インベスが残っていないのを確認していた。
「…どうやら無事に、殲滅した、か」
「戒斗ー!!」
「そっちは終わったー?」
「霊夢、チルノ……無事だったか」
「何よその言い草は!?」
「私は数がまだ少なかったからね。平気よ」
すると霊夢たちが降りてきて、無事に殲滅した事を告げる。
それを聞いた戒斗は「そうか」とだけ告げ、ヘキジャインベスが逃げた方を向く。
恐らくはだが、暫くは竹林を抜け出せずにいるか、クラックを呼び出したりして、元いた世界に戻っている可能性があるだろう……
戒斗はそう思いながら、永遠亭に戻っていった。
~~~
次の日の朝、戒斗たちは輝夜が今日は泊まっていくように言われ、その厚意を受け取って永遠亭に泊まっていた。
そして一番早く起きたのはチルノで、彼女は未だ使われている治療室の前で、待っている事にしていた。
チルノは床に体育座りをしながら、大妖精の無事を祈りだす。
(大ちゃん……助かるよね………アタイ、大ちゃんがいないと……)
「チルノ、貴様、何している」
「∑ってわぁぁ!?か、戒斗、いつの間に!?」
するといつの間にか戒斗がチルノの横に立っており、彼女は当然驚く。
戒斗はチルノの隣に座ると、チルノの方を向かないまま、話し掛けていた。
「…そんなに大妖精という奴が、心配か…?」
「…当たり前だよ……アタイや、他のみんなに、優しく接したりしてくれて……アタイたちにとっては、大ちゃんは『お姉ちゃん』のような存在なんだ」
「姉、か……貴様には苦労しているんだろうな」
「凍らせるぞアンタ」
チルノの言葉を聞きながら、戒斗は大妖精が苦労していると思う。
それに対してチルノは唸るが、「でも」と呟く。
「……確かに、アタイは大ちゃんに守られて育ったようなもんさ……いつも大ちゃんが、暴走するアタイを止めてくれたり……だから、いつの日か、大人になったら………大ちゃんに恩返しをしてやるんだ」
「…」
「今は振り回して迷惑を掛けちゃう事もあるけど……大きくなったら、その迷惑を掛けた分、恩返しをするつもりさ。…それが今、アタイが思っている事…こういうのって、『夢』っていうんだっけ?」
「……そう、か………強いな、お前の心は」
話を聞き終えた戒斗は、ひっそりと微笑みながら、静かに呟く。
が、聞こえていなかったのか「何が?」と彼女は尋ねてきて、戒斗は何でもないと返していた。
すると治療室の扉がガラリと開き、そこから八意永琳が出てくる。
それに気付いた二人は立ち上がり、どうだったかを尋ねた。
そして……………
「―――手術は終わったわ。彼女は無事よ」
彼女は無事
それを聞いたチルノは目に大粒の涙を溜めながら、治療室で寝ている大妖精に向かって走り出す。
戒斗もとりあえず治療室に入ろうとすると、永琳が横目で戒斗を見ながら微笑む。
―――ね?助けると言ったでしょ?
まるでそう言っているかのような笑みに、戒斗もフッと笑いながら、大妖精の所に向かう。
イナバが途中でお辞儀しているのを軽くスルーしつつ、大妖精が寝ているベッドの前に立つ。
…身体の至る所に巻かれている包帯を見れば、どれほど辛い闘いだったのか、見て分かるほど……
だが戒斗は、そんな事を気にせずに、彼女が寝ている近くで泣いている少女の方を見ていた。
「大ちゃん…!良かった……本当に…よが、っだよ……!いぎででよがっだ……あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
チルノは大妖精の手を握りながら、ただひたすら、涙を流しながら喜んでいた。
~~~
その頃、何処か別の世界で、その光景を見ている者たちがいた。
そしてその中央に玉座のような物が置いてあり、そこに一人の少年が座っていた。
「へぇー、あれだけの『創造と破滅を導く森』の種子を取り除けるとは……流石は幻想郷の医者、中々なものだね」
少年はクスリと笑いながら、その光景を映し出した映像を見る。
すると一人の男が、少年に歩み寄り、静かに尋ねてくる。
「………この幻想郷は、他と比べてまだ、様々な者の介入がなされていない、『純粋』な世界です。が、その中に一人だけ、『創造と破滅を導く森』に詳しい者が流れ着いています。……いかがなさいますか?」
「そうだなぁー……今の所、彼一人だけでしょ?あそこの幻想郷に入り込んだのは。それに調べてみたけど、彼は元いた世界で『進化への苦痛を耐えた者』となった形跡がある。外来人がいるとはいえ………中々面白い結果になりそうだよ?」
「分かりました。では、次に向かう場所は、『鎧武の世界』の一つ、そこの幻想郷ですね。では、そこに向かい、『種』を撒く準備を致しましょう」
「頼むよ、ラキザ」
ラキザと呼ばれた男は「御衣」とだけ言うと、その場から一瞬で消える。
少年はまたもやクスリと笑いながら、映像を見つめる。
すると別の男が、「おい」と少年に問い詰めていた。
「おい、テメェどうすんだよ。殆どの『進化を超えられなかった者の成り果て』どもが、その幻想郷に流れ着いていっちまったんだろ。奴らは『創造と破滅を導く森』の果実を食わねぇと、後々面倒な事になるぜ?」
「そういえばそうだね………仕方ない、ある程度種子を植えつけようか」
少年は右手を突き出すと、掌を開く。
するとそこから【金色に輝く林檎】が現れ、同時に目の前に、チャックのような裂け目が現れる。
少年はそこに金色に輝く林檎を投げ入れ、裂け目はそのままチャックを閉じてしまっていた。
「フフッ、一応あの世界は簡単に滅んでもらわないようにしてるけど………果たしてどうなるのだろうね?フフッ、ふふふふふふ………」
少年はそう呟きながら、静かに笑っていた。
………この放たれた【黄金の果実】が、放たれた幻想郷に、史上最大の【異変】をもたらすのを、今はまだ、誰も知らない。
シオン「さて、今回の話はいかがだったでしょうか?」
チルノ「やったー!大ちゃん助かったー!!」
戒斗「まさか作者が鬱展開に持っていこうとしなかったとは………」
シオン「戒斗、お前、俺を何だと思ってる」
霊夢「…ところで迷いの竹林で思い出したけど、今回、てゐが全く出て無かったわね」
チルノ「あ、そういえば確かに。冷やしうどんの言葉だけだったね、てゐの名前出たの」
シオン「単純にいうと、出し辛かった」
チルノ「作者、それ、自殺宣言?」
戒斗「というか、幻想郷の住人は、みんなああなのか?ウサ耳付いてたりとか」
シオン「うん」←原作のゲームやった事ない
霊夢「殆ど妖怪とかが占めてるからね、幻想郷の住人は」←一応人間
チルノ「むしろ受け入れるかスルーするかしないと、戒斗の性格じゃ耐え切れないと思うよ?」←妖精
戒斗「そう、か……因みに、他に何がいる?」
シオン「吸血鬼」
霊夢「半霊半妖」
チルノ「鬼」
シオン「河童」
霊夢「烏天狗」
チルノ「魔法使い」
戒斗「ちょっと待て、魔法使いは人間の部類だと思うぞ」
シオン「メイド」
戒斗「!?」
霊夢「にしても………永琳がハイスペックすぎる」
永琳「私に治せない患者はあんまり無い!!(ドヤァ」←何故かいる上にドヤ顔中
シオン「∑ナズェイルンディス!?」
輝夜「えーりーん!何してるのー?」←付いてきた
永琳「いえ、別に何も」
戒斗「しかも強引に誤魔化した!?」
シオン「ここでひっそりと心の中で反省している戒斗マジツンデレ」
バロン「作者、貴様の尻にバナスピアー刺すぞ」
霊夢(ケツアンカーならぬケツスピアー…?)
チルノ「やっと能天気なアンタにも理解できたのね!」
戒斗「能天気とはなんだ、能天気とは」←変身解いた
シオン「そして空からやって来るインベス………本来ならここで、ダンデランナー出しても良かったけど、面倒臭かった」
全「「「おい!?」」」
シオン「輝夜に関しては完全なお遊び、とりあえず顔文字が似合いそうな子だと思って顔文字付けてみた」
霊夢「………意外と違和感しない…見た目のせい?」
戒斗「何処か子供っぽいところじゃないのか?」
シオン「そしてインベスの大群戦………ここまで書くのが辛いとは思わなかった。あんま書けそうな部分ないし」
全「「「おい作者!!」」」
シオン「そしてヘキジャインベスを出したのも、そして逃がしたのも、全て気紛れ」
鎧武・極アームズ「よし作者、後で楽屋裏」←話聞きつけてきた
シオン「ナンデ!?」
チルノ「ここでアタイの台詞がフラグになると思った?残念!そんな事させないよ!!」
霊夢「なんかもう、『恩返ししたい』とか、『これって『夢』って言うのかな?』とか、明らかにフラグ満載だったわね………」
チルノ「死亡フラグは建てまくると逆に生存フラグになるのよ!!というか死亡フラグにさせてたまるか!!」
戒斗「じゃあ今までの台詞の大半はフラグになりそうと自覚していたんだな」
チルノ「え、いや、その……そんな事思う訳無いじゃん!!」←顔真っ赤
シオン「ここで大妖精が無事だった喜びを突き落とすかのようなメタ話するけど、最初から生存確定していたんだ。ただ……あまりにも読者が「大ちゃん死ぬの!?」とか「これ助からねぇんじゃね?」とか「オーバーロードにしよう」とか言われてたから、死亡展開も軽く考えてたんだよねー……。そしてリアルの俺の友達に大妖精を生かすか殺すか尋ねてみようかなどと考えていた」
チルノ「ちょっと待て!?」
戒斗「オーバーロード化は?」
シオン「最初から除外してた。イメージ考えるの面倒だし」
霊夢「つまり下手したら、作者のリアル友達の手によって、大妖精の運命が決めかねられたと」
シオン「ま、面倒だったから聞かなかったけどね。聞いても「自分で決めろ」か「面白い、やってみろ」のどちらかだろうし」
チルノ「色んな意味でその人に任されなくてよかった!!」
シオン「さて………お前ら、このまま何の展開も無しに物語が進むと思ってた?」←真ゲス顔
チルノ「うっわ、顔ウッザ!!」
霊夢「むしろ展開が無いまま進んだら、【仮面ライダー】という要素がその内なくなってたわね」
戒斗「お陰で面倒な奴らを出しやがって」
霊夢「しかもあいつら、ディブレイカーに出てたよね?」
シオン「そう!因みにあいつらが使っていた用語の一部を纏めると」
・創造と破滅を導く森→ヘルヘイム
・進化を超えられなかった者の成り果て→下級、上級インベス
・進化への苦痛を耐えた者→オーバーロード
シオン「という風になっている。意味はお察しの通り」
戒斗「三つ目は明らかに鎧武本編の俺だな」
チルノ「こういうのだけ、何気に上手く考えるよね、このバカ作者」
霊夢「確かに」
シオン「おい!?」
シオン「さて、無事に生き残れた大妖精だが……次回もお楽しみに!!」←真ゲス顔
チルノ「作者、その顔腹立つんだけど」
戒斗「確かに」